蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【ベガルタ選手分析】ハモン・ロペスとシュートと約束の日

はじめに

 どうも、僕です。今回は、ベガルタネタ。データで紐解くベガルタ選手分析です。分析というよりは、どちらかというと紹介に近い形になりそうです。こんな選手がベガルタにいるよが紹介できれば良いなと思っています。今回は、FWハモン・ロペスです。では、レッツゴー。

ハモン・ロペスについて

 ハモン・ロペス(以下、ハモン)は、ブラジル出身の30歳です。ポジションはFWです。2014年にベガルタに加入。着々とゴール数を増やし、2017年には、柏レイソルに移籍します。ただ柏では残念ながら、期待されていた活躍ができず、2018年途中にベガルタに帰還しました。今季は、9番をつけ、エースとしての活躍を期待されている選手になります。

ハモン・ロペスの特徴とある仮説

 ハモンの特徴といえば、左足から放たれる強烈なシュートになります。サポーターからは、「ハモン砲」と呼ばれ親しまれています。一部の熱狂的なファンの間では、波動砲やサテライトキャノン並みに愛好されているとかいないとか。当然、このハモン砲がバリバリゴールに突き刺さって、何度もゴールネットを張り替えるような事態になれば、僕たちは喜んで「ハモン砲によって壊れたネットを張り替えるための募金活動」に取り組むのですが、そんな簡単にはいかず。まるで必殺技のように、決める時は決めるのですが、必殺技を乱発したうえなので、一部のウルトラマン仮面ライダーで育った世代からは不評なようです。というか、サポーターの多くが「頼むから1本決めてくれ…!な…!」とまるでなかなか寝付かないこどもに懇願するような気持ちで応援しています。

 ここで、僕は疑問を持ちました。「ゴールを決めるだけなら、もっと良い体勢で、自分の得意な形に持ち込んで撃つはず。でも、センターサークルから撃つは、相手が2人、3人で前に立ってるのに撃つは、というか触った瞬間撃つわで、ゴールする気ないんじゃないか。もっと別な理由があるのでは?」と考えたわけです。

 そこで思いついた仮説は、「柏時代のチームメイト、クリスティアーノとシュートを撃ち続ける約束をした」のではないかということです。クリスティアーノもめちゃくちゃシュートを撃つイメージがあります。ここは、ロジカルな検証が必要なので、数字ベースであくまで客観的に見たいと思います。

ハモンとクリスティアーノの約束

 まずは、ハモンの今季ここまでのスタッツです。データは、Football LABさんからお借りしました。ありがとうございます。これで、極めて客観的な確認ができそうです。

www.football-lab.jp

ハモン・ロペスのスタッツ

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 まずは、シュート部位のデータです。部位と言っても、ハツやミノのことではなく、どこでシュートを撃ったかです。御覧ください。いっぱい赤くなってます。見事にいっぱい左足からシュートを撃ってます。クロスもいっぱい左足からクロスしてます。ちなみにアンデルソンロペスも指標が近い選手として紹介されると、「ロペスはシュート撃ちまくる説」が出てしまうので本当に勘弁してほしいです。

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 次に、シーズン記録の実数とFootball LABさんが独自にサンプリングしているチャンスビルディングポイントを見てみましょう(横文字が並ぶとそれっぽくなります)。

 ここまで19試合に出場。撃ったシュートは73本、ゴール数4、決定率5.5%という数字です。何が何やらさっぱりです。とにかくいっぱいシュートを撃ってるようです。計算してみると18.25本のシュートを撃つとゴール上げられる計算になります。1試合に5~6本のシュートと考えると3試合に1本はゴールに入っている皮算用になります。このデータからも、ハモンはゴールの他に何か理由があってシュートをいっぱい撃っていることが推測できます。ちなみにチャンスビルディングポイントで見ても、シュートは6位と輝かしい成績を残す一方、ゴールは32位と良いのか悪いのか何ともコメントしづらい順位になっています。

クリスティアーノのスタッツ

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  さて、クリスティアーノの今季のスタッツです。利き足は右足なので、青いです。いっぱい右足でシュートを撃っています。クロスもいっぱい右足から送っています。これは、あの日の約束を守っている感がいっぱい出ていい感じです。 

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 次にシュート数です。まさに圧倒的。チャンスビルディングにおいても、シュート・クロスともに1位。攻撃のキーマンとしてバリバリ活躍しています。というか、真面目な話、約束とかなくてもこのぐらい活躍してそうな気がする。気がするだけ。なんだかこんなことを書いているのが恥ずかしくなってきましたが、どんどん行きましょう。

 今季は、ここまで27試合出場。シュート数は115本、ゴール数は9ゴール、決定率が7.8%となっています。試合数がハモンより多いとはいえ、すでに三桁超えのシュート数。やはり、いっぱい撃ってるようです。シュートを12.77本撃つと1点決まる計算になります。1試合6本くらい撃ってれば、2試合に1本ぐらいはゴールに入る計算です。しかもアシストもここまで12アシストを記録。チャンスビルディングポイントの攻撃においても堂々の2位と、完全にエースの働きじゃないですか。

ピッチで会う約束の日まで

 2人のデータ比較から見えてきたものとしては、ハモンは「とにかくシュートを撃ちまくる」に対して、クリスティアーノは「シュート、クロス含めて攻撃全般のエースとしてバリバリやっている」でした。仮に2人が「シュートを撃ち続ける約束」を交わしたとしても、律儀に約束だけを守っているのはハモンの方というか、真に受けたとかいわないのそこ。あとは、クリスティアーノ側については、そんなにがんばらなくてもシュート撃てるしゴール決まるし別に約束してもええで!ぐらいの感覚かもしれないです。知らんけど。もしかしたら、ハモンも柏に行って学んだことで、「まずはシュートを狙う」をクリスティアーノから学んだのかもしれません。FWには必要な考え方かなと思います。

 まあ、いろんな邪推はさておいて、また2人がピッチで出会える日が来れば良いですね。柏がJ2で破竹の勢いらしいので、ぜひとも昇格いただき、来季ユアスタでその再会を目撃できれば良いなと思います。ーーーまた出会うその日まで。今日もユアスタでハモン砲が炸裂する。

