蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【一撃】Jリーグ 第3節 ベガルタ仙台vs浦和レッズ (1-2)

はじめに

 さあ、いきましょう。ホーム浦和戦のゲーム分析。再開後、2試合目が奇跡的にも訪れた。そんな、『毎試合が奇跡』を毎試合味わえるのだから、多分僕たちは贅沢をしている。そんな2試合目は、誰もいないユアスタ。声が降らないユアスタで、あの天皇杯決勝で戦い、ルヴァンで惨敗した相手、浦和レッズ。黒の鎧を身にまとった11人の剣闘士たちを黄金の戦士が迎え撃つ。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

目次

オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、変わらず4-3-3。ところが、中身は前節から7人を代える総とっかえ。小畑、吉野、椎橋、関口のセンターライン以外は、途中出場もあるが今季初出場の選手もいる。注目は、右SBとして計算されていた浜崎が左インテリオールに。

 一方の浦和。ベガルタと違い大きなローテーションはせず。4-4-2のインサイドレーン封鎖ディフェンスと、最強の天敵、興梠がいる。

 

概念・理論、分析フレームワーク

  • 『蹴球仙術メソッド』を用いて分析。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を援用して分析とする。
  • 文章の伝わりやすさから、便宜的に、『攻撃・守備』を使用。
  • ボールを奪ってからの4秒間をポジティブトランジション、ボールを奪われてからの6秒間のネガティブトランジションとしている。

ボール保持時

偽3トップ

 ベガルタのボール保持攻撃は、ファーストサードで相手を呼び込み、パス一本で相手ファイナルラインを突破する策できた。3トップの人選は、前節から全員変わっていてタイプも違う。1トップの赤﨑は、相手の選手間である『ゾーン』を走り、左ウィングのゲデスはボールを持つと一撃必殺のパスを刺していく。前節の両ウィングは、カウンターの急先鋒として、あるいは自陣からボールを前進させる一番槍として、敵陣深くまでボールを運んでいった。ただ、この試合については、赤﨑もゲデスも、自陣に降りてボールをもらい、右ウィングの山田が前残りのような形をとる。当然、赤﨑が降りず、相手ハーフゾーンへのオフボールラン『ゾーン撃ち』でファイナルラインを突破するシーンもあった。

 ファーストサードでのボール保持攻撃の時点で、従来の3トップではなかった。前節はオランダリスペクトと言わんばかりに、バリバリの3トップだったのだけれど、あえていえば山田が前に残っているぐらいで、まったく違う3トップだった。ミドルサードでの前進でも、赤﨑がゼロトップのように降りたり、ゲデスがボールをもらうために降りるシーンもあった。強いて言うなら右ワイドトップ山田。偽の3トップを仕込んできた。赤﨑が1トップタイプではなく2トップ向きのFWであること、ゲデスのボールを持った時に違いを生み出すプレースタイルを合わせ込んだ時に、『偽3トップ』としてピッチに出現したのではと考えている。

図1

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大外!大外!大外!

 ミドルゾーンでの前進でも、前節のボール保持攻撃とは変わっていた。まずは、SBのポジション。前節は、カウンター予防としてハーフレーンに立っていたSBがワイドレーンいっぱいに立っていた。このことから、前節の「カウンター予防のためにSBがハーフレーンに立つ」は、完全に証明できないと分かったので、今後の試合もよく観察したい。また、「ウィングとSBは、同じレーンに立たない」の原則も、この試合では原則破り。もろにワイドレーンに2人が立ち、一点突破の姿勢を見せる。

 これは、浦和のSB-CB間を守る『ゾーン防衛』力が極めて高いからだと考える。たとえSBがサイドに引っ張り出されても、CBがボックス内からサイドへ出ず、CHがその間を「埋める」のだ。こうなると、SBやインテリオールのいわゆるチャンネルランと呼ばれるハーフゾーン撃ちが封じられる。また、赤﨑のゾーン撃ち特性を考慮したら、誰も彼も入って渋滞起こすことを避けたいのだと考える。ここで木山監督が考えたのが、「正面玄関から入れなければ勝手口から入る」だった。

図2

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図3

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図4 (前節湘南戦)

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ワイドゾーンからハーフレーンへ

 浦和は右サイドに問題を抱えていた。ファブリシオの非保持時のポジショニングである。対面する左SB柳にいくのか、ドライブするCBジョンヤなのか、ボールを持ったゲデスなのか、彼の背中にスペースができることから、彼の迷いが伺えた。しかも対面する柳も、背後のスペースを突かれるリスクをとって、ファブリシオの射程範囲外であるタッチライン際を駆け上がっていった。この時、ゲデスもワイドレーン。2人でひとつのレーンを攻撃するのだけれど、正確には、「ゲデスはワイドレーン、柳がハーフゾーン」だった。細長いタッチライン際をゲデスがボールキープする時間を使って柳は駆け上がっていった。最終目標は、正面玄関が封鎖されていたハーフレーンだった。前節は、「ハーフレーンからハーフゾーン」の一点突破だった左SBの役割だったが、「ワイドゾーンからハーフレーン」と、中→中から外→中へと変えてきた。その役割なら、攻撃力のある柳の力が十分に発揮される。

 また、インテリオールも不用意にSB-CB間を突かず、ライン間に立つことで相手CHをピン留め。ゲデスにボールが入った時点、つまりはファイナルサードの崩しに入った時点で、相手SBに2vs1、CHも含めれば3vs2の状況をつくった。特に39分のシーンは、最終的にウィングのゲデスがハーフレーンを使うのだけれど、それまでの攻撃の積み上げの結果のようにも見えた。

図7

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図6

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図7

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図8

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 また、CBに入ったジョンヤが「刺せる」CBだったので、ゲデスとのコンビで左サイドでのボール支配に繋がった。これに加えて、赤﨑が神出鬼没のオフボールランでSB-CB間を攻略にかかるので、得点は時間の問題のようにも見えた。ここまで仕込んだのだから、やはりゴールがほしかった。
 

ボール非保持時

4-5-1ディフェンスのサイド

  今節も4-5-1でセット守備を組んだ。ただ、前線のメンバーが変わったこともあり、ファイナルサードからミドルサードでの4-3-3六角形ディフェンスはあまり見られなかった。相手をある程度自陣に引き込んで守備をする形を対抗型として採用したように見えた。ボール保持攻撃での偽3トップを活かすためにも、自陣での守備を許容したのかもしれない。ただ、ゲデスと山田のサイド守備は実際のところ怪しく、高い位置を取るSBに引っ張られる形で自陣深くまで戻っていたシーンもあった。また、ゲデスがインサイドレーンなのか、ワイドレーンなのかどちらを守るべきか分からなくなっているようなシーンもあり、攻撃力がある反面、守備の部分では「誰が出ても同じ」「選手の特徴を活かす」までには至っておらず。この辺りは、メンバーも違うし、なかなか難しいなとは思っている。ま、失点はサイドからだったのだけれど。

 また、メンバー交代で前節3トップが出ても、相手ボックス型+SBビルドアップで外されて逆サイドのSBに展開されるシーンがあり、早くも『3バックには相性いいけれど4バックはどうなの?』問題が嵐を巻き起こしそうだ。個人的には、4-3-2-1結界型ディフェンスで、ウィングを絞り、インテリオールに前プレをかけさせ相手SBにボールが出たところで絞っていたウィングがタッチラインに相手を圧しつける守備を推したい。

 

考察

2チーム分の戦い方

 かなりメンバーが変わったなかでかなり難しかったとは思うのだけれど、3トップの攻撃のやり方、ウィングとSBの関係性など、全く異なる戦い方ができると示せたと思う。連戦が続くなか、選手の組み合わせで、特にフロントラインの組み合わせだとは思うのだけれど、戦い方に変化をつけられるのは大きいと思う。あとは、細かい部分をきちんと詰める、やるべきことをやるといった、何万回もしわくちゃにされた言葉で締めることになるのだけれど、赤﨑のオフボールランに合わせるパスとか、なるべく良い体勢でボールを持つとか、まだまだやれることはあるし、良いだけではない勝ちにもっていける状態になってほしいなと思う。 

 

『魔術師ゲデス』と『天才松下』の共通性

 この試合で一番気になったのは、「松下の代わりを誰がやるんだ?」 だった。まあ思いっきり仕組みを変えるんだろうなぐらいにしか思っていなかったが、答えは、左サイドでトラップやパスを操るゲデスだった。天才松下のように、フルリミット解除みたいなパスとか、天才にしか見えてないスペースへ出すパスとかは無かったけれど、別の意味で走り出す味方、空いている味方へとパスを突き刺す『魔術師』のような選手だった。どこまで仕込みなのかは分からないのだけれど、ウィングを柳に任せて、あるいはサイドをできる浜崎に任せて、攻撃タスクをゲデスに任せるというのはある意味理に叶っているように思う。思うというか、思わせるような内容だった。ウィングとは言えないようなプレーだったり、ファイナルサードでは相手SBと正対したり、シュート撃っていいところでパスを出したり、なかなか掴みどころがない選手ではあったからどこまでできるのかは分からない。分からないけれど、過負荷状態だった『天才』を解き放つのは、異国からやってきた異端の『魔術師』かもしれない。

 

おわりに

 僕は、静かなユアスタを知っている。試合のないに日に行くと、ユアスタはただのコンクリと鉄の塊に化ける。この試合も、山田のゴラッソも、興梠の憎たらしいゴールも、無音。ボールの音、選手がぶつかる音、スタッフの声が響くだけで、肝心の『声』が聞こえてこなかった。まだ僕たちの戦いは終わっていないのだなと思う90分間だった。このスタジアムに、ゴールの瞬間に、最後の笛が吹かれるまで響き続けるその『声』の主は、今も画面の前で戦っているのだと。いつ戦いが終わるのかは分からない。分からないけれど、必ずこの冷たい塊が暖かく輝く生き物へと変化する日が必ず来る。そんなことを訴える、2020年7月8日のユアテックスタジアム仙台だった。

 

「追いこまれた狐はジャッカルより凶暴だ!!」こう言ったのは、グレイ・フォックスだ。

 

参考文献

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【奇跡】Jリーグ 第2節 湘南ベルマーレvsベガルタ仙台 (0-1)

はじめに

 さあ、いきましょうか。アウェイ湘南戦のゲーム分析です。まずは、COVID-19と最前線で戦っている医療従事者の方、また、Jリーグを再開するために尽力されたリーグ関係者、クラブ、チーム、スタッフ、選手すべての関係者の方に、感謝を申し上げます。今回も、気合入れてゲーゲンプレスで振り返っていきます。では、レッツゴー。

目次

オリジナルフォーメーション

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 ベガルタ仙台は、4-3-3。ケガ人続出の開幕戦から大きくメンバーを変更している。ウィングには、予想されていた左に西村、右には開けてビックリジャメが入った。シマオがケガで吉野がCB、クヴァ神もケガで18歳GK小畑がスタメン入り。

 湘南は、5-3-2。ボールを持つと3-1-4-2っぽくなる。FWには石原先生、CBに大岩、リザーブに古林と元ベガルタ戦士たちが入る。注目は、セントラルハーフの齊藤。

概念・理論、分析フレームワーク

  • 『蹴球仙術メソッド』を用いて分析。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を援用して分析とする。
  • 文章の伝わりやすさから、便宜的に、『攻撃・守備』を使用。
  • ボールを奪ってからの4秒間をポジティブトランジション、ボールを奪われてからの6秒間のネガティブトランジションとしている。

