蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【Rolling Star】Jリーグ 第28節 ベガルタ仙台 vs FC東京 (2-2)

はじめに

 さあ、いきましょうか。 ホームFC東京戦のゲーム分析。吹田完勝劇から日を置かず、ホームでの戦いが始まるベガルタ仙台。掴みかけた運命の糸を決して離すことなく戦えるか。今節FC東京、次節鹿島アントラーズと、強敵揃いをホームに迎えてホーム初勝利を目指す。誰もが待ち望んでいたあの男の帰還が、一撃が、次への活力になる。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

目次

オリジナルフォーメーション

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ゲームレポート

中盤スキップのFC東京への抵抗

 仙台は、前節同様4-3-3にメンバーも変更無し。リザーブにケガ明けの松下、蜂須賀が揃いようやく総力戦体制になってきている。前節のガンバは、センターバックセントラルMFを中心にポゼッションし、中盤を支配する志向が強かった。対抗する仙台も、前線3人と3センターで仙台迷宮を創り出してボールをちぎり続けた。そんなガンバとはスタイルが異なるFC東京は、この試合でもそんな「いつものやり方」で臨む。

 FC東京も、高萩をアンカーとした4-3-3でセットアップ。高萩と2人のCBでボールを持つが、前線で待つレアンドロや永井をターゲットに、仙台のファイナルラインと直接勝負を挑んだ。あるいは、CBからフルバックへボールを回して、そのままサイドを田楽刺しする形をとる。FC東京として、中盤で奪われるリスクを回避して、「前線へのロングキック」と「サイド攻撃」を選択してくるのは、こと仙台対策でもなく、「いつもの」ことだった。ただ、仙台としてはこのシンプルだが、強力な攻撃型に苦労する。

 センターFW長沢がホルダーになるCBへ横切りしながらサイド限定するのが、ベガルタ仙台の前線からのプレッシングの第一手。それがこの試合では、アンカー高萩がいる。まずは高萩をマークしながらCBを制限するダブルタスクがあるので、前節より相手CBに時間とスペースがある。仙台としてもそれを見込んで、匠、浜崎のインサイドMFが援護射撃で第一プレッシングに参加。瞬間的に4-4-2的にホルダーであるCBへ制限をかけた。ただ、前述通り、そこでリスクを取らないFC東京フルバックに出して回避したり、サイドを制限するためにウィングとフルバックが縦迎撃した背後を、永井やインサイドMFがカットアウトで突撃する形で奥行きを取る。

 仙台としては、ある程度ミドルブロックを敷くなかで、中盤の守備網でボールを奪えず後方でボールを奪う展開になるのは想定していたかもしれない。平岡、ジョンヤがある程度サイドのエリアもカバーしたり、椎橋がフォローに入るなどの工夫も見られる。また、相手フルバックへのカバーも、匠と浜崎がサイドに出るなどの対処もあった。ただどうしても押し込まれると、ボール周辺の守りは活発だけれど、逆サイドやゴール前で準備ができていない課題はそのままだったりするなど。先制点を許したシーンなどは顕著だ。ただし、仙台のボールを持った攻撃にも関わる課題なので、攻守表裏一体とはよく言ったものである。

 

自陣からのビルドアップと相手陣のポジショナル攻撃

 この日仙台は、主軸である長沢大作戦を実行。相手の前線からのプレッシングを引き込み、その背中を長沢が使う形を見せる。ただ、ジョアン・オマリと森重の2センターバックは、サイドまでカバーできる守備範囲の広さと、警戒する長沢を自由にさせないので、ガンバ戦ほどすべてがうまくいったとは言えないかったように見える。仙台もそれを分かっているからか、GKクバからの自陣でのポゼッション志向が強いビルドアップを見せる。FC東京の前線からのプレッシングは、GKまで深く鋭く飛び込むことはなく、ある程度ボール前進を許して、ミドルサードあたりで仙台の横パス交換を合図に始まったこともあって、ある程度時間とスペースがあった。長沢大作戦する時間もある。

 しかし、ボールを奪ってから引き込んでポゼッションするのか、あるいは蹴るのか、奪われても良いようにもう一度ポジショニングし直すのかが、いわゆるトランジションの継ぎ目での振る舞いが曖昧で、失点にも繋がっている。そこがFC東京との大きな違いで、良くも悪くも、FC東京はどっちが攻撃でどっちが守備なのか分からない時ほど強くなる。だから、FC東京も自陣でGKを使いながらビルドアップして、仙台がサイドで奪えても、むしろ奪われたことを喜ぶかのように五月雨式プレッシングが発動する。そして奪ってカウンター!がおそらく彼らの根っこなのだと思う。思うというより、再認識だな。

 仙台も、FC東京がボールを持たせてくれることもあって、相手陣での攻撃をする機会も多くあった。左サイドでは、クエンカがインサイド、パラが高い位置を取り、浜崎が相手フルバック背後へカットアウトランを繰り出すなど、3人称のローテーションが円滑だった。右サイドは、山田と飛び出していくインサイドMF匠が使いたい場所が似ていて、やや硬直気味。その分、飯尾がボール配給役に徹して、空いたスペースを椎橋や長沢が使っている。この辺り、両サイドでの共通項としてはインサイドMFの背後への飛び出し。これが攻撃の合図であり、バロメーターと呼べる。その周りの選手は、組み合わせ次第といったところか。交代で入った兵藤も、同点ゴールのシーンは飛び出しがあるが、多くのシーンでドロップしてポゼッション安定に回る。

 このインサイドMFの飛び出しが「前進のサポート」になるのだけれど、これを使うのか、囮に使うのかは、その場の判断に任されているしやはりコンビを組む選手次第になっている気がする。気がするだけ。いずれにせよ、左右のサイドでフルバックがボールを持つ機会、時間とスペースができやすい状態ではあるので、そこから中央へ刺すパスや、そのまま飛び出したインサイドMFを使うなど、駆け引きする部分で一本調子にならないようにしたい。長沢への浮き球パスへのサポート、セカンド回収意識が強めだったり、右サイドから左サイドへ展開する良いパターンもあるので続けて狙っていければ良いと思う。相手が警戒し始めたらチャンスだ。警戒すると身体は固まるし、頭で考えるようになる。頭で考えるとなおさら身体が固まる。攻撃は、心への攻撃だ。

 

考察

Good!