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おわりに

 まずはここまで読んでいただいた方々に感謝を申し上げます。どう見てもおふざけ記事です。すみません。弁解は罪悪と知っていますが、あえて弁解すれば、とにかくハモンはシュートを撃つなーと思ったのがことの発端です。しかも試合を見ている皆同じような感想を持っているので、いわゆる期待感というより、なんで撃つん?ってな具合で。まあ色んな仮説がありましたけど、ハモンにとっても柏レイソルへの移籍、同郷のエースクリスティアーノから受けた影響もあったのかなーと素朴に思って、今回の記事を書くきっかけになった「シュートを撃ち続ける約束をした」を思いつきました。あとやっぱり、なんだかんだ言って、ゴールを決めて活躍してほしいなという思いもあります。

 正直、データで選手を見る機会って普段ほとんどなくて、自分が見た実感をデータで見て照らし合わせて見るのは好きなので、今回もさっくりデータを見て書いてみました。Football LABさん、本当にありがとうございます。眺めるのは好きなので、シーズンオフとかにお世話になっています。ぼやーと思ってることを可視化するのってすごく大事なことですし、そこに立てられる仮説と考察に個性が出るんじゃないかなと思っています的なアレを書いておけば許されると思ってたり、思っていなかったりです。今回はこの辺で。では、また。 

 

【Dr.トゥヘル研究所】PSGの攻撃戦術。鍵は3つのトライアングル。

はじめに

 どうも、僕です。今回は、監督トーマス・トゥヘルのPSG攻撃戦術について取り上げます。もともと、好きな監督なのと、PSGでの物語も無事?2年目に入ったので、戦術的な成熟もしているだろうという予測のもと開幕戦を見ました。シーズン最初の試合ですし、まだまだこれからだと思いますが、予想以上に印象良かったので今回記事にしました。研究熱心な監督に選手と札束が渡されたらどうなるのか。個人的な興味もありますが、彼らしい機能美あふれる攻撃が今シーズン見られそうです。では、レッツゴー。

トゥヘルPSGと三角形

アンカーとセンターバックでビルドアップの土台を作る

 オリジナルフォーメーションは、ウィングとCF、アンカーを置くスタンダードな4-3-3。そこから、左WGのムバッペがハーフレーンに移動するのに呼応して、左SBがウィング化するウィングロール。逆サイドの右SBのケーラはアンカー高さぐらいでステイ。ただし肝はハーフレーンとウィングレーンの継ぎ目ぐらいにポジショニングする。

 前線が動的にポジションが変わるのに対して、アンカーと2CBはポジション維持。昨今の流行型は、ビルドアップ隊がゾロゾロ変わるのが流行っているのだけれど、大きく動かさず。開幕戦の相手ニームが4-5-1、押し込まれると5-4-1のような、つまりは1トップの相手に対してプラス1の2CBとアンカーを加えることでビルドアップを安定化させた。前線の選手が無理に降りて来たりして、相手を引き連れてしまって、ボール保持者付近がサポートしているのに、クリーンにならない現象は、世界各地であっちこっちそっちで起こっているのだけれど、そういったデメリットを回避できる。もちろん、ボール持った時に強力なCBがいる前提なのだけれど、居るなら使わない手はない、ということだ。

 そんなこんなで、相手が「これはまずいな」とCBやアンカーにプレッシャーをかけに出てくるのであれば、今度は、前線のトライアングルが躍動する設計だ。

図1

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 4-3-3からの可変。あえて、電話番号をたたくなら、2-3-5といったところか。ビルドアップ型は、W字型。トゥヘルドルトムントでもよく見られた型。PSGでは担当者が異なり、左インテリオールのヴェラッティと右SBのケーラーがW字に入る。ただ、アンカーとCBのトライアングルが軸になるのは変わらない。

図2

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 状況によっては、2-4-4のような形もある。よく分かるのは、ヴェラッティとドラクスラーの役割は、同じインテリオールでも異なるということだ。ドラクスラーの方がより、ファイナルサードで力を発揮するように、ヴェラッティはビルドアップを助けるように役割を与えられている。個と組織。この辺りの配分は、トゥヘルがPSGに来てうまくなったのかなと。

ウィング、インテリオール、サイドバックのポジション交換でローポスト狙い撃ち

 さて、前線のトライアングルについて。この3人の動きでファイナルサードを攻略していく。まずはインテリオールのローポスト襲撃。左はムバッペがレーンチェンジしているのでムバッペが。右はドラクスラーがそのまま縦のランニング、あるいはボールを受けると進出していく。ローポストは、サッカーのルールが変わらない以上、ここからのマイナスクロスとセグンド(ファー詰め)クロスがゴールを上げるうえで最も得点確率の高いプレーになる。ここをまずダイレクトに狙う。当然相手もCBやCHがついてくるので、簡単にクリーンな状態にはなれない。

図3

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 右サイドは、ウィングのサラビアがカットインして、ドラクスラーが空けたスペースを使う合わせを行う。第2手は、そのままSBケーラーがウィング化するか、ドラクスラーが外流れでウィング化して三角形を循環させる。

図4

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図5

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方の左サイド。エース級のムバッペがいる。彼がハーフレーンの第3レイヤーに立つことで、相手SB-CB-CH-SHに対してまずはシンプルに、焦点プレーで守備の選択を迫る。 合わせで、ウィングレーンにベルナト、ハーフレーンの第2レイヤーにヴェラッティが立つことでその焦点が絞られるのを緩める。そこに緩みがでれば、そのままムバッペがハーフレーンを駆け上がり、ローポストを強襲する。単純だが、これが一番強力だ。ポジショナルプレーの考え方である、「味方の負荷を出来る限り下げて、相手の負荷を上げて優位性を作る」に則った極めてポジショナルな攻撃だ。また、ベルナトの攻撃も強力でまさにウィングロールでサイドからローポストを襲撃することもあれば、サイドチェンジキックを受け取ることもある。また、サラビアが流れてきて、ムバッペがサイドから突撃する形も見られる。

