せんだいしろーによるサッカー分析ブログ

戦術を通してサッカーを考える。分析は我らがベガルタ仙台中心。知恵の墓場。

Jリーグ 第34節 ヴィッセル神戸vsベガルタ仙台(3-2)「それでも、可能性という名の神を信じて」

■はじめに

 さて、行きましょうかリーグ最終戦。相手は、リージョ率いるヴィッセル神戸。スコアだけ見れば、サッカーで最も美しいと呼ばれるスコアでの敗戦、一人少ない逆境の中、最後まで戦い続けたのかなと思っています。まさか最終戦まで記事を書き続けられるとは思っていなかったので素直に驚いています。飽き性の自分なりに、小さなサッカー脳で今回も鬼ゲーゲンプレスをかけていきます!では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、3-1-4-2を採用。守備時には、5-3-2になる陣立てだ。メンバーは左WBに関口、右WBに古林を起用。そして2トップの一角にジャメだ。押し込まれる状況を想定して、相手SB裏、CB脇をポジトラで突いていく狙いか。アンカーに富田を起用しているのもある程度ボールは譲るがスペースを譲らないといったところか。1年間続いた渡邉監督の壮大な冒険と実験がまずは一区切りする。レーン、立ち位置。昨日は今日の糧に、今日は明日の糧となれ。

 対する神戸。ポドルスキイニエスタのウィングなんて、数年前の自分に言ったらどれだけ信じてもらえるだろうか。しかも来年からはビジャが来るなんて。こちらは、ポジショナル王国、キングダムリージョからやってきたリージョとその哲学を共有するメンバー。思想家、哲学者という評価が一般的なリージョだが、神戸のサッカーはわりと論理的で現実に即した形になっている。それでも、70分以降の運動量低下や守備強度を見ると痛点もあるため、ベガルタとしてはそこを狙っていきたい。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。これは、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取って攻撃・守備をする」がプレー原則にあるためである。また、分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

■前半

(1)攻撃:ポジショナルアタック  ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

 ベガルタのビルドアップは、この試合もポゼッションによるもの。これまであらゆるビルドアップ妨害を回避するために身に着けていったビルドアップを披露。5分には、早速、板倉、富田、大岩、ダンで菱形成。合わせ技で右ウィングレーンに平岡がレーンチェンジする擬似4バック+菱形ビルドアップを見せる。

 ポジショナルアタックも24分には、1stプレスラインの裏で富田がボールを受けて、石原に中盤スキップの楔パスをつけている。石原のレイオフがチャンネルランの奥埜につく。

 ボールを持たれる展開、奪って早くの展開のなかで、こうやって相手のプレスを回避して前線にボールを運ぶやり方をきちんと理解していると思うし、それを実行する能力を備えているのだなと改めて実感した。ポジショナルアタックは、死んでいない。

 

(2)ネガティブトランジション:リトリート

 いつも通り、奪われたらボール付近の選手がゲーゲン。その間にリトリート。

 

(3)守備  プレッシング:攻撃的   組織的守備:ゾーンの中のマンツー

 ベガルタのセットディフェンスは、5-3-2ブロック。しかも、2トップは前プレせず、3センターと協働して中央の密度を上げる役割。そこからサイドへ誘導させて、WBと2トップが挟み込んで奪いきる狙いだ。神戸のインテリオールの郷家、三田に加えて、ポドルスキイニエスタがハーフスペースに降りてくる。プラスでCBをサポートする伊野波もいる。こうなると中盤は5枚いた方が安心という考え方もある程度納得する。

 ただし、90分間同じ手で攻めてくるほど、神戸もただの札束チームではない。そちらがそうするなら、こちらもこうしよう!とばかりに、3センターの脇を狙い撃ちしてきた。当然、3センターは動くが、動けばもといた場所が空く。元いた場所を埋める動きをするれば、さらに元いた場所があく。

 ポジショナルプレーの恐ろしさ。私は、ポジショナルプレーを「その時、そいつが、そこに、居ること」だと解釈している(個人的な見解です)。3センターが動いた時、イニエスタが、空けたスペースに居ることで、さらに別な選手が立ち位置を取り続けていった。25分ごろまでベガルタの守備もうまくやっていた。狙い通りだったのだと思う。ただ、相手の攻撃の変化(変化というより状況に応じた攻撃と言った方が適切)に対して、守備の変化をつけられなかった、事前準備のままだったのだと思う。もちろん、相手はリージョ神戸。イニエスタがいる。簡単ではない。

*概念図(構造上フリーな選手をここではジョーカーと呼んでいます。ここだけ)

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 さらに悪いことに、イニエスタポドルスキ番の板倉、平岡が降りていく彼らにデートするかしないかの判断が曖昧になる。中途半端な立ち位置を取ることで、背中にギャップを作って、SBに裏を取られるシーンが25分以降増えていった。f:id:sendaisiro:20181208092758p:plain

 こちらは、イニエスタポドルスキがウィングレーン→ハーフスペース→ウィングレーンと2段階レーンチェンジでボールを持った場合の図。

 

(4)ポジティブトランジション  ショート:ジャメ/石原/WB ミドル/ロング:縦志向

 神戸がSBを高く上げるため、その裏を2トップとWBが狙っていく。また、伊野波がアンカー落としでビルドアップするため、瞬間的に、中盤のフィルターが無くなる。トランジション勝負になれば、ポドルスキイニエスタの怖さは一瞬なのだけれど消える。12分に、伊野波がボール操作を誤って、中央で石原がボールを奪ってカウンターのシーンは、一気に選手が上がってきた。やはり、試合を通しての狙いだったのだと思う。ただし、前半、試合を通してうまくいったのかと言われればちょっと分からなかった。

 

■後半

(1)攻撃:ポジショナルアタック  ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

  奥埜の退場で1人少ないベガルタ。ボール非保持時間が圧倒的に長かった。ただ、72分のハモンのゴール、78分の攻撃ではポジショナルアタックを見せた。駒落ちのオリジナルフォーメーションは、4-4-1。しかし攻撃時には、ハモン、アベタク、ジャメ+WB関口がウィンガーになり4トップ、3-2-4になる。72分、古林に代わって菅井が入ってきたありからそれが顕著になっていた気がする。気がするだけ。

 そして、78分。今度は、アベタクをトップに据えた4-2-3へと変わっていく。アベタクがエキストラレシーバー(トップの位置から降りて後方からボールをレシーブする役割)として、GKダンからのボールを引き出し、ハモン、ジャメの2トップ+関口にボールを運ぶ役割を担った。1人少ないベガルタ仙台が変形、いや、変身した。あれは、フェイク9だ。

 神戸のトーンも落ちてきたこともありゴール前までボールを運ぶ機会も増える。最後は、大岩を1バックの守備専として、他を攻撃に回す。追加タイムにジャメのゴールで加点し、スコア2-3とする。ただそれも時すでに遅し。タイムアップの笛が鳴る。

*概念図

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  この形から、板倉がSBロールもこなす。ウィングロールの関口、左ハーフスペースに陣取るハモンと共闘して左サイドを圧倒する。

 

(2)守備  プレッシング:攻撃的   組織的守備:ゾーンの中のマンツー

 1人少ない状況で、ポジショナルを標榜するチーム相手に難しかったと思う。52分の失点シーンは、たしかにイニエスタのゴールが素晴らしかったのだけれど、三田に釣られた平岡、平岡のギャップを埋められなかった大岩・富田、イニエスタに中途半端についていったジャメ。3つのエラーが発生すれば、失点もする。ローポストに侵入されて一発で仕留められるということだ。

 それまでは、5-3-1の形でセットしていたが、57分の交代を機に4-4-1に変更。4-4ブロックで対応している。62分に3失点目をもらっているあたりを見るとまだまだなところもありそうだが、実験と冒険を続けるチームに可能性を感じる。

 

 

■考察

(1)再び光るピッチ

 制約条件のあるなか、難しいスコア状況のなか2点を返したことは大きなことだと思う。アベタクのフェイク9や4バックなど、当然記号にも目が行くが、それ以上に0-3という状況にチームが満足していない、勝ちを諦めていないところが大きい。監督や選手が良く言うように、サポーターに勝利を届けたい思いを強く感じた。

 