 ・常にビハインドの状態から、2度追いついたこと。

 ・ケガ人が帰ってきたこと。

 

Bad…

 ・インサイドMFの外切りが少なくなってしまったこと。

 

Next

 ・今季を象徴する厳しい日程だが、試行錯誤を忘れずに。

 

おわりに

 離れようとする相手に追いすがり、泥だらけになってでも食らい続けたのが、このチームがここまでやってきたことの集大成にも思える。それはそうだ。こんな状態でもピッチに立ち続ける正真正銘のサッカー馬鹿野郎どもなんだから。離すな。決して。

 

「これで まだ 戦える!!」こう言ったのは、ゴン・フリークスだ。

 

 

 

【Shooting Star】Jリーグ 第27節 ガンバ大阪 vs ベガルタ仙台 (0-4)

はじめに

 さあ、いきましょうか。 未勝利の闇の中にいるベガルタ仙台の姿は、吹田にあった。青と黒で埋め尽くされたスタンドに、わずかに駆けつけた仙台サポーター。この日、白いアウェイユニを纏った11人とで、100万人の大軍勢となってリーグ2位を走るチームを撃墜するとは、スタジアムの道中で想像できただろうか。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

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オリジナルフォーメーション

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ゲームレポート

蘇生した4-3-3と椎橋という「舟の錨」

 仙台のオリジナルは、椎橋をアンカーに、山田とクエンカを両ウィングとした4-3-3を採用。日立台でズタズタにされた両翼と錨が帰ってきた。ホームで川崎相手に徹底抗戦で追い詰めた7月22日に戻れるのか、それとも新しい形なのかが注目ポイントだった。ボール非保持時には、匠、椎橋、浜崎の3センターが近距離でインサイドレーンを監視し、両翼が低めに位置する4-5-1ディフェンスを敷く。

 この4-3-3。ただ戻しただけの4-3-3ではなく、これまで散々な目にあってきた4-4-2とのハイブリッドなのが、ゲーム開始から読み取れていく。ガンバは、4-4-2からビルドアップでセンターバックセントラルMFとでボックス型でビルドアップの下敷きを敷き、両サイドハーフインサイドにレーンチェンジするトムキャット、両フルバックは低めの位置を取った。連戦もありメンバーを変えてきたガンバは、CMFに奥野、山本を起用。昌子、菅沼のCBコンビと合わせて、仙台がリトリートする想定か、中央でポゼッションするビルドアップを軸にする。このガンバのビルドアップへの対抗型として、仙台は、3センターと長沢で、中央にダイアモンドを形作る。長沢がCBやバックラインにドロップするCMFのホルダーへ継続サポートを妨害するよう横切りする。縦へ誘導されたホルダーに、浜崎、匠のインサイドMFが挟み込む。2枚の横壁でホルダーの選択肢を制限し、縦に刺す楔パスを出させた。そこにいるのは、アンカーに入った椎橋だ。

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 これまで4-4-2のセントラルMFとして精彩を欠いてきたが、この日はまるで別人のよう。前線5人が誘導した先に出る縦パスをことごとくカットする。仙台の右サイドは、山田が対面する藤春が攻撃的な選手であることからかかなり低い位置までカバー。代わりにホルダーへ、ボールサイドの制限をかけたのがインサイドMF匠なのだけれど、椎橋はガンバの左サイドに寄るFWやレーンチェンジする左SH倉田を首振りで確認。縦パスを予測しカットする。仙台の左サイドはクエンカが高い位置で、ホルダーになるCBへサイドへのコースを切るようにボールサイドをカバー。こちらのサイドも、中央で出て来る縦パスを誘発させて、浜崎と椎橋で狩り込んだ。

 リーグ再開後の躍動した姿を取り戻す出だしを見せるベガルタ仙台。宇佐美、井手口と主力を欠くガンバではあったけれど、仙台がピッチ中央で作る「仙台迷宮」のせいで中盤をコントロールできない。これまでの4-3-3は、ウィングやインサイドMFがプレッシングにいく背後にできるスペースを使われてしまって、そのスペースを埋めるために人を割いたり形を変えたりで、「カイゼン」の泥沼にはまってしまっていた。この日は、ウィングのプレスバックも速く、インサイドMFが前に出たスペースをカバーするなどの微調整も見られた。バックラインも4人をペナルティ幅に維持し、インサイドに絞るSHへはそのままフルバックが担当した形だ。左サイドだけは、クエンカがハーフレーン、パラ(柳)がワイドレーンで担当している。選手それぞれの特徴も考慮しながら、チーム骨格を作っている印象だ。

 こうして、開始早々からガンバの攻撃に自由を与えず、時間とスペースと選択肢を制限し続けたのは、「両翼の復活」、「みんなで守る」で一枚岩になれたこと、そしてアンカー椎橋がコンダクターになったことだと思う。試合途中から、中央に築かれた4人のダイアモンドを避けるよう、山本がバックラインにドロップしたり、SH倉田が落ちてきたあたりで勝負あり。ベガルタ仙台陣のストレスが一気に減っていった。やはり、どんなサッカーであれ、束になった我々は強い。

 

勇気をもって敵陣へと飛び込む攻撃

 攻撃の主役は、浜崎、匠のインサイドMF。パラ、飯尾がボールを持つ機会が多いベガルタの攻撃で、彼らがボールを持つと迷わず、相手フルバックの背後へとカットアウトランを繰り出していく。こうなると、ガンバはセントラルMFがそのままマーク担当としてフルバック背後をカバーしにサイドへ出張する。この形、見覚えがあるのだけれど、仙台4-4-2ディフェンスとやっていることは変わらない。スーパープレーヤーの井手口がいればまた話は変わってくるだろうし、倉田、小野瀬の走れるサイドハーフがフルコンディションならなんとかしてしまうのだと思うけれど、体力面でもポジショニング面でも穴が目立ってくる。