図6

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図7

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図8

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 いずれにせよ、①ウィングロールで幅取りがいること、②ハーフレーン/第3レイヤーに立つこと、③ハーフレーン/第2レイヤーに立つことの3点でトライアングルを形成して、ローポストへの進入を狙う。

図9

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ネイマール退団濃厚と言われているが…

 2019年8月12日時点で彼にはいろんな噂があるが、ほぼ間違いないとされているのがPSGを去るということ。その代わりに誰が来るとか、来ないとか言われているのだけれど、現時点でもPSG攻撃としての完成度も高く、ビッグクラブ特有の悩みにトゥヘルも挑戦することになりそうだ。ネイマールにしても、この攻撃戦術のなかに織り込むのであれば、ムバッペのポジションになりそうだし、サラビアのようにタッチライン際に張って裏へのランニングのようなプレーを求めるなら、それこそネイマールである必要ではなくなる。居ても居なくなっても悩ましい存在。いずれにせよ今後の編成に注目することにしたい。 

おわりに

  簡単ではあったのだけれど、トゥヘルの攻撃戦術を読み解いた。個人的にトゥヘルは、研究者、実験好きで敬意をこめてドクターと呼びたくなるサッカーオタクなのだけれど、PSGというビッグクラブを率いること、過去のドルトムントでの教訓から学んだことで選手の個性を最大化させるような組織化を目指しているように見えた。選手の入れ替わりとか難しい部分もあるとは思うのだけれど、コレクティブなチームで欧州サッカー戦線に挑んでほしい。

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【首都攻略戦】Jリーグ 第22節 FC東京vsベガルタ仙台 (1-0)

はじめに

 さて、いきましょうか。アウェイFC東京戦のゲーム分析。立ちはだかった首位の壁。灼熱の夜の決戦は、首都のチームに弾かれてしまう。届かなかった熱意の先に、何を見出し明日へと歩き出すのか。熱戦冷めやらぬなかで、絶対王者との戦いがすぐそこに迫っている。その時、彼らが見つけ出す決断とは。今回もゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

目次

オリジナルフォーメーション

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 ベガルタはいつもの4-4-2。リザーブに新加入の中原が入っている。札幌時代に天皇杯出場のため天皇杯には出られない。リーグ戦フル稼働のために入ったと思われる。

 東京も4-4-2。右SHに神戸から加入の三田が早速スタメン。旧友とこんな形で出会うとは。

概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を援用して分析とする。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。(文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)
  • また、ボール保持時については、①相手守備陣形が整っている(セットオフェンス)、②相手守備陣形が整っていない(ポジティブトランジション)に分ける。ボール非保持時についても、①味方守備陣形が整っている(セットディフェンス)、②味方守備陣形が整っていない(ネガティブトランジション)場合に分けている。

ボール保持時

少し違った試合の文脈

 ベガルタの攻撃の狙いとして、まず第一優先が相手の守備陣形が整っていないポジティブトランジション時に相手CB脇、SB裏にFWが走り込みボールを供給するといった形をとる。また、ボールを持った時でも、シンプルにFWへのボールが多い。これは、ボールを持っていない時に関係するのだけれど、ある程度守備陣形を維持したまま、あるいは陣形が崩れた状態でも即時奪回できる状態を作るためにある。最近は、ほぼ維持のため、および1秒でも早く陣形を復帰するためのリトリートが優先事項になっている。だから、ポジション交換は最小限に、2人称での崩しが多くなっている。

 ただ、この試合。FC東京ホームであるにも関わらず、東京がローブロックを敷き明確なカウンター狙い、あるいは後半の決戦に持ち込む形で対抗してきたことが少し想定外だったのかもしれない。ある程度ボールを持つ時間というのは、もらえるものと踏んでいたのだと思うのだけれど、 より持てる時間が多かった。持てるなら持てるで、よろしい、ならばポジショナルだ。

ハーフレーン攻略

 ビルドアップは、ボックス型と富田がCB列に降りる逆丁字型。狙うのはハーフレーン。4-4-2の泣き所であるハーフレーンをダイレクトに攻略する形を採用。両翼のトムキャット可変との合わせ技で、東京守備陣形に負荷をかける。松下が左ハーフレーン・第2レイヤーに立つので左サイドからの攻撃が多かった。永戸と関口が中間のポジションを取るので、東京のSH、SBを誘き出すことに成功。ギャップをハモンや石原が狙う形に持ち込む。縦に一本といっても、配置によるものなので、言語化による単純化は嫌だなと思ったり思わなかったり。

図1

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図2

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図3

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 ただ、その先が無かった。ファイナルサードへの進入はうまくいった印象だったのだけれど(東京が前プレで嵌めこまずリトリートを取ったためとも言える)、ではその先にボックス内に進出するとか、ハーフレーン突撃とか、ローポスト襲撃とかとかとかとか、あまりというかほぼ見られなかった。ファイナルサードに到着したらクロス。クロス。クロスだ。永戸と関口のランニングが見られたり、執拗にハモンがサイドに流れる、逆サイドの蜂須賀のアイソレーションなど、記号としては良いものが見られているなか、「で、どうする?」の部分が分からなかった。もちろん、東京がピッチ縦半分に圧縮してリトリートしているし、人数をかけられて息継ぎできなかったこともある。ただ、もう少し何かが見たいなと思った。今のチームの優先順位からすると、もしかしたら低いのかもしれないのだけれど、結局のところ、その課題を解決しないといけないような。多分。 

ボール非保持時

東京のゲーゲン+リトリートへの対抗型

 どちらも4-4-2なのは前述通り。東京が敵陣では人数をかけたゲーゲンプレス。かわされると光速リトリート。ベガルタボールから始まるなら、ローブロックを組んで4-6-0のような形で待ち構える。攻撃ではこの形でベガルタ攻撃を苦しめた。磐田戦のようなカウンター対策と最後の崩しのもろさを逆手に取った。対するベガルタも激しいゲーゲンプレスはないものの、リトリートブロックでカウンター機会を伺っていた。ただ、東京も2トップ脇を利用して、ボールを前進させようとしていた。東京も永井とオリヴェイラの裏抜け攻撃が優先にしつつ、ボールを持てば、組織的に崩す形で迫って来た。ベガルタとしても、4バックを維持しながら構えることで裏へのスペースを消し込みつつ、全体的にボールを持っていない時の守備意識を持つことで、3バック化するビルドアップ隊への前プレはないが、最終的には自陣で回収する戦い方とした。