(2)激突、ポジショナルプレー

 今回、明確にポジショナルプレーを掲げるチームの対戦だったのだけれど、やはり、守備の部分での課題が出たと思う。事前にデザインされた守備で25分程度はハメ殺していたが、欧州系のチームを見ていても、大体20分くらいで大局が決まり、ではそれに対してこう変化をしましょうが流れになる。ベガルタも、相手の攻撃が変化してきたなら、守備のやり方も判断して実行できたらなお良い。もちろん、すぐできるものではない。だけれど、できると思っている。

 

(3)ゼロ時間へ

 これでリーグ戦の全日程が終了。最終順位は11位だ。目標としていたトップ5入りはできなかった。達成できたこと、できなかったことをスケールを設けて評価して、次に進む道を決めていこう。終わりと始まりは表裏一体。また、来年。

 

■おわりに

 イニエスタがゴールを決めた瞬間、僕は、笑いながら拍手をしていた。世界一のプレーを観れた喜び、止められない圧倒的力の差、畏怖の念、絶望のスコア。理由はいくらでもある。もう終わりだと思った。ポゼッション型のチーム相手に1人少ない状況は、かなり悪い状況。勝つのは至難。ハーフタイムにどうやったら勝てるか考えていた全てを破壊するゴールだった。

 3点目が入る。僕は、神戸がサポーター向けに行うセレモニー、ショーか何かが始まったのだなと思った。僕らは添え物。神戸の勝利に花を添える役割。勝てない。勝てるわけがない。この状況でどうやったら勝てるんだ。僕は、勝つことなんて有りえないと勝利を諦めた。

 僕は、有りえないものを見た。ハモンが左足を振りぬき、ネットを揺らした。その瞬間、鹿島戦で僕が呟いた「まだ、負けてない」が聞こえてきた。まだ、負けてない。まだ、負けてない。まだ、負けてない。少しずつ大きくなって、センターサークルにボールがついた時には、僕は「まだ、負けてない」と声に出していた。

 そして、ジャメのゴールが入る。時間なんてもうない。けれど、僕は、最後ホイッスルが吹かれるまで、勝利を信じて疑わなかった。チームが勝ちを信じているのに、僕たちが信じていなくて、何を信じるんだ。

 僕は、僕たちは、強くはない。この変化の激しい世界、激動の時代において、自分を信じている者なんて、そうそう多くない。けれど、自分を信じることができていない人間を誰が信じることができるだろうか。

 これかも、たくさん負けて、たくさん勝って、たくさん悔しい思いをして、たくさん喜ぶことになる。 今日もまた、サッカーは続いていく。

 

 「恐れるな。信じろ。自分の中の可能性を。信じて力を尽くせば、道は自ずと拓ける。為すべきと思ったことを、為せ」こう言ったのは、カーディアス・ビストだ。

 

■感謝の言葉にかえて

 日頃、ブログを見ていただいている方々へ、こんな形で失礼しますが、感謝を申し上げます。およそ5か月前に始めた戦術ブログですが、毎試合見て、ゲーム分析をしてレポートにすることを果たして続けられるか多いに心配だったのですが、「見られているんだ」と思うと自然と体が動くもののようで、おかげ様で最終節まで続けられました(笑)

 旗揚げ当初は、しばらくは一人で細々やろうと思っていたのですけれど、「仙台界隈」の戦術班の皆さん、熱いサポーターの皆さんに取り上げてもらって、素直に嬉しかったです。当然、試合を観たり、本を読んだり、Twitterでディスカッションしたりしてより良いアウトプットを出したいなと思う気持ちも強くなりました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、天皇杯の決勝前日に書いているのですが、当日はこの瞬間を楽しみたいです。色んな思いとか理由、背景、文脈ありますけど、こんなイベントなかなか経験できないです。いつものように、「まだ、負けてない」と心で叫びながら楽しみたいと思います。

 人生最高の90分間にしましょう。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html

 

 

Jリーグ 第33節 ベガルタ仙台vs鹿島アントラーズ(0-3)「底冷のスタジアムの底で」

■はじめに

 さあ行きましょう鹿島戦のゲーム分析!寒い。寒すぎた。底冷えのスタジアムをサポーターの熱気で包まれた、とは言えなかった今節。あまりに何もできなかった。さすがはアジアチャンピオン。Jリーグの王者中の王者。格ってやつが違う。それでもサッカーは続いていく。寒空のゲーゲンプレス、行きます。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは前節引き続きの3-1-4-2。負傷退場した椎橋もフェイスガードを身にまとい出場。2トップはハモンがケガでアベタクに。ますます分からなくなる3-4-2-1との使い分け。永戸のクロスにハモン、石原なのかと思いきやアベタクでも関係ないようだ。しかも4-4-2相手に2試合連続3-1-4-2。椎橋フォーメーションと取るべきなのか。

 さて鹿島。メンバーがターンオーバーだったりする中でも各ポジションに力のある選手がいる。伝統的な4-4-2。4-2-2-2と言うべきなのか。底堅いボランチ」と決定力のある2トップ、自由自在なSHでの攻撃で得点を奪い鹿島る。あと、セットプレーで点数が取れるチームは強い。というか手ごわい。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。これは、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取って攻撃・守備をする」がプレー原則にあるためである。また、分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

 

■前半

(1)攻撃:ポジショナルと和式  ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

 ベガルタのビルドアップは、3バックが中心。ただ、GKダンを含めて積極的に自陣から意地でもつなぐといった形ではなかった。椎橋のアンカーポジションを鹿島2トップに消されたことが大きな要因だと思う。3バックがある程度ボールを持つ時間があったので、ダンまで含める必要は無いという判断だったのだろう。で、上手くいったか。決して上手くいかせないのが鹿島アントラーズだ。

*概念図 (構造上フリーな選手をジョーカーとここでは呼んでます。ここだけ。)

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 鹿島が取った策は、①椎橋を自由にさせないこと、②CH・SB・CBは最初に強く当たること、③平岡、板倉がボールを持ったらSHがプレスをかけることだった。これでベガルタのビルドアップを窒息させにかかった。

 3バックを撲滅するために色んなチームが色んな策を講じてきたが、今回のケースは初めてかもしれない。2トップ+SHの3トップ前プレによるビルドアップ妨害は良く見るが3-1-4-2の場合、「アンカーは誰が見るんだ問題」が発生する。アンカーを見れば、今度は「WBは誰が見るんだ問題」が発生しててんやわんやになる。ただ、今回の鹿島は3バックをガン無視。あとは好きにさせないぜと言った具合だった。

 そんな鹿島相手にベガルタは、U字回し、ロングボールやWBからのクイッククロスに終始して前半を浪費した。板倉からアベタクに中盤スキップの楔パスが通ったが、あのようなパスをCB、GKからトップに着けられればもう少し展開が変わった気がする。気がするだけ。

*概念図

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 ベガルタのポジショナルアタック。というより、「和式ショナルアタック」というべきか。悲しい。何が悲しいかというと、ボール回しがWBからCB、CBからCB、CBからWBへと何の生産性も無いボールのバケツリレーになったからだ。運よくミドルサードファイナルサードまでボールを運べても、ボールホルダーに寄るわ寄るわ。ついてくるついてくる、鹿島。怖いひと達ばっかりだ。で、結局、プレッシャーがかかるのでロングキック、クイッククロスで前線に送り込むが昌子相手に石原、アベタクでは分が悪いのではないかね。

 

(2)ネガティブトランジション:リトリート

 いつも通り、「奪われたら近くのひとがゲーゲン」、「行けたら行くゲーゲン」、「デュエルマスターゲーゲン」で時間を稼ぎながら陣形を整える。

 

(3)守備  プレッシング:攻撃的   組織的守備:ゾーンの中のマンツー

 ベガルタは5-3-2ブロックで鹿島を迎え撃つ。鹿島は、4-2-2-2の形でブロック崩しに入る。2トップがサイドに流れてWBとマッチアップ、あるいはCBを引きずり出す。SHはフリーだ。ブラジルの血を感じる。SBにウィングレーンを担当させている。ただ、ファイナルサードで最終的には、FW、SH、CH、SBでスクエアを創ったりするところなど、抜け目は無い。

