せんだいしろーによるサッカー分析ブログ

戦術を通してサッカーを考える。我らがベガルタ仙台中心。知恵の墓場。

【明日はきっといい日になる】Jリーグ 第7節 大分トリニータvsベガルタ仙台 (0-2)

はじめに

 さて、行きますか。アウェイ大分戦のゲーム分析。今シーズンリーグ戦初勝利を得たベガルタを迎え撃つは強敵揃い。まずは、大分だ。やりたいことを続けることは、それなりにしんどいのだけれど、やらなければやられる。やるか、やらないかだ。ということで、今回もゲーゲンプレスで振り返りをやります。では、レッツゴー。

 

目次

 

オリジナルフォーメーション

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 さて、ベガルタ。前節メンバーと変わらず。勝利メンバーを送り込む。前回と違うのは、相手が5バックになるということ。ひと手間、二手間かけないことには崩せないぞ。それとも、トランジション時に守備の約束の束が解けている間に攻め切ってしまうのか。はたまた前からビルドアップ妨害で嵌め殺すのか、塩漬けるのか。大分も策を巡らすチームなだけに楽しみだ。

 一方の大分。様々な苦難を乗り越え、堂々とJ1リーグを戦っている。監督は、軍師片野坂監督。強敵たちを必殺の擬似カウンターで仕留めてきた。ワンタッチゴーラーの藤本も好調だ。ここまでは3-4-2-1、3-1-4-2を使用。この試合、ベガルタの戦型予想がしやすいなかだが、どのような策を立てるのか。果たして結果は。

 

概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

 

ボール保持時

ビルドアップ:ポゼッション(時々ダイレクト)  ポジショナルアタック:ポゼッション

  ベガルタのビルドアップは、前節同様、3CB+アンカーによる逆丁字ビルドアップ。この試合は、大分がこの4人に同数プレスをかけてビルドアップ妨害を図るのか、それいともCBは放置してアンカーを誰かが見るのかが注目ポイントだ。なので、上記で3-4-2-1と3-1-4-2と書いたのだけれど、あくまでここまで採用したフォーメーションであって、4-2-3-1で「1-3」にあわせたり、4-3-1-2でアンカーとボールサイドのCB、中央CBに息継ぎさせないのかも想定された。片野坂監督は、本当にフォーメーションを電話番号のように使う。4バックも3バックも。いかに数的優位を創るか。そこに注力する。

 正解は3CB放置。藤本にアンカー富田を見させた。最初のレイヤーの優位性、つまりはボールと時間とスペースは与える。その代わり、自陣で好きにはさせないといった狙いだ。狙い通り、5-4-1ブロックを組む大分。シャドーと呼ばれる4のサイドの選手は、ハーフレーンに立ち封鎖。5バックは無暗に迎撃せず、後方でブロックを創ったままだ。

 こうなるとベガルタのポジショナルアタックに影響する。わりとクリーンにボールを持てるCB。でもその先が難しいかった。大分の狙いはこれだ。前節のように、2トップがカットアウトランでレーンチェンジしてサイドに流れると対応が後手になる。しかも、2人のインテリオール(吉尾、兵藤)についていくのも得策でないし、レーンの隙間で受けられると厄介だ。ならばと後方でブロックを創ろう。供給先が無ければ、供給元にボールがあっても死んだも同然だ。と軍師片野坂監督は考えたのだろう。

図1

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 では我らがベガルタ。どうもこうも、やることはひとつ。後ろの優位性を前に繋ぐこと。ビルドアップのタスキをFWに託すことだ。WBの蜂須賀、タカチョー、インテリオールの吉尾、兵藤がボールホルダーであるクイーン(CB)に近いポジションを取り出す。段々と我慢できなくなる大分。瞬間的に、刹那的に、大分WBとCBが引っ張り出されて中央CBとのギャップ、ラインの段差ができる。ジャメがそこを突いた。

 そして続けた。僕たちの声がまるで届いているかのように、逃げずに、勇気をもって続けた。結果は、終盤のインテンシティ(プレー強度、集中力、そのほか正の要素諸々)の低下につながったと言える。難しい。サッカーは難しい。ゲームコントロールが一番の近道のような気がする。気がするだけ。でもそれはどの国も、どこのチームも、どの時代も難しいテーマだ。サッカーは生き物だ。簡単ではない。

図2 

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 そして、大分の対応手。対抗型として3-4-2-1を採用したが、前半終了前ぐらいから3-1-4-2に変更。5-3-2系のフォーメーションでベガルタの攻撃をロックし始める。狙いはもちろん、自陣に飛んでくる優位性の矢の出どころと出した先を封じること。加えて、その矢のために門を開く2人のインテリオールに対して手を施しておくこと。恐ろしい。やはり、軍師だ。

図3

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 交代とフォーメーション変更で、中盤・終盤で差を広げ、ベガルタを窒息させた大分。ベガルタとしては、序盤の急戦でさっさと勝負を決めたかった。というより、今のベガルタにはそれぐらいしかない。交代投入された選手が何か違いを見せたかというと、なんとも言えないというのが今日の結論だ。特に大分とのコントラストがはっきりしてしまった。それが悪いというわけではないのだけれど、後述するビルドアップ妨害で仕留めきれなかった部分など、やらなければやられるのだ。

 

ネガティブトランジション

プレッシング:ゲーゲン+リトリート

 僕からは書くことは無いです。申し訳ない。特筆すべきところは少しなかったような気がする。多分。いつものようにゲーゲンプレスをボール付近で行い、リトリートしていくいつもの形。ロングキックを蹴られても、常田が藤本番を勤め上げた。 

 

ボール非保持時

プレッシング:攻撃的プレス  セットディフェンス:ゾーンの中のマンツーマン

 ベガルタのビルドアップ妨害を見ていく。この試合のひとつの狙いだった。それは、あくまでGKまで深追いはせずボールを持たせること、3人のビルドアップ隊の目の前で牽制することで、 選択させつつ選択肢を削るやり方だ。アプローチは若干異なるのだけれど、大分が仕掛けてきた策に共通する部分だ。時間とスペースはやる。ただ、この先は通行料がいるぜ。と言った具合だ。あとは、前に行くのであれば、擬似カウンターの急先鋒、FW藤本を封じる必要がある。その役割は常田が担い全うした。完璧だった。それだけに、失点シーンは実に勿体なかった。若さゆえの過ち。それがひとを強くする。これから通常の3倍になればいい。

図4

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 大分はビルドアップパターンがいくつかあるが、図4が大体の形。すべてではない。基本は2トップとインテリオールが3トッププレスをかける。CB岩田がレーンチェンジでSBロールをするおかげで、ハモンがめちゃくちゃ気にして、5-4-1のように見えることもあった。現象。

 そこには兵藤が加わって同数プレスを継続。GK高木が加わってきたら、前に立って様子を見るが、パス交換をしている間にジワジワ距離を詰める。GK高木の弱点は足元のうまさだ。え?強みでは?当然強みなのだけれど、なまじボールを触れると味方とボール交換してしまう。結果、2vs2の状況を創る。21分の伏線、43分にはゴール前で2本のシュートを浴びせ先制するところまで行った。

図5

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 ベガルタとしては、ここで仕留めたかった。前節も先制した余裕を使ってゲームを進めていた。ここでやらなければ、いつやるんだ。ハモンもアリバイシュートは良いのだけれど、せっかく運んだ優位性をバッティングセンターのように消費されては何だかなあといった感じだ。2本のシュートで世界一になったFWがいる。リオネル・メッシだ。

 

ポジティブトランジション

ショートトランジション:縦志向 ミドル/ロングトランジション:ポゼッション

  前線がハモンとジャメ、WBにタカチョーが入ると奪ってからは速くなる印象だ。特に3CB脇は狙いたくなる。ビルドアップ妨害からゴールに迫るシーンもあり、そちらに書くこととする。

 

考察

目には見えない頭脳戦

 お互い、後ろでボールを持つ時間があったのだけれど、不用意にはボールを入れない。相手の動きを観察して、隙を見せたら刺す。ベガルタとしても、採用できる戦型、手筋が一本槍のところがあるが、それでも今できる最大限の手を投入していた。

引き離されると難しくなる現実

 フォーメーション変更、選手交代と段々と差を広げた大分。もちろん、先制を許したのも大きい。色々な要素で後手に後手にといつの間にか対応になっていた。だからといって何かを変えるのかと聞かれると難しい。強いて言うのであれば、ジャメかハモンのどちかがゴールを決めていれば、全く違った顔を見せたゲームになっていたかもしれない。

続けることの恐怖に勝て!