 本来中央のエリアを守ってほしいCMFがサイドにいるのだから、仙台としてはそのスペースを使っていく。飯尾やパラはウィングとパス交換しながら時間を作り、スペースに入る椎橋やセンターFW長沢へと繋いでいく。中央へボール出しができなければ、CBのジョンヤ、平岡を使って時間を使ったり、サイドチェンジで攻撃をリセットした。ガンバは、仙台のようにFWがホルダーを横切りできていないため、継続サポート、つまりはボールの高さ維持を許した。また、サイドチェンジできる状態でもあった。

 この辺りの切り方は、ガンバのFWと言うより、「一人飛ばしパス」のコースを切っている長沢が上手いと言うべきかもしれない。ジョンヤ、平岡は、身近にいる相方を飛ばしてパラ、飯尾のフルバックへ一人飛ばしパスを出せている。そんなこんなで、先制点も右サイドを攻めながらパラへサイドチェンジとクエンカの突破で生まれている。右ウィング山田もそうだけれど、前線5人の相手ファイナルライン背後を突く裏抜けランがよく見られた。バックラインはアンカー椎橋も含めてキック上手がいるので、その辺りも信じて走れるのかもしれない。

 この日の仙台は、ボールを持っていない時の守備が嵌っていることもあって、カウンター開始地点も良かった。中央3レーンのインサイドレーンでのガンバの攻撃が多かったのも関係するけれど、それでも中央でボールを奪ってカウンターのシーンが作れている。匠のクロスに長沢が合わせて決定的な3点目が入る。トリプレッタを決めた20番は、リザーブメンバーと抱き合い、静かに、しかし力強く、左胸のエンブレムを叩いた。アウェイ仙台サポーター席から見える、センターサークルへと戻っていく背番号20番は、とても、とても大きい。僕にはこのゴールが、これまで支え続けたベガルタ仙台サポーターへの「恩返し」に見えた。

 

考察

Good!

 ・挑戦している4-3-3とそのネガを修正した形で勝利できたこと。

 ・54分にCKの戻りで、匠がフルスプリントで自陣ゴール前まで帰ってきたこと。

 ・椎橋の首振り認知

 

Bad…

インサイドMFがカットアウトするので中盤に人がいなくなる。前線に蹴れればいいが、バックパスになると相手のプレススイッチを踏む。
・パトリック投入後、パトリックがパラや飯尾とマッチアップするようなポジションを取った。中盤で繋がず、シンプルにバックラインにボールを入れられた時に全体が下がり目で受けないか。

 

Next

 ・継続。この形を継続あるのみ。挑戦し続けよう。

 

おわりに

 あれだけの苦しい状況で、よくやった。よくやったよ。まあしばらくは、この安堵と余韻に浸ろうじゃないか。何回だって試合を見返したっていい。この先また苦しい道が続こうと、ここにまた帰る場所ができたのだから。再び、挑戦の歩みが始まる。歩いているこの道の先に何が待っていても、帰れば、また来れるから。

 

「たとえどんな現実が突きつけられようと、『それでも』と言い続けろ」こう言ったのは、マリーダ・クルスだ。

 

 

 

【星屑の戦士たち】Jリーグ 第26節 ベガルタ仙台 vs サンフレッチェ広島 (0-0)

はじめに

 さあ、いきましょうか。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

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オリジナルフォーメーション

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ゲームレポート

開始からトップギアでプレッシングをかけた仙台

  ユアスタ連戦の広島戦。広島は、4-4-2を使う試合もあるが、この試合では3-4-2-1。長く使っている形。ただ、メンバーは連戦を考慮してターンオーバー。CMFには、不動の青山や川辺ではなく、仙台時代はシャドーで輝いた金髪の野津田が入る。仙台のオリジナルの立ち位置は、4-4-2でセットDFを組むので、構造的に4-4-2の痛点を突けるのが3-4-2-1の強みのひとつである。必殺ポジショナルプレー、4-4-2抹殺フォーメーションである。

 この日、仙台は開始から広島のホルダーはもちろん、パスの出し先を予測して早めに前線からプレッシングをかけていく。長沢、ゲデスの2人のFWに対して、広島のバック3は噛み合わせが悪い。4-4-2側の最初の関門である。仙台が選んだ対抗型は、ウィングを肩上げして瞬間的に3フォワード状態でプレッシング。特に、仙台の左サイドで、タカチョーが高い位置からプレッシングをかけ、奪うと高い攻撃ポジションから攻撃をかける。セントラルMFの椎橋、浜崎はそのまま2人のCMFへ、左サイドなら呼応して左フルバックのパラが相手WBへ縦迎撃する。試合開始から最初のコーナーキックを得るまで、広島のホルダーを窒息させようと、プレッシングをかけていった。

 

右シャドーと左WBで息継ぎする広島

 仙台の挨拶を受けて、ピッチで返答する広島。構造的に4-4-2に対して『浮いたポジション』になるシャドーが動きだす。仙台でもおなじみ、ミドルサードで中盤化する動きで、仙台がかける前線からのプレッシングの背中を取る。特に、右シャドーに入った森島が、椎橋がボールサイドへのプレッシングに追従してCMFを追いかけると、タカチョーの背後を突くように前線から落ちてくる。仙台としては、バックラインがここまでついていくと背後が空いてしまうネガティブから、ついていく判断は難しかったと思う。そこを突くような森島のオフボールの動きだ。仙台としては、トップギアで入ったが、虚を突かれる形で、プレッシングが暖簾に腕押しになってしまう。

 加えて、この日の広島には左サイドに強力な武器を構えていた。ウィングバックに入った藤井である。上下のスプリントの速さ、ボールを持つと縦突破を仕掛ける姿勢で、仙台の右サイドを牽制。右ウィングの匠は、バック3へプレッシングをかけたい意思と、藤井にぶち抜かれると右フルバック飯尾が晒されてしまう現実とで苦しむことに。結果としては、匠が低めの位置を取り、藤井にも対応できる場所を取る。