 ではベガルタの守備との相性は、基本中央をCBとCH6人で守っているので、危険なエリアで仕事はさせていなかった。ただやはり怖かったセットプレー。鹿島の上手くいっていようがいまいが得点して守り切ったチームが勝つを体現したような失点だった。

*概念図

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■後半

(1)攻撃:ポジショナルと和式  ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

 後半、デート状態の椎橋のヘルプに野津田が降りて2CH化した。簡単に言えば、的を2枚にすることで、マークの焦点をずらしたかったのだろう。あと、ボールに触りたかったとかとかとか。ただ、有効だったかと聞かれたらちょっと分からなかった。日本のトップ下がよくやるプレーなのだけれど、自分が触りたいだけだったりする。多分。

 たとえば54分なんか、野津田がアンカー化している。奥埜が上がってアベタクと2トップのような形になっているがそれが相手にとってどのくらい効いているのかはよく分からない。何だか良いような感じはする。するだけ。

 結局、今のベガルタはポジショナルアタックというよりも「和式ショナルアタック」になっていると思う(呼び方は別として)。ボールホルダーに誰もが近寄っていく、離れているのに我慢できない、相手や状況を見て変化しないとかとかとかとか。それぞれの記号は良いのだけれど、それが総合されて、統合されているわけではない。それぞれのがんばりがそれぞれの方向に行ってしまっているのが勿体ない。

 ということで、今日のポジショナルアタック分析はここまで。またどこかで会いたいです。近そうでまだ遠い、ポジショナルアタック。恋しくて憎らしい、ポジショナルアタック。

 

(2)ネガティブトランジション:リトリート

 攻撃ポジションが良くないことが影響して、2失点目のシーンなんかも、アンカー板倉がミスで奪われると一気にカウンターでゴールまでもっていかれた。関口、中野が戻る時間を稼ぐような包囲網は形成されていなかった。攻守表裏一体。

 

■考察

(1)椎橋攻防

 アンカー椎橋が味方にとっても相手にとっても重要な存在であることがよく分かった。当然4-4-2の痛点にポジショニングするため警戒されるのだけれど、放置させてくれないあたりはやはり実力がついてきたと見るべきだろうし、それを逆手に取ることもできるのだと思う。だからこそ、CB陣のボール出し、ポジション・レーンチェンジを使って相手を混乱させるひと工夫を加えたい。

 

(2)良い立ち位置の果てへ

 もう何が良い立ち位置で、良くない立ち位置が何なのか分からなくなっている。解答のない方程式を解いている姿を見ているようで、ゴール(目標地点)のない攻撃に怖さは無い。ポゼッション率だけが上がっていく。残念ながら、率を競うスポーツではないのだ。糸が切れたタコのようになってしまっているが、椎橋がそれを繋ぎとめてくれると信じている。ただ、信じている。 

 

(3)あとひとつ

 リーグ最終戦は、キングダムリージョ神戸。本場のポジショナルプレーだ。何かが起きてもおかしくない。多分。ベガルタの中の可能性が目を覚ます。

 でも最後はやはり、悔いのない、今シーズン最高の90分間にしよう。

 

■おわりに

 終わった。寒かった。セレモニーを待つ。監督とキャプテンが涙目だった。寒いのかなと思った。違かった。0-3だった。天皇杯が残っているのだった。投げられた。景品交換入りのチケットだ。交換した。帰った。失望と希望との狭間で、重力の井戸の底で、アジアチャンピオンとのホーム最終戦が終わった瞬間だった。

 僕は本当に勝ちたかったのだろうか。3失点目が入った時、僕はとっさに「まだ負けてない」と声に出してしまった。けれど、その言葉を僕自身どのくらい信じていたのだろうか。残留したからそのあとの試合結果は特別重要ではないのだろうか。勝ちたい。負けるのは死ぬほど悔しいから。この言葉を信じ続けているだろうか。天皇杯天皇杯天皇杯、優勝、優勝、優勝、タイトル、タイトル、タイトルと誰もがくちぐちに言うのだけれど、信じているのだろうか。選手だろうが、サポーターだろうが、一瞬でもそれを疑った時、死はすぐそこまでやってくる。

 上手くいっていない状況から目を逸らすこと、新しい希望を見つけることも大切なことだ。人間はそこまで強くはない。けれど、まだ何も手にしていないし、終わってもいない。始まってすらいないと思う。ベガルタは、僕たちは、ここからが本当の闘いが始まるようが気がする。そう気がする。いつもの気がするだけのやつだ。

 

 「何かを得るには、心の中でそれを思うことから始まる。」こう言ったのは、ブルース・リーだ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html

 

 

Jリーグ 第32節 サンフレッチェ広島vsベガルタ仙台(0-1)「Be happy, but never satisfied.」

■はじめに

 さあさあ!行きましょう広島戦のゲーム分析!勝った勝ちたかったんだ!敗北はひとを強くするが、勝利はひとを美しくする。今僕が考えました。勝った時、君は美しい。そんな冗談はさておいて、2位広島の撃破して盟友フロンターレの優勝に花を添える形になった今節。同時に残留も決定し、J1在籍10年選手になった。41歳のおじさんが51歳になるのだから時の流れの速さを感じる。僕の実年齢ではないのだけれど、今回も、ゲーゲンプレスで振り返っていきます。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、レンタルの都合野津田が欠場。フォーメーションも前輪駆動型3-1-4-2で臨んでいる。4-4-2殺しといこうか。トップにハモンが初先発。左WBに永戸、インテリオールに中野。永戸から2トップへクリーンなボールを送ることができれば勝利は近い。あとはアンカー椎橋。そう椎橋だ。あと、盟友の優勝に手を貸せる状況だ。

 一方の城福広島。4-4-2の堅固な守備からコレクティブなカウンターを繰り出し、優勝街道をひたむきに走っていたがいつのまにやらブーイングの嵐。勝ちに入るのか、育てに入るのか、いつの時代もどのチームも難しいものだ。ちなみにこの試合でフロンターレの優勝が決まった。ああ、城福や。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。これは、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取って攻撃・守備をする」がプレー原則にあるためである。また、分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

 

■前半

(1)攻撃:ポジショナルアタック / ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

 ベガルタのビルドアップは、3バック+アンカーによる菱形ビルドアップ。または、GKダンを含めた擬似4バック+アンカーによるトリプルトライアングルによる幾何学模様ビルドアップだ。広島は2トップ+SHによる3トップ前プレで3バックに対して同数プレスによるビルドアップ妨害を図って来た。ただ、4-4-2が3-1-4-2への対抗型になるのは難しいのではないか。4-3-3に可変したとしてもアンカーとGKは誰が見るんだ。アンカーにマークはつけたいが、それなら、4-4-2系列(4-4-1-1、4-2-3-1)でアンカー番をつけるのが定石だ。でもそうすると、3バックへの同数プレスがかけられない。

 しまった3-4-2-1じゃない。どうする広島。城福。時間だけが過ぎる。夜更け過ぎを待つ。

*概念図 (構造上フリーな選手をジョーカーとここでは呼んでます。ここだけ。)

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 序盤30分間はわりと同数できたが、28分のビルドアップあたりを境に、広島が自陣でラインを高くした4-4-2ブロックを形成し始める。おそらくは、ビルドアップだけの問題ではない。「ベガルタのWBは誰が見るんだ問題」があったからだと思う。思うだけ。おかげで、ベガルタはポゼッション型のポジショナルアタック時には、ファイナルサードまでボールを運べるシーンがあった。

*概念図

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 ただ、ベガルタのポジショナルアタックは、後方から2トップにあてるやり方大半を占めていた。ナベさんの狙いは、これで得点できたらラッキー。この一次攻撃で広島のラインを下げさせて、奥埜・中野の縦へのランニングと合わせてライン間を空ける。それを塞ぐために広島がハーフラインを下げるのであれば、3バックと椎橋がプレス地獄から解放され、ポゼッションが安定する。現に、30分以降はわりと安定してボールを持つことができた。特に41分のポジショナルアタックは、「ベガルタのWBは誰が見るんだ問題」とセットで良い位置に立って攻撃ができたと思う。