 前節に大きな決断を下し、勝利を得たベガルタ。たった1試合上手くいかなかったからって首を引っ込めるような真似はしないでほしい。というかできないのかもしれないのだけれど。 勝利と敗北と。我々ができること、できないことが明確に分かったのだから、あとは自分たちがやりたいことを貫くために、相手に、状況に、環境にどう対応するのか。勝負はこれからだ。あとはもっとボールを持って攻撃をする時間を長くしたい。良い攻撃は良い守備から。良い守備は良い攻撃から。

 

おわりに

 論理的に投了まで追い込まれた。完璧に仕留められた。難しい。サッカーはやはり難しいし、勝つのは同じくらい難しい。やりたいことを貫くことも難しいし、相手に応じて変えるのも難しい。難しいことだらけ。足が遅いことが分かっているなら、相手がスタートするよりも早くスタートする必要がある。相手もスタートが早かったら?途中で昼寝をするような愚か者ではなかったら?やっぱり難しいじゃないか。

 その難しさのなかで、自分らしさという檻のなかでもがいているのが今のチームだ。もっと難しくなる。昔の方が良かったかもしれない。明日は今日より悪くなるかもしれない。それでも明日がほしい。ようやく夜明けを迎えたのだから。また陽の光を見たい。今日よりずっと、明日はいい日になる。いい日にするんだ。

 

 「簡単な人生を願うな。困難な人生を耐え抜く強さを願え」こう言ったのは、ブルース・リーだ。

 

参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

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footballhack.jp

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 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

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【夜明けの最前線】Jリーグ 第6節 ベガルタ仙台vsサガン鳥栖 (3-0)

■はじめに

 さあ!いきましょうかホームサガン鳥栖戦のゲーム分析!桜開花の仙台。春一番の仙台。担げるゲンは何でも担いだ、拝める神は全て拝み倒したわけではないのだけれど、勝利を願い信じ続けたサポーターにやってきたのは夜明けの明かりだった。ということでゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

■目次

 

■オリジナルフォーメーション

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 まずは我らがベガルタ仙台。フォーメーションを前輪駆動型4-4-2抹殺兵器3-1-4-2に。インテリオールに兵藤と吉尾を起用。CB中央に構えるのは左足のフィードが得意な常田。ジョンヤが前節引き続きクイーン(左CB)の位置に。2トップはハモンとジャメのコンビ。今節は、3-4-2-1のベールクト型をやめて、3-1-4-2と前掛かりな狙いだ。これがベガルタのナベさんの決断だった。

 対する鳥栖カレーラス監督になってやりたいサッカーはありつつも、現状の戦力だったり相手だったりに微調整するあたり手練れだなと思わせる。今節は4-4-2。おそらくなのだけれど、3-4-2-1を想定するなかでの4-4-2だったのかなと思う。3トップを顔面からぶち当てるやり方もあったはずだがかっちりとしてきた。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

ボール保持時

ビルドアップ:ダイレクトなビルドアップ

ポジショナルアタック:ポゼッション

 まずはベガルタのビルドアップ。3CB+アンカーの逆丁字型ビルドアップだ。そこにGKダンが加わったり一手間加えることもあったのだけれど、基本型はこの形を維持した。これまでCHが降りるわ、シャドーが降りるわ、多くのお手伝いさんがいた状況だったが、この試合はまるで何かの強い意思を感じさせられるように3CBでビルドアップを進めた。

 鳥栖の狙いは、後方でブロッキングする、パスレーンを封鎖してWB裏、CB裏をクエンカや金崎に狙わせることのように見えた。よって、ベガルタCBには強いプレッシャーがかからなかった。というより、金崎もクエンカも、ボール非保持時において、二度追い、三度追いしたり、限定・誘導するようなFWには見えなかった気がする。気がするだけ。おかげで、ジョンヤに、平岡に、そして常田にボール供給の時間、息継ぎする時間ができた。

 そしてポジショナルアタック。そもそもの話をすると、3-1-4-2に対して、4-4-2はすこぶる相性が悪い。一般的に。3-4-2-1も4-4-2が守っていないところ(2トップ脇、SH脇、DFとMFの間)に選手をはじめから配置しているので同じようなことが言えるのだけれど、4-4-2にとって3-1-4-2がややこしいのは、4-2は4-4で相手がはっきりしているが、3-1は2で見るのはしんどい。かといって、CHやSHが応援にいけば、WBやインテリオールをフリーにする。しかも2トップなので、1人がサイドに流れても1人は中央に残って牽制できる。いわゆるピン留めだ。こうやって4-4-2に対する3-1-4-2は、「嵌めて外す」が構造的にできてしまう混ぜるな危険状態にできる。ま、数字遊びなのだけれど、これもひとつの事実だ。

*概念図

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 話をベガルタに移す。この試合のインテリオールに起用されたのは兵藤と吉尾。横浜が生んだアタッカーだ。吉尾は、縦のボールをワンタッチターンで前を向く「カイナターン」でスペースやハーフレーンを襲撃。兵藤もスペースやSB・CBの間を攻撃。何度もCBからのボールを受け前進していく。後ろの優位性を前に繋ぐ。実現された瞬間だった。

 鳥栖のSBの迎撃意識の高さも要因だった。何度も迎撃したSB後方のスペースに、「花火の中につっこむぞ!」とばかりに飛び出していくジャメとハモン。そして吉尾と兵藤との合わせ技。強力なコンボ攻撃。おそらく今日のベガルタの狙いだった。構造的な部分による最初期の奇襲。嵌めてから外すことで小さなズレを創り世界に選択を迫る。選択の結果。大きなズレを生み出した。ズレは得点に。得点は勝利へと昇華された。

 そしてポジショナルアタックを最後に彩ったのが常田とジョンヤ。狙いが狙い通りいかなければ、常田のチェンジサイドキックで世界線をリセット。リセットパスで局面を変えてしまう。シンプルに空いている蜂須賀、タカチョーにキックを蹴り込む。そしてジョンヤ。ジョンヤのキックの特長は、最後のレイヤー狙い、つまりはゴールに直結する、死に至らしめるパスだ。ジャメとハモン、2人のインテリオールがSB裏を狙うのと相乗効果でこうかはばつぐんだった。逆に鳥栖は、SBが上がらない選択肢もあったが選ばず。どうして、いつも、常にそうなのか少し分からなかった。

 ベガルタのCBにはCBの、FWにはFWのそれぞれの役割がある。監督には監督の。サポーターにはサポーターの。遅いも早いもない。優れているも劣っているのものない。境目などない。その役割に気づけるか気づけないか。それだけだ。戦う理由が見つかった。

*概念図

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■ネガティブトランジション

プレッシング:ゲーゲンプレッシング(エリア制圧型)