ボール保持時

関口とタカチョーの『ゾーン撃ち』

 ベガルタのセット攻撃は、左右のウィングがアウトサイドレーンいっぱいに広がる4-3-3でスタートする。ジャメと西村という、タッチラインを駆ける純粋なウィンガーというより、アタッカータイプを起用したことで、ぺナ幅3レーンのインサイドレーンを使うかと予想されたが実際はバリバリのウィングロール。特に、ジャメがいる右サイドをベースサイドとしてボールを前進させた。セット攻撃でも、ポジティブトランジションでもジャメが相手WBの背中を取る動きで、右サイドに問題を起こしていた。 

図1

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 図1は、アクチュアルフォーメーションと選手のペアリング。無理くり言えば、3-2-5とも言えるのか。ジャメがいるサイドは、ボールロストのリスクがあるので、SB蜂須賀が後方のスペースを埋める。ハーフレーンからセントラルレーンは、アンカー椎橋と2CBで封鎖することで、カウンター予防とした。

 ボール保持攻撃の号令は、ウィングにボールがつくこと。右サイドだと、ジャメにボールがつくことで、インテリオールの関口が選手間である『ゾーン』をオフボールランする。参考までに、レーンが被らないような原則がありそうで、ジャメがワイドレーンなら関口はハーフレーン、そのまた逆もしかりといった具合だった。ただ、ワイドレーンの選手にボールがついたら、その横のスペース、『ハーフゾーン』を走るというのは約束事のように見えた。「翼がボールを握ったら、廊下を走れ」だった気がする。気がするだけ。

図2

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図3

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参考図

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 右サイドは、右インテリオールの関口がサイドの選手ということもあって、ゾーンを走っていくことに違和感は無いのだけれど、左サイドは誰が担当するのか。答えは、左SBの石原 崇兆、タカチョーだった。タカチョーのランニングスタートポジションはハーフレーン。ウィング西村がワイドレーンなので、さきほどの「レーンを被らない」原則と、いくつか要因があるので後述する。西村にボールが入ると、タカチョーも逆サイドの関口同様、『ゾーン撃ち』を実行。相手WBに瞬間的な数的優位(2vs1)を創り出しピン留め、西村がボックス内にドライブできる時間とスペースを創った。

 この『ゾーン撃ち』自体は、それほど目新しいことではないのだけれど、サイドバックが実行したところが、新鋭で、先鋭で、新規的で、提案的だ。4-3-3はウィングが相手ブロックを広げるので、その間をオフボールランする(突く、突撃する)ことが大事になるのだけれど、この試合の関口のように、その役割はインテリオールが担うことが多い。サイドバックだと上がるのに時間が入るのと、ボールを奪われると自陣に戻るまで距離があるので、体力的にもしんどくなる。これを木山式4-3-3では、タカチョーがハードワーカーである選手特性での解決と、構造的な仕掛けで解決しようとしている。それが、『サイドチェンジ』だった。

蜂須賀のサイドチェンジキック

 リバプールの右SBアレクサンダー=アーノルドが、右SBのポジションから逆サイドへサイドチェンジキックするシーンをよく見かける。たしかに、SBという、時間とスペースがある程度あるポジションからキックを蹴る余裕はあるのだけれど、相手側からすると、ピッチの端っこで相手陣に近いところでボールを持たれてもそれほど脅威ではないどころか、そこに誘導させてすらいる。ただ、そのポジションから、鋭いサイドチェンジキックが飛ぶなら、話は変わってくる。

 この試合、ジャメのウィングロールを支えた蜂須賀にはもう一つ攻撃のタスクがあった。それが、左サイドへのサイドチェンジキックだった。湘南の5-3-2は、高い位置にウィングがいないので、右SBにプレッシャーをかけるなら2トップか3センターがスライドする必要があるのだけれど、それなりに時間がかかる。また、ジャメと関口がファイナルラインで問題を起こしているので、蜂須賀にボールが入ることへの守備の優先順位は低かったようにも思える。そんな湘南要因とベガルタの狙いが相まって、蜂須賀は数本のサイドチェンジキックを左ウィングの西村、SBのタカチョーに蹴りこんでいる。

図4

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 インサイドアウト。ホルダーの蜂須賀周辺を攻めながら相手DFを寄せ、広く空いているオープンエリアへとボールを展開するやり方。ハーフレーンに立つタカチョーへのキックは2レーンスキップ。相手のスライドが間に合わないキックで、左サイドからの攻撃へと繋げていった。右サイドのジャメ、関口が『第一の槍』。左サイドの西村、タカチョーが『第二の槍』だ。また、ツーマンセルのペアリングに1人加わることで、自然とトライアングルを創っていたのも、ファイナルサードを崩すやり方のひとつのような気がする。気がするだけ。

図5

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タカチョーは、『ファントム』

 タカチョーがハーフレーンに立っていることで、①ゾーン撃ち、②サイドチェンジキック(2レーンスキップパス)が成立している。そもそも、どうしてタカチョーは、サイドバックの主戦場であるワイドレーンではなくて、ひとつ内側のハーフレーンなのか。ひとつの解釈として、『カウンター予防』だったのではと考えている。左サイドのセット攻撃が少なかったので、確認が難しかったのだけれど、ボールサイドと逆のSBは、ハーフレーンまで絞るような立ち位置を取るようにしているのだと思う。多分。蜂須賀もそのような立ち位置をしていた。いわゆる、『カウンター予防(スペア)』ポジションである。

図6

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 いわゆる『偽SB』という、カウンター予防のために、ハーフレーンに立つやり方はだいぶ市民権を得ているやり方だ。さらに、ポゼッションにも加わって、相手の守備基準をズラす効果もある。Jリーグだとマリノスが有名どころか。もちろん、タカチョーも、椎橋や松下などと同じ高さにいたのだけれど、それは蜂須賀も同様。これは、チームとして『SBはアンカー高さまで。ボールがアンカーを超えたら(ウィングについたら)前進』という原則があって、そちらの方が優先順位が高いようにも思える。カウンター予防でハーフレーンに立っているのだから、今度は『ウィングとレーンを被らない』の原則で西村はワイドレーンに。さらに『ウィングについたらウィング横(ハーフゾーン)を走る』の原則追加で、タカチョーがハーフレーンを駆け上がり、ゾーン撃ちしたのではと解釈している。

 当然、元来のSBの役割とは大きく違うという点においては、『偽のサイドバック』ではあるのだけれど、本当の役割は①カウンター予防、②関口同様、インテリオール突撃なのだと思う。①がチームとしての守りの戦術なら、②は「タカチョーの特徴とチームの攻撃戦術の融合」と言える。まだこの役割の全貌を把握はしていないのだけれど、この試合のタカチョーは、「サイドバックであり、インテリオールであり、ウィング」だった。サイドバックだと思った選手が、ファイナルラインの背後に向かって突撃してくる……ウィングのカットインに合わせて、ウィングロールをする……。

 まさに、幻影。『幻影の攻撃者』とも呼ぶべきか。今のところは、『ファントム』ロールで落ち着いている。神出鬼没。幻影とは、「まぼろし。幻覚によって生ずる影像。心の中に描き出す姿」だそうで、「目の前にいるタカチョーは、本当にサイドバックでしょうか?」という初見の僕の感想そのままの意味だった。幻のサイドバック

 タカチョー自身が、両脚のキック精度が高くテクニックもあるので、オフボールだけでなくオンボールでも違いを出せるので、非常に面白い、そしてキープレイヤーになれると考えている。

 

ボール非保持時

4-3-3と4-5-1ディフェス

 セット守備は、ミドルサードでは4-3-3のまま、『3-3』が六角形のように、インサイドレーンを防衛する。3トップは、相手3バックの正面にたちハーフレーンを封鎖。3センターは、椎橋を中心にセントラルレーンを塞ぎ、相手2トップや2センターへボールが刺されることを警戒した。当然、湘南としては、アンカー落としてで4バックビルドにして枚数優位をつくるのだけれど、ベガルタの4-3-3ディフェンスの外周に選手がいるだけで、決定的な手にはならなかった。WBにボールが入っても、蜂須賀、タカチョーが拒絶型縦迎撃で押し返した。また、ウィングのプレスバック、3センターのスライド強度も高く、ピッチ中央に巨大な六角形を創り上げた。

図7

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図8

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 自陣、ファーストサードでは、4-5-1のブロックを形成。5ハーフが5レーンを埋めあくまでぺナ幅3レーン、インサイドレーンへのボール供給を拒んだ形で対抗型を組んだ。また、状況次第では、関口や西村が前進してプレッシャーをかけて4-4-2っぽくもなっていたので、いわゆる4-3-3でのボール非保持時の振る舞いを身に着けつつあると見えた。

 

考察

ウィングサッカーへの挑戦

 ジャメと西村にタッチライン際でのプレー、ウィングロールを仕込んでいたのは素直に驚いた。もっと内側で勝負させる『偽物のウィング』かと思ったのだけれど、結構ウィングをやっていた。特にジャメは、利き足の左足を活かすようにカットインするのではなく、縦へドライブしていたのが印象的だった。先制ゴール自体は、風のおかげとも言えるのだけれど、縦への突破がなければ無かったゴールだ。ウィングが難しいのは、縦に相手を抜くことだと言われている。また、タッチラインがすぐそばであり、簡単に抜けないことからボールロストしやすいポジションとも言える。ただ逆に言えば、「どこでボールをロストするのか計算を立てやすい」とも言えるし、そう言われているような蜂須賀や椎橋のポジショニングだった。外と内。2つの選択肢を持って、3人関われば、2×2×2=8通り。相手はついてこれない。こういったのは、吉武博文だ。

 

強度をどこまで持たせるのか

 先制後の試合の進め方として、当然色々なやり方があるのだけれど、たとえば後半交代を機に試合を落ち着かせるようなゲームコントロールも必要になると思う。もっと暑くなって連戦が続く。ローテーションで対応したとしても、自分や相手の状況加味せず同じテンションで戦うのは難しいし、効率的でもない。今は、今やっているサッカー、取り組みを試合で試すという作業も必要なので、バランスという使いやすい言葉に逃げてしまうのだけれど、もっと時間とスペースを支配してもいいのかなと。ひとつの解としては、エリアごとのブロックを仕込めているので、それを進化させるのと、ボールを持った時にもどうかといったところか。

 

おわりに

 奇跡だと思っている。僕がこうして試合を観れて、記事を書けることに。当たり前だが、僕だけの努力では無理だ。すべての、試合に関係するすべてのひとの努力が結集した結果があの、あの90分間だった。連戦が始まる。あの憎いウィルスは、まだ沈静化していない。静かに繁栄の機会を伺っている。ひとつひとつが奇跡と思って、すべてのひとに敬意と、祝福と、感謝を持つべきだと思う。生きていることは、元来、奇跡的なことなのだと、そう、少し、ほんの少しだけ思い出したのだった。

 

「破壊するがいい…でも、人の勇気を壊す事なんかできない」こう言ったのは、オタコンだ。

 

参考文献

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「流れよ僕の涙」と、少女は微笑んだ。4

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副会長様は言わせたい

「さあ、その答えを読んでくれないか東照宮

 

そう聞こえた。

教室のドアの向こう側で。

 

この問題の出題者であり、一連の仕掛け人。

こんな意地の悪い問題を僕にぶつけてきた犯人。

 

「御前さん。この問題を解きながら、ひとつ僕たちが見落としたことに気づいたんです」

「な、なによ…」

「僕たちがこの解放教室に入るにあたって、僕たちしか知らないはずだと思い込んでいました。でもそれは間違いだった。きわめて事務的な手続きなので、すっかり見落としていましたよ」

「だ、だから何だっていうのよ…!さっさと言いなさいよ!」

 

「僕たち、夏休み中の学校に入るにあたって、生徒会にLINEで入校許可を提出しましたよね」

「し、したわよ。それがな…えっ…もしかして、この問題の出題者って生徒会関係者?」

「ええ。しかも、今の一声で確信しました。生徒会唯一の女子生徒。神杉高校生徒副会長、旭ケ丘 愛理主です」

 