 ロングでラインを下げさせて、ポゼッション確保。かなりオーソドックスなやり方でのポゼッションを目指していた気がする。気がするだけ。

*概念図

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(2)ネガティブトランジション:リトリート

  ベガルタはいつも通り、奪われたらボール付近の選手が「とりあえずゲーゲン」。というより、リトリートの時間を稼いでいる間の「束の間ゲーゲン」だ。

 広島が速いタイミングで2トップ当てるので、青山の殺傷能力の高いパスと合わさると3バック脇を攻撃されるケースが多かった。でも、残念、そこは、ダン。 

 

(3)守備  プレッシング:攻撃的 / 組織的守備:ゾーンの中のマンツー

 ベガルタの守備は、攻撃的プレッシングとゾーンのなかのマンツーを組み合わせた5-3-2ブロックだ。4-4-2ビルドアップとすこぶる相性がいい。守備の基準点がはっきりする噛み合わせだった。広島のビルドアップが2-2ボックス型だったのに対して、2トップ+2CHでマーク。SBへ逃げたらWBが迎撃。そしてまたCBへ。今度は反対のSBに。そしてまたCBへ。ようこそ無間地獄へ。

 あとは、23分、セントラルレーンから右ウィングレーンまでの、右サイドに8人、9人をオーバーロードさせる守備も見せた。ボールに向かって選手が集団で向かっていく「イワシの群れディフェンス」だ。毎日これをやってくれないか。

ベガルタのビルドアップ妨害

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*概念図

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イワシの群れディフェンス」

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(4)ポジティブトランジション  ショート:石原、ハモン / ミドル:縦に早い

 ボールを奪ったらサイドのハモン、石原につける。そこらじわじわ前に進んでいく。あとはクイックにクロスを上げてしまうシーンが多かった。 

 

■後半

(1)攻撃:ポジショナルアタック / ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

 後半は広島のビルドアップ妨害が明確に4-4-2に。こうなると、ベガルタの菱形ビルドアップが炸裂する。後方で作った優位性、時間(スペース)、サポーターの思い、その他諸々を前線へと、ゴールへと運んでいく。前線と後方とをつなぐ蝶番。ヒンジ。椎橋。そう椎橋だ。ダンも意地でもつなぐ姿勢を見せて、援護射撃する。後方2人のジョーカーが持つ優位性を活かして、ビルドアップしていた気がする。気がするだけ。

 一方の城福広島。どうする。1人で2人を見る守備をしないとどう考えても見切れない。ティーラシンが椎橋へのコースを切りながらプレスをかけていた気がするが、それだけで解決できる問題でもない。でも4-4-2のまま。ハードワーク。これしかない。

*概念図

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 ポジショナルアタックについて、ゴールシーンは見事だったというしかない。スローインを受けた椎橋が4人を引き寄せて石原に開き、WBの中野に開き、石原をスキップしてハモンの落としに石原だ。ただ、ほかのポジショナルアタックについては、良いか悪いか判断できなかった。危険にボックスへ侵入できなかったからか。ちょっと分からなかった。

 例えば70分の中野のドリブルへの合わせ。椎橋が回り込み、矢島が近づいたのだけれど、肝心の離れる・バックドアがない。しかも矢島は近づいているとはいっても、中野がドリブルする方向に近づいている。スペーシングの原則の一つ、味方を邪魔しないに反するプレーだ。でも、世の中的に良いスペーシングができているチームはほとんどいない。できることを、そしてこれからできることをやっていこう。結果、良い動きが出来ていればなお良いではないか。

 

(2)ネガティブトランジション:リトリート

 51分のパトリックのカウンターアタック。永戸が軽率にスローインを取ろうとして相手に当てたがラインを割らず。技術的なミスと言えばミスなのだけれど、WBがリトリートするにはどこかで時間を稼ぐ必要がある。それが、ネガトラ時の束の間ゲーゲンなのだけれど、WBの後ろには誰もいない。そこで即時奪回するしかないが、人がいない。ボールの奪われ方に気を使いたい。表裏一体。

 

■考察

(1)優位性を巡る

 椎橋を中心にビルドアップ隊が作った貯金をきっちり前線に運べていたと思う。ただ、ゲームプランもあって、ロングキック、クイッククロスが多めの展開ではあった。そのなかでも、ミドルサードファイナルサードでもボールを持つ時間を多く確保できたのは、プレスラインを下げさせたこととビルドアップ貯金のおかげかなと思う。やっぱり、丹念に、丁寧に仕上げていくことが今のベガルタには必要なのだと感じる。

 

(2)動きの質・動作の質

 中野、永戸のレーンチェンジや奥埜のチャンネルラン、平岡の3オンラインからのサイとかとかとか、記号は良いのだけれど、どうも組み合わさっていない気がする。もっと何度も動く、動きなおす、受け直すをすれば自然と良い立ち位置が取れるようになってくるはず。そうすれば、ボールホルダーは正対する、ポーズ(小休止)するが可能になる。もっとボールを持つ時間を捻出できる。考える時間が増える。まだやれる。

 

(3)あと2つ

 泣いても笑っても残りリーグ戦は2試合。天皇杯含めればまだ試合もあるが、長い闘いの行く末をやはり良い形で終えたい。

 

■おわりに

 贅沢を言う機会が増えた。アグエロが欲しいとかスペーシングしてほしいとか、ロマンスがありあまって贅沢に怯えている。2、3年前ならあり得ない。5レーン。良い立ち位置。そして、躍動する選手たちと目が養われたそのサポーターたち。胎動するポジショナルプレー。西村無きあとのチームがついに動き出す。死に物狂いで生き急いでんだ。結果と成果があるこの世界において、その両方をひねり出すことは容易なことではない。少なくとも結果という意味ではここ何年もボトムハーフ。結果は出ていない。ならば成果はどうか。成果をどう規定するかにもよる。何を評価するかにもよる。ポゼッション率?パススピード?ポジショニング?スプリント回数?違う。生き急いでいる。なんてことをきちんと考えられる自分がいる。しかもベガルタを舞台に。ベガルタを通してサッカーを考えることができる。これだって立派な成果だ。だから何。その問についてはまだ答えられない。考えない人生より考える人生の方がずっと素敵でしょ的なことをオシムか誰かが言っていた気がする。気がするだけ。曖昧なことを思いついたんで、ちょっと無理してお洒落に文字に起こしてみた。

 

 「失敗を恐れるな。失敗することではなく、目標を低く掲げることが罪なのだ。大きな挑戦なら、失敗さえも栄光となる」こう言ったのは、ブルース・リーだ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html

 

 

Jリーグ 第31節 コンサドーレ札幌vsベガルタ仙台(1-0)「人は自分が考えた通りの人間になっていく」

■はじめに

 さあいくぞ!札幌戦のゲーム分析!長かったJリーグも片手で余裕で数えられる試合しか残っていない。しかも未だに混戦模様で、誰がACLに行けて、来年沖縄にサッカーを見に行くのか分からないから恐ろしい。恐ろしすぎてケツの肉がとれる夢を見てしまう。まあサイコロじゃ勝敗は決まらないので、最後までベガルタのサッカーを追い続けて、そして最後は勝って帰ってきてほしい。今日も小さなサッカー脳で、プレスバックしていきます。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは3-4-2-1。CHに矢島、左WBに中野が入っている。あとはイツメンだ。矢島、椎橋コンビが攻守で舵取りできるか、中野が質的優位性を発揮できるかが注目だ。ただやはり、レーンや立ち位置で優位に立てるかがこのチームのプレー原則なので、そこはメンバーが変わっても表現できているのかは見ていきたい。

 そして、ミシャ札幌も3-4-2-1。まあミシャのチームは説明不要でしょう。攻撃、守備時時にフォーメーションをそのまま維持することは無い。そうミシャ式である。あとは、前線のジェイは困った時の出口役としている。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。これは、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取って攻撃・守備をする」がプレー原則にあるためである。また、分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

 

■前半

(1)攻撃

 アクチュアルフォーメーションは3-2-5。そこに矢島と椎橋が縦関係になったりするが、基本は前に矢島、後ろの椎橋といったところだ。ビルドアップは久々のダンを交えたビルドアップを見せる。ダンとCBを中心にそこにCHが加わってビルドアップなんて、見慣れた型なのになぜか懐かしい匂いがする。ただ、この試合は少し違っていて、ハーフラインから前線に張っていたWBやらシャドーやらも、ビルドアップに加わるので自陣に6人、7人がビルドアップに関与していた。

