蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【The door of destiny】Jリーグ/第22節 vs横浜FC【ベガルタ仙台】

f:id:sendaisiro:20220222220513p:plain

 

はじめに

 戦術的目線を除いたスタジアムレポをアップして1日。某所にてこの記事が執筆されることになる。まさか2本も書くとは。というより、戦術的な部分については、ことこの試合においていえば、限っていえば、どれほど重要かという悩みが左脳の片隅にいたわけで。ただそれも時間経過とともに、感情が冷まされるとやはり書いておくべきだろうという囁きがやってきたのである。前置きはともかく、いや、言い訳はともかく、今回もそんな感じで振り返っていこうと思う。では、レッツゴー。

 

▼精神論全快のスタジアムレポはこちら。

sendaisiro.hatenablog.com

 

 

中身は同じでも表情は違うのはサッカーも同じ

 この試合、原崎さんが採用したのは富樫、中山大観音という2人の純粋なFWを置く4‐4‐2であった。最近、遠藤康をトップ下に置く4‐2‐3‐1も採用し、対戦相手や自分たちの狙いに応じて採用する型を変えていた。この日は、中盤をWG名倉、衝撃氣田、MFレアンドロ・デサーバト、中島元彦の「クアトロ」に任せ、遠藤康個人であったり、徳島戦で見せた遠藤康を中心とした負担の分散ではなく、あくまで2人のMF、レアンドロ・デサーバト、中島元彦の2人に中盤MFとしてコントロールする戦い方を選んだ。

 とはいえ、この戦い方の肝である4バック+2MF+2WGによる6人のロンド円でのビルドアップではなく、デサーバトが右CB横、中島元彦が左CB横に降りる「ドロップ」で、疑似的な3バックを形成。3‐1でのボール保持攻撃を志向したのであった。これには、2人のSBのキャラも関係していると思う。右SB真瀬、左SBタカチョーは、ワイドに高い位置でその攻撃能力を発揮するタイプの選手だ。内田、若狭がやや低めにワイドに構え、左右非対称3バックを形成するのに対して、より高い位置で攻撃していく意図を感じられる。横浜FCのMFが人意識の強い、ワダタクとハイネルで、彼らのプレッシャー回避とともに彼らの担当エリアから引っ張り出すことができれば、インサイドを攻撃する名倉と衝撃氣田が躍動する。加えて、5バック攻略となると後方からの飛び出しということで、真瀬、タカチョーが高い位置をとっていこうとしたのだと考えている。

 相手FW‐WGのラインにポジションを取り、プレッシャーの「焦点」に位置するのが誰か?これまでは若狭であり、内田であり、中盤の2人はあくまでセンターサークルで中盤を支配するべくポジションをキープしていた。ただこの日でいえば、その「焦点」を攻めるのは、中盤MFである中島元彦であり、レアンドロ・デサーバトである。この変化点は非常に重要で。この焦点を真瀬が使うより、デサーバトであれば逆サイドへのサイドチェンジキックもあり、縦に刺す、トランジションが起きてもファーストDFとして即時奪回も可能だ。左の中島元彦も同様である。5‐4‐1を攻略するうえで、相手の縦に強くいくDFを逆手に、①縦方向のポジションチェンジ、②横方向への正対、があるが、徳島戦でも見せた①にビエルサラインを意識した②の合わせ技にも見えた。①は遠藤康ありきにも見えたが、チームとしてのトライの部分であるとこの試合で推測もできるし、これまでの積み上げプラスで新しい攻撃方法への積み重ねのような気がする気がするだけ。

 ただし少し難しかったのは、完全に2人がボールルートの始点、というわけでもなく今まで通り、ワイドに位置するSBからの縦および斜め攻撃、中→外→中だったりして、誰がボールを持つかでポジションをとるのが遅れ気味だったり、正しく相手MFの背後でポジションをとれていてもパスラインが通っていないとか。自分たちのミスもあり、やり直したり、いったんポーズを入れることもなかなかできずにいた。また、やはり富樫、中山大観音になると、ホルダーに寄る動きより飛び出していく動きが活性化して、全体的に急ぎすぎの展開もあって、寄っても背後にボールが出てきたり、WGがズレても頂点にいないとか、本当に難しいのだけれど本当に少しの違いが大きなズレになったのかもしれない。やや大げさすぎるかもしれないが…

 

おわりに

 いずれにせよ、ハイネル、ワダタクの2人MFに対して、2人のMFで対抗した、遠藤康を入れて3人にしなかった、あくまでWGがスペースを使って瞬間的に4人(クアトロ)になることを選んだ原崎さんは、ロマンチズムより勝負をとった印象だ。そしてその勝負に、結果として負けた。しかも出鼻をくじくような失点に、冷や水のような連続失点。なんの誤魔化しもきかない失点で敗北した。たとえば、得点できなくても最後に1点取れば勝てる、そんなメンタリティが必要だったかもしれないし、ユアスタの熱狂を背中に、さらに狂って攻撃していくことも必要だったかもしれない。でもたぶん、その真ん中の、冷静さと熱さをこの試合に持ち込みたかった、いや、サポーターの熱狂に応えて自分たちもプレーしたかったのでは、と思うのはさすがに論理飛躍がすぎるか。試合後にサポーターへの謝罪から会見を始めた原崎監督。気合入りまくりだった若手たち。これまで忘れていた興奮をピッチで披露してくれただけ、彼らはベガルタ仙台の戦士だし、この結果で苦しむのは僕たちだ。この興奮も苦しみもすべて背負って、また今日から闘いを始めるべきだと思う。まだ試合は続くが、強くなるにはどんな時間も惜しくなる。

 

「運命のドアも玄関のドアも開ける鍵穴は小さいものだよ」こう言ったのは、スナフキンだ。