図4

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 あとは、陣形が崩れた際に、2CB脇にロングキックを蹴られるのをシマオと平岡が対応することは変わらず。ただ、結果的にはシマオのPKを誘発してしまったといえばそうだし、では他に戦い方があったかと言われると何とも言えない。ストッパーとしてのシマオ。重要なピースとして欠かせない存在。ある意味、マックス値を出しているなかで、今後これが縛りとなってこないか。心配するのはタダなのでしてしまうのだけれど、なんともなければよい。

考察

ファイナルサード攻略の長い長い課題

 首位東京にうまくやられた。勝ちを持ってかれたと言える。ただ、その結果に飛びつく前に見ておきたいのがベガルタの攻撃。特にファイナルサードの攻略に関しては、選手で解決するのか、戦術面を見直すのか。それともどちらもなのか。交代で入ったリャンがヒントになるように、両ウィングの選手カラーを変えるのも手だ。そうなると、ボールを持っていない時や長いスプリントに耐えられるか。守備構造の見直しをするくらいなら現状維持は、別に悪い選択ではないし、むしろ当然とも言える。ただ、あえて戦い方を限定したことによる咎を受けなければいけない。戦い方として、そこは耐えるのか、少しずつリミッターを外すのか。いずれにせよ、いつかは向き合わないといけない課題だと思う。昨年の西村退団以降、「西村がいなくても点数取れるやり方すれば西村が生まれる」はその前の点数を取るところで躓いてしまった。最後の問題だと思っていた守備についてではなくて、じゃあどうやって点数を取るの?が僕たちに与えられた最後の問題なのかもしれない。 

おわりに

 勝つこと、勝ち点を積み上げること、並大抵なことではない。その並大抵なことではないことを東京はやっているし、それを見せつけられた。格の差を戦う舞台の差を見せられた形なのだけれど、何度も挑戦するべきだし、そのたびにテーマを持って狙いを持って戦えば、道は自ずと拓ける気がする。気がするだけ。次は川崎戦。勝つために何ができるか、それをぶつけようじゃないか。あとはいつものように、大好きなサッカーを思いっきり楽しんでほしい。トライ。トライ。トライだよ。

 

 「死にに行くわけじゃない。俺が本当に生きてるかどうか確かめにいくんだ」こう言ったのは、スパイク・スピーゲルだ。

 

参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

www.footballista.jp

www.footballista.jp

sendaisiro.hatenablog.com

sendaisiro.hatenablog.com

東邦出版 ONLINE STORE:書籍情報/ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html

 

 

【夏、ベガルタ】Jリーグ 第21節 ベガルタ仙台vsジュビロ磐田 (2-1)

はじめに

 さあ、いきましょうか!ホーム磐田戦のゲーム分析!中断明け。灼熱の夏とともに帰って来たJリーグ。ホームユアスタに迎え撃つは、レジェンドと別れを告げ新たな一歩を踏み出したジュビロ磐田。それでも、相手がどうあれ、僕たちは上にいかなければいけない。電光石火の攻撃。そして最後に奪い取った先に見えた景色は。今回もゲーゲンプレスで振り返っていきます。では、レッツゴー。

目次

オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、両翼が可変するトムキャット型4-4-2。GKのクヴァはユアスタデビュー戦。FW長沢がケガから復帰してリザーブ入り。ほかのベストメンバーと言える。

 栄華を極めた名波ジュビロの終焉後、初の対戦。3-1-4-2の前輪駆動型を採用。4-4-2からのアダイウトンのカウンター!なんてのが素人目線から思ってしまうのだけれど、アダイウトンリザーブ。もう少し、違う目線でサッカーをやろうとしているのか。

概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を援用して分析とする。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。(文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)
  • また、ボール保持時については、①相手守備陣形が整っている(セットオフェンス)、②相手守備陣形が整っていない(ポジティブトランジション)に分ける。ボール非保持時についても、①味方守備陣形が整っている(セットディフェンス)、②味方守備陣形が整っていない(ネガティブトランジション)場合に分けている。

ボール保持時

ベガルタ電撃戦

  ベガルタの2点は、どちらも相手守備が整っていない状態、いわゆるポジティブトランジションからのカウンターから決めたものだった。セットプレーの絡みもあるので、一概にすべてがそうだとは言えないのだけれど、現象の根っこには磐田のカウンター予防要員による。

 磐田のオリジナルフォーメーションは、3-1-4-2で、ベガルタにもおなじみの型なのだけれど、数列表記でも分かるように、後方にCB3人+アンカーの4人、前方にFW2人+中盤4人の4:6の比率になっている。もちろん、試合のなかでこのままということはないのだけれど、磐田の場合は、それなりに前方と後方のポジションを守っていた。特に攻撃時は、WBとインテリオールが高い位置を取るので、後方のスペースをアンカー今野が管理していた。さらには、CBが運ぶドリブル(ドライブ)で持ち上がるので、磐田のスペース管理が難しくなってくる。

 結果、ベガルタは、自陣付近でボールを奪うとまずは空いている前方にボールとひとが動くやり方で前進していった。ベガルタの両ウィングは、関口とミチなので、前に仕掛ける推進力があった。FWのハモンも加わることで、アンカー付近とサイドにできるスペースを使って前進していった。