 おかげで札幌もビルドアップ妨害隊を同数か、1枚少ない人数を送り込んできた。そこを回避して、素早く前線に、あるいは逆サイドに展開が狙いだったか。それでもパスミスだったり、即時奪回されたりして、狙い通り本当にうまくいったのは41分の1度だけだった気がする。

 そしてベガルタのポジショナルアタックは密集成分が多く、レーンや立ち位置云々ではなかったように思える。唯一、41分の右ウィングレーンでのロンド回避からの左アイソレーション板倉への展開からのポジショナルアタック移行に可能性を感じた。主役は椎橋。そう椎橋だ。

*概念図

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*上記のビルドアップ図から、ここまで前進。ボールは椎橋。ターゲットは前線の石原、アベタクだ。手を広げている。札幌の2センター、横並びだ。門は空いている。楔が撃ち込まれた。連続フリックで矢島のシュート。

 自陣で相手を引き寄せて開いて前進。相手をゴール前に張りつけてのポジショナルアタックはここ数試合でも質の高いものだった。中心は椎橋。そう椎橋だ。

 

(2)ネガティブトランジション

 ベガルタのネガトラはことごとくカウンターにつなげられた。恐らく守備時のポジションが関係している。ライン間、レーン間でボールを受けられ、即時奪回も食らう展開のため、ボールを奪われた時点ですでに不利な状態だったと思われる。攻守の循環が良くないということか。

 

(3)守備

 ベガルタは、相手のビルドアップに対して、4人、ある時には同数プレスでビルドアップ妨害。いわゆる前プレでハメるというやつだ。例えば、13分は3トップ+矢島で4人で妨害、22分には敵陣に8人を送り込み、相手ゴール前で3vs3の状況を作り出す。ミシャ札幌が自陣から繋いでくる特長は誰もが知っていることで、そこではめ込んでしまおうという狙いだったか。

 一方の札幌もそれは分かっていることで、ロングでジェイ、あるいはサイドにボールを回避することでプレス回避からラインを下げさせて、ミドルゾーンでのポゼッション確保といった具合でゲームを進めていった。ベガルタが前プレを外された後、どうするのかはちょっと見えなかった気がする。気がするだけ。

 また、セットディフェンスは、人への意識が強いゾーン。というより、ゾーン成分は薄めだった。アクチュアルは5-2-3。そこから、相手CH、シャドーの位置に応じて、CHとハーフディフェンダーが一列上がって、5-1-4、4-2-4のような形で対応した。ただ、この守備方法だと無条件で背中のスペースを順繰りに空けることになるので、最後はキーパーとの1vs1状態を作り出しかねない。理想は中央の強度を上げて、サイドにプレーエリアを限定させるやり方か。この試合、3トップ間をバシバシ楔パスを通されていたのを見ているとなおさら思う。

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*5-2-3ブロックから、5-1-4、4-2-4へと変形していく瞬間。というより、なんで石原と野津田は棒立ちなんだ。あっさりとその間を通されて、平岡の迎撃、矢島の囲い込み発動。ただ、反動で、バイタルと裏のスペースを空けることに。こうなるなら、前線でしっかり封鎖した方がリスクが少ない気がする。多分。

 

(4)ポジティブトランジション

 基本はショートトランジション、いわゆる速いカウンターだ。ただ、札幌の即時奪回に苦しみ、石原のビックリシュートポストくらいしかチャンスは無かった。

 

■後半

(1)攻撃

 何となくだが、ベガルタは1タッチ、2タッチ多めで速い展開だったと思う。しかも、ランニングしながらのパス交換だったので、見ている分にはテンポがいいように思えたが奪われるとその速さ分のカウンターを受けることになる。攻撃は水だ。水はコップに入ればコップの形になるし、ポットに入れればポットの形になる。勢いよく流せば、勢いよく跳ね返ってくる。それを許容できないと、コントロールできないと話は難しくなる。今日のベガルタは攻撃が全てを難しくしていた。そしてその難易度を設定できる実力を持っているはずだ。多分。

 それでも65分のポジショナルアタックは、野津田と椎橋がカウンター予防ポジションを取っていて、攻守表裏一体だった。2本の縦パスを出しながらカウンターを許さなかったのがその証拠だと思う。

*概念図

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(2)ネガティブトランジション

 攻撃速度が速いので、ネガトラも速くしなければいけないのだけれど、乗ってこない。カウンターを何度も受けて、3バックor4バックor5バック+1CHの状態でカウンターを受けるシーンが多かった。

 

(3)守備

 人に意識が強いためか、シャドーがサイド気味に構えるとついていき、肝心のバイタルの門を開けるケースがあった。最後は5バックが迎撃すればの守備なのだとは思うのだけれど、リスクが高くはないかと思う。

 65分、CH裏をチャナティップにとられシュートシーンを作られている。

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*結局のところ、守備において、どこは譲れなくて、どこで回収するのかを整理することが大事だと思う。人につくのは良いとしても、どうしてバイタルが空くのは考えなければいけない。平岡が中途半端な位置にいるのは、裏抜けも対応できるポジションにいるから。であるならやはり、中は締めたいし、ボールホルダーにはもっとプレッシャーをかけたい。まあ相手はミシャ式なのでというのも関係してそうな気がする。

 

■考察

(1)ポジショナルアタックは死なない。

 蘇らせたのは椎橋。密集成分多めの攻撃のなかで、立ち位置だけで、ボールポゼッションを上げたのは見事としか言いようがない。あとは周りの「大人たち」がフォローする、オフボールのランニングをする、アイソレーションするなど、合わせることができるかがキーになる。大丈夫。富田がいる。奥埜がいる。まだ死んでいない。

 

(2)どこからでもどうぞ守備

 様々チャレンジしているなかでの5-2-3ブロック。今回強度不足で、間は通されるは、トランジションは安定しないわでてんやわんやだった。ここは突き詰めてほしい。残り試合で詰めるところまで詰めてほしい。相手とか、自分がではなくて、未来の自分たちに必要なことだとして突き詰めてほしい。そう僕たちは、ルヴァン杯決勝で学んだはずだ。

 

(3)境遇が何だっていうんだ。チャンスは自らが作り出す。

 当然、負けてしまったわけだし、残留できるかどうかも気になる状況だ。まだまだ予断は許さない状況だが、だからと言ってリスクを過大評価して消極姿勢にならず、困った時こそイノベーションの姿勢でナベさんならびに選手には邁進してほしい。

 

■おわりに

 果たして僕たちは開幕戦の柏戦から思い描いていた自分になれているのだろうか。大きく逸れていないだろうか。そもそも達成できるようなものだったのだろうか。でも、僕たちの現在地はここで、今日も負けてしまって、ボトムハーフになって、トップ5が狙える位置にいる。思い描いていたものを捨ててでも、トップ5入れたら、残留できたら良いのだろうか。答えはイエスだ。理想のサッカーをして降格、それはノーだ。なぜなら、負けるのは死ぬほど悔しいからだ。ならば、美しく勝利することは可能だろうか。イエスともノーとも言えない。解と結果との狭間で我らが渡邉ベガルタはもがき続けている。僕たちサポーターももがいている。フロンターレベルマーレも、そしてマリノスがこれから歩いていく道を僕たちは歩いている。ヴィッセルだって、これから歩いていくことになるだろう。結果が過程を正当化する。そう思う。ただ今は、目指している解が必ず、目に見える結果となって現れると信じていこうと思う。

 

 「なりたいように、なれるさ」こう言ったのは、ブルース・リーだ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

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 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

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Jリーグ 第30節 ベガルタ仙台vsサガン鳥栖(2-3)「ベガルタがベガルタであるために わずかな光を頼りに ベガルタとともに行こう」

■はじめに

 さあはじめましょう鳥栖戦のゲーム分析!ちなみに天皇杯での喧噪をよそにブログを書いています。久々の勝利にベガサポ達が大声で歌うわ、勝利の盃を上げるわで大盛り上がりだっていうのに。うおおお、鬼プレスで振り返っていきます。失うものはない。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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  ベガルタは、3-4-2-1。浦和戦同様、センターにリャンと椎橋を起用。あとのメンバーはいじらずそのままだ。奥埜、富田の勤続疲労からなのか、別の狙いがあるのか今のところちょっと分かっていない。鳥栖は、監督が代わり、どんなサッカーで来るか未知数。あらゆる局面に対応するなら奥埜、富田のような気もするがそこはピッチを見てみないと分からない。

