蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

新シーズン始動!【Now Loading#9】

雪の冷たさから沖縄の暖かさまで

さて、Now Loadingも第9回を迎えました。年が明けてからすでに2週間ほど経って、1月も半分を終えてしまいました。2023年も高速で進んでいきそうな気配しかしないです。あっという間繋がりだと、ベガルタ仙台が9日に始動。さっそく泉での練習、新加入選手会見、キャンプと開幕に向けてギアを上げまくっています。初日の練習は公開され、選手たちもいい緊張感を持てたのかなと思います。チャントもそうですけれど、こういうのも初の選手もいるのか…と思うと、少しずつコロナ禍から復興してきてるのを感じます。それでもって、翌日の雪、雪、雪!もはや心を折りに来てるのでは?まあこの時期降ってるのは当たり前で、今年はまだ雪が残るほど降ってないので印象が強かったのかもしれないですが。アキさん(林彰洋)が完全に「騙して悪いが」を食らっていてニチャァしてたのは内緒です。これからは、キャンプを中心に情報発信がされて、試合に向けた具体的な情報があふれていくことでしょう。このじわじわとベガルタ仙台の情報が広がっていく感覚、年明けならではありますが、僕は結構好きだったりします。

 

 

 

 

明星【Now Loading#8】

よろしくお願いします

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。2023年になって、1回目のNow Loading。バタバタと年末年始も消化され、新年のスタートが各地でされている。ベガルタ仙台は、そうそうに新体制を発表し、年始の今日から始動した。今年のオフは、早くから始められたメリットを存分に活かしている。AKIRAさんの戦術浸透も早いタイミングから始まり、2017年のように新しいサッカーの土台づくりができていけたらいい。そんなこんなで、正直年末年始休みでそこまでネタ供給もなかったのでこんなところで。いやそらそうでしょうよ、クラブだって休みだったんだし仕方ないじゃん。僕もまだまだ餅食って基礎固めしないと。

 

 

 

「流れよ僕の涙」と、少女は微笑んだ。5

世界を司る

遠くから銃声が聞こえる。

その火薬が焼ける乾いた音は、何発も何発も放たれている。

一度止んだと思った次の瞬間、次次々と連続した音が響き渡る。

焦げ臭く、煙臭いこの場所においては、これが日常だった。

 

その銃声が、ピタリと止む。

さっきみたいに、また鳴り響くことなく、まるで台風の前日のように、まるで雨上がりの公園のように静かになった。

この戦場において、その瞬間はたったひとつしかない。

『彼女』が通る時だ。

 

18歳の、その女子高生は、たったひとりでこの戦場を闊歩している。

世界を貫く、一発の弾丸のように。

彼女は、戦場のど真ん中を歩き続ける。

 

「僕は帰ってきたんですよ」

そう、「彼女」は囁いた。

誰に聞こえるわけでもなく、まるで自身に言い聞かせるように。

あるいは、彼女を見つめる誰かに、宣言しているようだった。

彼女は、帰ってきた。

 

かつて「重力少女」と呼ばれた、サッカー与太話好きな、圧倒的なまでのヒロイン力を見せつけられた宮城野原 詩と戦い、「宿敵少女」と呼ばれた佳景山 御前と来る日も来る日も戦いついに敗れるまでついていた名は不敵少女。

 

日常に潜むサッカー談義の世界から、三羽烏を引き連れ、この現世へと降臨した。

高身長で、学校の人気者で、朗先輩は僕にメロメロで、史上最強最上美少女であるこの僕が。

今、まさに、現れようとした。

 

「変なナレーションしてないでさっさと靴履いて出てこいや!!!!!!」

え?

「ここは戦場じゃなくて学校だ!!!世界はお前を求めちゃいないわ!!!」

え?

「というか後半ほとんど自慢というか惚気も入ってたぞ!!!」

え?

「なんか喋ったらどうなんだ!!!なんで私の話には無反応なんだよ!!!」

今日も御前さんはうるさい。

 

これは、僕、東照宮つかさが高校生活最後に体験した話。

僕が朗先輩たちと離れて、夏に巨悪と対峙してから少ししたころ。

季節は急速に冷え、暗く、洗練されていった。

 

「ただいま」

と言いながら、僕は微笑んだ。

 

秋空の帰り道を帰る2人。下駄箱からド派手な登場をした東照宮つかさは、佳景山御前から小言を聞かされながらの下校になった。

 

「お前いい加減普通に帰れないのか」

「普通とは?」

「普通は普通だろ!靴履いて黙って出てくればいいじゃんかよ」

「それじゃ困ります。御前さん」

「何が困るんだよ?」

「それでは……つまらないじゃないですか」

「つまるもつまらないもないだろうが!!」

 