 今回はいつものアリバイゲーゲンではなかった。これまでは、リトリート時間を稼ぐためのゲーゲンプレスだったが、目的が変わった。必ず奪う。そして、ゴールを目指す。2点目のシーンもボールを素早く奪い返す。これが吉尾、兵藤の連続シュートにつながっていく。もちろん、ピッチ各所でも奪っていく、奪って攻めるんだと意欲と行動が見えた。ボールの主であり続けようと戦い続けた。

■ボール非保持時

プレッシング:攻撃的プレッシング

セットディフェンス:ゾーンのなかのマンツー

  セットディフェンスは5-3-2。鳥栖の2CB+2CHのボックスビルドアップに対して、2トップが2CHを監視。SBにボールが出たらWBが猛烈に迎撃。あるいは、3センターが鬼スライドする。迎撃、スライド。これらは記号だ。ここと決めたらボールを奪いにいく、守る。振り切ってやり続ける。

 鳥栖はクエンカが降りたり、SHが降りる、CB間にCHが降りるなど工夫を見せた。それが有効かと言われたらよく分からなかったのだけれど、僕たちも勇気が少し足りなかったころやっていたわけで。動じることもまたなかった。戦う理由が見つかった者は強いのだと思う。 

■ポジティブトランジション

ショートトランジション:縦志向強い

ミドル/ロングトランジション:縦志向強い

  ポジショナルアタックに繋がっていくが、鳥栖が高い位置に取るSB裏へのアプローチが主軸。ボールを奪われ、前にいくのか撤退するのか迷っている間に行けるぜ!とばかりにボールを送り込む。ここは試合を通じて徹頭徹尾行われていて、やはり狙いだったと言える。 

■考察

殉ずるがいい己の答えに。

 弱点を補いあう。聞こえは良かったのだけれど、出来ないことを無理くりやろうとしていびつな構造になっていた前節までのベガルタ。シンプルに立ち位置攻撃で攻略する。できなければ、レーンチェンジでズレを創る。サイドチェンジでリセットする。見事に正面から戦った。そして、勝利を得た。

もう1歩、あと1歩

 ここまで構造的に攻略したのだから、淡々と壊し続けることも必要になる。もちろん今日の狙いとは別の部分になるのかもしれないのだけれど、ひとつひとつ点数を重ねることも求められていくことになる。高いレベルの話だ。ここまで来たのだ。

夜に腐っていた僕たちは間違いなく明日に向かっていく

 目指している良い立ち位置での攻略。ここをもっと突き詰めていかないとけない。明日からまたがんばれるか。大丈夫。忘れたのではない。思い出せないだけだ。できないのでもない。やらないだけだ。君ならやれる。 

■おわりに

  僕はピッチに展開されるサッカーとは、そのチームの監督の意思を表現するひとつの方法だと思っている。それが喜びであれ、怒りであれ、悲しみであれ決断であれ。僕はそれを読み解きたいと思っている。対話だ。サッカーを通じた対話だ。僕は渡邉監督と選手と対話している。そして言葉に置き換えている。

 ひとつの意思はより強大な意思を発揮する。一人一人は微弱でも、次第に大きくなる。それがスタジアムという場所だと思っている。

 今の世の中において。サポーターが勝たせたなんて幻想だ。そしてサッカーは、勝たなければ意味がない。良い試合だったなんて、記録にも記憶にも残らない。勝つ者と敗ける者がいる、それだけだ。ただ、それでも、たとえそうだとしても、言えることがある。とても良い試合だった。チームもサポーターも勝利という一点を見つめ戦い、そして勝ち取った。これを良いと言わず、何を良いと言うのか。

 僕たちは決して負けない。それは目の前の試合に、それぞれが立ち向かう苦難に、僕たちは決して負けない。負けるわけにはいかないんだ。そんな春一番だった。

 

 「よう相棒。まだ生きてるか?ありがとう戦友。」こう言ったのは、ラリー・フォルク(pixy)だ。

 

■参考文献

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【閉ざされたいまに風穴を開けよう】Jリーグ 第5節 ベガルタ仙台vsセレッソ大阪 (0-2)

■はじめに

  さて、いきましょうか。ホーム、セレッソ戦のゲーム分析。春とは思えない寒さのなかで、雪が降るなかで、まだ夜明けが見えない我らがベガルタ。冬があれば必ず春がやってくる。明けない夜はない。ということで、いつものように振り返っていきます。では、レッツゴー。

■目次

■オリジナルフォーメーション

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 さあ、我れらベガルタ。メンバーを大きく変更する。石原の欠場もあったなかで、5人の新加入選手をスターティングメンバーに起用。右WBには道渕がリーグ初スタメン。新加入ではないのだけれど、左CBにはジョンヤが入った。3CBと富田で底堅く、前線5人のベールクトとリンクマンの兵藤。左利きのシャドー。緻密に守るロティーセレッソに、剣を引き抜いた。

 一方のロティーセレッソ。ポジショナル対決だ。しかも本場の。WBに逆足を使っていたことで有名だったのだけれど、順足の松田、丸橋に落ち着いたようだ。シャドーも清武と柿谷、センターはソウザ、奥埜と現状のベストメンバーと言えるだろう。よりレーンを意識して、攻守に立ち位置を取る。アタッカーで迫る渡邉ベガルタに強固な城壁を築いた。

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

ボール保持時

ビルドアップ:ポゼッション

ポジショナルアタック:ポゼッション

 左利きの2シャドー。ハモンと吉尾。全く性格の異なる2人なのだけれど、前後半で立ち位置を変えた。特にハモン。前半は、サイドチェンジキックを受ける役でボールに競り、カットイン。後半は、WB背後を何度も突き、クロスマシーンに。

 吉尾はハーフレーンの出入口が彼の舞台。第2レイヤーに降りて、ボールを受けたり、ダンからの瞬間移動パス(第1レイヤーにいるGKから第3レイヤーへのスキップパス)を受けるなど、技術の高さを優位性として戦った。

 どちらが良いかどうかではないし、どっちのやり方が良いという話ではないと思う。相手があって、自分たちがあって。ただし少なくとも、自分たちが試合で何を表現できるか分からなければ、相手を超えることは難しい。けれどそれは、試合でしかできない逆説。難しい。

*概念図

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■ネガティブトランジション

プレッシング:ゲーゲンプレス(エリア制圧型)

 いつものようにリトリート時間を稼ぐものだったのだけれど、今回は敵陣でボールを奪う、あるいは下げさせて次にボールを奪う機会を狙うものだった。若く、そして走力があると可能なのかなと。若さは良い。失うものがない。失っても取り返せる。 

■ボール非保持時

プレッシング:攻撃的プレス

セットディフェンス:ゾーンのなかのマンツー

 ベガルタの狙いは、前線から、いわゆるビルドアップ(構築)局面から妨害をかけてボールを奪っていく狙い。これは、これまでのセレッソの失点シーンが自陣でボールを奪われるケースが見えたことから、セレッソのビルドアップが成熟しきっていないと判断からだと思う。実際にこの試合でも14分、17分と相手のビルドアップ局面からボールを奪ってシュートを撃っている。合わせ技で、WBとCBの縦横スライドが肝だった。WBが果敢に相手WB(CB)を迎撃。空いたスペースをCBがスライドして埋める。

 ただ、20分ごろから前から嵌められなくなる。ロティーナとその教え子たちが手を打ったからだ。奥埜、ソウザの2センターが3トップの間にポジションを取る。それまでのベガルタは、「3CBに対して3トップ」、「2センターに対して2センター」で嵌めていた。ロティーナは選択を迫った。続けるか、続けないか。答えは後者だった。