 一方の鳥栖は4-4-2。マッシモをぶった斬り、残留に向けて金監督に全てを託した形だ。短期間できることは少ないかわりに、狙いやゲーム運びはシンプルにするのかもしれないし、しないかもしれない。これも蓋を開けて見てみよう。 

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。これは、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取って攻撃・守備をする」がプレー原則にあるためである。また、分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

 

■前半

(1)攻撃f:id:sendaisiro:20181024223538p:plain

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  ベガルタは、2センターが変わってもポジショナルアタックを継続。鳥栖相手にトランジションの斬りあいは、どういう戦い方で来たとしても、得策ではないと判断したか。開始から20分間、ポジショナルな攻撃で鳥栖ブロック崩しを実行できていた。

 また、オーバーロードアイソレーションで、左ウィングレーンでアイソレーションの関口に、蜂須賀から6分、21分、24分と3度サイドチェンジパス(レーンスキップパス)が送られていた。「相手を引き付けて、離れたフリーマンにボールを送る」だ。

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 さらには、鳥栖SBは、ベガルタWBに良く食らいついてきた。左SBは縦に、右SBはワイドに動かし、背後とチャンネルに狙いを定めてボールを前進させた。

 ただ、少し様子がおかしい。ポジショナルアタックの出口がファイナルサードで見当たらない。というより、ゴールを奪う解が無いままのポジショナルアタックと見た方が事実により近かった気がする。気がするだけかもしれないが、ボックス手前までは侵入できるが、その先になかなか入れなかった。いや実際には入るケースもあったが、どこかのエリアを狙い撃って、再現して殴り続ける展開ではなかったように思える。たしかに開始20分間は、蜂須賀の侵入もあったが、チームとして、全体として、狙ってやっているようにはちょっと見えなかった。

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*30分のポジショナルアタック。椎橋がボールホルダー。チャレンジ&カバーの隙を野津田がポジションを取る。

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*その野津田にボールがつく。そのままターンして前を向けば、マークが密集して、アベタクか右ハーフスペースの石原あたりが空きそう。

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*野津田は上がって来た板倉に。まあ、なぜかチャンネルがら空きだし、そっちに走るか。チャンネルランだ。

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鳥栖右SBは関口についているのだが、優先度は高くないような。鳥栖は人につく意識の強いゾーンだ。

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 *チャンネルを襲撃しない野津田。反転。かわりに野津田が空けたスペースにアベタク。ボールをつける野津田。鳥栖のラインがもうどうなっているのか分からない。

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*味方方向へドリブルするアベタク。近づく野津田。左ハーフスペース出口が渋滞だ。

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*実は最もポジショナルプレー、レーンを意識していたのは関口でした。アベタクがボールを持った瞬間から、チャンネルラン。しかも、レーンチェンジランのおまけつき。でもアベタクは関口をデコイに、野津田にボールをつけ、右SBが空けたスペースに。

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*2シャドーの距離として適切かは分からない。あとアベタクの空けたスペースに誰か入ってはこないのか。バイタルが空いている。

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*2シャドー+WBによるローテーションアタック成功。成功はしたのだけれど、これがゴールに最も近い選択だったかは、よく分からない。突破できたのだし成功だ。もっと早いタイミングで突破できた選択があっただけだ。

 こんな感じで、一見するとできているように見えるが、即興じゃない?と思わされる、ちょっとくすぐったいポジショナルアタックだった。

 

(2)ネガティブトランジション

 いつも通り、ボールを奪われるとボールホルダーに近い選手が1人ゲーゲンプレス、その間にリトリートして陣形整備といった形だ。攻撃時に良い立ち位置を取っているのであれば、守備時にも良い立ち位置のはず。やらないのは、プレー原則まで潜らないと分からないが、少なくともリトリート継続だ。

 

(3)守備

 ベガルタの守備時のアクチュアルフォーメーションは、5-2-3だった。というより正確には、5-2---3だった。間延びだ。3トップは、前プレをかけるが後ろがついてこない。おそらくは、トーレス、金崎のセカンド回収に2センターが引っ張られたのと、3バック脇を狙われるのを防ぐためだと思われる。どうだろう。ある意味ピッチ全体を広く守るとも見えるが、そうなると鳥栖相手にデュエル勝負になる。それでも良しの判断なのか。

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*7分。権田のスパービルドアップキック。いきなり、1stラインを破られ、自陣までボールをつけられている。2センター対決になっているが、リャン・椎橋コンビでW高橋は分が悪いような気がする。気がするだけ。

 

(4)ポジティブトランジション

 完全にカウンターで仕留めきらず、ある程度ボールを運んだら、ポゼッションに移行。鳥栖の前プレを回避して、安全地帯までボールを運んでから、ボール回しに移行したい意図だと思われる。

 

■後半

 あれよあれよと2点を失ったベガルタ。PKで1点を返し後半へ。ベーシックな戦い方を選んできた相手だけに、ポジショナルに仕留めたい。

(1)攻撃

 後半開始からベガルタは、ビルドアップを鳥栖の同数プレスでビルドアップ妨害を顔面から受ける形になる。しかも、マッシモの遺産なのか、カバーシャドウで追い込んできた。53分にビルドアップが窒息して、超ショートトランジションからシュートまで持ち込まれている。特に金崎は後半開始から、ベガルタのビルドアップに対して、1人で二人をマークするのでボールをもらってもコースがない。しかも後ろも連動するので、体勢が悪いままでパスを出すことに。

 しかもベガルタのビルドアップ。WBも自陣にて参加するため、より鳥栖のプレスを思いっきり受ける形に。これまでは、3-2M字型でのビルドアップで、WBはハーフラインを超えず、敵を引き連れないようにしていた。あまりにビルドアップ隊が窮屈に見えたからなのか、出口役でサポートにいったからなのか。いずれにしても、ボールをもらったWBも体勢が悪いため、ロングで逃げる展開となった。

 だからこそ、リャンの見事なキックからの石原のゴールは貴重だった。苦しい時こそセットプレーだった。

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*窒息死の10秒前シーン。金崎がコースを切りながらプレス。CHとSHも同じように縦のコースを切りながらボールサイドを限定していく。水色のユニフォーム。ナポリで見た形だ。一体監督は誰だったんだ。

 

(2)ネガティブトランジション

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*85分のネガトラシーン。ボールに対して、6人が囲む形。エリア密集ゲーゲンプレス。欲を言うならもっと密集してほしいし、試合を通してこの形をとってほしい。

 

(3)守備

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 まずは鳥栖の狙いから。シンプルに2つ。ベガルタが5バック時には、3バック付近に2トップ+2SHをぶつけること、3バック時には、CB脇を狙い起点をつくることだ。さらにボールを奪われても、同数プレスのビルドアップ妨害につなげる作戦でベガルタを攻守ともに窒息させていった。

 ではベガルタどうするのか。とにかくはね返す、スペースを埋めるやり方で対応。ある意味、鳥栖の土俵で戦ったともいえる。そこに勝算があったからなのかは分からない。

 

 

■考察

(1)見えたかポジショナルアタック

 相手が4-4-2でもあり、オリジナルの立ち位置でも痛点を突けた利点もあるが、シンプルに相手を動かし、相手が空けたスペースに入る動きが見れた。奥埜、富田という、替えの利かない選手を2枚同時に代えながら新しい形が見えるのではないだろうか。

 

(2)見えたのかポジショナルアタック

 ファイナルサードの答えが見えない。選手のアイデアの世界でもあるが、基本はローポスト狙いだ。そこをブロックしてくる相手をオフボールの動き(背中を取る、レーンチェンジする)で崩していく必要があるが、組織だって見えてこない。質を上げるなら、ここだと強く思うし、さらにベガルタが勝っていくために必要なことだと確信している。

 

(3)あと4

 ビルドアップの形が変わったのと、ダンがビルドアップに積極的に参加しなくなった。ゴールキックもロングキックが多い。ここの狙いはなにか。単なる前プレ外しなのか、それとも、セカンド争奪なのかは見ていきたい。

