【Bring it on】Jリーグ/第4節 vsいわきFC【ベガルタ仙台】
はじめに
さて、ささっと4節。
昇格してきたいわきFCとの一戦。
いろいろと厳しいゲームではあったな。
ただまあ、こういう日もある。長いこと闘っていれば。
ゲーゲンプレスで振り返っていきます。
では、レッツゴー。
メンバー
ベガルタ仙台【532】
いわきFC【442】
スコア 0-1
ハイプレッシングの嵐に巻き込まれた仙台
いわきのスタイルとして、後方でのボール保持ではなく、最前線にロングボールを送り込むのがある。
予めセカンド回収のポジションを取り、ロングセカンドからのボール前進を主体としている。
また、前線からのプレッシングを狙っており、かつプレスバックも強力なまさにハイプレッシングのチームである。
仙台の狙いは、2つ。
前線からのプレッシングをかわして、ボールサイドと逆のサイドへの解放。
もうひとつは、同サイドで縦迎撃してきたSBの背後への抜けだ。
いずれにしても、いわきの激しいプレッシングを裏返して、「カウンター」を仕掛ける狙いだったのだ。
開始早々10分で、小出悠太のサイドチェンジキックから内田裕斗の追いこし、真瀬拓海→郷家友太のファーストシュートまで繋げている。
最初にして最大の決定機だった。
ただ、このシュートを外すと、形勢はロングセカンドとカウンタープレス、プレスバックとハイプレッシングのいわきに優位になっていく。
仙台のボール出しは、バック3のままやる場合や左右CBの内田裕斗と小出悠太がワイドに低い位置にポジションを取っていた。
あくまでバック3の横スライドだけ。
特に左CBには、ワイドが本職の内田裕斗が入り、ハーフスペースから縦に刺すパスやワイドでの追いこしなど、後方加勢型CBとして十分なほど機能していた。
ただ、仙台の狙いである「SBの縦迎撃を誘発させる」ためには、WBが低い位置にポジションを取る必要がある。
そのため、フォーメーション通りに5バックの物理的な距離が近くなり、CB→CBやCB→WBの横パスがいつも以上に目についた。
そのため、いわきの前線からのプレッシングにおける「寄せ」と「プレスバック」の餌食となった。
WBにボールを寄せると、そこがいわきのキルゾーン。
ウィングのプレスバックに、SBの縦迎撃、MFとFWもマンマーキングで寄せて、一気にボール周辺の密度を上げてしまう。
仙台は、これまでの試合でも、中央を経由せずに簡単にサイドへボールを進めてしまうため、相手のプレッシャーを受けやすく、味方へのパスラインも通りにくいエリアでプレーすることを強いられていた。
そのため、CB菅田真啓が上がってMF化したり、WBが上がった背後で郷家友太が落ちたりして、ポゼッションを立体的にする工夫をしていた。
ただ、この試合においては、カウンター攻撃が強力ないわきに対して、かなりカウンター予防の意識があったと思える。
あまりポジションを移動せず、そのままでボール出しをしようとした結果、相手のハイプレッシングをまともに受けてしまった。
とはいえ、バックラインでの簡単な横パスは、仙台の課題だと思うし、そこを自分たちのスタイルを上乗せしたうえで攻撃してきたいわきが上手だったのが正直な感想だ。
仙台を生き返らせたブラジル人
「ある……1年に数試合はこういう試合ある……ええんや、今日はビール飲んで肉食いに来ただけやねん……」と思いたくなるような前半だった仙台。
赤いバイクにまたがってロッカールームでまっていたAKIRA。
前半から狙いとするポジションを取り、逆サイドへの解放、SB背後への攻撃もできていたが、いかんせんプレッシャーの嵐で防戦一方に追い込まれてしまった。
それだけでなく、サイドチェンジのキックをミスしてしまったり、フォギーニョがオフボールランしてもボールが出なかったり、相良竜之介の進行ルートを妨害するような形になるなど、「ちぐはぐ」に変わってしまったことに手を入れる必要があった。
これ「ちぐはぐ」ちゃう。
「はくばく」やで。
フォギーニョのSB背後への抜けは継続。
左WB相良竜之介がワイドの位置から、ゴールに向かって斜行していくことを許容。