 吉尾、ハモンの2シャドーは降りてきた奥埜とソウザ、同時にWBにもプレスをかけられるポジションをとった。結果、セレッソの第1レイヤー、CBに時間を与えることになった。あとは、芋づる式で降りる清武、柿谷への対応の選択。ただ、一番の変化はレーンチェンジ。柿谷、清武だけでなく都倉、CBも実行してきた。3手詰めまでは対応できる。それ以上複雑に絡むとパンクする渡邉ベガルタディフェンス。先制点の場面も判断を多く要求されて、約束事の束が解けてしまった。

 3‐4‐2‐1は難しい。いや、サッカーが難しいのだけれど、5レーンを攻守で埋めるためのフォーメーションが結局のところ、レーンを空けたり、かぶったりしなければ相手を崩せない、守れない気がする。気がするだけ。

*概念図

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■考察

前から前へ

 狙った形は出た。あとは決めるだけ。言うのは簡単なのだけれど、なかなか難しい。ただ、メンバーも大きく変えたなかで、渡邉監督のひとつの決断、意思を見つけた気がする。相手の弱点を突く、そのために前に出なければいけないのであれば出る。結果は仕留められなかった。今度は必ず仕留めるだけだ。

■おわりに

 負けてしまった。負けたくない、負けるのは死ぬほど悔しいから。勝ってタイトルを取るんだ。最後まで勝利を信じて尽くした者が敗北を肯定できる。そして僕たちは勝つことができなかった。何も手に入れられなかった。大切なものを失った。ベガルタのサッカーをした。結果は負けてしまった。たとえそうだとしても、最後まで、その一瞬まで僕たちは勝ちにいくんだ。

 人間は誰しもいつか最後は死ぬ。どんなチームも敗北する。いま僕たちが考えなければいけないのは、目の前のサッカーだ。ベガルタだ。まだ、死なない。死ぬわけにはいかない。痛みを感じるのは、生きている証だ。

 

 「生きる」こう言ったのは、村山聖だ。

■参考文献

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【未来へと続く扉】Jリーグ 第4節 湘南ベルマーレvsベガルタ仙台 (2-1)

■はじめに

  ではいきましょうか、湘南戦のゲーム分析。お世辞にも開幕ダッシュに成功したとは言えない我らがベガルタ。ルヴァンで勝利しているものの、リーグ戦の夜明けを見たいぜよ。しかも、内容ももがいているような、いないような、いや、いるような。ということで、今日もいつものようにゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

■目次

 

■オリジナルフォーメーション

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 連敗中のベガルタ。ルヴァンでゴールを決めている長沢、リャンを起用。あとは、現時点のベストなメンバーといったところか。段々とバランスを見出しつつあるなかで、トランジション局面に強いメンバーというより、様々な場面に対応可能なメンバーともいえる。勝ちたい。

 一方の湘南。ルヴァンを制覇して、自分たちのスタイルにより自信を深めている。長期的な目線で、クラブが一体となってチーム構築を行っている姿勢を僕たちも見習う必要がある。辛く苦しい時期にも信じて続けられるか、湘南からのメッセージのような気がする。

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

ボール保持時

ビルドアップ:ポゼッション

ポジショナルアタック:ポゼッション

 まずはビルドアップ局面。この試合の焦点は、ボールを奪う、奪われる局面において強力な湘南。 自陣近くでのロストを警戒して、長沢をターゲットに使うかと思いきや、意外とポゼッションを高める形に。

 戦型としては、大岩、兵藤+シマオ+ダンのスクエアビルドアップ。平岡、永戸をシマオの位置まで上げることで、W字型ビルドアップともとれる。平岡と永戸はウィングレーンに、大岩と兵藤がハーフレーンに立つことで相手のビルドアップ妨害を防ぐ狙いだ。

 湘南の対抗型、というよりいつもの形だろう妨害は、前線がW字型に合わせる形でプレッシャーをかけてきた。特に、シャドーがハーフレーンを封鎖して、CHが大岩にプレッシャーをかけていくシーンが印象的だった。CHが空けた場所をCBが迎撃することで湘南のディフェンスラインは、4-4-2のような形にも見えた。数字遊び。

 ベガルタが湘南のプレスの狙いを外すためかどうかは分からないのだけれど、平岡、永戸はハーフレーンに入らず、あくまでウィングレーンでポイントを作っていた。位置取ることで相手に焦点を与えてしまう恐れがある。であるなら、その外側で待機しておけば良いといったところか。実際、平岡、永戸の前進、あるいは、さらに高い位置を取るWBやシャドーへのボール供給場所になる。

 そこからポジショナルアタックへと移行していくのだけれど、擬似2バックがプレスを顔面から受けることで難しさもあった。心配したのか、あるいはそれが狙いなのか、どっちもなのかもしれないのだけれど、シャドーの石原、リャンがシマオの高さまで降りてきてポゼッション確立を目指した。シマオも時には、擬似2バック間に降りることで2センター+CBの擬似3バックポゼッションも見せた。ミシャ式と呼ばれるものの派生型だ。後ろのポゼッションを安定させ、多くの選手を前線に送り込み手厚くする。その代償として、ネガティブトランジションで地獄を見る。大半の選手が敵陣、ゴール前を守るのがMF2枚とCB1枚、GKだけだ。

 この試合、永戸や平岡がハーフレーンに入って、シマオと一緒に擬似センターハーフをやることはなかった。CB(クイーン)→擬似SB→擬似CH→CBとビルドアップポジションで循環できたら面白そうだったのだけれど、あくまで、センターハーフポジション、いわゆるハーフレーン/第2レイヤーに顔を出したのはシャドーの2人だった。おそらく、新生ベガルタの狙いとして、シャドーを降ろして(レイヤーダウン)ポジションのローテーションを狙っているのではないかなと思っている。レーンは守りつつ、それを利用して変えていく。一方、7分には石原がそのままの位置に居て、蜂須賀の突破とクロスを生み出すシーンもあって、使い分けができたら最高だ。

 新しい挑戦。失うものもある。アタックを期待されるシャドーがこの位置に居て良いのか。平岡、永戸にボールがついても肝心のローテショーンが起きず、誰もいないこともある。向かいのホーム。路地裏の窓。こんなとこにいるはずもないのに。表裏一体。光を得たら影も生まれる。

*概念図

◆ビルドアップ(構築)局面

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◆ポジショナルアタック(前進)局面

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■ネガティブトランジション

プレッシング:ゲーゲン+リトリート

 ここはいつものように、ボールを奪われると近くのひとがゲーゲンプレス。リトリートの時間を稼ぐ。ボールサイド、2レーンにひとが多く配置されてたので、ここでの奪回も目指していたのかもしれないし、目指していないのかもしれない。ただやはり、リトリートスピードは速い。

■ボール非保持時

プレッシング:攻撃的プレス

セットディフェンス:ゾーンのなかのマンツー

 いつものように、5-2-3、5-4-1のような形でセットディフェンスを敷いた。ハーフライン付近、ミドルゾーンからのプレス。ただ、湘南のビルドアップは、3+1で対抗。1付近の空いているエリアにシャドーの選手やWBが降りることで、ベガルタDF陣を引っ張りだして、空けたエリアにオフボールの動きで侵入してきた。このベクトルの違う動きは、試合開始から見られ、WBが引っ張られたスペースにシャドーが入るお手本のような形だった。先制点のシーンは、ビルドアップ妨害時にチェンジサイドされた結果、2トップが追いきれず、CHとWBが協力して空けたスペースにCB小野田のドリブルを許したことから始まっている。着いていくならついていけばいいし、行かないならだれかにバトンを渡すべきだ。