 

■おわりに

 ちょっと迷走。トップ5まで迷路。負けてしまった今日も。見えていたものが見えなくなって。いろんなこと試して。でも、ついていきますよ、最後まで。

 「スクラップアンドビルドでこの国はのし上がって来た。今度も立ち直れる」こう言ったのは、赤坂秀樹だ。

 

■参考文献

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セリエA 第8節 ナポリvsサッスオーロ(2-0)「イタリアのものが好き」

■はじめに

 初の海外チームのゲーム分析いってみます!どちらのチームも、正直、「ナポリは、いいぞ」「サッスオーロは、いいぞ」ぐらいしか聞いていないサッカーおじさんですが、ちゃんと見てみると、なんというか、戦術の国イタリアの英知が濃縮されたような試合に。それでいて、モダンな感じがあって新しいというか。サッカーは、いいぞ。そんなソムリエやっていないで、野次馬根性丸出しでレビューしています。それでは、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 ナポリは、サッリが去った後、アンチェロッティを据えてバランス型に。とは言っても、出る杭を打って丸めるというよりは、全体的なレベルの底上げといったところか。今節は、いつメンのハムシクカジェホン、インシーニェがスタメンを外れている。オリジナルフォーメーションも4-4-2を採用。

 対するサッスオーロ。イタリアのグアルディオラこと、ロベルト・デ・ゼルビが率いる。普段は4-3-3らしいのだが、今節は、3-4-2-1採用。GKを含めたビルドアップ、ポジショナルアタック、即時奪回と、ポゼッション志向型ポジショナルプレー原則を採用するチームの特徴が出ている。

*ちなみに普段から試合を見ていないので、名前・ポジションの間違いがあったら申し訳ない。あとサッスオーロ視点よりになっていると思う。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

 

■前半

(1)攻撃

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 サッスオーロのビルドアップは、ポゼッションによるビルドアップ。3バック+2センター、時折GKを混ぜて行われている。ポジショナルアタックも、ハーフスペース、セントラルレーンにひとを集めて、ウィングレーンのアイソレーションからの、ライン間、ライン裏にボールを入れていくのが狙いだ。

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 18分の攻撃が良い例だ。CBのドライブ、大外に張り出しているWBからバイタルにつけるやり方でナポリディフェンスに迫っていった。そこから1点でも入っていれば、結果は変わっていたかもしれないし、変わらなかったかもしれない。相手は、ナポリだ、アンチェロッティだ。

 一方のナポリの守備。ハイゾーンでは、サッスオーロのビルドアップ隊に対して、マンツーのような形でビルドアップ妨害。かわされて、ミドルゾーン、ローゾーンに侵入されると4-4-2でハーフスペースを埋める中央圧縮ブロックを形成。サイドにボールを繋がれるが、そこはスライド対応し、中央に戻させたところをSHと2トップのチェックから、ショートトランジションにつなぐ狙いだ。

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*2分の先制のシーン。ボールサイドの4人に対して、4枚をつけるナポリ。この後、ゴール前のフリーマンにボールを渡すサッスオーロだったが、それはナポリに誘導された形。ウナスにカットされ、豪快にゴールネットを揺らされている。

 

(2)ネガティブトランジション

 サッスオーロは、エリア密集型ゲーゲンプレス。ナポリは前プレス&リトリート。サッスオーロが70分辺りから足が止まってきたのは、この辺も影響しているような気がする。気がするだけ。

 

(3)守備

 サッスオーロの守備は、5-2-3と5-3-2の中間のような形。基本的には、ボールホルダーに対して、プレーエリアを限定させるような形で囲っていたように思える。

 ナポリの攻撃は徹底されていた。2-4-4の形でビルドアップし、4-4のサイド経由でボールを運んで行った。フルメンバーでないことも関係しているのか、カウンターリスクの少ない形でボールを運ぶことを選んだアンチェロッティ。さすがの引き出しの多さだ。

 

■後半

(1)攻撃

 前半同様の形で攻めるサッスオーロ。けれど、最後、ボックス内へ危険な侵入まではいけなかった。おそらく、ナポリの戦い方が影響していると思われる。ベストメンバーでないなか、1点リードしている状況。リスクを最小限に留めておけば、まず勝てる。中央にブロックを形成して、あとは、交代で入れたカジェホン、インシーニェで仕留められればOKといったところか。そして実際にそうなっている。

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 49分、ナポリはがっちり中央を閉鎖。対して、サッスオーロは、セントラルレーン、ハーフスペースに六角形でポゼッション。左ウィングレーンにアイソレーションで待機。

 

(2)守備

 なんとか同点に持ち込みたいサッスオーロ。71分のインシーニェのゴラッソは痛かった。体力的に厳しいからか、ラインが下がって、ボールにも追いつけなくなっていった。攻撃時は、きちんとポジショナルに攻撃しているため、そこまで疲労の蓄積はないと思われるが、守備面なのだろうか。メンバーが固定されているからなのだろうか。いずれにしても、1試合、1シーズン通して戦うためには、解決したい課題である。

 

■考察

 出てくる出てくる、イタリア産ポゼッション型ポジショナルプレーチーム。昨シーズン、旋風を巻き起こしたナポリと今シーズンの台風の目になりそうなサッスオーロ。戦い方は、コントラストができていたが、どちらも完成度は高い。サッスオーロは、仕留める選手がほしいのと、プレー展開をコントロールできる選手がいると安定しそう。カジェホンジョルジーニョがほしい。ナポリは、アンチェロッティのおかげで、どんな状況でも、相手でも勝ちにもっていけるチームになりそう。去年優勝を逃したのは痛かったが、しっかりとチームを構築したうえでのもし優勝したら、新たな時代が到来するかもしれない。

 

■おわりに

 まずは、名前が間違っていないかが気になる。外出した時に、家の鍵を閉めたかどうか気になるくらい気になる。やはり、どちらもカラーがはっきりしているというか、この試合での立ち居振る舞い方というか、はっきりしていて、それがいわゆるプレー原則・プレーモデル、ゲームプランというやつなのかなと。ミクロで戦っているけれど、マクロでも戦っているような、そんな一戦だった。レベル云々は別で、こうやって、意図や狙いを端々に感じ取れるゲームを分析できると面白いなあと思いました(コナミ)。もしかしたら、またやるかもしれないし、やらないかもしれない。ま、時にはいいのかも。それではチャオ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

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 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

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Jリーグ 第29節 ベガルタ仙台vs浦和レッズ(1-1)「そして僕は微かに左脳の片隅でベガルタを待ってる」

■はじめに

 ささ行きましょうか浦和戦!Jリーグも終盤中の終盤で、いまだに残留するのか優勝するのか分からない魔境リーグになっている。1試合1試合が非常に重要な一戦になるということだ。さあ、俺を楽しませてくれ!なんて、口が裂けても言えないので、今日は淡々と振り返っていきます。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、野津田復帰以来始めての前輪駆動型3-1-4-2を採用。ただし今回は、相手との噛み合わせを重視した意味合いのほうが大きい。野津田を3センターの一角にいれて守備の強度を保てるのか気になるところ。

 一方浦和はオズワルド・オリヴェイラ卿、大槻組長のもと新たなサッカースタイルを身に着けようとしている。このチームの強さは、誰が監督であっても勝利を掴むを地で行くところだ。そんな浦和も3-1-4-2。怖いメンバーがそろっている。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。これは、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取って攻撃・守備をする」がプレー原則にあるためである。また、分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

 

■前半

(1)攻撃

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 ベガルタのポジショナルアタックは、20分過ぎあたりから、ハーフスペースからウィングレーン付近で明確にボールを動かすようになっていく。加えて、石原、アベタクも降りてきて、ボールホルダー付近に代わる代わる選手が集まる形に。ただ、ブロックへの侵入経路を見つけられず、ぐるぐると迷宮入りしていたように思える。5-2-3、5-3-2、5-4-1とブロックを敷いてくる相手に対して、答えをもってアタッキングできたのか。疑問だ。システムなぞ電話番号にすぎないが、割とポピュラーな変形に対して解を持っていないのはちょっと厳しい。