 こうなると、広島としては左サイドでボールを持てる、息継ぎできる場所ができる。CMFの野津田が落ちたり、FW横で受けることの相乗効果で、一層広島の左サイドは安定化していく。また、右サイドからサイドチェンジを受け、藤井がそのまま飯尾との勝負に持ち込むシーンもあり、仙台としては右サイドで圧力を出せない要因となる。全体として広島のシャドーは、非常にクレバーで、アタッキングサードにボールが入ると、今度はFWのように振る舞った。エセキエルは、飯尾の背後を何度もオフボールランで突くなど、ボールやエリアによって狙いを変えていることに仙台も対応に苦労した。

 

自陣からのゲデス・長沢大作戦

 こうなると、仙台の前線からのプレッシングは鳴りを潜め、自陣へロックされるいつもの展開に。ボールを奪っても低い位置なので、そこからボールを繋ぐとなると一層の難易度になる。ただこの日は、GKクバにボールを戻しても、クバは前線のゲデス、長沢へのロングキックを繰り出した。広島もWBが高い位置を取るので、仙台自陣から一気にカウンター!という形への対応が難しいと見たのか。仙台も何度かカウンターの形を見せるが、バック3の対応、WBのプレスバックが速く、カウンターが光の速さにならない。

 これを受け、仙台のFWがロングキックを受けるポイントを引いた位置に変える工夫や、ウィングが自陣守備時に中央まで絞ることで横パスカットから三線速攻!を見せる。なお、自陣ビルドアップは相変わらずボールを過剰に大事にしようとする受けの姿勢で、広島もそこを狙って思い切りプレッシングをかけてくる。プレッシングされると心理的に受けに回り、さらに過剰に大事にしようとする悪循環。中央へのリターンパスで引きつけてクリアリングして、ホルダーに時間とスペースをつくる工夫もない。無いというより、そういうリスクのあるプレーは慎むようになっている気がする。気がするだけ。それならそれで、大作戦に傾倒していけばいい。現状、というより前評判通り、ポゼッション型のビルドアップには、メソッドもノウハウも感じられない今季である。

 ただし一方で、レンタルバックした照山が早速後半途中投入され、3バックの右センターバックを務めたのだけれど、ボールを持って持ち上がる、オープンなエリアに運ぶプレーには光明が見える。彼が持ち上がればチャンスになるし、マークがつけば、味方がフリーになる。ボールを持っても、持っていなくてもポゼッションできる照山の存在は、もしかしたらゲデス長沢大作戦がまた影をひそめるかもしれないけれど、非常に貴重だと思う。ちなみに、3-4-2-1変更後は、クエンカがシャドーに入って広島がやっていたことをお返ししたり、同数プレッシングにしたりするなど、なんとなく前線と後衛は奇数の方が性に合っているような。多分。

 

 

考察

Good!

 開始から圧力をかけ、後半も終わりに向けてボールとゴールを奪う姿勢を見せ続けた。

Bad…

 一度対応されると自陣に籠るしか対応策がない。

Next

 椎橋が相手陣でボールを奪ったシーンがあったり、平岡がセットプレーからゴールに迫るなど、チームが本来狙っていた形が見えてきているので継続してほしい。

 

おわりに

 本来はミッドウィークに柏戦があったのだけれど、中止というか延期になった。ディズニーランドを楽しんでいるのに、仕事の話をされた気分だ。こういう危うい社会のなかで生きていることを再理解して、なんでもありの世界を楽しんでいこう。

 

「おれは『恐怖』を克服することが『生きる』ことだと思う」こう言ったのは、DIOだ。

 

 

【フラッグは破けない】Jリーグ 第25節 ベガルタ仙台 vs ヴィッセル神戸 (2-3)

はじめに

 さあ、いきましょうか。スタンドに掲げられる数多くのフラッグ。声なき声援に、ユアスタ4連戦の戦いの火ぶたが切って落とされる。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

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オリジナルフォーメーション

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ゲームレポート

前に出ていくこと

 ベガルタは、4-4-2のブロックは変わらず。これまでの数試合よりは、人への意識が強く、局面局面でマンツーマン気味になる。神戸も4-4-2だったため、初期の噛み合わせ的には合わせやすい展開となった。この日左ウィングに入ったクエンカも、逆サイドの関口同様、神戸の西、酒井の両フルバックがワイドに高い位置を取るのに対して、広く、そして深く対応する。神戸は、そのフルバックのポジションに呼応して両WGがインサイドに移動。仙台のWGの横を使おうとする。そこは、この日フルバックに入ったパラ、飯尾がペナルティ幅を守るファイナルラインの初期ポジションから飛び出して縦迎撃をする。

 フルバックの背後へのオフボールランには、椎橋、浜崎のCMFが対応。この辺りのサイドの選手の前へのマーキングと、セントラルMFのカバーは4-2-3-1でも見られた4-4-2ブロッキングの定番だ。左CBのできる椎橋、右フルバックが本職の浜崎にとっては、特に苦労しない場所になる。

 神戸は、CB+CMFのボックス型ビルドアップから、CMFをドロップさせる逆丁字型へ移行。前線2人のプレッシャーラインに対して、3人+1人で数のギャップを生み出す。こうなると、ワイドに開くフルバックがボールを持つシーンが増えて来る。そのままサイド→サイドを突かれるか、中央へ斜めの刺すパスが入る。特に、仙台右サイドは、浜崎が関口と横並びで位置するため、ホルダーであるフルバックからゴールまでを繋いだ直線ルートが完全に丸裸となる。

 浜崎としては、人を意識したプレッシングのためか、そのポジションから相手CMFへプレッシングしていく意図があるのだろうけれど、肝心の神戸CMFは立ち位置を変えている。それに、前へのスピードアップとゴール前へボールを入れらるのをまずはカバーするべきだし、まともに横切りもできていないため、ボールの高さを維持され続けた。左WG古橋にはカットインによるレーンを変えるドライブで、ブロック全体をピン留めされながら、ボールを保持され続けた。

 前線から、人を目掛けてプレッシングしていく仙台だったが、後半早々に失点してしまう。神戸にボール保持される時間が多いなかで、ボールを持つと前線から落ちる長沢、関口にボール出しをして息継ぎする。それでも、サイドからなんとか進む形でCKを獲得するにとどまる。何度かあった相手陣でのプレッシングから、シュートに持ち込むところまで行きたかったのが本音か。最終的には勝ち越しされるが、それでも2点を返したところや、最後の反攻は見ごたえがあった。

 

 

考察

Good!