「そういうことよ。さ、お前が導いた答えを言ってくれないか?私は、それを待っている」

 

圧力。

この人は、どうしても、僕に降伏宣言させたいらしい。

僕は、さっき気に入らないまま書いたその「答え」を読む。

 

「『僕の負けだ。』」

 

ドアが開く。それがドアを開くための呪文。

すべての黒幕がそこにはいた。

 

白銀の長髪。ウェーブがかったと言うべきか、全体的にふわふわとしている。

色白で切れ長の目。綺麗なことに疑いなどない。

 

そんな、黒幕。

 

「正解。正解だよ東照宮。私が望んだ答え、そしてお前が、導いた答えだ。素晴らしい、完璧よ」

最低最悪の問題を出した本人。

「どうだったかしら?気に入ってくれたか?私が用意した問題を。ぜひ、お前の口から、直接感想を聞かせてほしい」

たっぷりと、いや、いたぶるように、僕と僕が出した答えを味わおうというのか。

―――――サディスト。

この表現がもっとも似合う人間を、僕はこの人以外に知らない。

 

いや、彼女が「冷血の副会長」として呼び声高くなったのも、ごく自然なのかもしれない。

 

「ええ。最低最悪でしたよ」

「ああ、それは良かった。随分と気に入ってくれたみたいで。私嬉しい」

御前さんが敵意をむき出しにしている。

間違っても、御前さんが手を出すような真似はさせたくない。

副会長というカードを使われかねない。

「それで?『お前の』答えは分かった。今度は、証明も聞かせてくれないか東照宮。できるだろ?」

「こ、答えが分かったんだから、それでいいだろ!!」

「良いわけがないんだ佳景山さん。だって、私の問題は、答えと証明を求めているのだから。そうだろ?東照宮

 

そう。

そうか。

この人は、初めから僕が負ける問題を用意したのか。

そしてそれを僕自身に解かせて、証明させて、答えを出させたのか。

それは、僕が導いた答えになる。

僕がこの人に負けを宣言させることになる。

 

狡猾。

そこまでして、僕に勝ちたいというのか。

 

「どうした東照宮?さあ、証明をしてみせろ。どうしてその答えになったんだ?」

分かっているくせに。

「最初の盤面、この時点で、ボールホルダーにプレッシャーがかかっていない。僕側のチームは、すでに不利に立っている。サイドハーフがハーフスペースをケアしつつ、ウィングへのスライドで対応するけれど、カバーの原則から結果として、全体的にブロックラインが下がる。つまり……」

 

頭を垂れるかのように。

僕は、答えた。

「撤退(リトリート)するしかない。仮にボールを奪っても、前線のターゲットが低いから陣地回復が難しい。だから、初めの盤面になった時点で、僕は負けていた」 

これがこの人が用意した答え。

いや、ここでは、僕が出した答えになる。

 

「初めから、僕が不利になる盤面になっていた。そこからさらに、あなたが有利になるような攻撃の選択肢を考えさせる……僕自身に……」

すべては仕組まれていた。

「ポジショナルプレー……あなたは、僕にポジショナルプレーの問題を出してきた」

「お前が気に入ってくれると思ったんだ」

守備側の僕に攻撃側のことを考えさせて、僕自身が僕を殺すよう仕向けた。

なんて恐ろしいことを考える。

「数的優位性、質的優位性、位置的優位性……それぞれの優位性で、お前を追い詰めた。お前の優位性を削ぎ落しながら。でも、それは、他ならぬお前が導いた答えだ」

 

「つかさ……」

「最高の展開だと思わないか?お前の答えも証明も合っていたが、不敵と呼ばれている東照宮つかさが負ける。それとも、この問題を受けなければよかったと、いまさら後悔でもしているのかい?」

そんなことは許されない。

この人が許さない。

「違う、違うよな。お前も分かっているように、それも同じこと。お前が負けを認めることになる」

「で、出来レースじゃない!最初から負ける盤面にしてたなんて。問題としておかしい!」

「素晴らしい!その正々堂々さには、感心してしまうわ佳景山さん。でも、サッカーではよくあること。戦前の予想が外れて劣勢になる……試合中修正できずに失点する……よくあること。普通のことだ……負けることなんて」

そう、よくある。

「よくある試合、よくある失点、よくある敗戦、よくある話……」

そして、よくある間違いだ。

「だからね佳景山さん。あなたみたいな実直な人間からしたら、私のような人間はズルいとでも思うかもしれない。でも、ズルだろうが何だろうが、負けは負けでしかない」

「くっ……」

そう。

負けは負けだ。

でも、間違いも、

 

間違いだ。

 

「ええ、僕の負けです、旭ケ丘さん。でもそれは、あなたが用意した問題と答えの上での話です。」

 

約束のサッカースタジアム

「つかさ……?」

「この問題には、重大な見落としがある。非常にメタ的なところで。そう、もっと根本的な部分で」

 

顔色が変わった。

この人は、すぐに顔に出るのか。

 

冷たい血が、一気に、顔面を覆ったようだった。

 

「私にヌケモレがあったというの?ケアレスミスとでも?すべてが完璧のはず」

「ええ、抜け漏れも無くあなたの問題は完璧です。完璧ですが、その完璧さそのものが欠陥といっていいでしょう」

 

さらに顔色が変わる。

僕が一人なら、こんなことはとても言えないだろう。

この人の前で。

 

冷たい血が流れるなどあり得ない。

この愛称を名付けた奴は、大馬鹿者だ。

 

血すら、流れていない。

 

「………私の問題が気に入らないと言うのか?……東照宮

 

怖くて逃げたい。

けれど、御前さんがいる。

逃げるわけには、いかない。

 

「あなたの問題は完璧です。でも人間は、そこまで完璧ではない。選択ミスもする、プレーミスもする。この問題の前提は、『人間ではなくマグネットがサッカーをしている』ことです。これは、致命的な欠陥と言えるでしょう。なぜなら……」

 

きっと、朗先輩や宮城野原先輩、八乙女先輩なら、烈火のごとく怒るのだろうな。

こんな問題を出されたことに。

僕も甘い。

 

いや、優しい。

 

「サッカーをするのは人間です。ボード上のマグネットじゃない」

 

恐ろしい人だ。

旭ケ丘 愛理主という人は。

恐ろしい。

敵と言うべきでしょう。

 

「すべてのプレーが、最も合理的なプレーであることを前提としたこの問題……たしかに、盤上の検討なら問題ないですが、ではサッカーに落とし込んだ時どうでしょう。僕たちは、ホワイトボードのうえのサッカーに関心があるのでしょうか」

大事なことは、ピッチにある。

未来は、試合のなかにある。

僕が、あのひと達<サッカー観る将達>から学んだことだ。

「ここ<ホワイトボード>に完璧さを求めてはいけないと思うのです。旭ケ丘さん」

「私の問題が……間違っているとでも言うの……東照宮……」

「あなたの問題は間違っていません。でも、あなたは、間違っています」

「……」

 

――――殺されるかと思った。

この人と僕は、殺し合っているのだ。そう勘違いするほどの変化だった。

勘違いであればいいと願った。

でも生きなければ。

 

「どこまでも私を否定する……東照宮、本当、気に入らない……」

「僕の負けで結構です。ですが、この問題自体に問題があるのなら、その勝敗自体にどこまでの意味があるんでしょうか旭ケ丘さん」

 

それに。

それに、僕のチームには、とんでもないウィングがいる。

「それに僕のチームの右ウィングは、世界一速くて、ドリブルが上手くて、シュートを決めるストライカーです。もし、あなたが間違えば……」

僕は全身の力を両目に集中して、

この冷血少女を睨み、なかば恫喝するように、そして警告するように、

 

答えた。

 

「世界一速いカウンターアタックで、必ずあなたを仕留めますから。覚悟しておいてください。」

 

怒りと狂気と殺意に満ちた顔は、少しずつ副会長の顔に戻っていった。

話すころにはすっかりと戻っていた。

血の気が戻ってきた。

意味合いとしては、また違うような気もするが。

「そう。今回は、私の出題ミスがあったということか。もう少しサッカーを観ようと思う良い機会になった。ありがとう東照宮

「それは、どうも。」

 

振り返り、教室から出る。

逃げ口上。

いや、宣言。

 

「次は、必ずお前を倒す。これは警告だ東照宮

「それは僕の台詞です。旭ケ丘さん」

 

教室を去る狂気の副会長。

それとともに、緊張が教室から消える。

 

最初の決闘、因縁の始まりが終わった。

 

「ふえええ……なんだったのよあいつ…」

「生徒会の副会長です。」

「それは分かってるわよ!!!あんなのが副会長だなんて最悪すぎるわ!あーー疲れた……」

「さすがにここでは、勉強できないですね。場所を変えましょう。学校に残るのもアレですし、図書館か喫茶店にでも行きましょうか。」

「そうね。それがいいわ。でもアンタ、よくあんな奴と渡り合ったわね。怖すぎて一ミリも動けなかったわ…」

 

それは、僕も同じだ。

親友がいなければ、僕は本当に負けていた。

「……僕一人では無理でしたよ御前さん。御前さんがいたからああ言えたんです。」

「そ、そそ、それは良かったわ!まあ、お礼なんていらないから、今回も私の勝ちでいいわよね!」

「はいはい。いくらでも勝たせてあげますよ。」

「ちょっと!その安い勝利はいらないんだから!」

 

こうして、ある夏の教室での体験は、幕を閉じる。

解けない問題はない。

答えのない問題もない。

でもこれは、ある意味、新しい問題の始まりなのかもしれない。

本当の宿敵との出会い。

 

僕は、青チームの右ウィングのマグネット下に『佳景山 御前』と書きながら、そう思ったのだった。

 

人物紹介 

東照宮 つかさ (とうしょうぐう つかさ)

 神杉高校3年生。

 サッカーオタク。観る将。

 高身長。肩ぐらいまで伸びた髪を後ろで束ねるスタイルに。

 一人称は僕、一人の時と朗と話す時は私になる不敵少女。 

佳景山 御前 (かけやま みさき)

 神杉高校3年生。東照宮つかさの同級生。

 自称永遠の宿敵<エターナルライバル>。

 東照宮への対抗心、闘争心で勝負し超越したいと考える普通の宿敵少女。

旭ケ丘 愛理主 (あさひがおか ありす)

 神杉高校3年生。生徒会副会長。

 温情無しの合理主義的な思考と行動から、冷血の副会長と呼ばれる冷血少女。

 理由は分からないが、つかさに対して明確な敵意があり、対抗してくる。 

 

「流れよ僕の涙」と、少女は微笑んだ。3

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この素晴らしいサッカーに祝福を

「それではさらに進めてみましょう。フォワードが空けたスペースに、セントラルハーフが入る。これでどうでしょう」

「もう誰が誰についていった方がいいのか……」

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「そして、これが守備側にとって最悪型です」

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「うわ…DFラインを突破されちゃった……」

「こうやって、フォワード、ウィング、セントラルハーフによるダブルパンチで配置転換して、守備側が判断を間違えたら突破できる仕組みなんです」

「これどうやって守るのよ……」

「それが今回の問題というわけなんです。御前さん」

つとめて笑顔に。

でなければ釣り合わない問題。

気に食わない問題。

「そんな笑顔で言われても…実際に突破される可能性があるってことでしょ?どこを防いだら……」

「では、最初の盤面まで戻しましょうか」

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「この場面、注目は左サイドハーフの位置です」

「位置?ここじゃダメだってこと?」

「いえ、そういうわけではないのですが、もっと内側に絞り込むべきでしょう」

「内側に?外にいるウィングはどうするの?」

「まあ落ち着いて聞いてください。サッカーにおいて、中央3レーンは非常に重要なエリアです。特に、ハーフスペースの攻防は、さらに厳しくなっています。そのハーフスペースを守るんです」