■ポジティブトランジション

ショートトランジション:ポゼッション

ミドル/ロングトランジション:ポゼッション確保

 奪ったらボール保持のシーンが多かった。あまりトランジション局面を作らないで、湘南の良さを消しつつ、自分たちがボールをもって崩す意識が高かったように思える。

■考察

新しく見えた攻撃の形

 セントラル、ハーフ、ウィングレーンの3レーンでスクエア+1を作って攻撃していたこと、シャドーが降りて、CBが高い位置を取る、WBがハーフレーンにレーンチェンジするローテーションをすること、これはチャレンジしている攻撃の形だと思う。ミシャ式だ、4バックビルドアップだと言われているが2バック+アンカーをシャドーが助ける形でビルドアップを安定させ、後方の選手が高い位置を取ってギャップを創ろうとしている気がする。シャドーがハーフレーン/第2レイヤーに降りることで、ネガティブトランジション対策にもなる。

 

でもそれが果たして良いのか

 良い悪いがあるのは当然なのだけれど、きちんとローテーションしなければ、効果的に第3レイヤーに位置取ることができない。あえて、攻撃力のある選手を自陣近くに帰ってこさせるのだ。それ相応の対価がほしい気がする。気がするだけ。

 

新加入選手との調和

 新たに入った選手の吸収力は、今までいる選手よりは多いはず。多分。渡邉監督に与えられた難しいミッションは、去年の課題である守備の部分、攻撃の質の積み上げの部分と野津田、板倉、奥埜、西村がいなくなった穴を埋めることだ。その両方の作業を同時進行で、しかも結果を出すことも求められている。それは並大抵のことではない。

■おわりに

 惨めな思いをする一週間が続く。結果?内容?どちらかもしれないし、ピッチ外でおきる、チームとは全く関係ないところのせいかもしれないし、そうじゃないかもしれない。答えなんか分からない。分からないのだけれど、明日はやってくるし、雨が降ってくるかもしれない。今の世の中において、誰もが予想だにしない未来がやってくるし、想像以上の結果を得るかもしれない。誰もが答えを探しながら闘っている。クラブか、それとも選手か、サポーターか監督か、結果か思想か、クラブへの誓いか、選手への情か。その時に信じられるものとは。それでもベガルタは、選手は、闘っている。闘い続けている。生きる理由はいくらでもある。僕はこの試合にベガルタの未来を見出した。それが今の僕の答えだ。これ以上は止めておく。それを語るに相応しい選手たちがいる。

 

 「カッコ悪くたっていいじゃないか、ぼくは未来をあきらめたくないよ!!」こう言ったのは、風祭 将だ。

■参考文献

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【転んでもいいよ、また立ち上がればいい】Jリーグ 第3節 ベガルタ仙台vsヴィッセル神戸 (1-3)

■はじめに

 さあいきましょうか、神戸戦のゲーム分析。いろんな文脈がある試合なのだけれど、どんな時でも90分間の試合に全てが詰まっている。ということで、いろいろと目線が空高い神戸との対戦なのだけれど、ベガルタがどこを向いていて、どこに向かっていくのか世界最高の選手たちを相手に表現してほしい試合だ。ということで、鬼のゲーゲンプレスいきます。では、レッツゴー。

■オリジナルフォーメーション

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 さてベガルタルヴァン杯も戦った影響で、メンバーを少し変えている。WBにタカチョー、シャドーにアベタク、1トップにジャメを起用。シマオはリーグ戦2試合連続出場だ。長沢、ハモンの高さが無いなか、機動力のあるメンバーで前からプレスで嵌めてしまう、トランジションで上回る狙いか。ボールを持つ、エリアの主人であるか否かがテーマになりそうな試合。飛ばすぜ、振り落とされるなよ?といった具合か。

 一方の神戸。キングダムリージョ軍は、ビジャという最高のFWを前線に加えて、CBにはボール出しができるダンクレーを獲得。もはやリーグの枠を超越している。4-2-3-1がオリジナルなのだけれど、この数字にあまり意味はない。隙を見せたら、死はすぐそこまでやってくる。

■目次

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

 

ボール保持時

ビルドアップ:ポゼッション

ポジショナルアタック:ポゼッション

 ベガルタのビルドアップは、ダン・永戸・大岩・シマオのスクエア+平岡ビルドアップだ。ビジャがカバーシャドウで1人で2人守るプレスをかけてきたが、ここは、クォーターバックのダン。ウィングレーンに開いている平岡にボールを出すなど落ち着いていた。

 特に、この試合の一番の狙いは、左ハーフレーン・第3レイヤーで構えるエキストラキッカーのアベタクだ。QBダンのキック精度。アベタクのトラップ能力、レシーブ能力。持てるリソースを最大限に活かして、相手DF陣に迫った。選手個人に起因する能力を最大限発揮させれるという意味における質的優位性、位置的優位性を発揮する形だ。たとえそこで攻撃が完結しなくとも、スムーズにポジショナルアタックに移行していった。

 ただ、試合途中~後半になるとアベタクが警戒される。山口がデートなのか、ハーフレーン封じなのか、アベタクを封殺する時間が増える。21分、ダンからのキックを西が対応。67分には山口がアベタクからカットしている。この対応力はさすが代表級選手といったところか。これを利用してどこかで空く選手を使ってゴールに迫りたかった。タカチョーが余るシーンが多かったので、あとは練度を高めるだけか。

*概念図

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 15分ごろのプレー。神戸のビルドアップ妨害の連携が取れない、前プレが効いていない状況を利用して石原が三田、古橋の背中に降りる。スクエア+石原でプレス網を突破。

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 QBダンからのレイヤースキップパス。通称擬似カウンターだ。しかもこの試合のベガルタは、レーンの意識が強く、攻撃シーンは3レーン、5レーンアタックのような形になっていた。

 ポジショナルアタックにおいても、攻撃の一手目はアベタクのローポストアタックだ。まずはアベタクが狙う。山口に埋められたり、ボールが出なくても、誰かが代わりに入ったり、アベタクがいたスペースを使うことでひとの循環を起こしていた。スペーシングというやつだ。そこまで高尚ではないかもしれないのだけれど。

 ポジショナルアタックの出口が見つからなかったベガルタにとって、これはひとつの解答かもしれない。ルヴァン杯では、左ローポストに侵入したアベタクがゴールを決めている。このエリアへの警戒度合いを上げれば、こんどはウィングレーンが空く。クロス。ゴール前。ズドン。これだ。

*概念図(呼び方は、footballhackさん、バスケの考え方から引用)

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■ネガティブトランジション

プレッシング:ゲーゲンプレス&リトリート

 ゲーゲンというより、平岡や永戸が前で潰す意識が強かった気がする。というより、WBも含めて高い位置まで迎撃する意識だ。こちらもボールを奪われると高い位置までボール奪取に向かった。ただ、やはりベガルタの場合はそこからのリトリートの時間を稼ぐためのような気もする。

 

■ボール非保持時

プレッシング:攻撃的プレッシング

セットディフェンス:ゾーンのなかのマンツー

 この試合、WBとクイーン(左右CBいわゆるハーフディフェンダー)が高く迎撃するのが特徴だった。まるで1階から3階まで。階段を駆け上がるかのように。前で潰せばラインなんてあってないようなもの。それが4-4-2なのか、4-3-3なのか、5-4-1なのかはさして重要なことではない。ポジションレス。ボーダーレス。そんな相手に、数字遊びなんてしたところで意味がない。数字がないなら、数字無しで対応するしかない。

*概念図

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 イニエスタを中心にロジカルにぶっ壊された去年のリーグ最終戦から見ると、今年の守備への取り組みの成果が出た気がする。ただ、失点はどれもひどい。31分の失点は、アベタクのクリアミスから。その前に29分には平岡が似たようなクリアをいわゆる「バイタルエリア」に放り上げてる。いのちをだいじに。2失点目も、キックオフボールを奪われ簡単に背後を突かれた。3点目は進行方向を塞がれ蹴っ飛ばしたボールが相手に。