 匠が左サイドで右足に持ち替えてクロス、逆サイドの飯尾が飛び込んでくるところに、往年の10番のクロスと25番のステルス攻撃を思い出すなど。

Bad…

 4-4-2ブロックがボールサイドのエリアを埋めてマンツー気味に守るだけで、ほかに手立てがない。

Next

 残りユアスタ3戦。試合終了間際に見せた前へ向かう点を取りに行く姿勢を続けてほしい。 

 

おわりに

 今回は、中2日ですし感想文ですね。みなさん、よく眠れてますか。僕は、試合を観てる夢とか、盤面を弄ってる夢を見る時があります。あまり健康的な睡眠ではなさそうですね。(笑)もう今年も終わりますね。寒くなってきたので、身体に気をつけていきましょう。

 

「もっとも『難しいこと』は!いいかい!もっとも『難しいこと』は!『自分を乗り越えること』さ!」こう言ったのは、岸部露伴だ。

 

 

【今その拳は何を叩く】Jリーグ 第24節 名古屋グランパス vs ベガルタ仙台 (1-0)【今その瞳は何を睨む】

はじめに

 さあ、いきましょうか。 激動の1週間を過ごしたベガルタ仙台は、瑞穂にいた。暗黒とも呼べる毎日が嘘のように、嘲笑うように、優し気に、青空の、秋晴れの週末。週末の瑞穂だった。掲げられたベガルタ仙台のフラッグが風にたなびく。まさに仙台には、風が吹いてた。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

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オリジナルフォーメーション

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ゲームレポート

名古屋の変則3バックビルドアップとプレッシング

 ベガルタは、この試合で左サイドに手を加える。ウィングに佐々木匠、フルバックにタカチョーを起用。前節浦和戦で柳、蜂須賀の両フルバックが負傷。WGタカチョーにフルバック起用になったと思われる。DFにアピアタウィア久ことQちゃんが入ったことから、関口、タカチョーをワイドにした3-4-2-1も予想されたが、実際にはQちゃんを右フルバックとした4-4-2でセットアップ。長沢、ゲデスの2FWを基本型とした。

 ディフェンスも変わらず、FWがアンカーを基準として横切りからのサイド限定を主としたプレッシングで連動していく4-4-2ディフェンス。そのままいけば、名古屋の4-4-2とガチ当たりする。ただ、名古屋の自陣ビルドアップには少し変化がある。右フルバックの成瀬は低い位置だが、左のジェソクが高い位置を取る変則3バックのような形になる。また、米本がバックラインへのドロップで、擬似的に3バックを作る。仙台の2人のフォワードに対して、数的に上回った状態でのビルドアップを敢行する。

 仙台は、左WGの匠がそのまま成瀬へ噛み合わせるが、右の関口は、対面するジェソクにつくのか、リスクをとって名古屋の左CB丸山へ前線からのプレッシングを発動するのか選択することになる。開始から15分までは、FW+関口で前線からのプレッシングが成立していたシーンもあったが、だんだんと高い位置をとるジェソクに引っ張られる形で関口がブロックラインに吸い込まれていった。理由は、名古屋のセンターバックには仙台のプレッシングの構造上、わずかに時間とスペースがある。そこから一気にジェソクや、さらに高い位置にいる左WGマテウスへロングキックを蹴りこんで、前線からのプレッシングを物理的に破壊した。自陣深い位置で4-4-2リトリートの展開になったのは、CBへのプレッシング姿勢も見せていた関口が、サイド深い位置で対応するようになってからだった。

 

プレッシング、リトリートでも変わらないセントラルMFの意義

 仙台は、左サイドでも問題を抱えていた。ウィングの匠の背後に入る選手を捕まえられない問題だ。アタッキングMF阿部に加えて、金崎や前田、ポジションチェンジした際にはマテウスなど、最前線アタッカー4人が入り始める。名古屋は、センターバックセントラルMFが最後方から、楔を撃ち続けた。対面する匠も、本来は、ワイドにいる成瀬へのプレッシングをしたいなか、インサイド、中央へのボールもカバーする苦しい展開に。CMF浜崎も椎橋も、匠と横並びでいわゆるホワイトボード上便宜的な「ライン」状態で、匠との間へボールを入れられることを許した。

 匠も、中央をカバーする立つも、今度はワイドの成瀬やウィングへボールを一気に渡され、外側から中央へボールを斜めに刺される展開になる。こうなると、匠も「一旦」低い位置に構えなければならず、右サイドの問題と合わせて、仙台がローブロックとなった要因のひとつとなる。CMFがWGのプレッシングを後方から支え切れていないのはこれまでの試合でも続く課題である一方で、ローブロックを組んでも、いわゆる「バイタルエリア」へ刺すパスへの予測、カバーが弱く、「そこにいるのに何を守っているのか?」というある意味浮いた存在になってしまっているのが致命的だ。

 

スペースを空ける手間が必要無いのなら……

 こうして、ローブロックの時間が長く、カウンター距離も長いため、なかなかボールを持ってからの攻撃に苦労した。後半開始からは、関口のリスクをとったプレッシングや、フルバックに出た先でボールを奪って、FWを中心にトランジションからのカウンター攻撃を見せる。ボール保持攻撃も、名古屋はシンプルに前線4人でプレッシングをかけてきたが、連戦の疲労もあって、セントラルMF、ファイナルラインが追従できていないシーンが多く、「外せば持てる」状態であった。中盤にスペースができたなかで攻撃に圧をかけるも、米本、稲垣の門番2人は「これだけは絶対にやらせない」とばかりに中央へのパスを警戒。仙台としては、チームの狙いでもあるサイドへボールを展開した攻撃に拍車がかかった。