「ほ、ほう……」

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「こうして、フォワードへの縦パスを防ぐ位置を取るんです」

フォワードが降りた時は?セントラルハーフとの、その、『ダブルパンチ』ってやつが発動した時は?」

「そう焦らないでください御前さん。フォワードは、サイドハーフの目の前ですし、ゴールから遠くなったのですから、ボールが入ってからの対応でもいいです。セントラルハーフにこそ、縦にボールが入らないよう警戒するんです」

「な、なるほど。そうなると攻撃側としては、無理やりロングボール入れるのもどうかと思うし…空いてるウィングを使うのかな……?」

「ご明察です!御前さんにもまともな頭があることに、激しい感動を覚えていますよ!」

「アンタさらっとディすってんじゃないわよ!!」

 

つかさの刃

「ウィングにボールが出ることは織り込み済みです。今度こそ、サイドハーフがスライドして対応します。連動して、ライン全体は、後ろに下がることになりますが」

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「なるほど!これで後ろを守れるのか!サイドバックが引っ張り出されることもなくなる!」

「ええ。だから僕は、この問題が気に食わないんです」

「え…?それってどういうこと?」

気に食わない。

答えも、証明も。

いやこれを問題と呼ぶべきなのか。

 

これは、いわば処刑台。

僕に負けを強いるための。

こんなことをよく考えつくものだ。

 

「答えは……」

戦術ボードにペンを走らせる。

想像はできていたが、本当にこんな答えになるとは。

書き終えると御前さんの顔は、青ざめていた。 

 

『僕の負け。』

 

僕がこう書いたからだ。

 

人物紹介

 東照宮 つかさ (とうしょうぐう つかさ)

 神杉高校3年生。

 サッカーオタク。観る将。

 高身長。肩ぐらいまで伸びた髪をバレッタで束ねるスタイルに。

 一人称は僕、一人の時と朗と話す時は私になる不敵少女。 

佳景山 御前 (かけやま みさき)

 神杉高校3年生。東照宮つかさの同級生。

 自称永遠の宿敵<エターナルライバル>。

 東照宮への対抗心、闘争心で勝負し超越したいと考える普通の宿敵少女。

蹴球仙術メソッド

はじめに

  どうも、僕です。今回は、僕が使っている(考えている)サッカー戦術用語の解説です。用語集みたいな意味合いが強いです。これまで、ブログのなかで、読みやすさとか文章に落とし込んだ時、「入れても意味がない」「読みづらい」「意味不明!」とかいろいろな理由から、書いて来なかった言葉も含めて載せています。また、自分の言葉で言った時にどんな言葉になるのかという視点から、今回は『言葉の置き換え』も実施しています。ですので、違和感があったり、しっくりこない用語も多いと思います。あくまで、僕がセミカスタムした、オーダーメイドした用語だと思っていただければと思います。あとは、他の方が発明した、使った言葉も良いと思えば躊躇なく使っています。その辺りが問題なければ、読み進めてください。では、レッツゴー。

 

目次

 

マクロエリア論

3ライン

フロントライン(前線)

 FW列のことを言います。文字通り前線です。列で言うなら最前列です。

ハーフライン(中盤)

 MF列のことを言います。中盤列です。

ファイナルライン(最終ライン) 

 DF列のことを言います。列で言うなら最後列です。

 

レーン

インサイドレーン・アウトサイドレーン(ペナルティ幅3レーンとワイドレーン)

 ペナルティ幅を縦3分割した3本のレーンをインサイドレーンと呼びます。一方、両サイド、タッチライン際のレーンをアウトサイドレーンと呼びます。

5レーン

 インサイドレーンのうち、中央1本をセントラルレーン、その脇2本をハーフレーンと呼びます。アウトサイドレーンをワイドレーンと呼びます。これら5本のレーンを5レーンと呼びます。同じレーンに重ならず、隣り合うレーンにいることで、良い立ち位置をキープします。

インサイドアウト(中央に寄せて外に開く・外から中央に攻めて外に開く)

 インサイドレーンを攻め、相手DFをインサイドレーンに寄せたうえで、アウトサイドレーンに展開することです。バスケ用語からの援用でインサイドアウトと呼びます。また、ボール近辺の相手DFが密集しているエリアをインサイド、開けた広いエリアをアウトサイドと呼びます。片方のサイドで相手を寄せて、逆サイドにサイドチェンジするのも、インサイドアウトになります。

レーンスキップパス

 文字通り、隣り合うレーンを飛ばしてパスを出すことです。1レーン飛ばしが大体ミドルレンジのパスで、2レーン飛ばしがサイドチェンジパスになります。3レーン飛ばしは相手ブロックのスライドが間に合うので、あまり意味がないです。

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レイヤー

4レイヤー

 最初のレイヤー(FW前)、第二レイヤー(FW-MF間)、第三レイヤー(MF-DF間)、最後のレイヤー(DF背後)の4エリアをレイヤーと呼びます。4つあるので4レイヤーです。これらは動的に規定され、もっとも重要なエリアは、DF背後の最後のレイヤーになります。

ライン間

 4-4-2など、3ラインを敷いて守備陣形を組むことが一般的ですが、その間をライン間と呼びます。レイヤーが動的であれば、ライン間はフォーメーション上での静的な意味合いが強いです。

レイヤースキップパス

 文字通り、レイヤーを飛ばすパスです。スキップすることで、攻撃がスピードアップし、相手DFの対応を後手に回すことができます。

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ゾーン

5ゾーン

 ゾーンとは、たとえば4-4-2を縦に見た時に、選手間に空いている縦5本のエリアになります。レーンが静的なら、ゾーンは動的になります。たとえば、SB-CB間を攻略することが、相手CBをゴール前から引っ張り出せるので、ボール保持側にとっては重要になります。僕は、このゾーンを『廊下』とも呼びます(本当はダメですが、「廊下を走れ!」「廊下に立て!」の方が使いやすいなと)。レイヤーと合わせて、相手選手の間になるので、ここに立つことで、どうやって守るのか選択を迫ることができます。渡邉晋からの援用。 

ローポスト

ローポスト

 ペナルティエリア短辺から、ゴールエリア短辺までのBOX内エリアをローポストと呼びます。サッカーにおいて、最重要エリアになります。ゴールが目標なら、ローポストは準目標です。ローポストからのパスは、DFにとって、①ボール、②ゴール、③相手選手を同時に同じ視界に入れることができず、守るのが非常に難しいからです。

ローポスト入口、ローポスト勝手口

 ローポスト入口はペナルティエリア長辺側、ローポスト勝手口が短辺側になります。基本的に、ローポストへの侵入口は、この2つの入口になります。たとえば、選手は勝手口から、ボールは入口から入れてローポストへ侵入するなど、選手もボールも入れる入口になります。もう一つ、ローポスト天井は直接上からボールを入れることになりますが、基本は入口と勝手口だけで問題ないです。

セグンドクロス(ファー詰め)

 ローポストからゴールラインとパラレルなパスをセグンドクロスと言います。狙うのは、反対側のローポストです。フットサルからファー詰めとも呼びます。

マイナスクロス

 ローポストから自陣方向へのパスをマイナスクロスと呼びます。相手DFラインが下がり、相手が同時にボールとゴールと選手を見れない状態になるので、大きなチャンスとなります。さらに、相手DFにとっては、セグンドクロスも警戒することになるので対応が非常に難しいです。

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ミクロエリア論

エリアのあれこれ

ボールを持っている1人と21人

 ボール保持といっても、正確には、ボールを持てるのは1人の選手だけです。相手チームはもちろんですが、自チームの残り10人もボールを持っていない状態です。ボールを持たない状態で、いかに前進、奪取を行うのかが重要になります。

ボール周辺と外縁

 ボールホルダーの周辺8mぐらいと、さらにその外側である外縁とに分けます。直接的にボールホルダーに関与するプレーヤーと、間接的に関与するプレーヤーとに分けることができます。ボールを持っていない10人と同じように、外縁プレーヤーがどこにいるのか、どう動くのかが重要になります。

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2トップ横

 4-4-2をベースに考えた際に、2トップ横のエリアは、FWもMFも守りにくいエリアです。第2レイヤー/ハーフゾーンです。誰が見るのか判断に迷うので、このエリアで、セントラルハーフがボールを持って前進していくシーンを多く見ます。魅惑のエリア。 

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ボール保持とボール非保持

 サッカーには、1つの事実があります。『ボールを持っているか、持っていないか』です。大きく分ければ、『ボールを持っているチームと持っていないチーム』があります。あくまで僕は、攻撃および守備という言葉を便宜的に使っています。ボールを持っていても「攻撃している」と呼べないシーンがありますし、ボールを持っていなくても「守備している」とは思えないほど激しくボールを奪い「攻めている」シーンもあります。ボールを持たなくても攻撃はできますし、ボールを持っていれば攻められないという有名な格言は守備の究極系とも言えます。また、『トランジション』という、いわゆる『攻守の切替』も通俗的に言われていますが、あくまで僕の解釈は、ボール保持とボール非保持に含まれる「ひとつのフェーズ」にすぎないと思っています。

ボール保持時

 チームとして、ボールを持って相手陣へ前進していくフェーズです。いわゆる、攻撃と呼ばれるフェーズです。当たり前ですが、ボールを持っている時すべての時間をボール保持時と呼びます。自陣に近いエリアなのかや相手陣に近いエリアなのかによって、ボールを前進させたり、ゴールを奪取するためのプレーをします。また、チーム戦術によって、縦に大きなパスを出すのか、ポジションを取るためにポゼッションするのかなどの違いがあります。

ファーストサード

 自ゴールから、縦に30mのエリアをファーストサードと呼びます。GKやCBが主役になってボールを繋いで、その先のエリアへとボールを運ぶ土台を作ります。ここから、フロントラインや相手陣に向かって、長いパスを蹴ることもあります。

ミドルサード

 ハーフラインを中央に、ピッチ中央45m幅をミドルサードと呼びます。ここでも、ボールを持って前進していくことになります。DFやMFはもちろん、FWも関連してボールを前進させていくエリアになります。なお、ファーストサード、ミドルサードでボールを保持して前進する機会作ることをビルドアップと呼びます。

ファイナルサード

 相手ゴールまで30mのエリアをファイナルサードと呼びます。ここでは、ボールとチームの前進ではなく、ゴール奪取が目的になります。ファイナルサードでは、ローポストへの侵入を目指しつつ、ゴールを目指していきます。

 

ボールを持ち始めてからの4秒間(ポジティブトランジション)

 いわゆる、『守備→攻撃』の切替部分になります。ボールを奪って、自分たちのボールにしてからの4秒間をポジティブトランジションと呼んでいます。なぜ、4秒間かと言うと、欧州トップリーグのリトリート、つまりはボールを奪われてから自陣への撤退速度が最速4秒間だからです。たった4秒で、自分のポジションに戻りブロックを組み守備陣形を整えます。そのため、カウンターアタックを仕掛けるためには、4秒間で敵陣に攻め込まなければいけないです。4秒以上経過し、相手が守備陣形を整えると、ボール保持のフェーズに移行します。

 

ボール非保持時

 ブロックと呼ばれる選手が自分のポジションを守り、守備陣形を組んで、相手の前進およびゴール奪取を防ぐためにプレーします。そのなかで、それぞれのエリアでプレッシャーをかけたり、リトリートして自陣を守ります。

ファーストサード

 相手選手が自陣に多く攻め込んできて、相手陣のスペースが広く空いているため、ゴール前への侵入やゴール奪取を防ぎます。また、ボールを奪い保持が開始されると、相手陣にボールを運んで自陣から相手選手を追い出すためのプレーをします。これを『陣地回復』と呼びます。