 これだけミスをしていれば、見逃すほど簡単な世界ではない。しかも、ビジャだ、ポドルスキだ、イニエスタだ。何度でも言うさ。簡単ではない。みんなが前掛かりになっているのに後方でミスをして奪われる。チャオ、君は終わりだ。 

*概念図

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 無理くり神戸の形を概念化した。これがすべてではない。ただ、キーになるのはジャメの両脇と石原の後方(というよりイニエスタゾーン)かなと。あとは、両SBが幅をとって、古橋、ビジャが神戸の最後のレイヤーを狙い続ける。ベガルタは、ミドルゾーンでは5-2-3のような形。ローゾーンでは5-4-1で迎撃した。

 

■ポジティブトランジション

ショートトランジション:前線の選手へ

ミドル/ロングトランジション:縦志向

 さて、ポジティブトランジション。この試合の勝負手だ。自陣で奪えば前の選手に繋ぎ、コレクティブカウンターを繰り出していた。3分の3線速攻なんかは、喉元にナイフを突きつけて「覚悟はいいか?」といった宣戦布告だった。ほかにもCB脇あるいは背中を狙うジャメ、ハーフレーンで構えるアベタクにボールつけていった。

 ただ20分あたりから、GKスンギュがノイヤーロールで対抗。もっとジャメがスペースに走り込むシーンを増やしたかったが、この対応スピードの速さ、さすがとしか言えない。兵は拙速を貴ぶ。兵は機動なり。

 ■考察

ダンとアベタクのポジショナルアタック

 よく後方の貯金を前方へなんて聞く。この形が一番なのかなと思う。ダンのキック能力が日本代表級であって、この質的優位性を利用しない手はない。個人的には、去年の年末から実装してくれないか願っていたのでうれしい。レシーバーとしての能力を開花させているアベタクとのユニット攻撃だ。ただ、どちらかというと、瞬間移動攻撃か。それとも瞬神の術とでも呼ぶべきか。

 

過ちを認めるか認めないか。若さか大人か。

 結局ミスからの失点。まあ、ミスからじゃない失点は厳密にはないのだけれど、少なくとも自分たちから招いた、相手に手を貸した失点だ。丁寧に。丹念に。そうでなければ、僕たちは終わる。

 

良い立ち位置の未来の先へ

 前半に今年一番の輝きとバランスを見出した我らがベガルタ。尻すぼみしてしまったのが痛かった。久々にレーンを強く意識した攻撃を見ることができたし、それに縛られない形でのポジショナルな攻撃も見ることができた。レーン導入3年。J1在籍10年。クラブ創設25年。続けていく。まだ始まったばかりだ。

■おわりに

 壁。壁。壁。三重の壁が僕たちの前に立ちふさがる。結果という壁。スコアという壁。闘い方という壁。失ったものを取り戻す形で創り上げてきたもの。それが壁として目の前に、四方に広がる。壁同士で声が反響する。不安も、心配も、恐怖も、怒りも、苦痛の声もまた、反響して、大きくなって自分の耳に届く。試合後のユアスタは、壁に取り囲まれていた。あれも、これも、それも、どれも何もかも足りない。僕たちは、速く走れないし、空だって飛べない。努力は報われないし、夢も叶わない。

 でも、このクラブ以上に一番だと言えるクラブがあるか。選手がいるか、監督がいるか、スタッフがいるか。スタジアムも、この土地も。唯一無二。天国にするのも地獄にするのも僕たち次第のような気がする。多分。偉そうなことは言えない。高ければ高い壁のほうが登った時気持ちいもんなって、誰かが歌っていた。ひとつ、昇ってしまいましょうか。

 

「スクラップ&ビルドでこの国はのし上がってきた。今度も立ち直れる」こう言ったのは、赤坂秀樹だ。

 

■参考文献

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【Over the pain!】Jリーグ 第2節 横浜Fマリノスvsベガルタ仙台 (2-1)

■はじめに

 では、いきましょうか。アウェイ、マリノス戦のゲーム分析。去年、圧倒的な敗北を2試合も経験させてくれた相手と再戦できる場をすぐに用意したJリーグ。浦和、マリノスといい別に因縁めいた話ではない気がするのだけれど。まあ、来てしまったものはしょうがない。全力で闘うのみ。今回は、ベガルタがどんな手で行くのか。どんな結果であれ、それが僕たちの今の立ち位置だ。では、レッツゴー。

■目次

■オリジナルフォーメーション

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 今節のベガルタ。対マリノス色の強い構成に。前輪駆動型の3-1-4-2というより、実際は5-3-2だ。3センターの中央にシマオマテが初スタメン。FWを一枚削る形で中盤の強度を上げる策できた。渡邉監督の試合後コメントで、椎橋、ハモンを欠くなかでの構成とのことだ。方針としては、強固なブロックを組んで、受けてからはね返す作戦だ。

 そして、ポステコポジショナルプレー軍団。ホーム日産スタジアムに詰めかけたサポーターへの披露とばかりにベストなメンバーを送り込んできた。ボールを持ったら手が付けられない、持っていない選手もオフボールの質が高い。継続は力なり。間違いなく日本のサッカーを変えている。 

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

ボール保持時

ビルドアップ:ダイレクト

ポジショナルアタック:ロングボール

 ベガルタのビルドアップは、というかビルドアップの形がほぼ見られなかったこの試合。貴重なボール保持の時間も、前線の長沢、あるいは石原を見てボールを送ることが基本型だった。9分に、最初のレイヤーの永戸が第3レイヤーの石原にレイヤースキップパスを送り込んで展開するシーンもあったのだけれど、ほとんどの時間を自陣でボールを持たず構えて過ごした。

 当然ポジショナルアタックもロングボールからの展開が主軸になる。自陣に近い位置でボールを奪い前線の長沢をターゲットにボールを送る。ただ、ほとんど、CBチアゴ・マルチンスにはね返されたのは痛かった。あとは、10分に最初のレイヤーのシマオマテから最後のレイヤーを狙ったパスがあった程度。サイドチェンジの攻撃もあったのだけれど、ボックスに磔の刑にされるようになるとそれも見られなくなる。悲しい。

 一番書きたい攻撃の項目で、書くことがほぼない。それが勝つために必要なことだ。でも、勝てなかった。仕方ない。勝負事だ。相手があることだ。天と地と万物を紡ぎ相補性の巨大なうねりのなかで、勝ち負けが決まる気がする。多分。

■ネガティブトランジション

プレッシング:リトリート 

 こちらも奪われたらポジションに戻るが徹底されていた。奪う位置をローゾーンに設定しているため。それが良いか悪いかではなくて、選択しただけだ。選択しない自由もある。今節のベガルタは、「ボール非保持時におけるセットディフェンスとボール保持に切り替わるポジティブトランジション」に勝利を見出しただけだ。

■ボール非保持時

プレッシング:守備的プレッシング

セットディフェンス:ゾーンのなかのマンツーマン

 さておまたせしましたセットディフェンス。5-3-2のブロックは、維持しつつ、3センターの距離を縮めて3バックとともに中央3レーンを固める策だ。非常に理に叶っている。ゴール前、ローポストとその入口であるエルボー。この2つが最もゴールを奪うのに最適な位置だ。そこを先に埋めてしまおう。