 6分、3-1-4-2で攻撃するベガルタ。ゾーン毎にブロックを変形させる浦和。

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*ボールは右ハーフディフェンダーの平岡。浦和のブロックは、相手陣にボールがある時は5-3-2ブロック。

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*3バック+椎橋でダイアモンドビルドアップ。柏木が平岡をチェック。5-2-3に変形。

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*相手陣に侵入した平岡。浦和は5-4-1に変形。ちなみにセントラルレーンから、右ウィングレーンまでに7人を送り込んでいるベガルタオーバーロード状態。逆サイドでアイソレーションの関口に展開できれば面白かったかもしれない。

 10分、この辺から安定してポジショナルアタックを繰り出していた。ただ、もっとゴールに近い手があるなか、別の手を指したため攻撃が停滞した。

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*右ウィングレーンにレーンチェンジしていた野津田から、右ハーフスペースのアベタクへ。ここでスクエア形成。

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*アベタクから蜂須賀へ。蜂須賀は、ハーフスペースでフリーの椎橋へ。ちなみに右ハーフスペースから左ウィングレーンへのパスは、サイドチェンジキックの理想形と呼ばれている。なぜなら、2レーンスキップパスが相手のスライドが間に合わないギリギリのロングパスと呼ばれているからだ。

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*椎橋式高射砲、発射準備完了。

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*大岩に下げる椎橋。ブロックを整える浦和。

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*ヘルプに来たのは平岡。この形のビルドアップを見たかった。けれど、状況はどうだ。浦和が4枚でハーフスペース、セントラルレーンを塞いでいる。

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*今度は左サイドで。左ウィングレーンから左ハーフスペースで6人集めて攻略開始。

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*そして椎橋へ。浦和の右サイドに人を集めていたせいか、中央の隙間が。行け、椎橋。楔を打ち込むんだ。

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*けれど椎橋、チェックをかけられ平岡へ。この一連の攻撃の出発点である平岡に到着することになる。悲しい。

 結局この後、平岡が無理に降りてきた石原につけようとして奪われ、カウンターを浴びている。正解の選択肢はないが、よりよい選択はあったはずだ。

 34分、リャンが石原と入れ替わるようにディフェンスラインの背中に走り込む。こうすることで、浦和のラインが下がり、ハーフラインとの間にスペースができる。そこを使ってライン間攻撃もできれば、スペースを埋めてくれば平岡、板倉が前進しやすくなる。

 

(2)ネガティブトランジション

 何度か即時奪回を目指したが、ロンドで回避されていた。27分、32分に似たような形でロンドされかわされていた。かといって明確にリトリートに変えたかというとちょっと分からなかった。

 

(3)守備

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 ベガルタの守備は、5-3-2から、5-2-3への変形で対応。3センターの一角が飛び出してサイド誘導、2センター脇で迎撃が狙いなのだけれど、それにしては密集できていない、平岡、板倉が強く当たりにいっていないなど、本当に狙っていたの?と思わせるシーンが多かった。だったら3トップにして、U字パスを誘発させるとかとかとかあったはずなのだけれど、前半ではできなかった。一方の浦和の攻撃はシンプル。その2センター脇をつかって、空いたスペースにドンドン人が入っていく形だ。

 8分、野津田がCBにプレスをかけ、5-2-3に変形。ボールがサイドに流れ蜂須賀が迎撃し4-3-3に変形。

 12分、板倉のナイスセーブじゃなくてブロック。蜂須賀が迎撃した裏を柏木に利用された形。こうなるとスライドの関係でボックス内が手薄になる。

 23分、失点。12分のシーンが顕在化した。関口が戻り切れなかった形だけれど、そもそも5バックに関口を組み込む時点でこうなることは分かっているはず。

 

(4)ポジティブトランジション

 ベガルタのポジトラで可能性があったのは、42分のリャンからのクロスに蜂須賀が合わせたシーン。板倉が迎撃した裏を関口が絞って、ショートトランジション発動。この形がなんだかんだいって一番可能性があったのでは。ただ、こればっかり狙っていたかと言われればちょっと違かった。

 

■後半

(1)攻撃

 ベガルタは、後半開始からビルドアップをテンポアップ。椎橋がシンプルにスペースに入り込み、そこにシンプルにつける。椎橋もシンプルにはたく。これで、浦和が守備を整えるまえに、ディフェンスラインにナイフを突きつけることができた。

 ただ、セットディフェンスされてしまうと話は変わってくる。何度もポジショナルアタックを繰り出していたが、結局のところ、5-3-2の3-2の脇、5-4-1の4-1の脇でボールと人が動いていただけで、ボックス内への危険な侵入を繰り出せなかったように思える。リャンは精力的にディフェンス裏にランニングするシーンが見られ、オーバーロードを引き立てていた。ただ、ハーフスペースに5人も6人も集めながら、バックドア等の裏抜けがないと厳しい。最終解を持たないまま、攻撃を完了できなかった。

 53分、浦和の3-2の間で椎橋が受ける。2トップと3センターの一角はポジションに戻り切れていない。

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 73分、六角形ポジショナルアタック。

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*ハーフスペースに3枚集める形。ただこれ、最初からハーフスペースに居ていいものなのか。浦和が最初から立っているのだから、別のレーンに動かす必要がある。一緒にいていいものなのか。

 75分、今度は五角形。ただ最後は奪われてカウンターを受けている。ネガトラの予防ポジションでもなさそう。

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*浦和4枚に対して、ベガルタ5枚。オーバーロード1点突破か、逆サイドのアイソレーションで打開したかった。

 

(2)守備

 後半からは、明確に5-2-3として、3トップでハーフスペース入口を監視するいつもの形に。攻撃時には、3-1-4-2、守備時は5-2-3が現実解なのだろうか。本当は、守備時に4-4-2に変形してほしいが、それは夢のまた夢。できることで理想に近づこう。

 

■考察

(1)板倉が見せた勝ちへの道筋

 板倉が吠えるとは思わなかった。前節マリノス戦で完敗した後のコメントやこの試合の姿を見ると、チームで一番勝利が欲しい選手ではないかと思う。本人も代表で活躍していたこともある。今度は勝って、一緒に吠えたい。大きい声出されるとビックリしちゃうけれど。

 

(2)答えなきポジショナルアタック

 結局、正解を持って、立ち位置を取ってボールを回せていたか。最後まで僕にはわからなかった。最終目標地点、到達地点に向けて、みんな一緒に向かっていくのがベガルタのサッカー。その到達地点が西村だったのなら、話は大きくなる。西村を探さなきゃいけない。そうじゃなくて、相手次第なら、浦和が強かったことになるし、これからも「相手が強かった」で終わる試合を見ることになる。そのどちらでも僕は嫌だ。僕だけなのだろうか。こんなにも不安でいっぱいなのは。

 

(3)そして5試合を残す

 終わりゆくJリーグのなかで、僕たちはまだ勝てるし、伸びていくと思う。多分正念場。多分。セレッソ戦以来、幾多の試練にもまれたり、大切な仲間との別れたりしながらも、ケガをしていた仲間の復活、かつての仲間も結集し、最後の決戦へと挑む。まだまだ僕たちは強くなれる。映画や漫画の筋書きにしては、王道中の王道だ。

 

■おわりに

 レーンを埋める相手に対して、立ち位置で対抗する。これが今年のテーマだった。簡単にいえば人海戦術には、ポジショニングで対抗するだった。ケガ人が出ても、西村がいなくなっても、それでもそれでも立ち位置をとり続けた。まだ崩れない。やはりモウリーニョは偉大だ。ぷよぷよをやり続けてもう秋になった。連鎖が足りないのか。監督が変わった浦和に、成熟度が一味も二味も違うところを表現したかった。やはり浦和は偉大だ。誰が監督だろうと、選手だろうと、ゲームを構築する。強い。強いよ、浦和レッズ。だからベガルタが崩せなくても…ダメだダメだ。まだ僕たちが弱いだけなんだ。目標はトップ5なんだから。でも…本当に…

 いや、これ以上はやめておこう。残り5試合。僕なんかより、語るに相応しい人間がピッチにいるのだから。

 

 「まだだ、まだ終わらんよ!」こう言ったのは、クワトロ・バジーナだ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html