ミドルサード

 チーム戦術や展開によって変わってきますが、相手の前進を防ぐためにプレーをします。ブロックを組んでパスを入れさせなかったり、サイドに追い込んだり、積極的にプレッシャーをかけてボールを奪いに行くなど、ファイナルラインの背後でる『最後のレイヤー』へのボールやランに警戒しつつ前進を防ぐエリアです。

ファイナルサード

 自陣に広くスペースがあり、相手陣に味方選手が多くいる状態で、相手のビルドアップを妨害することが目的になります。GKやCBがボールを持っているケースが多いですから、そういった選手にプレッシャーをかけたり、MFやFWへのパスをカットするためにプレーします。これを『ビルドアップ妨害』と呼びます。

 

ボールを失ってからの6秒間(ネガティブトランジション)

 ボールを失ってから、つまりはボール非保持開始の6秒間は、ボール周辺の選手がリトリートしてブロックを組まず、失った瞬間のポジションのまま相手ホルダーにプレッシャーをかけてボールを奪おうとします。これを『ゲーゲンプレス(カウンタープレス)』と呼びます。日本語では、『即時奪回』とも呼びます。また、ボール周辺は、ゲーゲンプレスでボールを奪うプレーをしていても、外縁の選手はリトリートしてブロックを組み、守備陣形を整えようとプレーします。ゲーゲンプレスは、鬼集中でプレスをかけるので体力消費が激しく、広いエリアをカバーすることは不可能です。よって、『ボール非保持開始6秒間限定のボール周辺6mのプレス』になります。6秒以降でボールを奪えなければ、ボール周辺の選手もリトリートしてブロックを組む必要があります。6秒の根拠は、ペップ・グアルディオラバルサを率いていた際に、6秒ルールを採用していたことからです。 

 

プレー論

プレー思考

超リアクション・後の先・見るではなく観察する

 アクション・リアクション論争があります。「何がアクションか?」「リアクションは消極的な姿勢か?」などありますが、僕は『超リアクション』こそ、アクションだと考えています。相手の動きを限界まで見極めて、自分の動きや判断、アクションを決めることが本来、主導的であると考えているからです。柔道の『後の先』と通ずると考えています。また、よく『相手を見る』とありますが、正確には見るのではなく『観察する』ことだと思います。もちろん、サッカーは刹那的な瞬間が多く、よく観察できないことも多いですが、プレーに間接的に関与している間に、相手の動きや状態を見極めておくことが重要になります。そのためには、「観て考察する」ことです。

集中(プレー強度・インテンシティ)

 インテンシティに代わる言葉を考えていましたが、最終的に集中に落ち着きました。プレー強度でも良いです。スポーツにおいて、『予測と集中』が原理的に重要な要素ですが、レーンやゾーンである程度の先の未来を見通し、次の展開を「予測できる」のだと思います。集中は、『ある目的と目標が明確』であって、それを『実行するための手段』、『合っているのか合っていないのかのフィードバック』があれば、人間の集中力は持続します。「頭が走れば、身体も走れる」と思います。また、サッカーですから、物理的に体力的な限界もあるなかで、いかに思考し続けらるかが、いわゆるインテンシティ、プレー強度を持続できるかにかかっていると考えます。なお、僕はハイインテンシティ状態を、鬼集中と呼んでいます。

時間と『時間』

 時間は、プレーできる実際の時間。もうひとつの『時間』は、タイミングと言い換えられます。プレーできる時間はあっても、出せるタイミングがなければ「時間がない」と言えます。その時間(タイミング)の回数が多いと、少ない時間でも、多くのプレー選択ができると考えています。

奪われたら前へ。奪ったら後ろへ。

 ボールを奪われたら、まずは最初のDFとして、相手ホルダーにプレッシャーをかけます。相手の選択肢、時間とスペースを限定するためです。逆にボールを奪ったら、味方が攻撃陣形を整えるためにそれぞれのポジションやカウンター時なら前方に走っていきますから、後ろに下がることでパスコースを確保します。

戦術的負荷

 戦術的負荷は、特にボール非保持、守備時に使います。ボール保持側の理想の攻撃は、どちらを守るのか、誰をマークするのか、どこをカバーするのかを同時に処理することで頭に負荷をかけることです。複雑な判断をさせたり、同時並行させたり、時間的な余裕を無くすことを「戦術的負荷をかける」と言います。

ポジショナル思考

 『ポジショナルプレー概念』というものがあります。いわゆる考え方なのですが、僕は「いかに楽して相手より有利な状態になれるか、そしてゴールを奪って勝てるか」だと考えています。頭も体も負荷が低い状態でのプレーを目指すことで、本来力を発揮したい両ゴール前で100%以上の力を発揮できるのだと思います。欧州各国のサッカーを観ていると、余計な力を徹底的に排除して、余力のある状態をいかに維持するか、少ない力で大きな成果を得ようとしているのかが見て取れます(これはビジネスシーンにおいても)。日本だと、「ずるい」「常に全力でやれ」といった職人的な『こだわり』みたいなものがありますが、1投入して10得られるなら、残りの9は別のことや10の先で使いたいと考えます。これらすべての考え方、行動をポジショナル思考と呼んでいます。もちろん、フルスプリントでゴール前に行かないといけないシーンもありますが、それも力を余した状態で発揮したいと思っています。理想は、止まってゴールを奪うことです。もしくは、歩いてボールを持って、ゴールできれば最高だと思っています。

 

守備

守備思考と方法論

ユベントスの教え

 「DFは先に動くな!」です。相手の動きを最後まで見極めてから、足を出して守備をせよということです。きっかけは、イタリア人DFキエッリーニが言っていたのでユベントスの教えとしていますが、イタリアでは若年層から叩きこまれているようです。 

ゾーナル守備・鎖理論

 通俗的にゾーンディフェンスと呼ばれるものです。ゾーナルディフェンスが正しいですが、ほとんど馴染みがなく、ただゾーンとゾーナルでは意味合いが変わってくるので『ゾーナル守備』という造語にしました。ゾーナルディフェンスには、プレスをかける選手と空いたエリアを守る選手のいわゆる『チャレンジ&カバー』や『ディアゴナーレ』と呼ばれる斜めに味方をカバーするプレーがありますが、これらすべてを鎖理論と呼んでいます。鎖でつながれたように、ファイナルライン、ハーフライン、フロントラインが連動して、ボール、味方の位置、相手の位置を基準に守備をするためです。実際的な方法論はありますが、基本的な考え方は、相手の選択肢を限定していくことだと考えています。ゾーナル守備の究極系は、「触れていないのに、相手が窒息する」です。

ワイパー・カバーシャドウ・背中で守る

 いわゆる1人で2人を守る守備、プレスのことです。ホルダーに向かって、パスコースを消しながらプレッシャーをかけることで、1人で2人を守ることができます。そのまま、軸足側にプレッシャーをかけて、相手がボールをサイドに蹴ればそのままサイドへプレッシャーをかけます。その動きから、『ワイパー』と呼んでいます。また、パスコースを消すことを『背中で守る』と呼びます。

電撃プレス

 非常にプレー強度の高い、鬼集中状態でのプレスを電撃プレスと呼んでいます。開始15分で仕掛けるチームがあったり、クロップドルトムントのように、息をつく暇なくプレスをかけるやり方です。

 

ビルドアップ論

ビルドアップ方法論

ハイドアンドシーク

 GKを使った自陣からのビルドアップをハイドアンドシークと呼びます。訳すと「かくれんぼ」です。相手がビルドアップ妨害でパスコースやパスレシーバーを消してしまいます(隠してしまう)が、それを見つけ出すので、かくれんぼに例えました。ハイドアンドシークにしたのは、ハンターハンターリスペクトです。

テレポートパス

 GKから、フロントラインの選手(主にFW)へのパスをテレポートパスと呼んでいます。具体的には、最初のレイヤーにいるGKから第3レイヤーの選手へのパスになります。相手は、GKに対して、ビルドアップ妨害をかけますが、正面にあったボールが背後の遥か後方にパス1本で移動するので、テレポートパスとしました。最近だと、バルサGKテアシュテーゲンの得意技。

フルロンド

 ファーストサードで、相手のビルドアップ妨害を受けていても、ロンド(トリカゴ)のようにボールを1タッチ、2タッチで回して回避することです。フルパワーのロンドで、フルロンド。

ビルドアップ戦型

 以下の6型を理解しておけば、大体のビルドアップを理解できます。あとは派生型や亜型になると思います。

 BOX型 ・・・CB2人+CH2人

 W字型 ・・・CB2人+CH3人

 逆丁字型 ・・・CB3人(CB2人・CH1人)+CH1人

 M字型 ・・・CB3人(CB2人・CH1人)+CH2人

 変則型 ・・・SB1人+CB2人、CB3人+GK

 ミシャ式 ・・・CB3人・CH1人+CH1人

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オフボールプレー論

オフボール思考と方法論

オフボール

 文字通り、ボールを持っていない選手のことです。または、その状態でのプレーを指します。オフザボールとありますが、オフボールと呼んだ方が楽です。

カットアウト

 インサイドレーンから、アウトサイドレーンに飛び出すプレーをカットアウトと呼びます。

ボールを持たないポゼッション

 ボールを持っていない、オフボールの選手が、自分のオフボールの動きで相手DFを誘き出すことで、ホルダーへのプレッシャーを軽減します。それによって、ホルダーがボールを保持する時間を増やすことができます。また、新しいパスコースを創ることで、ポゼッションを確保できます。自分がボールを持っていなくても、「チームでボールポゼッションできる」の意味で使っています。

キャンセル

 一度選択したプレーを止めることです。プレーキャンセルとも呼びます。このプレーキャンセルがいわゆるフェイントになります。左にドリブルしようとして、状況が悪いのでキャンセルすれば、相手DFの身体を左に寄せることができ、その逆をつけば突破が可能になります。キャンセルは、オフボールのプレーヤー、ホルダー関わらず、最後まで最善のプレーを目指すこととも言えます。

背中を取る

 相手DFの背中へオフボールのランニングをしたり、パスを受けたりすることを『背中を取る』と呼んでいます。本当は、背中には「うしろ」とルビがふってあります。(『チェックシックス』と呼んでもいいかなと思いましたが、さすがにやり過ぎ感があって止めました)

クリアリング

 ホルダー付近のエリアから相手DFを遠ざけたり、パスやドライブできるエリアを創ることです。オフボールプレーヤーが相手DFを引きつけたり、サイドへ誘き出すことで、ホルダーに時間とスペースを与えます。

スペーシング

 スペーシングは、良い立ち位置を維持するための動作です。スペーシングには、スペーシング三原則があり、①味方の邪魔をしない、②味方を孤立させない、③1人で2人を守らせないがあります。ボールを前進させるのが『ドライブ』、ドライブするホルダーから離れることを『ドリフト』、味方が空けたエリアに入ることを『ドラッグ』と呼びます。ただ基本的には、スペーシング三原則が最も重要であり、あとはその動作名に過ぎないです。重要なのは、『つかず、離れず』です。

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ダブルパンチ

 逆スペーシング三原則、2人で1人を攻めるです。相手からすると、1人で2人を守らされている非常に戦術的負荷の高い状況になります。ホルダーに対して、邪魔しないよう離れる(ドリフト)選手と、孤立させないよう近寄る(ドラッグ)選手が同時に相手DF1人にアクションをかけて、選択を迫ります。戦術的負荷を高め、相手DFをショートさせる効果があります。

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バックカット・潜る、潜伏

 相手ファイナルラインの背後へと飛び出していいくプレーをバスケからバックカットと呼んでいます。僕は、さらに、それを(相手が守っている監視が厳しい場所に)潜ると呼びます。もちろん、ライン間でも同様です。また、相手が守っているエリア内に潜ったままその場に留まり潜んでいることを『潜伏』と呼びます。佐藤寿人オフサイドエリアに居たままだったのも『潜伏』です。