図1

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狙いとするDF裏への攻撃について

 セットオフェンス時は、いつもの2CB+2CHのボックス型ビルドアップ。対する、磐田は5-4-1でセットアップして対抗。FWの山田がSH役になる形だったのだけれど、2CBがボールを持てば、積極的に前からプレスをかけていった。それに呼応して松下、富田の2センターが空いたスペースに位置取り。磐田のディフェンスは基本的にひとにつく意識が高かったため、マーク役の2センターが松下と富田についていった。今度はそのスペースを使う…といった具合に。芋づる式でひとがスペースを空けてくれるので、そこを使いながら前進といった形だった。ただ、どちらかというとベガルタの攻撃の第一優先は、DF裏へのボール。ハモンとミチでオーバーロードして相手CBを誘き出し、ギャップを石原先生が狙うのが今のチームの攻撃基本戦術。シマオも平岡もシンプルにそこへのボール出しをするので、崩してやり直して崩してやり直してというわけでもない。また、松下と富田も基本は2センターの位置にいて、蜂須賀、永戸のSBも高い位置をとらず、CH位置からボールの前進と合わせて、前進していく。もちろんこれらは、ネガティブトランジション対策と思われる。陣形が崩れているとはいえ、ある程度の形を残したうえでの攻撃といったところか。ハリルJAPANがやっていたことに近い気がする。気がするだけ。特別なことでもないということだ。

 今のメンバーと戦い方を考えたら、ごく自然だし、説明はつくのだけれど、なんども言うように「それ」がすべての解決策ではなくて、ひとつの手段になる。夏の戦いもある。ひとつのチャレンジとして、このメンバーでもっとボールを持った戦い方というのを目指してほしい。もちろん、メンバーの入れ替えもあったりなかったり。でもこれはエゴ。勝ってるから言えるのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。春先に気をもんでた分、今はただ静かに彼らの戦い方を見ようと思う。

ボール非保持時

3バックを撲滅せよ

 まずは磐田のセットオフェンスについて。3-1-4-2という、残留を争うチームにはなかなか見られないといったら語弊があるのかもしれないのだけれど、たとえば4-4-2や4-5-1でブロックを組んだり、Jリーグのフォーマットに照らし合わせれば5-4-1のローブロックから繰り出すカウンター!がまず真っ先に思いく気がする。気がするだけ。 もちろん、3-1-4-2だって、ボールを持っていない時は5-3-2になって、ゴール前にCH+CBが6人並ぶ底堅い型になれる。しぶとくアウェイでは勝ち点1を持ち帰る作業に入るのかなと思ったのだけれど、ジュビロの血がそうさせないのか、さらなる先の未来を見通しての戦いなのかは少し分からなかった。

 ベガルタが2点リードしたこともあって、磐田がボールを持つ時間が長くなる。試合を通しても結局は磐田の方がボール保持率が高かった。3バック+アンカーでビルドアップを安定させ、ベガルタ2トップ脇をCBが前進する形で攻撃を組んだ。ポジショナル。基本はベガルタのように、2トップの裏抜けが狙いだったのだけれど、ボールを持てるなら持てるで、FWとインテリオール、WBとCBが関係して、前進を図った。

図2

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 さてベガルタのセット守備。攻撃時にはベガルタとしてもメリットがある形で磐田は攻めてきた。ただ、事実として2トップ脇を使われて前進されたとも言える。そこからハーフレーンを襲撃されると、ウィングがマーク役のWBを見るのか、ハーフレーンで受けた背後にいるインテリオールを見るのかの「判断」が必要になる。苦手。磐田もその先については整理する時間も無いのだろうし、かなり即興性の高いもので、効果的に崩されたということもなく、クロスさせておけば、平岡、シマオが弾き返せる安心感もあった。アダイウトンのゴール未遂はやられてたけど。

夏の杞憂とひとりごと

 ある程度形になっている今の守備。ただその力の源として、シマオと平岡の2CBコンビと関口・ミチの両翼のがんばりがある。ここがかなり外せない存在になっていることが少し気になっている。気になっているだけ。シマオ役ができるジョンヤが帰ってきたことは頼もしいのだけれど、ウィングもがんばりが効くのがタカチョーくらいになる。あとはタイプ的に違うタイプになる。今の4-4-2は、メンバーや役割によって色んな顔を見せる。だから、世界的にスタンダードなフォーメーションになっている。それをあえて、役割を決めて戦うことになるとそれに応じた選手が必要になる。では、今のやり方を崩せるか。否だと思う。もちろん、自ら限界を決めることは決して悪いことではない。どこまでできて、どこからできないのかを自分たちが理解していることは大事なことだ。それでも、そうだとしても、やはりこの夏、新たな一面を見てみたい気もするし、そんな気もしないかもしれない。勝ってるから。勝利はずるい。すべての行動に説明をつけてくれる。

考察

勝ち点を奪うこと

 わりと渡邉ベガルタとしては、今のチャレンジだったり、表現したいことがピッチできているかがテーマになっていた気がしていて。当然、勝つため必要なことなので、それはそれとして良いのだけれど、ただ、例えばアウェイではしぶとく勝ち点をもぎ取るとか、苦しい状況では割り切ってしまうとか、あまり見られなかった。あくまで、自分たちのテーマのなかでの割り切り、妥協、折衷案みたいなのは見て取れた。ただ、今のチームは、終盤に5バックにするのも当然として、試合中も6バックになっても良いとか、シンプルにFWがスペースに抜けてゴールを狙うとか、かなり勝ちを意識した戦い方をしているなと。今節も、終盤にいわゆる耐える時間があったのだけれど、それをはね返して勝ち点3を得たのは、非常に大きなことなのだと思う。後半戦になって、大きなアゲンストから始まった今シーズンの忘れ物を取りに帰る作業が必要になる。前述したことを矛盾はするのだけれど、ひとつの戦い方を表現してくれたという意味においては、良い試合だったのかなと思っている。 

おわりに

 1点リード。試合も超がつくほどの終盤戦に。ゴール前の肉弾戦はさらにヒートアップし、エアバトルに火花が散る。コントラストははっきりと。守るベガルタ、攻める磐田。磐田も失うものはすべてを失い、このユアスタへと乗り込んできた。どんな時でも、そのチームを応援するのは、そのチームのサポーターだ。この当たり前を実行している。それでも、僕たちは勝たないといけない。ここで勝って、もっと上に行かなければいけない。いろんな文脈があって、ジョンヤも入って耐えるのだけれど、笛はまだ吹かれない。