 ただ、カウンターで仕留めきれず、スペースがあっても崩しまでいかない展開で、自陣でのミスで致命的な失点を食らった。ベガルタは、ホルダーが前線の選手にボールを当てて、当てた選手に対して追い越していく前進のサポートをする。そこにもう1人、2人と関係するが、原則は変わらない。オフボールではなく、オンボールでその動き出しなので、ホルダーとレシーバーの2人称攻撃になりがちだ。ホルダーに対して、1人、2人が追い越す、交差することによる前進サポートがあれば、もう少し局面の状況は好転しそうに見える。どうしてもレシーバーは相手DFを背負ってボールを持つことになるので、相手ゴール前の状況が見えないし、ベクトルが後ろになる。なんだかラグビーのような気がする。気がするだけ。それならそれで、やはりレシーバーへのサポートの人数を増やす、サポートで追い越す選手が空けたスペースを再利用するなど、局面局面でもやれることはあると思う。

  

考察

Good!

 いろいろな要素はあれど、機を見て前線からのプレッシングを仕掛けていたこと。

Bad…

 名古屋のセントラルMFとの差が鮮明だったこと。

Next

 守備でも攻撃でももっとプレーに絡むというか、ボールから遠くても連動してほしい。

 

おわりに

 晴れていた。少し風も吹いていた。スタジアムとは元来、そういう場所だ。入場にあたるいくつかの通過儀礼を終え、こと今現在の状況において言えば余計な、いや必要なことではあるのだけれど、サッカー観戦という文脈に限っていえば、どのスタジアムにもある追加検問を終えて入場する。ゲート入口で、スタジアムでは命とパスポートと同価値であるチケットを見せて、スタンド入りする。眼下に広がる緑色の芝。青と白の空。狭いコンクリの世界から、一気に、開放的な世界、オープンワールドが現れる。そんな週末だった。目にするものすべてが灰色になる世界など、この景色の前では無力なのだった。終末世界にだって週末がくる。

 なに、大それたことを書いているが、天気の良い週末に、スタジアムで見た景色は、最高だった、と書きたいだけである。そこで聴く『青春に捧ぐ』も最高だった。そして、試合が始まれば赤い万雷の拍手がベガルタ仙台を出迎え、試合が終われば、送り出してくれた。これもまた、最高だった。もうひとつ、最高を味わえるのなら、それもまた、最高だ。

 

「そいつは素敵だ 大好きだ」こう言ったのは、少佐だ。

 

【赤い涙で覆われた悲しみを】Jリーグ 第23節 浦和レッズ vs ベガルタ仙台 (6-0)

はじめに

 さあ、いきましょうか。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

目次

オリジナルフォーメーション

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ゲームレポート

赤い閃光

  埼玉スタジアム。鬼門である。赤い壁がところせましと、ピッチへ圧をかける。このスタジアムで、ベガルタは勝てていない。天皇杯の落とし物も、このピッチのどこかに転がっている。声のないスタジアム。そんないつもと違う埼スタで、ベガルタは長年続くジンクスと戦うことになる。いや、2つのチームが正面からぶつかり、戦いの火ぶたが早々にも切られることになる。

 ベガルタは、これまでの連戦同様、4-4-2でボール非保持時のセットディフェンスを組む。それに対し、赤い剣闘士たちは、ポジションを入れ替え、攻撃陣形を整える。2CBに左フルバックが加わる変則3バックビルドアップに、右フルバックとウィングが高い位置を取って圧をかける形で攻撃陣形を組んだ。ベガルタとしては、ワイドに高い位置を取るフルバックへ、2人のウィングがカバーする策で対抗するため、バック3となると1人余ることになる。4-4-2DFへ小さなズレを作り、最終的にゴール前で大きなズレにしようとするのが、アジアで最もプライド高く戦う埼玉のチームが吹く、開戦を告げる砲火だ。

 加えて、右フルバック橋岡がインサイド、右ウィングのマルティネスがワイドにと、レーンチェンジの一工夫を加えたうえに、マルティネスがドロップ、橋岡が高い位置を取るダブルパンチで、対面するタカチョー、柳、さらにはセンターバックのシマオにまでその波及効果を及ぼす。逆に浦和左サイドは、飯尾、Qちゃんの背後を狙う興梠、武藤で問題が起きている。中央、左右と、この赤いホームチームは、その色でピッチを染めるかのように、各所でベガルタ陣へと攻撃を繰り出してきた。

 ベガルタとしても、マークの交換やハイラインで対抗するものの、だんだんと着いていけなくなり、ラインも下がるなかでボックス内でボールを持たれれば仕事をされてしまうし、自陣に磔になれば、セットプレーの機会も与えてしまうあるあるな展開に。前半で3点リード。後半開始から飲水までに2点追加で5失点。光よりも速い赤い閃光が、ピッチを切り裂いた

 

翼は、死んだ

 そんなベガルタも、先制を許してからは、ボール保持の時間が増える。椎橋、ワタルのCMFがバックラインにドロップで逆丁字型ビルドアップ。加えて、ウィングがハーフレーンにレーンチェンジ、というよりは、はじめから中央にポジションを移していた。追従して、フルバックが高い位置を取るウィングロールで攻撃をセットアップする。ウィングのいないベガルタにとっては、模造の翼をこしらえ、中央のアタッカーを活かす策に見える。実際、アタッキングMFに入ったクエンカは、ボールホルダー付近へ寄ったり、サイドに流れたりと、フリーロールだった。左ウィングのタカチョーも、逆サイドへ出てくるなど、攻撃はかなり中央に寄りながらポジションは空いているスペースといった具合だった。