止まる

 味方と相手DFが動くなかで、自分はまったく動かないことです。味方につられた相手DFが勝手にスペースをつくるシーンがあります。自分も味方につられて走っていると、そのスペースを使えませんが、止まっていると空いたスペースをそのまま使うことができます。なお、止まった状態でゴールを奪うことが最も理想的な状態です。次は歩く、その次はジョグ、その次はランニング、その次はスプリントです。より負荷の低い状態でプレーすることを維持したいです。

 

パス

パスのあれこれ

刺す

 縦パスのことです。

インサイド表裏

 インサイドキックには、軸足の足先から角度をつけたキック(表)と軸足方向へのキック(裏)があります。常に2本のパスコースを用意しておくことで、相手に読まれにくくなります。蹴球計画からの引用です。

デコイ(誘き出し)パス

 パスを出すことで、レシーバーにマーカーがプレッシャーをかけてきます。ダイレクトでリターンパスをホルダーへ出し、ホルダーはマーカーが空けた場所を使うことができます。また、他の選手をマークから解放する効果もあります。相手を誘き出し、本命で使いたい場所や選手を使うために相手DFを誘き出すパスです。転じて、デコイ(囮)パス。

田楽刺し(サイド攻撃)

 サイドバックからウィング、あるいはカットアウトしたFWへのパスを中心としたサイド攻撃を田楽刺しと呼びます。サイド一点突破。将棋からの援用。

角行パス(サイドチェンジキック)

 ピッチ中央から、両サイドへのキックおよびサイドチェンジキックを将棋の角行の動きから角行パスと言います。将棋からの援用。

8mのリターンパスと15mのミドルパス

 ゾーナル守備におけるブロックは、スライド幅が12m~13m程度と言われています。8mのリターンパス、デコイパスで相手DFを寄せ、スライドが間に合わない15mのミドルパスで相手ブロックを崩していきます。インサイドアウト思考。

飛ばしパス

 味方が重なったら手前の味方を飛ばして、奥の味方にパスを出すことです。手前の味方に相手DFがプレッシャーをかけてきたら、その選手を無効化することができます。なお、この3人が重なっている状況を3on-line、飛ばしパス後、飛ばされた選手がオフボールで縦にランニングすることを3on-lineからのサイとも呼びます。飛ばしパスについてはfootballhack参照。

 

ドリブル

 ドリブルについて

ドライブ

 ボールを運ぶことです。運ぶドリブルとも呼びます。運ぶ先は、次のレイヤー、ライン間などですが、同レイヤーや同ライン間へもドライブします。ドリブルは、相手DFを抜くイメージがありますが、この表現についてはまだ結論が出ていません。抜くドライブでも良い気がしています。気がするだけ。

ポーズ

 パウサ、小休止とも言います。どちらもしっくりこないので、ポーズと呼んでいます。味方の上がりを待ったり、攻撃陣形を整えるための時間を稼ぐプレーです。

ベクトルの根っこ

 重心の方向を『ベクトル』と呼びます。ベクトルの根っこは、重心そのものになります。右方向にベクトルが向いて右足が着地した瞬間、そこがベクトルの根っこになります。この根っこに向かってドライブすると、相手は動けないです。また、右足で踏ん張って左方向にベクトルを向けた瞬間、右足(ベクトルの根っこ)にドライブすると、相手は自然の摂理に従って身体がベクトル方向(左方向)に吹き飛びます。

正対と居合

 正対は蹴球計画からの引用で、ホルダーが相手DFと正面で向き合うことです。ここから、主にドライブをしかけて抜きにかかるのですが、ユベントスの教えでもあるように、DF側から動くことができない状態です。相手の時間を止めることができます。そこから、居合斬りの居合で、ベクトルの根っこを見極めて、ドライブをしかけます。この一連のドライブ動作を正対と居合としました。究極の超リアクション、後の先だと考えています。

 

崩し思考

崩しのあれこれ

1vs2は数的優位

 通俗的に、数的優位とは、2vs1や3vs1のことを指します。ただ、「1人で2人を相手してやるよ。かかってきな!」もまた、数的優位になります。相手DFは本来、別の選手をマークするはずが、マークを捨ててでもカバーに来ているわけですから、どこかで味方がフリーな状態になっています。そのフリーになっているエリアでは、味方が1vs0なので、「1vs2は数的優位」です。

守破離

 何かを会得するためには、型を守り、型を破り、最後は型から離れることで新しいものを創造する考え方です。初めから破れる型が無ければ、ブレイクスルーは不可能です。

嵌めてから外す

 よく相手のマークを外すことが重要だと言われていますが、まず大事なことは、『嵌めること』です。相手に自分たちの型を認識させてから外さないと、外しても意味がないです。ワイドレーンのウィングがハーフレーンを攻めるといっても、まずはワイドレーンで「自分はウィングだ」と相手に認識してもらう必要があります。「ウィングなのにハーフレーンにいるだと!?」がいわゆる『型破り』です。その型破りに対応しようと守っても、そんなウィングを飛び越してゴール前にクロスを放り込んだりするのが『型離れ』です。なので、守破離が超重要になります。あとは駆け引きです。外すのか、外さないのか。あえて、「外さない」のかとかとかとか。

ポスト当て(ピヴォ当て)

 前方の選手にパスを出し(ボールを当て)、相手陣に向かってオフボールのランニングをすることです。フットサルではピヴォ当てと呼ばれるプレーです。ピヴォがサッカーでは馴染みがあまりない言葉なので、ポストプレーのポストを取って、ポスト当てとしました。

トライアングル

 ホルダーを含めた味方3人が関わる3人称の崩しです。

スクエア

 ホルダーを含めた味方4人が関わる4人称の崩しです。トライアングルが2つ合わさったと解釈することもできます。

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トラップ・ターン

トラップ技、ターン技集

コントロールオリエンタード・方向づけトラップ・未来(への)トラップ

 香川ターンもその一種でありますが、自分が前進したい方向へコントロールする、トラップして進むことです。イメージは、野球の内野手が正面のゴロを捕球して、左方向のファーストへ送球するイメージです。捕りながら投げる動作に入っている状態。コントロールオリエンタードもカッコいいのですが、いかんせん長いです。方向づけトラップもしっくりこなかったので、『未来トラップ』としました。正確には、『未来へのトラップ』です。「未来、自分が行きたい方向、場所へとトラップせよ!」と願いを込めたのと、ヴェンゲルの「パスは未来へ出せ」のオマージュです。

香川ターン

 ボールを受ける方向とは遠い方の足でトラップし、そのままファーストタッチで相手陣方向へ前進するためのターンです。パス1本で相手DFを無力化し、スピードを落とさず前進することが可能になります。名前は、もちろん、香川真司から。このターンで、ドルトムントのエースになりました。

クライフターン

 説明不要。現代型クライフターンは、ボールを懐に抱え、急激に進行方向を変えるターンになります。かなり有効。footballhack参照。

マタドールターン

 ボールを持っている足とは逆側で相手DFを腕で背負い、ボールを持っている足のアウトで逆方向にボールを蹴りだしながらターンしていくことをマタドールターンと言います。ボールを持っている側のスペースを自分で創って使うことができます。footballhack参照。

ジダントラップ

 香川ターンの応用技。ボールを受ける方向と逆側の足でボールを受けますが、そのまま軸足方向にトラップして相手の逆をつきます。ターン方向に相手重心が流れていたら、そのまま逆をとってドライブで前進できます。

 

ポジショニング、ロール論

ポジションやロールのあれこれ

ポイントガード

 バスケでいう司令塔ポジション。サッカーでいえばのポジションは色々ありますが、MFが多いです。イメージは、シャビ。これもfootballhack参照。

アンカーポジション

 センターサークル付近でファイナルラインとフロントラインとを繋ぐ場所になります。ここでMFがボールを受け、前方にパスを出したり、前進していきます。

ウィングロール

 タッチライン際の相手陣深く、アウトサイドレーン(ワイドレーン)の高い位置でプレーする役割です。昔は、ウィングはポジション名でしたが、今は、いろいろな選手が試合状況に応じて、ウィングとしてプレーします。相手ブロックを広げ、ゾーンを広げる効果があります。 

スペアとスペアポジション・カウンター予防

 ホルダー横に立つことをスペアと言います。また、ドライブで上がった選手の後ろにできたスペースに立ち、カウンター予防することスペアポジションにつくと言います。ボールを失った際に、カウンタースピードを上げさせないようにすること、ホルダーに選択肢をつくることができます。攻守表裏一体ポジション。このスペアは超重要で、「みんなが上がりまくったおかげでカウンター食らうぜ!」を防ぐ役割であり、そのためのポジションになります。 

パッセンジャー(インサイドハーフ、インテリオール)

 いわゆる4-3-3におけるインサイドハーフやインテリオールのことです。吉武博文からの引用。インサイドハーフがあるのに、アウトサイドハーフが無い違和感から、インサイドハーフと呼びたくないのがすべてのきっかけです。インテリオールと呼んでいますが、あまり定着した言葉でもなく惰性で使っています。なんなら、「全く違う言葉にしてしまえ!」ということで、吉武式を採用。ただ、ブログではインテリオールを使用。今後も変わるかもしれないです。 

クイーン(3バック両脇DF)

 縦横広く動き、また、パスも縦横に出すことからチェスのクイーンと呼んでいます。ドイツ語のHVは略称でしか使わないです。

ベールクト型

 3-2-5における、フロントライン5枚の並びを戦闘機の形から名付けました。

トムキャット可変

 戦闘機トムキャットは、可変翼を採用しており、翼が伸び縮みします。転じて、ウィングがハーフレーンにレーンチェンジしたり、ワイドレーンに張ったりすることをトムキャット可変と呼んでいます。

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サッカー理論

風間理論(止める蹴る、フリーの定義)

 風間八宏さんの教えです。きちんとボールを止める、蹴る。次のプレーのための止める、蹴るです。サッカーをプレーするために必要な、非常に基本的な技術および考え方なのだと思います。また、フリーの定義は、「マークされているからフリーじゃない」ではなく、「次にプレーが移行できる状態ならフリー」となっており、これも次へのプレーが主眼に置かれています。

吉武理論(守っていないところを攻める)

 吉武博文さんの教えです。相手の守っていないところを攻めるのがサッカーにおいて究極的な原理原則になります。言うは易しですが、守っていないところを創る、そこを的確に攻めることが重要になりますし、逆に言うと相手に守っていないところを攻められるリスクがあります。それらの方法論は、それぞれの指導者であったりチームのカラーがでるのだと思います。

 

ものの捉え方

サッカーをプレーする

 サッカーをプレーするとは、主体的にサッカーというゲームを『遊ぶこと』、『楽しむこと』、『駆け引きすること』、『勝負すること』、『勝ちにこだわること』だと思います。大好きなサッカーを思いっきりプレーしてほしいと願っています。 

水みたいに攻める

 ブルース・リーの教えです。水のように、型のない型で攻めることです。ヤカンに入れたらヤカンの形に、コップに入れたらコップの形になるのが水です。常に、相手の余計な力を使って攻めることが重要になります。

ボールを持った攻撃vsボールを持たない攻撃

 攻撃か守備かは、便宜的に分かれているだけであって、事実として、ボールを持っているチームと持っていないチームとがピッチに存在するだけです。ボールを持って相手陣に前進してゴールを奪うのはボールを持った攻撃ですし、それを防ぎ、相手に思うよにプレーさせないことはボールを持たない攻撃になると考えています。