 当然、2トップ脇、3センター脇を使われる。場所でいうとハーフレーンとウィングレーン、第2レイヤーと第3レイヤーだ。それも織り込み済み。兵藤が、富田が、平岡が、永戸が迎撃する。レーダー網に捉えたマリノスの選手に次々と迎撃をかける。ゾーンのようでマンツーで、マンツーのようでゾーンで。迎撃するエリアはある程度決まっていた気がする。平岡や兵藤が地の果てまで天野を追いかけることはしなかったし、次の瞬間には自分の椅子に着席していた。

*概念図

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 上の図は、システム的な噛み合わせ。あまり意味はない。喜田がジョーカー(構造的にフリーな選手とこのブログでは呼んでいる)で、あとは数字合わせ。

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 実際的にはこんな感じ。もっといえば、マリノスの第2レイヤーのハーフレーンに立つジョーカーは、三好や天野、仲川、M・ジュニオールだったりする。実はこのジョーカーポジションが肝になる。

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 例えば、この図。たしかにひとにつくベガルタ。でも、ある程度エリアごとに担当が決まっているようで、兵藤がずっと天野についていったわけでもないし、永戸が仲川の実家までついてくこともなかった。自分のテリトリーに入ってきた外敵を追い払う野性味あふれるプレスをかけていた。そのわりに、両WBはSBを迎撃する意識が高かった気がする。

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 時間経過で左右非対称に見えるベガルタ防衛ライン。絶対殺すマンとなった富田と永戸はマリノスの第2レイヤーまで迎撃ミサイルを放つ。17分には永戸が空けたスペースを天野に使われている。

 一方の右サイド。兵藤、シマオマテもポジションで迎撃の機会を伺うといった感じだ。パスレーンに気を配りながら、行ったらかわされるのでマリノスの第3レイヤーに入ってくるパスを警戒しながら担当エリアに入って来た選手にプレッシャーをかけていった。特に平岡は、マリノスの第2レイヤーまでの迎撃は見せず、あくまでハーフレーンを埋める意識でいた。この辺りの違いがマリノスの攻撃ルートにも微妙に影響している気がする。ベガルタの右サイドではある程度ボールを持てるが、左サイドになるとボールホルダーへのプレッシャーは高いが背中が空く。ちなみに失点は左サイドから。

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 では右サイドの攻略は?4分の決定機にある。ボールに来ないなら、レイヤーを飛ばしますよとばかりのスキップパス。マリノスの第3レイヤーのM・ジュニオールにつく。エルボーに侵入する天野。急ぐスライド。そして、逆サイドから飛び込んでくる広瀬。

 前に行くのかい?それとも待つのかい?と蜂須賀の迷いがギャップを作って、平岡がカバーしたところに空いたハーフレーン。ハーフレーン埋め特化型の5-3-2なのにハーフレーンを突破されるとはこれいかに。

 大駒はひきつけて受けるではないのだけれど、「引き寄せてから開く」のポジショナルプレーをこのような形で具現化しようとしたこの日のベガルタ。ただ、時間が経つごとに引き寄せるだけになってしまったのが残念だった。SB裏、CB裏を突くプレーができたら、このやり方で得点が入っていたら、この日のベガルタに対する印象は変わっていただろう。難しい。印象とは、一目で決まってしまう。

■ポジティブトランジション

ショートトランジション:長沢、石原に向けて縦パス

ミドル/ロングトランジション:縦志向

 こちらが攻撃の本命。奪って、広がった最後のレイヤーを攻撃するが狙いだった。ただ、CBに封殺されたのと、やはり奪う位置が低すぎた。 ここが効果的、殺傷能力が高ければ良かったのだけれど。スナイデルロッベンが欲しかった。

■考察

圧縮されるディフェンス

 3センターの距離の短さには驚いた。基本は前に前に奪いに行くカンテロールになりがちな3センターが、ポジションを守り、入ってくる選手・ボールを迎撃する様を見て感動すら覚えた。これからも、ボールの重力に魂を引かれないようにしつつ、どこで相手を窒息させるのか。第3レイヤーなのか、サイドなのか。いずれにせよ、自分たちの狩場を持っておきたい。

 

守備の原則は、ボールを自陣から遠ざけること

 今回、原則に則らず、ある意味例外的なやり方で(モウリーニョ以来一般的なのだけれど)守備を構築したベガルタ。ただ、ひとと違うことをやり続けるのは思いのほかしんどいと月島雫の父親が言っていたように、なかなかのしんどさを見せた。やはり、夢を希望を未来をもって耐えなければ、我慢できなくなる。ひとだから。果たして長沢へのロングボールだけが最適解だったのか、それとも解が出る前に試合が終わってしまったのか、交代で入ったジャメが効果的だったのか、考えていきたいところだ。

■おわりに

 絶望するのはまだ早い。できないことを嘆いていても仕方がない。僕は、空を自由に飛べないし、他人の心を読むこともできない。できないことだらけだ。でもそれは、どのスケール、尺度で見るかで決まってくる。

 僕たちはマンチェスター・シティだろうか。ユベントスだろうか。僕らのホームスタジアムは、カンプノウなのだろうか。オールドトラフォードなのだろうか。違う。ユアスタであり、ベガルタ仙台だ。

 僕らには僕らの目的、目標があって、そのための道筋があって、過程があって、結果があって、成果があって、評価がある。欧州のチームがやってることができないから、僕たちにとってもそれが問題になるのだろうか。重要なのは、このベガルタ仙台というチームにとって、何が出来ていて、何が足りないかだ。

 ポジショナルプレー概念を取り入れれば良い?ゾーンディフェンスを入れれば良い?それは現象だ。現象に対しての対応、対策、方法論は必要なのだけれど、それが全てではない。相手からボールを取る、取ろうとした味方が空けた場所を守る。これが現象としてゾーンディフェンスになる。「それら」を入れれば勝てる、強くなるほど、サッカーは甘くはないことは歴史が教えてくれている。

 3センターの圧縮で最も危険な中央3レーンを封鎖。縦スライドでよりボールを敵陣近くで奪おうとする意識・行動。これらはより原理的で原則的だと思う。もっとも普遍的で、基本的な部分を僕たちは実現しているんだ。あとは応用技だ。

 守破離がいいのか、序破急がいいのかは分からないのだけれど、ベガルタにはベガルタの僕たちには僕たちのやるべきことがあって、これからやることがある。それを認識して、次へと行動することがメタ的な意味での「良い立ち位置」な気がする。まあいつもの気がするだけのやつだ。

 

 「すべての定形化された型では、適応することや柔軟に対応することができない。真理は定形化された型の外にあるのだ。」こう言ったのは、ブルース・リーだ。

 

 ■参考文献

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【25年目の出発-たびだち-】Jリーグ 第1節 ベガルタ仙台vs浦和レッズ(0-0)

■はじめに

  さて!2019年のオープニングゲーム、開幕浦和戦のゲーム分析いきましょうか!スタジアムに詰めかけた観客は、長いオフシーズンの間一体どこにいたのか不思議なぐらい、全国各地で熱い声援が聞こえてきた。ようやくこの日がやってきました。

 僕はというと、コミケの日にレイヤーで盛り上がったり、ここぞとばかりに欧州サッカーを観たり、アグエロ加入に喜んだりと、これはこれで楽しい時期を過ごしてました。でも、足りないのはベガルタ成分。ユアスタでの試合。ということで、今シーズンも鬼ゲーゲンプレスをかけていきますので、よろしくお願いします!では、レッツゴー。

■目次

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタの2019年オープニングメンバーは、ご覧の通り。フォーメーションは、3-2-5のベールクト型(*)へ変形可能な元祖4-4-2殺しの3-4-2-1。新加入選手で長沢、兵藤がスタメン入り。そのほかは、去年から在籍するメンバーなのだけれど、流出もあった。今年はどんなサッカーを見せるのか。天皇杯のリベンジ!みたいな物騒な話ではなく、今年表現するサッカーをどう表明してくれるのか楽しみなメンバーだ。