 対する浦和は、アンカーを基準にFWが構え、サイドが変わればそのサイドのウィングがバック3の両脇にプレッシングをかける。こうなると高い位置にいるフルバックが空いてくる。特に、ベガルタ左サイドの柳がへボールが周り、浦和右フルバック橋岡が縦に迎撃を強いるシーンは多く見られた。その背後をFWかWGが突くシーンを見せたかったのだけれど、前述の通り、クエンカは自由人。タカチョーも低い位置を取るような動きでなかなか前進できない。こうなると浦和としても、ボールが渡るフルバックへフルパワーでプレッシングをかければ良いとばかりに、浦和両フルバックが強く速く当たる。そうなると、飯尾、柳もボールを保持する時間も余裕もできなくなる。ベガルタのボール移動も、CBからフルバックへの横への移動で、ファイナルライン背後へのボールも少なく、ホームチームがピッチでソファのうえで葉巻をくゆらす展開になっていった。

 また、前線もフルバックもライン間に同列で並ぶだけで、その先が見えない。5手先の未来を見てポゼッションするべきところが、1手先の未来で終わっていたのが、なかなかに問題の根深さを感じた。どのエリアを狙うのか、誰が狙うのか、そのために誰がどこへ動くのか。ボールを持った選手もそうだけれど、88分間ボールを持たないサッカーにおいて、ボールを持っていない選手は「関係ない」で終わるのだろうか。11人に神経が通っていない攻撃で、最後の希望は脊髄反射アタックだけれど、それだって神経が通ってなければ反応できない。 

 

 

考察

Good!

 中央でタカチョーがボールをもってターンしたり、サイドから何かを起こそうとしていた。ゲデスも拍手を送ったり、失点シーンではシマオより声をだして叱咤している。1個1個の記号が、ひとつの式になる、それをゴドーを待ちながら待っている。

 

Bad…

 中央にあれだけ人数を揃えながら中央へ刺せない攻撃。背後を取ろう、出し抜こう、駆け引きしてやろう、仕掛けようというアクションのない攻撃。失点してから、ボールは持っても主導権は持てない。もうポジショナルの魔法は、遠の昔に解けている。魔法が解けているのにシンデレラ気取りをしているのがもっとも愚かだ。ピッチにいる自分たちで解決しなさいが至上命題なら、それを果たすべきだ。たとえ翼が無くても。地べたをはいずり回ってでも。

 

Next

 6失点もして課題も何も無いのだけれど、ではなぜ得点はゼロだったのか。ここを課題に挙げる選手もいる。アンストラクチャに、カオスに、一気呵成がこのチームのつよみなら、その課題をクリアして、目先のミスなんてゴールですべてを解消すればいいを地で行けばいい。何を恐れるというのか。

 

おわりに

 選手の個人的な問題から発展した契約解除。それまでの経営危機、試合結果にさらに追い打ちをかける形で、仙台に、暗黒の1週間をもたらした。もはや試合など、ピッチなどなんだ。そんな同情さえも、受けて当然と思える。それどころではないのが、当たり前というか、正直なところだ。でもこれだけ情けない思いをして、まだピッチの上ですら、やり返せていない。ひとつひとつ、やり返す。失われたものを取り戻す。すべてを奪ったすべてへ。反撃だ。逆襲だ。その一歩目を踏もう。この焼け野原に、闘いの灯が見えるぞ。

 

「天と地のはざまには 奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる」こう言ったのは、少佐だ。

 

 

【振り絞った感情が】Jリーグ 第22節 ベガルタ仙台 vs 横浜FC (0-0)

はじめに

 さあ、いきましょうか。ホーム横浜FC戦のゲーム分析。連戦2試合目。関東から仙台へ、そしてまた関東、しかも埼玉スタジアムという強行軍。耐える展開のなかで、ここユアスタでも圧倒的なポゼッションを武器にする横浜FCが相手になる。1日、1日をどう生きるか。チームから、必死の抵抗が聞こえる。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

目次

オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、前節からセントラルMFに松下が復帰。CBにはシマオに代わって平岡。4-4-2で臨む。

 横浜FCはいつのまにやら4-4-2に。ビルドアップで変形して3-1-4-2のような形になる。左ウィング松尾は馴染みのある仙台の地を踏む。斉藤は警戒するべきアタッカー。六反おかえり!

 

ゲームレポート

4-4-2守備とポゼッション型チームとの噛み合わせ

  横浜FCといえば、かつて山口素弘が選手としても監督としても戦っていた印象が、個人的には強い。下平監督のイメージもあるのか、青年監督がチームを鍛えあげて上位へ連れて行く印象がある。あくまで個人的な印象だ。世界的な流行もそうだけれど、自陣からのビルドアップを精密に設計して、チームの武器にしているのが今の横浜FCというチームだ。通俗的に『持たざる者』と呼ばれるチームが採用する武器が、GK含めたビルドアップと、前線からのプレッシングだ。相手陣と自陣で見合う展開を意図的に作り出して、対面勝ちする戦いは、野心溢れる若手からすると非常に相性が良い。そんなチームと、ベガルタ仙台は、ホームユアスタで連戦2日目に戦うことになる。

 ベガルタは、ゲデス、山田の2フォワードを継続して起用。ボール非保持時には、4-4-2でブロックを組む。前節の川崎戦とある程度同じような展開で進めたい意図か。ウィングも、関口、道渕のワーキングウィンガーを採用。横浜FCのビルドアップは、4-4-2からCMFをドロップさせて3バック化させる逆丁字型に、ウィングがハーフレーンへレーンチェンジするトムキャット型と、前と後ろで可変するシステム。ベガルタとしては、3バックとアンカー化したバックライン、それにともなってワイドに高い位置を取るフルバックインサイドのWGへの対応が争点となる。