「私たちこれでも受験生なんだぞ」

目の前で「ウマー」と言いながらドーナツを頬張る東照宮つかさ。

「寄り道とかしないでさっさと帰って受験勉強しないと」

「そんなことより御前さん。ほら」

「ん?」

ピースピースとポーズをとる東照宮つかさ。

プリクラには、可愛く写る東照宮つかさと仏頂面の佳景山御前が写っていた。

 

「まあいいじゃないですか。こういうのも」

「いいっていうかほぼ毎日お前と帰ると寄り道してるんだけどな」

「最近はサッカーだって見てないですし、こういう息抜きがほしいところなんですよ」

 

「二人そろって県外に進学だしな」

「そうですよ。こうして御前さんと遊びながら帰るなんてできなくなるんですよ?」

「そう言われるとちょっとセンチメンタルな気持ちになるな」

「爛れた大学生活に、甘酸っぱい青春なんて似合わないので、今のうちに味わっておくべきです」

「私も爛れるみたいに言うな」

 

「じゃあ、また明日」

「ええ、また明日会いましょう御前さん」

そう言うと2人は、それぞれの帰り道を歩き始めた。

 

「ん?」

スマホの通知に気づいた僕は、久しぶりに見た名前に少し嫌な予感があった。

それは、かつての協力者の名前で、僕の叔父の名前。

『薬師堂柊人』

Foot Lab編集長からの連絡だった。

 

「やあ久しぶり。つかさちゃん」

「お久しぶりです。叔父さん」

別に連絡なんてしなくても、僕の家の前にいるのなら、特段問題なかったように思う。

一応の配慮、なのか。

「冬以来…だっけ?ずいぶんと懐かしくなってしまったね」

「ええ。朗先輩たちが卒業した時以来ですから」

 

僕はあの時、傷心していた朗先輩を救うために、叔父に協力を依頼したのだった。

あの榴ケ岡神奈子を打倒するために。

朗先輩の仇をとるために。

 

「実は、今回、俺の方からつかさちゃんに頼み事があって来たんだ」

「なんです?頼みって」

「ある生徒を探している。神杉高校の生徒だ」

「人探しですか。しかも僕の学校の生徒を探るようなことをしてほしいと」

「冷たい言い方だな、つかさちゃん。きっと君も気になると思うんだ」

「何にです?」

「その生徒にだよ」

「それってどういう……」

「未来予知」

「え?」

「その生徒は、いや少年は、サッカーで起こる未来を完全に把握することができるんだ」

 

「どうだい?面白そうだろ?」

「仮にその話が本当だとしても、僕はあまり気乗りしません」

「どうして」

「さっきも言いましたけれど、自分の学校の生徒を調査する真似はしたくないってことです」

 

僕は、なぜか旭ケ丘 愛理主を思い出した。

学校の副会長である彼女が、僕に勝負を挑んできたのは夏の出来事だった。

僕のことを入念に調べ、空き教室にまで誘い込み、対面するところまで追いつめた。

叔父の頼みとはいえ、借りがあるとはいえ、正直拒否したかった。

 

「これは……」

いつもの叔父の口癖が出る。

「これは、役立たずの叔父の、情けない編集者の土下座にも近い頼みなのだけれど、そこを何とかお願いしたいんだ。俺があちこち嗅ぎまわるより、つかさちゃんから聞いてもらった方がスムーズに進むと思うんだ」

「それで、僕にとっては何が嬉しいんです?」

「原稿を横流しするよ」

 

ふざけた提案に、僕は吹き出しそうになったのだけれど、とりあえず我慢した。

馬鹿なのか?

「叔父さん、さすがにそれはマズいでしょう」

「なんなら、あの宮城野原 詩の初原稿を紙面掲載前に流してやってもいい」

「別に、直接ご本人から伺いますから不要ですよ」

 

「頼むよつかさちゃん!君だって興味あるだろ?未来予知ができる少年だぜ?」

まあたしかに。

そんな噂が本当なら、ですが。

「なんならそいつとサッカーを観てほしい。それで嘘か本当かすぐ分かるはずだろうからさ」

なんだか、だんだん叔父さんがかわいそうに見えてきた。

それに、不思議と興味が湧いてきました。

まったく。こういうところは、親戚としての血を感じます。

 

「未来予知ですか……」

「協力してくれるかい?」

「朗先輩を助けてくれた件もありますし。いいですよ、名前を聞くのであとは叔父さんからコンタクトしてください」

「ありがとう!本当にありがとう!」

「代わりにFoot Labの定期購読料、無期限でタダにしてくださいね」

「え?」

そう言うと僕は、玄関の扉を開けた。

僕の新しい冒険が始まった。

そして、これが高校生活最後の問題の始まりであることを、この時の僕は知らない。

 