また、前にオープンスペースがあると単独でもゴールへボールを運んでいくようになる。
相良竜之介の単騎のカウンターで決定機を迎え、中山大観音の落としを遠藤康が背後への抜けを狙うフォギーニョを使ってクロスまで持ち込めている。
左サイドが息を吹き返した要因のひとつは、エヴェルトンだった。
前半は、ポジションにつく速度が上がらず、味方がプレッシャーを受けたあとにサポートに入っていたため、あまり存在感がなかった。
また、いわきがFW有田稜を使って内田裕斗とマッチアップさせていた影響から、DFに回る機会が多く、ボール保持で良いポジションを取れずにいた。
後半からはポジションを取る速度が上がったエヴェルトン。
プレッシャーを受ける内田裕斗からボールをもらう、ワイドに低い位置に落ちてきてレイオフする相良竜之介からボールをもらうなど、適切なタイミングかつ適切なポジションで繋がった。
形勢を持ち直す仙台。
途中から、インサイドMF郷家友太をMFにして3421にする。
エヴェルトンの鬼速ポジショニングもあるが、MFを2人にすることでワイドをサポートする物理的な距離を近くする。
いわきは、前掛かりのプレッシングは速いが、自陣へリトリートする速度はそれほど速くない。
なので、前線4人の背後は狙いであったし、サイドチェンジでワイドに展開していくのは妥当であった。
フォギーニョとエヴェルトン。
タイプの異なる2人のブラジル人MFが、仙台に伊吹を与える。
最後の最後までゴールへの道は見えず
右サイドも同様の形を狙っていたけれど、ワイドでのプレーを得意とする遠藤康は、ボールを持ってからのプレーだったので、左サイドに比べるとプレー速度は落ちた。
そうなると、さすがにいわきの選手はポジションに戻っているので、後方の真瀬拓海も難しい攻撃参加になったのだと思う。
ややオープンで崩れた展開の左サイドと押し込んでからの打開が求められた右サイド。
右は右で、打開に向いてそうなメンバーだったけれど、その分やり直しも増えた。
左同様、一気に攻めてしまった方がよかったかもしれないが、それはまあ結果論だから。
さらに433へ変更する仙台。
山田寛人が落ちて、ボールをサイドへ展開していた。
中島元彦を映せ!中島元彦の戦いぶりを!
はじめからウィングのポジションにいるとDFが構えてしまい、442とがっつり組み合ってしまい最後までゴールが遠かった。
いわきサポーターの歓声は、ユアスタ中に響き渡っていた。
感想
このチームでうまくいかない時は、こういう感じでうまくいかなくなる、を観た試合だった。
やはり、静的なポジションを維持しながら、動的にポジションを取っていくのは非常に高度なプレーを求められる。
フォギーニョは、ランニングを繰り返していたし、毎度FWは抜けを狙っている。
ただやはりそれは、後方のボール保持で相手のプレスを無効化する技術、仕組みがあって、相手を誘きだすから危険なプレーになる。
多分だけれど、この試合が最もそのプレーに近づいた試合だったかもしれない。
後方でボール保持して、相手のプレッシャーを裏返して、素早く攻撃する。
プレスへのカウンター攻撃。
また、左CBに内田裕斗が入ったり、フォギーニョが初スタメンだったり、遠藤康がスタートからピッチに立つなど、意外とスタメンに初メンバーが並んでいた。
いくら一緒に練習しているとはいえ、試合のなかで、高い強度のなかでお互いプレーするのも初なのだろうし、難しいところもあったはず。
フォギも常に走らなくてもよかったかもしれない。
遠藤康はもっとワイドからカットインしていった方がいいかもしれない。
内田裕斗の追いこしは、もっと果敢にしかけるべきだったかもしれない。
そのあたりのバランスであったり、早い手を選ぶのか、遅い手を選ぶのか、押し込んでからリスクを負ったプレーをするのかなど、詰めるところはまだまだたくさんある。
それでもボール前進させているのだから、今に見てろ、とそう勝手に思っておくことにしようと思う。
「自分をタフだと思ってるの?6インチのヒールで戦ってみなさいよ」こう言ったのは、ローバ・アンドラーデだ。