 一方の浦和。オズの魔法使いが送り込んだ5-3-2だ。武藤、青木は不在なのだけれど、杉本、エヴェルトンがスタメン入り。ゼロックスですでに1試合テンションの高いゲームをやっている。こちらは、着々と準備を進めて、最後にシャーレを掲げて笑うための用意をしている印象だ。今年も強そう。

*ベールクトとは、戦闘機Su-47の愛称。形からこのブログでは呼んでます。ここだけ。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

 

ボール保持時

ビルドアップ:ダイレクトなビルドアップ

ポジショナルアタック:ロングボール時々ポゼッション

 ベガルタのビルドアップは、ダン+大岩・永戸+富田によるスクエアビルドアップ。去年も見た形ではあるのだけれど、ここからが新機軸。スクエアの頂点である富田がそのままCB間に降りて4バックに変形。4バックビルドアップだ。あるいは、永戸が高い位置を取り、その空けたスペースに降りる形も見せる。2バック、3バック、4バックと相手の立ち位置に応じて、最もボールを運びやすい型に形を変えていく。そう水みたいに。やかんに入れたらやかんの形に、花瓶に入れたら花瓶の形に、コップに入れたらコップの形に。

 この試合に関しては、方針としてダンから前線の長沢、ハモンへのロングキックが多かったため、ボール回しでどうこうではなかった。でも、「俺たちだってこのくらいのことはできるんだぜ」といった具合に可能性を示してくれた。

*概念図

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 さて、ポジショナルアタック。基本方針として、前線へのロングボールが主体だった。ターゲットは、長沢、ハモン。ここに蜂須賀やセカンド回収に石原も参加していた。前プレされようが、リトリートされようが、フィジカルはDFラインにとって脅威になる。狙いは、そこにあって、相手が大人しくなってプレスラインが下がれば、ボールを持つ時間が増えるし、ボックスに張りつけることができれば、ゴール前でのトラブルを誘発することができる。

 そのため、あまり地上戦でのポジショナルアタックは多くなかったのだけれど、56分の長沢のヘディングまでの流れは見事だった。平岡、蜂須賀、富田、ハモンでスクエアを作って、ハモンのカットアウトについていった選手が空けたスペースに石原が入ってくる。そこへレイヤースキップパスが通って、逆サイドまで広がる大きな展開に。

 ベガルタとしては、こんなシーンを増やしたかったはず。まあ、相手は浦和レッズ天皇杯優勝チームだ。強い。ボールを取り上げられてはなかなか表現できない。それでも、少ないボール保持時間のなかで表現できたのは大きな収穫かなと。

*概念図

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■ネガティブトランジション

プレッシング:リトリート(5秒ゲーゲンとセット)

 ベガルタのネガティブトランジション、ボールを奪われた瞬間の立ち振る舞いは、リトリート。しかも、ただのリトリートではない。これも新機軸。光速リトリートだ。相手ボールホルダー周辺の2~3人は、即時奪回を目指してゲーゲンプレスをかけるのだけれど、大体5秒~6秒くらい。この間で、ほかの選手はセットディフェンス時のオリジナルポジションに戻っている。

 こうなると、浦和としてもせっかくプレスをかいくぐっても、出したいスペースがない。FW対CBの対決、セカンド回収合戦もあって、トランジション局面が訪れるなか、このリトリートは武器になる。あとは、試合展開や相手との力量バランスに応じて、即時奪回にも移行できると面白い。選手たちも、前線からのプレスについては手応え感じている。君なら、やれる。幸運を。

 

■ボール非保持時

プレッシング:攻撃的プレス

セットディフェンス:ゾーンのなかのマンツー

 ベガルタのボール非保持時、セットディフェンスは、5-4-1でセット。プレスラインは、ハーフライン辺りからかける攻撃的プレス。ただ、この形は5-2-3のあいのこのようにも見えた。というより、シャドーにFW系が入るとそう見える。石原もハモンもがんばっていた。目の前のハーフディフェンダー(岩波、槙野)を監視しながら、中盤の柏木や長澤にも気を配り、WBへもタッチラインへ圧迫させる役割だ。ちょっと多くないか。

 20分や26分ごろ、石原の周りにパスを通されて、スライドを強要される。結果、逆サイドの山中と蜂須賀が1対1になるシーンがあった。最後ストップする蜂須賀はさすがといったところなのだけれど、うしろの永戸が迎撃するかしないかの判断にも関わる部分だ。決して、石原やハモンがというより、構造的にやむなしの部分もある。5-2-3の2の脇を縦と横のスライドでカバーするのが今年のテーマになりそう。

 ただ、光速リトリートもそうで、ボールを持っていない時のインテンシティ、プレー強度を維持し続けられるかここはチャレンジだ。まだ、できる。必ず、できる。

*概念図

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■ポジティブトランジション

ショートトランジション:長沢、ハモンがターゲット

ミドル/ロングトランジション:縦志向

 奪ったら縦に、長沢、ハモンをターゲットに前進していったベガルタのポジトラ。基本は縦志向だったのだけれど、64分のように、ポゼッションによるポジショナルアタックに移行するシーンもあった。ただ、浦和のCB陣も強固で例えば、ハモンも競り合いで負けるシーンやドリブル突破を許してもらえなかった。ある程度うまくはいっていた。あとはその先、どの程度リスクを冒して、つまりはカウンターを食らう可能性を背負いながら、突っ込んでいけるかだと思う。まだ、開幕戦。可能性は無限に広がる。

 

■考察

見えた新機軸

 ビルドアップの形やセットディフェンス、また左右のサイド、ビルドアップ隊それぞれのユニットの可能性。どれも今年手に入れた新たな力だ。開幕戦にも関わらず、完成度も高く、あとは新加入の選手たち含めて、チームとして進化させたい。

 

誰も通しやしないぜ

 やはり、セットディフェンスはどうなのだろう。縦横のスライドやプレー強度が求めれる構造で、一瞬の判断、選択ミスが死につながる。そこがチャレンジなのであれば、突き詰めるよりほかないのだけれど心配である。ソリッドなディアゴナーレでないのなら、もっとミクロ的な選手の判断の部分、実行の部分を突き詰めていってほしい。大丈夫。必ずやれる。

 

教えを守り、ルールを破り、師から離れる

 攻撃面の期待をひとつ。レーンに関して。おそらくベガルタの選手にとって、レーンは体に染みついたものになっていると思われる。この試合も、レーンを意識する立ち位置を取りながら、でもレーンに縛られない、ぎこちない感じではなかった。かといってカオスでもない。これが武器というやつなのではないかなと。レーンを舞台に、レーンを操り、レーンを破壊し、レーンで創造し、レーンで倒す。そんなベガルタを今年見ることができる気がする。気がするだけ。

 

■おわりに

 終わった。あっという間だった。黄金の歓声とともに開幕した試合は、僕が待ち望んでいた瞬間だった。けれど、いつの間にか終わっていた。永遠に、この希望に溢れる時間が続くかと思っていた。開幕戦とは、そんな0が1になる特別な時間だと思っている。

 始まってしまったからには、もう後戻りはできない。やれるだけのことはやって、あとは少しの希望を携え進んでいくだけだ。今年も、ともに。まだ負けてないと叫びながら。自分の可能性を信じて。信じる勇気をもって。出発。さあ、行くぞ。

 

「母さん、ごめん。俺は…行くよ…!」こう言ったのは、バナージ・リンクスだ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

www.footballista.jp

sendaisiro.hatenablog.com

東邦出版 ONLINE STORE:書籍情報/ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html