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▼読まなくていいけれど読んでおくと楽しめる

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▼読まなくていいけれど読んでおくともっと楽しめる

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Roberto De Zerbiの4vs2

Roberto De Zerbi(以下RDZ)は、自陣からボールポゼッションを使ったボール出しを志向している。

4231、433、3421のフォーメーションを使いわけながらも、センターバックが攻撃起点になることは変わらない。

相手のプレッシャーをあえて受けながら、その背後を狙っていくプレーの連続は、非常に戦術的といえる。

戦術的というのは、相手の意図を汲んだうえで、あえて警戒が強い場所でプレーすることも含まれている。

今回は、自陣でのボール出しにおいて、相手が強力なプレッシャーをかけてきた場合、そのプレッシャーを回避するだけでなく、プレッシャーの背後へとボールを進めていくRDZのボール出しを記録しようと思う。

 

以下はより簡易化した図。

2人のCBがいて、相手DFはMFへのパスラインをカバーしている状況を模したもの。

DFは少しずつホルダーを追い込むが、自分の背後のスペースを大きくするリスクをテイクしている。

前線からのプレッシングは、常に自分の背後へのリスクを背負うもの。

 

それでも少しずつホルダーへの間合いを詰めて、パスラインを切る。

ホルダーは、2人目への選択肢に限定させられる。

 

2人目に限定したDF。

3人目へのパスラインもカバーすることで、2人目の選択肢を限定。

ここでもDFをギリギリまで引きつける。

 

ここで4人目が接続。

ポイントは、初めから繋がっているとマークされて簡単に時間とスペースを使えないので、DFの意識とプレーがホルダーに向かっているタイミングを狙う。

引きつけただけタイミングの数が多くなるので、前述したギリギリの引きつけが大事になる。

 

相手のプレッシャーラインの隙間を狙う。

高いパス技術と次のプレーの予測が重要になる。

 

カバーされていた3人目は、DFのプレッシャーの背後で時間とスペースを持っている。

ここまでボールを運べたら、プレッシャーラインを超えられるので前進と言える。

 

ボールの進行ルート。

4人目はワンタッチで3人目にレイオフ

 

ボール前進成功。

 

後方の選手が引きつけることで、DFの背後に時間とスペースが生まれる。

あとはワンタッチプレー、レイオフを使って、カバーされて消されたはずの味方にボールを運ぶ。

DFからすると消したはずの選手にボールが運ばれるので精神的にも痛い。

そしてタイミング。

DFの意識がボールとホルダーに向かっている間に、ポジションについてパスをもらう。

DFのプレーや思考込みのボール出しなので、「自分たちだけのプレー」になりにくい。

後方の選手に引き寄せられなければ、そのまま前方のスペースに運び、正対する。

いずれにせよ、ボールを動かして相手の意識を集める。

 

現在ブライトンでは、左センターバックのレヴィ・コルウィルがボールを持って文字通り「止まる」をしている。

そして相手がボールを取りに来るのを待つ。

間違ったプレッシャーならすかさず前線にボールを供給するので、DFとしては安易に動けない。

プレッシャーにいきたいのにステイさせる様はまさに、コルウィルの「時止め」である。

当たり前のように、センターバックがゲームを進めていく時代になった。

 

 

 

 

 

 

Started 2023【Now Loading#7】

来季の土台が固まった

メリークリスマスみなさん。仙台の来季の体制が発表されました。オフが早かったとはいえ、かなり速い動き。俺でなければ見逃しちゃうね。チーム戦術を浸透させるうえでも、スポンサーに向けて本気度をアピールするうえでも、とても大きいことだと思います。兵は"機動"なり。陣容もかなり重厚というか、あとはやるだけ感があります。

よくAKIRAさんをとりまく言説に、中長期という言葉があります。高度な戦術と一度身に着けたら、ボール支配を通じたゲーム支配が可能になる主導的なサッカーで、選手もチームも成長していく、という具合です。ただこの陣容だと、来季に懸ける思いどころか、ひとも金もかけているのでわかりやすい結果が必要になります。それに中長期かどうかはAKIRAさん目線でも重要にしているのは、就任時にもコメントがあった通りで、監督とクラブとでお互いがお互いを魅力的かどうか見極めてる関係にあると思います。そういう意味で、お互い高め合うような、今回はクラブがAKIRAさんに対してやるべきことをやったと言えるでしょう。

逆にAKIRAさんがクラブや関係者に求めていくこともあるし、やろうとしているサッカーに対する理解を僕たちもしてかなければいけないです。J1昇格より、J2優勝のタイトル獲得を目指して、仙台にかかわるすべての人間が新しい仙台のサッカーを作っていければいいなと思っています。2023シーズンはもうすぐそこだ。