 その時、ユアスタに響いたのは「ベガルタ仙台」のチームコールだった。ひとつのコールがまるで波のように広がり、スタジアム全体を覆った。まるでゴール前に張られた結界のように。必ず勝てると信じて。そしてタイムアップの笛。緊張が張られた声は安堵の声と拍手に変わる。そう。どんな時でも、そのチームを応援するのは、そのチームのサポーター。みんなでもぎとった勝利だった。

 

 「一度、海に乗り出した船は航海し続けるか、沈むかのどっちかだ」こう言ったのは、スパイク・スピーゲルだ。

 

参考文献

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 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

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大分トリニータの攻撃戦術 -アウトナンバーを生み出すビルドアップメソッド-

はじめに

 どうも、僕です。今回は、川崎フロンターレvs大分トリニータの試合から、大分のビルドアップを取り上げます。ビルドアップにはいろんな定義がありますが、ここでは便宜的に、いわゆるCBやGKがボールを持ってポジショナルアタックへ移行してく局面のことにします。巷では、「カタノサッカー」「釣り野伏」と呼ばれているように、片野坂トリニータの攻撃戦術は特別なものがあります。面白いものが見えてきたらなと。では、レッツゴー。

目次

大分トリニータのビルドアップメソッド

両チームの戦型選択

 

 川崎は、スタンダードなフラット型4-4-2。対する大分は、3-4-2-1でセットアップ。そのままの噛み合わせなら、川崎の2トップに対して、大分は3バックで数的優位になっている。川崎が同数プレスで合わせるか、無視してスポイルするかが注目するべきポイントなのだけれど、答えは前者だった。SHがFWと一緒に前線からのプレスに加わるいわゆる3バック撲滅だ。

図1

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図2

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 もっと言えば、川崎の2トップは、2センターへのパスレーンを消し込みながらプレスをかけて、ボールサイドを限定していった。それに呼応するように両SHが逆サイドのCBをチェックする。もし、大分のオリジナルの立ち位置で、アンカーを採用する戦い方を取ったのであれば、2トップでアンカーを背中でチェックしつつボールホルダーのCBをプレスし、もう一人のFWが中央のCBを守ることで3バックビルドアップを機能不全に追い込むことができる。大分は、事前にこの狙いを避ける形で3バック+2センターのM字型を採用したのだと予想する。

 川崎は、2トップ+SHと2センターでこのM字型に数合わせをすることで、大分の対策の対策を取った。当然、SH裏のWBががら空きになるのだけれど、SHが二度追いすることで解消を図る。特に右SHに入った阿部は、その意図を十分に感じさせる起用だったと思う。

図3

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 これはいわば、ビルドアップvsプレスの序盤戦。ここからまた、大分が型を変えてくる。

ところてん式ビルドアップ

 まずは、GKをCB間に上げるやり方で対抗。いわゆる、ところてん式の発動。GK+CBによる擬似4バックで、川崎の擬似3トッププレスに対して、数的優位の形を見出す。

図4

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  初期の立ち位置でハーフレーン・第3レイヤーに立つシャドーと合わせて、相手SHに戦術負荷をかけることで判断を誤らせることを強いる。前から行きたい川崎相手に、前に来てくれれば、敵陣の深いところでアウトナンバー(オフェンスがディフェンスに対して1人多くなる)を作ることができる。プレスに来ないなら、フリーでボールを運べるのと、川崎のプレス構造崩壊の一手になる。立ち位置を変え、ボールを持つだけで、相手を追い詰め、剣先を突きつけた。

 図5

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ミシャ式の合わせとアウトナンバー 

 では、川崎側の対応はどうなるのか。答えは、同数プレス続行。GKが出てこようが、4人には4人をぶつける対抗型を取った。2FW+2SHで4人への合わせ。

図6

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 ここでも数的優位づくりを目指す片野坂トリニータ。徹底されている。今度はミシャ式。CHが1人、CB間に降りることで4+1型でビルドアップする形だ。しかも今回は、ところてん式とミシャ式の悪魔合体型。意地でも数的優位を作るんだという意思を感じる形に。CBがウィングレーンにレーンチェンジ、WBが押し出される形でウィング化。シャドーを含めてスクエアを作って、相手SHとSBに2対1の選択を迫る。

図7

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 アウトナンバーは、バスケ用語で、要するに1vs0、2vs1などのオフェンス側がディフェンス側に対して選手が一人余って有利に攻撃できる状態のこと、サッカーで言うところの数的優位を作る、1人選手が余ることだ。大分は、まずは後方のビルドアップでこのアウトナンバーを作って、相手が後手を踏み続けることで、前方の運んでいく形でボールと選手が移動していく。最終的には、相手SBに対して、2vs1を仕掛けることができるので、初期立ち位置の3-4-2-1(3-2-5)との相乗効果でより数的優位を作ることができる。

図8

f:id:sendaisiro:20190730232001p:plain

 片野坂監督は、数的優位性を非常に大事にしている監督で、その考え方が色濃く反映されているビルドアップだと思う。ここまで徹底的にやるのはなかなか見ない。しかも、CBとGKのボール操作能力であったり、ポジショニング能力が無いと考えていても実践は難しい。この試合、スコアで川崎に負けたのだけれど、王者相手に自分たちがボールの主だと言わんばかりのビルドアップで、とても最高だった。

おわりに

 大分のビルドアップに対して、シンプルに数の論理で対抗しようとすると、それを上回る数で対抗してくる。彼らに対して、ある程度ボールを持たせて、たとえば危険な後方のエリアを埋めることやスペースを管理することで対策を立てる必要があるのかと思う。ただ、また別の攻撃戦術をもって、片野坂トリニータは対抗するのだけれど、それはまた別の機会に。では、また。

参考文献

sendaisiro.hatenablog.com

www.naigai-p.co.jp

five-spirits.com

 

 

【祝1周年記事】ブログ開設1周年&おしらせ

ブログ始めてから1年が経ちました

 どうも僕です。タイトルにもあるように、「せんだいしろーによるサッカー分析ブログ」が1周年を迎えました。パチパチ。普段から記事を読んでくれる方、はてなスターをつけてくれる方、Twitterで絡んでいただく方、本当にありがとうございます。このような、得体のしれない人間が書くサッカー戦術ブログのような何かを読んでいただけるなんて、感謝してもしきれないです。