困った時こそ、イノベーション

 イノベーションには様々な定義がありますが、「発想転換、マインドシフト、点を線で結ぶこと」だと解釈しています。うまくいかなくて困った時、今までのやり方や慣れたやり方でやってしまいがちですが、結果もまた、今までと変わらない結果が生まれる可能性が高いです。そういう時こそ、イノベーション思考が必要だと考えています。

攻撃がダメな時は守備を、守備がダメな時は攻撃を見直せ

 よく失点を重ねたら守備がダメだと言い、無得点だと決定力不足だと言いますが、むしろ逆だと考えます。うまく攻撃できていない、奪われる場所が悪いから失点に繋がりますし、ボールを奪う位置が低く相手ゴールが遠ければ攻撃もうまくいきません。『攻撃の終わりは守備の出発点』、『守備の終わりは攻撃の出発点』です。

攻守表裏一体

 サッカーは、野球のようにイニングに分けられていませんし、バレーのようにコートも分かれていません。一般的には、ボールを持てば攻撃が始まりますし、ボールを失えば攻撃されます。そのどちらにも対処できることが、サッカーにおいては最初の一歩なのだと思います。

1点多く取ったチームが勝つのがサッカー

 サッカーは、バスケのように3ポイントシュートも無いですし、野球のように4点ホームランもありません。1ゴールが1点です。そして、野球やバスケと違い、3、4点取るのが大体限界です(例外も増えてきましたが)。ですが、相手より1点多く点数を取っていれば勝てます。1-0も4-3も勝利です。0-1ならどうして2点取れなかったのか、2-3ならどうして4点取れなかったのかを考えるべきだと思います。もちろん、相手を「1点に抑えたまま」「2点に抑えたまま」という付帯条件があることをお見逃しなく。攻守表裏一体。

勝利は人を美しく、敗北は人を強くする

 勝つと世界が変わります。多くの人から称えられます。ずっと勝ち続けようと考えるようになります。一方で、敗北は次こそ勝利しようという欲と努力が生まれます。その両方が人をより魅力的にするのだと思います。魅力がないより、魅力があった方が、素敵な人生でしょう?

偶然の勝利と必然の敗北

 勝利、いわゆる成功体験はいろいろな要因が加わります。相手や環境要因なんて十分にありえるし、むしろ多いぐらいです。一方、敗北、いわゆる失敗体験はその原因が明確です。マークにつけなかったから、プレスをかけなかったから、決定機を外したからなど。どうしてうまくいかなかったのか、失敗したのか、負けたのかを追及して改善していくことで、「こうなるとうまくいかなくなる」というのを覚えて来るようになります。『体験』を振り返ることで『経験』になり、『経験』を重ねることで『経験値』になります。偶然の勝利を重ねるより、必然の敗北を重ねる方がより早く、確実に経験値を上げることができると考えます。

格の違い

 残念ですが、競争する相手がいる以上、レベルや戦うステージが違う相手がいます。いわゆる格が違う相手です。優勝を経験したチームやトーナメント、トップディビジョンを戦うチームなど、それを体験していないチームにとっては未知の存在であり、別なランクで戦う相手になります。こういう格の違う相手と戦うことで、格の違いを見せつけられて強くなっていきますし、逆にきちんと格の違いを見せることも実力のひとつと考えます。次の格への挑戦には、もちろん、野心が必要です。

勝つのではない。勝ち続けるんだ

 1つ、2つ勝つことは、そこまで難しいことではないです。あるいは、100回やって1回か2回勝つなど。そこから、3つ、4つ、10つと勝てるか、勝ち続けられるかは、非常に難しく大事になります。まぐれとか偶然とかではなく、積み上げたもの、継続してきたものは間違いなく実力になりますし、実績となります。実績は信頼へと繋がっていきます。また、人生において、勝ち続けることの方が一大事です。勝ち続けた、何かを続けただけでもひとつの個性であり、強みであり、才能だと考えています。

 

おわりに

 疲れました(笑)。わりと無理くり捻りだした用語もあります。また、とっさに使わなかったりする言葉もあります。逆に、何度も使ったり、同じ話を何度も繰り返す言葉もあります。そうやって、言葉が自分の血肉となっていくのだと思います。今こうして初めて書きだしたことで、言語化以前に文字化するのもまた、それなりにパワーがいる作業だと分かりました。そしてまたサッカーを観て、感じて、書いてを繰り返していくなかで、自分が扱う言葉も変わっていくのだと思います。昔はしっくりきていて使っていた言葉も、今では使っていなかったりもありますし、使うことに迷いがある言葉もあります。今回は、わりとそういうのもなくして、今時点の結論で文字化しました。これからも、自分が「いいな」と思える表現になるまで、何度も繰り返していきたいと思っています。

 

 それでは、また。

 

参考文献

silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com

 

footballhack.jp

nbanotdankudake.com

c60.blog.shinobi.jp

 

 

sendaisiro.hatenablog.com

 

sendaisiro.hatenablog.com

 

sendaisiro.hatenablog.com

 

sendaisiro.hatenablog.com

 

www.footballista.jp

 

www.footballista.jp

honto.jp

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www.eijipress.co.jp

www.footballista.jp

 

sendaisiro.hatenablog.com

 

「流れよ僕の涙」と、少女は微笑んだ。2

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コードサッカー 反逆の不敵少女

「どうしてつかさ宛てにこんな……」

どうして。

そう、どうしてでしょう。

「分かりませんが、いずれにせよこれは僕に対する出題であり、挑戦です」

「な、なに…こんな気持ち悪いもの、さっさと先生に見せた方がいいんじゃない?嫌がらせともとれるよ……」

 

普段の生活でも、僕に対する対抗心を感じないことはない。ある程度は、感じる。

現に、御前さんだって、勝負をしかけてきた。

春休みに僕が負けた、あの勝負を。

まあ、実際に勝負をしかけて来るのは御前さんだけですが。

大体は、嫉妬とか陰口みたいなものばかり。

 

でも、これは違う。

直線的な御前さんと対比する形でこれは、非常に鬱屈して、捻くれていて、嘲笑してきている。

 

まさに、

「明確な敵意を感じます」

「すまし顔でその台詞を言われるとどこかの団体から怒られそうな気がするんだけれど……」

「おや?聞こえてしまったようですね」

「だだ漏れだわ!」

「まあ、冗談はさておいて、これは僕に与えられた問題。出題。解くよりほかないです」

実際、これを無視しても、どうせまた別の形で出題される。

直感ですが。

何より用意が良い。そして、叙述的だ。

 

「や、やるのか…悪口書かれた手紙に食ってかかるようなものじゃないの……?」

「ええ。まあそんなところです」

でも、手紙と決定的に違うのは、

 

こいつも、サッカー観る将だ。

 

鋼の観戦術師

「それで、問題ってどんな問題なのよ?」

「では、書いていることを全部読みますね。『東照宮 つかさ へ。問題:どうやって守る?君の答えと証明を知りたい。』です」

「『どうやって守る』って…そんな簡単に導きだせるものなの?サッカーって、色んなやり方があるんじゃないの?」

「ええそうですね。ですが、今回の問題は、僕の『答えと証明』を求められています。つまりは、僕がどんな答えを出して、それがどのような過程で導かれたのかを示す必要があるんです」

「それって…普通に解くより難しいんじゃ……」

「そうですね。出題者は、僕の答えに納得するのか、証明に満足してくれるのか、ですから」

かなり難しい「勝負」になりそうですが。

 

見えない、得体のしれない相手と戦術ボードを通じた「ディベート」を僕はしないといけない。

 

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「で、これが問題になるわけね」

「そうなりますね。おそらくは、この状況から想定されることを洗い出して、最終的にはどう守るのかを僕の答えとして出すってことです」

「どう守るのよ……?」

「まあ結論を急がないでください。御前さん。この状況、守る側はかなり不利な状態なんですから」

「そうなの?ボール持ってる選手にプレスにいけばいいんじゃないの?」

春休みを思い出してほしい。

予測と集中。

そして、彼女はそこに、準備を足した。

「そうはいきませんよ。見てください。ボールを持っている選手には、2本のパスコースがあります。ひとつは、フォワード。もうひとつは、ウィングの選手に。物理的に、この2本を同時に守ることは難しいです」

「あ……」

「それに、青の左サイドハーフがボールホルダーにプレッシャーをかけにいけば、背後を取られる可能性があります。なぜなら、ボールホルダーには、時間とスペースがある。つまり、プレーに選択肢があるということです。ボールにプレスをかけた瞬間、空けたスペースを使われてしまう」

「たしかに。でも、ボールが渡った先を潰せば、いいんじゃない?まあ、この状況が仕方ない、不利な状況なのは分かったから、次のプレーで挽回すればいいんじゃないのかな」

察しがいい。

そしてこの問題も、それを求めている。

これは、どう守るかだけではなく、攻撃がどう攻撃してくるのかも予測して、仮説を立てる必要がある。

 

ダブルクエスチョン。

ますます質の悪さを感じる。

 

東照宮つかさの憂鬱

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「たとえばウィングに出たら、左サイドハーフが横にスライドして守れます」

フォワードは?」

「この場合は、右フォワードですね。サイドバックが担当します。センターバックは、基本的に、センターフォワード担当ですから」

「ボールホルダーを何とかしようとせず、次のプレーならなんとかなりそうね」

「ここから、攻撃側を動かしてみましょう」

「そ、そんなことしていいの?」

ボードのマグネットを動かす。

「良いに決まってるじゃないですか。サッカー選手だって、僕たちみたいに動くんですよ御前さん」

誰にだって知らないことはある。

教えてあげればいい。

「知ってるわよさすがに!!そうじゃなくて、こんな問題に付き合う必要あるのってことよ。最初の盤面の答えが出ればそれでいいんじゃないの?」

 

たしかに。

でもこれは、僕と、出題者との勝負。

勝負には勝ちたい。

「そうですね。ですが、これだけだと、相手からの反証、いわゆる反撃にあいます。反撃をある程度まで想定して答えなければ、証明になりませんから」

 

つとめて穏やかに、微笑んだつもりだ。

心中は、全く穏やかではない。

 

不穏当な問題すぎる。

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「こうです」

「これは……」

「『ダブルパンチ』。フォワードとウィングが離れていった時、どこまでついていってフリーにさせないのか。つまりは、時間とスペースを限定するためにマークとしてつくのかを選択させる攻撃です」

「これ…もしかして、サイドバックフォワードについていったら、ウィングにその背後を取られてしまうってこと?」

「お察しの通りです。だから、サイドバックは不用意にどこまでもついていく訳にはいかない。でも、『降りる』フォワードが時間とスペースを得ることになる」

もちろん、サイドハーフがウィングについていけば、ボールホルダーが前進するスペースを創るのと、フォワードをフリーにしてしまう。

 

サイドハーフの横スライド無効化とウィングマークへの対応策の同時攻撃。

ますますの性悪さを感じます。

相手を<この場合は僕ですが>貶めるためのやり方。

初めから、攻撃側が有利な局面に持ち込んで、さらに有利に立とうとする。

 

答えのようなものは、見えてきましたが、この問題がこれを言わせるための証明だとしたら…

やはりこの出題者、かなり捻じ曲がっていて、それでいてとても、

 

負けず嫌いだ。

 

人物紹介

 東照宮 つかさ (とうしょうぐう つかさ)

 神杉高校3年生。

 サッカーオタク。観る将。

 高身長。肩ぐらいまで伸びた髪をバレッタで束ねるスタイルに。

 一人称は僕、一人の時と朗と話す時は私になる不敵少女。 

佳景山 御前 (かけやま みさき)