 

www.vegalta.co.jp

出会いと別れの横断歩道で【Now Loading#6】

それでも残っていくもの

M-1終わったあとに書いてます。だから完全に熱風にあてられちゃって。ほんまおもろいって。なんか1個でも面白いことを言わないといけない気すらしている。絶対に言わんからな。これからW杯ファイナルだってあるのに。年末が畳みかけてるって。むっちゃ2022年終わらせにきてるもん。エグいって。はい。すみません、そんなこんなで今週のNow Loadingです。

田中渉と石原崇兆吉野恭平皆川佑介の完全移籍で、涙を流した週になりました。ワタルは、恩師のナベに求めらるような形で山形へと移籍しました。必要としてくれる人がいる以上、それに応えるべきなんです。それでいいんです。また来季3421が採用される算段が高いなかで、バック3の適性があるタカチョーと吉野の退団は、仙台に新しい時代が訪れる契機になるかなと思います。2人とも19年、20年入団組で、天皇杯ファイナル後の苦しい時期に、選手としてのピークを迎えた選手になります。そういう意味では、J2降格の今年もクラブに残ってくれたこと、怪我をしても復帰まで全力を懸けてくれたこと、そのすべてに感謝しかないです。21年入団の皆川も、苦しみながらも、ホーム栃木戦で見せた逆転ゴール。コーナーフラッグをつかんだシーンは、ベストバウト候補だと思うし、ユアスタ劇場を復活させた一人だと思います。

仙台は、なかなか中長期で選手を残し続けられるようなクラブではないので、天皇杯で負けた悔しさとか、降格した辛さとか、そういったものを伝えられる選手が少なくなるのは自然なことになります。もっといえば、J2優勝したメンタリティとか、リーグ2位になった自負とかも同じですね。そんなのもひっくるめて、長くいるサポーターが伝える役割もあると思うし、クラブも歴史として積み上げていってほしいなと思っています。始まりがあれば、必ず終わりがある。終わりがあれば、また新しく始まる。苦しい時代を闘い続けた彼らを僕は、誇りに思っています。

 

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伊藤・渋谷・堀のケルベロス体制がもたらすもの【Now Loading#5】

”ムキムキ”になったコーチ陣

前回から1週空けてお送りするNow Loadingも5回目。世間のサッカーは、すっかりW杯一色、寝不足や在宅勤務が増えた要因となっている。日本代表も、グループリーグでドイツ、スペインを撃破。前回大会準優勝クロアチアに先制するものの、延長とPK戦の末、カタールを後にした。成績上は、4試合を2勝1敗1分の勝ち点7と、強豪3か国に善戦した。一方で、同格のコスタリカに対しては、攻めあぐねてワンチャンスをものにされた。サッカーは、不確実で、難しいものだと改めて実感した。

さて、我らがベガルタ仙台はというと、ヘッドコーチに渋谷洋樹、コーチに堀孝史、GKコーチとして工藤輝央がやってきた。AKIRAさんの腹心である渋谷さんの就任。甲府や大宮への復帰、磐田に残留などなどなど、いろいろな外部要因もあったけれど、AKIRAさんを支える形で仙台にやってきた。さらに、浦和、ヴェルディで監督だった堀さんもコーチ就任。なんだこれ。こんなの聞いてないぞ。というか、今季と様変わりしてムキムキのアップデートじゃないですか???堀さんといえば、4‐1-4‐1という4バック、3フォワード系の使い手で、中盤の4人が肝になるイメージだ。3-4-2-1からの可変という「条件付き」4-3-3を表現しようとしていたAKIRA仙台。プレーオフ進出にあたって封印していたが、来季は本格導入する可能性が高まったといえる。というかこれで、4-4-2のローブロックからの行って来いカウンターだったら詐欺だろ。それに、これだけの陣容でAKIRAさんとしてはJ2優勝、最低限昇格というハードルを課せられたともいえる。それに、堀さんの就任は、強化部統括部長の北野さんの采配とも読める。

就任直後から、やたらと厳しい戦いと高いハードルを課せられるAKIRA。当然、実績とノウハウがある指導者なので、クラブから高い成果を要求されて当たり前である一方で、新しい仙台のサッカーを定着させる戦いも取り組んでほしいと思う。そういう意味では、AKIRAさんの理解者が多くいることは大事だし、伝道者としての役割もあるだろう。選手、サポーター、クラブ含めて多くの関係者が仙台のサッカーづくりにかかわっていけたらいい。反撃の狼煙は、上がったというわけだ。