 しかし、ベガルタとしては、やはり川崎戦との大きな変化点を避けた印象でゲームを進める。FWは、アンカーロールをカバーしながら、ホルダーにサイド限定のワイパープレスを敢行。その先に、7番と18番の両翼がハーフレーンに突き刺さるパスを警戒しながら、ワイドのフルバックへボールが出ればサイドへスライドして対応する守備が基本型とした。4バックはなるべくペナルティ幅を守り、CMFがレーンチェンジするウィングを見る形。ファイナルラインはなるべく高く、ただし、フロントラインのプレッシャーはハーフライン付近とし、中盤からの押し上げを基調とした。

 こうなると、これもやはり川崎戦同様、相手にボール保持の時間を多く持たせ、自陣でのディフェンスを受け入れざる負えなくなる。関口、道渕のWGがもともと低いことと、中央へのパスをまずは消し込む立ち位置のため、ホルダーの前方付近にはスペースができる。FWのつるべの動きは、4人ビルドアップに対して物理的に間に合わないのは、札幌戦からずっとなのは変わらず、サイドに限定してもホルダーにはある程度の時間が許された。フルバックを警戒しつつ、ホルダーにもプレッシングにいける中間ポジションといえば聞こえは良いのだけれど、結果としてはCMFと横並びのようなポジションになり、結局その間に縦パスを刺されるような展開になる。守備に段差がつかないと、人の羅列になる。ソーシャルディスタンス。

 一方左サイドは、関口が早いタイミングでフルバックの前方を抑えるべく、自陣深くポジション取りをするので、パラを中央に残したまま5バックのような形になる。ただFWのプレスバックが弱いので、左右非対称のいびつな5-3-2のような陣形になり、ボールは持たれ続けてしまう。

 後半になり、これもいつもの展開でハーフタイムに修正が入ったか、ウィングのプレッシング位置が高くなりバックラインへの圧を高める。特に横浜FCフルバックで躍動するマギーニョの背後は、スペースが空いているため、前から圧をかけて中央で奪うと、前線に残るウィングにボールが渡ると一気にチャンスになった。交代で入ったタカチョーのプレッシングとカウンターが修正の効果が顕著だったように見える。連戦のなか、ケガ人が少しずつ帰って来たなか、非常に繊細なチームビルドを要求されているだろう木山ベガルタ。ただどこかでテンションを上げ、陣形を前目に崩さないと、チャンスにならない。崩した状態にしなければ、相手も崩れてくれない、といった具合だ。そのパワーのかけどころがどこかなのだけれど、これはもう後半勝負を覚悟!なのだと思う。

 

中央を避ける攻撃ルート

 ベガルタも椎橋がバックラインに落ちることで、3バック化はするものの、攻撃ルートはフルバックへのU字ルートが基本だった。特にセンターバックがボールを持っても、フルバックへのパスなので、中央へのパスというものがあまり見られない。守備陣形をあまり崩さないで攻撃するベガルタなので、攻撃面で膠着することはある程度想定されるのだけれど、セントラルMF松下の復帰もあるので、今後中央からの攻撃も増やして良い気もする。ただリスク回避で比重としては高くなりそうにないけれど。

 ちなみにボールを奪った瞬間は横浜FCに圧倒され、カウンターが不発。これは川崎戦とも同様。どうもローブロックからのカウンターは、開幕戦の名古屋戦同様、ウィングに縦に速い選手がいないと厳しい印象がある。速いというか、そもそもジャメも前残りしていたので攻撃開始地点が高いというのはある。2FWが一番高い位置を取るなら、サイドに流れるなど、『空いているところを攻める』の基本で攻撃していくことが必要かと思う。このままローブロック4-4-2をするなら。でなければ、エデン・アザールでも獲ってくればいい。 

 

考察

Good!

 横浜FCは自陣から中盤のデザインに特徴があって、ベガルタとしても苦労した部分だと思う。ただ、もっとも大事なゴール前での決定的な仕事はさせず、だんだんと怖さも無くなっていったように見えた。最後にはGKクバが待っているという安心感もありながら、シマオがほとんどの時間不在のなか、リトリートを完遂させたのは良いのかと思う。

 

Bad…

 スコアもさることながら、90分間でも攻撃らしい攻撃を見せられなかった。交代で前線にパワーを出すいつものやり方も、相手からしたら予測しやすかったのではと思う。開始15分受けきったら前に出るなど、時間帯で攻撃型を構築するのが相手に予測されにくくなる、駆け引きになるという点で必要になると思う。

 

Next

 ゲームモデルである攻守においてアグレッシブなサッカーには、正直見えない試合。ただ、この試合、あるいはこの連戦だけではなくて、シーズントータルで、または来季も含めてそれが実現できるのか、実現できる材料を揃えているのかがポイントだと思う。ウィングがいない今、そこに拘ってもやむなしと思う反面、耐えるしかないにしても限界を迎えないような、チームビルドが必要になりそうだ。正直、この日程で、トレーニングもクソもなく、リカバリーとやってきたことの確認、微調整レベルなのだと思う。川崎戦前の1週間でこの連戦を戦う大枠、テーマは決めている(おそらく4-4-2ローブロック省エネ)はずなので、まずはそれを実行して遂行して、できないところは課題として解決する試行錯誤サイクルは回してほしい。

 

おわりに

 まさに半歩、半歩。チームの構造化、機能化を図るうえで、足りないところだらけで。もちろんその過程にはサポーターも入っているわけで。チームの総力は50%も出せていないだろう屈辱的な状態でも走り続けているわけで。こちらとしては、とにかくこれ以上のダメージがなく今季を終え、来季生き残る術を、下地を作ってほしいと思う。2022年にベガルタ仙台J1リーグで戦うことが、目標なのだから。これはチームも、クラブも、当然リーグも同じ文脈である。あらゆる分野で挫けるひとが出るなか、好きなことを仕事にできるプロとして、最後までその半歩を踏み出し続けてほしい。

 

「返すとも、アンタには借りがある!」こう言ったのは、スパイク・スピーゲルだ。

 

参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

www.footballista.jp

www.footballista.jp

www.amazon.co.jp

www.amazon.co.jp

silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com

sendaisiro.hatenablog.com

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