 神杉高校3年生。東照宮つかさの同級生。

 自称永遠の宿敵<エターナルライバル>。

 東照宮への対抗心、闘争心で勝負し超越したいと考える普通の宿敵少女。

ナベショナルプレーのすべて

はじめに

  どうも、僕です。今回は、戦術理論について。ベガルタ仙台渡邉晋元監督の戦術について、読み解いていこうと思います。いくつかの媒体で、彼が表現したいこと、実践してきたことを語っていましたので、彼の言葉を軸に考察していこうと思います。考察するためのスケール(基準)は、もちろん、『ポジショナルプレー』です。では、レッツゴー。

交差する渡邉晋とポジショナルプレー

 ポジショナルプレーは、優位性を効率的に保ち、相手の優位性を削ぎ落すためにチーム全体でポジションを取り続ける考え方です。いわゆる概念です。なので、実践するためには、より具体的にする必要があります。

 高めるべき優位性には3つあり、①位置的優位性、②質的優位性、③数的優位性です。①②は、チェスからの援用になります(Positional advantage、Material advantage)。そこに、サッカー要素の強い数的優位性が加わっています。いわゆる2vs1というやつです。これらの優位性を高めるためのポジショニングを取り続けるのが、ポジショナルプレー概念の具体的実践の第一歩だと考えています。

 「~性」とは性質のことですから、これだけでは、実のところ具体的なピッチへの落とし込みは難しいです。「優位性を高めるポジショニングって何?」という疑問が、まずは浮かんでくると思います。そこで、『レーン』が出てきます。

 レーンとは、一般的に、縦に4本線を引きピッチを5分割にした『5レーン理論』があります。隣り合うレーンに同じ列で並んではいけない、必ず一つ高いor低い列いるなどのルールがあります。チームや監督によっては、「ピッチ3分割」だったり、「6レーン」だったり、隣り合ってもOKなどもありますが、5レーンが一般的に浸透していると思います。このレーンに沿ってポジショニングすることで、自然と位置的優位性を保ち、質的優位性、数的優位性も確保していくことになります。

 当然、相手もプレッシャーをかけたり、ブロックを組むことで、優位性を削ぎ落してきます。そのたびに、ポジションを修正して、優位性を確保し『続けて』……をピッチ上で繰り返していくのだと思います。いわゆる5レーンは、選手が実際的に動けるように助け、ポジショナルプレー概念を実践するために必要な道具と言えると思います。

 

ナベショナルプレー

 さて、ここでベガルタ仙台での、渡邉晋のチーム戦術を振り返っていきます。ここでは、本人がポジショナルプレーだと自称していませんが、上記のように、ポジショナルプレー概念、ポジショナルプレー的な考え方で演繹的に見た時に、「渡邉晋ベガルタはポジショナルプレーを実践している」ことを前提に書いていきます。これは、すべてに通ずる考え方ですが、いわゆる「〇〇戦略」と実践している本人が言っているわけではなく、あくまで、体系化・理論化する側が名付けているという考え方です(特に経営戦略論においては、その考え方がベースになります)。

 2017年、渡邉晋は3-4-3(3-4-2-1)を導入。その後、3-5-2(3-1-4-2)も併用していましたが、3バック・3フォワードを基本としていきました。今回、このフォーメーションを軸に、監督在任中、退任後に彼から出てきた言葉から、チーム戦術やゲームでの狙いを紐解いていこうと思います。

 

良い立ち位置

 まさに代名詞。「良い立ち位置を取ることがすべて」だと、彼が言い切っているぐらい重要な言葉です。たとえば、『楔パスを受けるための立ち位置』、『パスを出すための立ち位置』、『楔パスを受けた選手の落としを受けるための立ち位置』、『楔パスにかかわる選手を助けるための立ち位置』など、チーム全体が有利、優位になるような良い立ち位置を取っていきます。これはまさに、ポジショナルプレー概念における、位置的優位性を高めることになると考えます。

 

3つのレーン

 3-4-3ですと、1トップ・2シャドーがオリジナルのポジションになります。3人が被ったり、連動して動けないと、前線に張りついたままアクションが無くなるように、一気に攻撃が機能不全を起こします。先ほど書いたように、1トップが楔パスを受けたなら、2シャドーはその後のプレーが続くような立ち位置を取る必要があります。

 そこで、渡邉晋は、4本線を引いて3レーンに分けたそうです。「被るな!」と叫ぶより、「このレーンから出ないように」と具体的に明示した方が、選手の理解度と実践度が段違いに異なってくると感じ、実行したようです。当然、この3レーンに、サイドのスペースも合わせれば、自然と『5レーン』になるわけです。3-4-3なので、サイドのレーンはWBが担当になりますが、1トップ・2シャドーとあわせて前線5人で5レーンアタックを仕掛けることになります。ポジショナルプレー概念における5レーン理論であることに間違いはないのですが、面白いのは、「レーンを『中央3本』で区切った」という考え方です。つまりは、渡邉晋の戦術にとって、5レーンと呼ぶより、『ペナルティ幅を3レーンで区切る』と解釈した方がより正しいと読み解けます。おそらく、フォーメーションが4-4-2になったとしても、この考え方が活きているのだと思います。「WBがいるから5レーン」。ペナルティ幅中央3レーンをより重要視していたと考えられます。

 

5ゾーン

 そもそもの話として、『レーン』呼びをする以前、相手DF間を『ゾーン』と呼んでいたそうです。4バックなら3本、サイドも含めれば5本のゾーンがあることになります。渡邉晋は、このDFとDFの間のスペースを有効活用するように指導していたそうです。5レーンは、非常に「静的」、つまりピッチに線引かれたものだとすれば、ゾーンが相手DFの立ち位置によって変化する「動的」なものだと解釈できます。

 2018年後期型においては、「静的」なレーンで見ると選手同士が被っているようにも見えるシーンがありましたが、相手ブロックが圧縮されるなかで非常に狭いゾーンを攻めていた可能性があります。本来は、その狭いゾーンで前を向ける選手がいれば良かったのかもしれませんが、ボールロストのリスクをネガティブに捉えた結果、サイドで空いているWBに早いタイミングでボールが渡っていたのだと推測できます。

 

WBの横

 1トップ・2シャドーが中央3レーンおよび3ゾーンで輝くためには、相手ブロックを横に広げ、ゾーンを広くとる必要があります。その幅取り役として任命されたのが、3-4-3だとWB(ウィングバック)でした。渡邉晋は、WBにボールがつくなら、『WBの横』に立ち位置を取るように指導していたようで、いわゆるその『WBの横』がポジショナルプレー概念における5レーン理論の『ハーフスペース』と呼ばれる場所になるそうです。

 ハーフスペースは、5レーンにおけるセントラルレーンとワイドレーンの中間に位置する場所で、ポジショナルプレー概念における5レーン理論のもっとも重要なレーンだと言われています。ボールを持てば、セントラルレーン、ワイドレーンへ自然と斜めパスが可能になりますし、ボールを持っていなくても、その2本のレーンへ斜めのランニングを繰り出すことができます。高い位置でワイドレーンのWBがボールを持てば、その横のレーンは、必然的に『ハーフスペース』になります。「そこには位置取りしてね」は、幅取りとハーフスペースの活用がセットだっと伺えます。

 

『1人で相手2人を困らせる』

 数的優位というのは、一般的に、2vs1、3vs1など、相手より数が勝っている際によく使われる言葉です。ただ、1人で2人を相手にしていれば、どこかで味方の誰かが1人余っていることになります。そうなると、チームとしては、数的優位な状態と言えるでしょう。また、1トップ・2シャドーが、3レーンあるいは3ゾーンに位置取りすることで、相手のDFを『1人で2人相手する』状態になります。相手にとっては、どちらの選手がプレッシャーをかけるのか、またはサイドを誰が見るのかなど、「困らせる」ことができます。これも、いわゆる位置的優位性になると考えられます。一方で、レーンやゾーンが被ってしまうと、逆に相手DF1人で2人を見れる(=守備できる)状態になってしまい、チーム全体が非効率的な攻め方になってしまいます。

 この考え方は、数的優位性の考えと同時に、質的優位性にも言及する必要があります。簡単な話、1人では止められない選手を対面した場合、誰か1人が抜かれた場合のカバーに入ります。2人で1人を止めるというやつです。たとえば、シャドーにそのような選手が入れば、相手DFも簡単にはディフェンスできないでしょう。ゴールを重ねたアンタッチャブルな存在となった西村は、おそらく、この戦術のなかで生まれ、活きた選手だったのだと思います。ただし、ビッグクラブのように、資金が潤沢にないベガルタ仙台にとって、質の高い選手をチーム編成に維持するのは並大抵のことではありません。2年や3年で入れ替わりがあり、そのたびに選手の特徴も変わります。方向性は同じでも、ミクロ的な部分での差異はどうしても発生してしまいます。これが『西村がいなくなってもゴールできるやり方をすれば西村が生まれる問題』に決着がつかなかった背景かもしれません。結局は、『西村拓真』、『ハーフスペース』、『1人で2人を困らせる』が噛み合った総合芸術だったのかもしれません。

 

3-4-2-1と3-1-4-2

 最後にフォーメーションについて。語っても、あまり意味はないですが、3バックをベースに3トップか2トップ、アンカーか2セントラルハーフかが大きな違いでした。ただし、3-4-2-1時でも、2シャドーの1人はFWタイプ、もう一人はMFタイプを入れたケースが多く、ベースの考え方は2トップだったのではないかと思います。また、2セントラルも、片側はもともとアタッカーを務めるようなタイプ(三田、奥埜、野津田)を起用していたことから、セントラルハーフの1人は前線に飛び出していくような役割だったのかと推測します。WBは前述の通り、幅を取る役としてレーンを駆け上がれるようなタイプが起用されました。左WBについては中野や関口のようにカットインできるタイプも起用していたので、非常に攻撃的なやり方だったと思います。

 

考察

 渡邉晋式ポジショナルプレーにおいて、もっとも重要だと思ったのは、相手ライン間・選手間でボールを受けることだと思いました。それを実行するためには、「ライン間に立て!」では選手も混乱してしまうので、ゾーン呼びをしたり、レーンを導入することでより明示的にしたのだと思います。そのための合言葉として『良い立ち位置』があるのだなと。決して、立ち位置をするためにサッカーをするのではなくて、「相手のライン・選手間でプレーすることで、時間とスペースを確保し、相手の守備を困らせたい」のが根底にあるのかなと解釈しました。あとは、創出した時間とスペースを有効活用できる選手がいることで、非常に効果的な攻撃ができるのだなと考えます。 

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おわりに

 『ナベショナルプレー』

 もちろん僕がつくった造語です。渡邉晋のポジショナルプレーだから『ナベショナルプレー』。安直ですよね、分かっています。いつかどこかで彼が目指したサッカーをまとめたいと思っていましたが、監督在任中、退任後に彼からチームを振り返るような媒体に出会い、このような形でまとめました。数年が経って、「ああ、あの時こういうことを目指していたのか……」なんて後悔したチームが他にいくつかありまして、せっかくなので渡邉元監督のベガルタ仙台についてもまとめたい想いがありました。「渡邉晋ベガルタはポジショナルプレーを実践している」ことを前提に書いて来ましたが、今度は帰納法的に彼の言葉を読み込んでいくと、これはポジショナルプレーの考え方だと理解できると思います。そういった背景もあって、このような造語をつくった次第です。

 渡邉元監督の強みのひとつは、やりたいこと、表現したいこと、目指したいことなどを概念化して、それらを実現するために言語化したことにあります。言語化が大事ではなくて、概念化してまとめなければ、「言葉が滑っていく」だけですので。改めて、そのような渡邉元監督に習って、『ナベショナルプレー』と名付けさせていただいたと自負しております。ベガルタ仙台なのか、他のクラブなのか、日本代表!なのか、どこかで彼がチームを率いる時に、さらなる進化を遂げていると思いますので、それを楽しみに待ってようと思います。

 

 それでは、また。

 

 参考文献

www.footballista.jp

 

www.kanzen.jp