はじめに
さて、さっそく2節。
ホーム開幕戦である。
町田とスコアレスドローだった前節。
粉雪舞うユアスタに、七北田川から吹き込む風は、春とは到底思えないほどの冷たさである。
それでも、ピッチもスタンドも灼熱と化したこの試合をゲーゲンプレスで振り返っていきます。
では、レッツゴー。
メンバー
仙台【532】
GK/林彰洋
DF/真瀬拓海、小出悠太、菅田真啓、テヒョン、相良竜之介
MF/郷家友太、エヴェルトン、中島元彦
FW/ヨンジュン、中山大観音
栃木SC【3421】
GK/藤田和輝
DF/福島隼斗、岡﨑亮平、大谷尚輝
MF/ 黒﨑隼人、西谷優希、佐藤祥、大森渚生
MF/髙萩洋次郎、森俊貴
FW/根本凌
スコア1-0
菅田真啓のMF化
相手陣では、343で前掛かりにプレッシングする栃木。
外されるとなると、523でミディアムブロック、541でローブロックと、状況やエリアによってDFを変える戦術的なプレーが得意である。
それでいて、マンマーキングを主体としたホルダーに対して「奪う」DFを見せる激しさは変わらず。
ボール保持について、町田に続き、壁がきたというわけだ。壁と言うより剣のような気がする。気がするだけ。
そんな栃木に対して、仙台は、532から、中央CB菅田真啓が上がってエヴェルトンと同じ高さになる。
町田戦でも見せていたMF化である。
これを試合序盤から発動。
テヒョン、小出悠太でバック2を作り、右WB真瀬拓海が高いウィングポジション、左WB相良竜之介はワイドに低いポジションを取る。
栃木523ブロックに対して、2MF横のハーフスペースには、インサイドMF中島元彦、郷家友太がポジションを取る。
わりとはっきりと点でポジションを取った。
2-2-2+WBで中盤を創った仙台。
菅田真啓、エヴェルトンの2人がMFとして、相手3FWの背後にポジションを取ることで、相手MFをクリップしたのは大きい。
これで、栃木は343で前線からのプレッシングというより、523で仙台を警戒しつつ、横パスやインサイドMFへのパスミスをきっかけに前に出る形をとった。
変幻自在のバック3
ただ、インサイドMFへのボール出しを潰されたり、ミスしたりするなかで、栃木のプレッシャーを受け、徐々にCBからWBへの横パスが増えていく。
すでに圧がかかっている状態でWBがボールを受けるため、なかなかクリーンに中央にリターンできずにいた。
右サイドは、真瀬拓海が高いポジションを取るので、その間に郷家友太がワイドに流れたりしていたが肝心のハーフスペースに誰もいないなど、ビハインドを埋めよう埋めようと後手に回った結果、自分たちが狙っていた場所を狙えない状況に。
「これはまずい」とばかりに後半からポジションを修正するAKIRA。
まずは、菅田真啓のMF化を封印。
代わりに、小出悠太を右SB化した。
テヒョン、菅田真啓のバック2に、左WB相良竜之介と右は小出悠太を合わせたバック4。
アンカーポジションからやや落ちてエヴェルトン。
ハーフスペースに、中島元彦と郷家友太を改めてポジションを取らせる。
4‐1-2ロンド円を創りつつ、中山大観音がMF-MF間に落ちるのは継続する。
自陣低い位置のサイドに、明確なプレッシャーターゲットを作った仙台。
栃木のシャドーは、ホルダーへの寄せの速さ、早いタイミングで奪うのをベースとしているため、サイドでボールを持つ相良竜之介と小出悠太が気になってしょうがなくなる。
恋かよ。
だんだんと523のブロックが、541のように崩れていくと、中央でアンカーポジションを取るエヴェルトンが息をする時間が長くなる。
CBから一度サイドにボールを出し、エヴェルトンへリターンするプレーが両サイドで見られるようになる。
栃木もそれを防ごうと、WBが高い位置まで迎撃してヘルプするが、中島元彦、郷家友太のインサイドMFに加えて、ヨンジュンがWB背後を攻撃。
少しずつ、プレーできるエリアが増え、相手陣にボールを前進させられるようになった仙台であった。
ポジションは同じでもキャラが違うと……
山田寛人、遠藤康、松下佳貴、ジョージが入ってくると、再び菅田真啓が上がってMFになる。
小出悠太がCBになるのだけれど、ジョージはワイドに高い位置を取るので、その間を遠藤康が降りて使う。
前半も郷家友太がそのポジションを使っていたのだけれど、遠藤康だとそのまま中央を向いてプレーできる。
山田寛人は、左サイド、ワイドにポジションを取りながらハーフスペースも使う器用さを見せる。
前線に圧をかけていた仙台が、最後に山田寛人の復帰ゴールで勝利を掴みとった。
感想
いつ、だれが、どこでポジションを取るかで、相手に自分たちを意識させ対策させている時点で、かなりのアドバンテージがあるというのは勝負事においては非常に重要なことで。
本当は、前線からのプレッシングと、奪ったらサイドから中央への斜めのパスでボールを進めたいはずの栃木の選手の頭のなかをDFのことでいっぱいにしただけで、すでにこの試合を支配していると言っても過言ではないと思う。
まだまだ課題は多く、特に、バックスからどうやってクリーンにインサイドMFまでボールを出すか、ファイナルの攻略においても、どうハーフスペースを攻撃するかなど。
あとは、技術的なミスをいかに減らすか。ポジションを取るタイミングは、正しい速さで、正しい早さなのかなどなど。
いずれにせよ、これからの修正、上積みのポイントとしてさらに磨いていってほしい。
開幕2試合目にして、完成度はまだ6割くらいのはずだけれど、現時点ではほぼ完璧に近いゲームだったと思う。
それが、この試合にも未来を見つけた理由のひとつでもある。
「常によい目的を見失わずに努力を続ける限り、最後には必ず救われる。」こう言ったのは、ゲーテだ。
図
菅田真啓の上がる。
4‐1-3の中盤。523の密度を下げて、前に出てきたWB背後を攻撃。