 開設当時は、何が何やらであっちこっちそっちってどっち状態で、見様見真似で記事を作ってました。最初は、キャプチャ画ばっかりでしたね。わりと何分に何があったって形で書いて、より現象ベースで書いてたような気がします。気がするだけ(図解作るのが手間だったとかは言わないこと)。あとは、戦術用語をバリバリ使うのでどうやったらキャッチーに、読んでもらうひと達に入っていけるか考えながら書いていました。リズミカル教の起こりですね、懐かしい。完全に自分の趣味の例え話とかフレーズ、「おわりに」とかも面白い、好きだと感想ももらったりして、照れ屋なんであれですが、とてつもなく嬉しかったり、嬉しくなかったり、いやめちゃくちゃ嬉しいですはい。

 最近は、レビュー記事ではなく、完全にゲーム分析記事になっていて、得点失点シーン、ある局面をガン無視して書く記事が多くて読みにくさもあるのかなと、もっと時系列で何が起きて、その裏側に何があったのか書ければ、とても面白いと思うのですけど、僕はどうしても「ここがこの試合のポイントでしょ」「ここにチームの意図、決断、戦う理由が込められている」と感じるとこを表現したいなと思ってしまいます。ここは少し、置いてけぼり感があるかなと思うのですけど、書きたいと思ったことを書こうかなと思います。微調整しながら、寝返りうちながら書いていこうかなと。

 あとは、プレー分析もやりましたね。正直なところ、個人のプレーって試合全体とはまた違う視点が必要なので、いつも以上に緊張して更新ボタンを押した記憶があります。そのなかでも、気をつけたのが、「この選手凄い」で終わらせないで、何とか自分たちの実生活まで落とし込めるような、学びになるような形で書きたいなと思って書きました。そっちの方が、より自分の勉強にもなるなと思ってそのような構成にしました。まあ、これも書きたいことを書いたが大前提にあるのですけど。

 緊張と言えば、ネタ記事書いた時もボタン押すのが緊張しました。あれはまた、別のものをやりたいと思ってます。多分、一番難しいジャンルですけどね(笑)。笑いとか冗談の類って、それこそみんなの目が揃ってないと楽しめないので。それとレーン&レイヤーの記事。年末のつぶやきが戦術ブロガー界隈、指導者界隈に広がっちゃって、大晦日に書き上げるというわりとむちゃくちゃなこともしました。いろんなものが繋がってるなと感じる面白い体験でしたね。というか、終始あわあわしてた記憶しかないです。僕の年末を返してほしい。嘘です。ありがとうございます。書いた甲斐がありました。

おしらせ

 そんなこんなで、ブログを中心に色んなことがありました。どれも面白く体験しましたし、やっぱり僕は、サッカー戦術ブログを書きたいなと、動画、Twitter色々ありますけれど、文章に、言葉に、記事にしたいなと思います。僕の主戦場は、やっぱりここだと思っています。Twitterも面白いのですけど、やはりそれは、記事と記事とを繋ぐ役割として、直接の繋がりの意味合いとして楽しみたいなと。だからどうというわけではないのですけれど、今まで通りで良いのですけれど、僕はサッカー戦術ブログを読むのも書くのも好きなんだなと思います。

 ここで、おしらせです。本日をもって「せんだいしろーによるサッカー分析ブログ」は終了となります。みなさん、本当にありがとうございました。いっぱい色んなことを書かせてもらい、本当に面白かったです。ずっと読んでいただいた方には、感謝しかありません。ありがとうございました。

 

 今後、このブログは、名を変えます。

 

蹴球仙術 -せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ-

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 当ブログは、「せんだいしろーによるサッカー分析ブログ」改め、「蹴球仙術(しゅうきゅうせんじゅつ)」に名前を変えて、これまで通り、ベガルタ仙台を中心に自分が面白いなと思うこと、そしてそれが多くのひとにとっても面白いことになればなお良い精神で、今後も記事を書いていこうと思います。みなさん、これからも引き続き、どうぞよろしくお願いします。では、また。

【ラブオール】Jリーグ 第20節 セレッソ大阪vsベガルタ仙台 (0-0)

はじめに

 さあ、いきましょうか!アウェイセレッソ戦のゲーム分析。止めたアウェイ連敗の楔。ひとつの呪縛から解き放たれた時、新たな舞台へと旅立つ。荒れたピッチ。知将率いる桜色の戦いの行方はゼロへと収束されていく。その時、ベガルタは。今回もゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

目次

オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、シマオが復帰。代わりに長沢が離脱。シュートジャンキーのハモンがスタメンに。

 セレッソは、奥埜がFWの一角に。ここから得意のチャンネルランを繰り出す。両サイドのSH、SBの連携も強い。というかCB・CHも強い。ロティーナも強い。

概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く) 

ボール保持時

遠いアウェイの地から持ち帰りたいもの

  この試合、チームとして考慮すべき変数は、2つあったと考えている。ピッチ状態が悪く芝が荒れている状況だったこと、アウェイだったこと。これまでのベガルタは、環境要因に非常に影響を受けるチームだった。アウェイの芝とか、雨とか、風とかとかとか。経験が少ない。と言えば簡単なのだけれど、ヒッティングゾーンがあまりにも狭かったのがシーズン当初のベガルタだった。だからこそのアウェイでの成績なのだけれど、それにしても、それは乗り越えないといけない課題だった。また、ナベさん筆頭にチームとして何かに徹するような形をほぼ取らなかったこと。例えば、ホームは一戦必勝、アウェイでは勝ち点1をどんな手を使ってでももぎとる。こんな戦い方をしていれば、ある程度拾えた勝ち点もあったのかもしれないのだけれど、色んな要因が絡んで、生きるか死ぬかみたいな成績になっているのが今シーズンのベガルタだ。それは良い意味では、ナベさんの、チームの挑戦の証だ。相手が誰であろうと、自分たちが勝つために取り組むことをぶつける。そのなかでさらに課題を見つけて成長する。これはこれで正しいし、間違ってはいない。渡邉監督は幸いにも勝ちにもっていける監督だ。どこかでアジャストさせるし、帳尻を合わせるはずと思っているし、事実そうだと思う。ただ、アウェイで爆散する姿を見ると、「もうちょっとリトリートしてカウンター一発狙っても良いんじゃない?」「4-4-2守備の練度上げない?」みたいなシーンをいくつか見た(日本平とか日本平とか日本平とか)。

ロングキック大作戦

 そういう大宇宙の起こりみたいな仰々しい話の流れが脈々と続くなか、この試合は非常にエポックメイキング的な試合なのかなと思っている。このピッチコンディション、アウェイの地、混戦の下位争いもある。ほぼ割り切って、2トップへのロングキック攻撃を敢行したのだった。松下が持とうが、シマオが持とうがロングキックで問題を起こすこと、ヤードゲインさせること、二次攻撃でさらに問題を起こすことあたりが狙いだったように感じる。だから、あえてボールを持たず、そもそものミスする機会を減らそうと考えたように見えた。実はかなり革命的なことかなと思っていて、試合そのものは、セレッソベガルタも、最初の型から変形しながら、狙いを変えながら、二の手、三の手を繰り出すような展開ではなかったので、根比べのような我慢比べのような、頑固な展開だった。ベガルタにとっては、このある意味「しょうがない」を受け入れて、勝負に徹した試合だった。それがより明確に出た試合だったと思う。 

ボール非保持時

前プレとリトリート

 ベガルタは、4-4-2でブロックを組むいつもの型。セレッソの立ち位置次第で、ベガルタがどんな振る舞いをするかに意思が込められている。 セレッソのビルドアップは、CB+CHのボックス型ビルドアップ。SBが幅を取り、SHがハーフレーンにレーンチェンジするトムキャット型。特に、清武と水沼はボールを持って力を発揮するタイプでもあるので、CH-SH間に出現する回数も多かった。これは、対ベガルタというよりは、セレッソの特徴で、SHとSBの縦のポジションチェンジに奥埜のカットアウトランを混ぜることで相手のSBに対して戦術負荷をかける戦術だ。既視感。そう、前節の鹿島も同様のやり方でベガルタディフェンスに選択を迫り続けた。この試合との違いは、CBにシマオが入っていること。それもあってか、ベガルタは前からのプレスを敢行。2トップとウィングがセレッソのビルドアップ隊にプレスをかける。4-4-2vs4-4-2なので組みやすい相手ではあるのだけれど、じゃあこれはどう?といったぐあいにロティーセレッソが聞いてくるので、答えねば失礼にあたる。まずはお辞儀からだ。もちろんサッカーなので、お辞儀の代わりに、前線からのプレッシングをかけたのだけれど、芋づる式に選手が前に出ていくので、鹿島戦と同じ展開にならないか心配だった。

 答えは、大丈夫だ、問題ない。関口、道渕が相手SBにプレッシャーをかければ、蜂須賀、永戸がSHに、奥埜、ブルーノメンデスがSB背後を突こうとすれば、シマオか平岡がついていく。シマオが徹底的に相手を潰してくれるおかげで、僕たちは安心して前プレをかけることができる。まさに縁の下の力持ち。中盤だとソファ幅を守る選手がDFだと「シマオゾーン」のように広い範囲を潰して回るからとても厄介だ。味方で良かった。さらに今回は、そこから二段構え。SHがレイヤーダウンでCH高さまで降りていけば、ローブロックを組んで、SBが背後を取られないよう迎撃準備。高い位置を取って、ボールが入れば決闘に持ち込んだ。松下、富田がSHを見ることもあったのだけれど、関口も道渕も基本はSBに照準を合わせていたような気がする。気がするだけ。あとは自分の目の前の奴を狩るといった具合だったような気もするし、そうじゃないような気もする。多分。サッカーは難しい的なことを言ってここはしのごうと思う。リトリート。ただもちろん、相手SBが高いボールポゼッションを背景に高い位置を取ってきたので、SB対SBの構図の局面もあった。あるサイドのウィングがSB化したら、逆サイドのウィングはCH化するルールはたしかにありそう。これは今後要チェック。 

考察

総力戦の始まり

 もちろんメンバー全員のローテーションポリシーもそうなのだけれど、やれること、できることをフル動員して戦うことも総力戦のひとつに入るのかなと。こうやって、しぶとく勝ち点をもぎとる戦いも必要になるのかなと。理想は、試合中にポジションを交換したり、もう一回戻したり、フォーメーション変えたりしていければ良いなと思っていて。最初の手が上手くいかなければ、別の手を試す余裕は欲しいなと思う。あとは、バリエーションが増えるのは良いことなのだけれど、手数重視で沢山の技を見せられてもサーカスではないので、嵌める時は徹底的に嵌める。攻撃も守備も徹底的にやってほしい。

消えていくボール保持時間

 気になるのは、ボールを持つ時間とブロックの高さ。この暑さでプレー強度が落ちていくなら、どちらか欲しくなるのだけれど、この試合で見せたリトリートをもっと徹底してやれば未来は明るいのだろうか。たとえば、名古屋戦のような、息継ぎ時間もないと、消耗戦になる。事実、シマオの負傷のように、決闘重視の戦いは犠牲も多い。もう少し、平和な時代があっても良いのかなと思う。

 

おわりに

 荒れたピッチの上。両チームとも、それを見越して勝負に徹するプロ同士の戦い。ベガルタも、ロティーナ率いるチームのような、舞台の違うチームと戦う経験と勝ち点1は大きな収穫といえる。戦う舞台を上げることはすなわち格を上げる作業になる。だからJでは強者でありたいし、上の舞台で戦うチームに挑戦できるチームになりたい。そうなれば、必要なものもついて来る。サッカーはやっぱりサッカーで強くしたいというのが僕の激甘の考えだ。戦うためには準備がいる。でも戦いがなければ、準備する必要もない。毎日が準備。必ず、その日はやってくる。

 

 「経験は必要だが、経験によって増える知恵と同じ分量の牡蠣殻が頭に付く。知恵だけ採って、牡蠣殻を捨てるということは人間にとって大切なことだが、老人になればなるほどこれができぬ。」こう言ったのは、秋山真之だ。

 

参考文献

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