蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【Giving light】Jリーグ/第30節 vsツエーゲン金沢【ベガルタ仙台】

f:id:sendaisiro:20220222220513p:plain

 

はじめに

 もはや月1更新のような頻度のブログも第30節まできた。シーズンも中盤を折り返し、終盤戦の入り口に入っていく。場所は熱波届く金沢。金沢といえば、雪降るなか兼六園に行ったのが思い出に残る。白く雪化粧した風景がひどく美しく見えたけれど、ことこの試合においては熱気に包まれた金沢となった。声出し応援の解禁。解禁というと語弊があるけれど、声出し応援検証試合。ベガルタ仙台のゲームメイカーである声援がピッチに、スタンドに、帰ってきたのである。魂焦がして。そんな試合を振り返る。では、レッツゴー。

 

展開が加速していくなかで

ベガルタ仙台

GK/杉本大地、DF/蜂須賀・佐藤瑶大・平岡・内田、MF/フォギーニョ・中島元彦・名倉・衝撃氣田、FW/富樫Cayman・中山大観音

ツエーゲン金沢

GK白井、DF毛利・黒木・孫・長峰、MF/嶋田・藤村慶太・平松・松本、FW/林、豊田陽平

 

 まずツエーゲン金沢のDFから書こうか。4-4-2の守備陣形からホルダーと次のホルダーへの意識が強く、ある程度のマーク担当があり、足を出せばボールに触れるポジションでDFするマンツーマーキング志向の強いDFだった。仙台が4-4-2であることもあるが、金沢の基本スタイルだと思う。前線からのプレッシング意識も強く、仙台のビルドアップ、ボール保持攻撃に対してもプレッシャーをかけるようなチームだ。ただ、仙台のポジション移動に対してマークしていくので、別のスペースを空けるような展開が目立っていく。また、プレッシング後のプレー、前線のプレッシャー姿勢に対する後方の追従に甘さというか、プレスバックが足りなかったりオリジナルポジションに全力で戻ってプレーをリセットするようなプレーが足りなかったように見えた。

 「マンツーマーキング」「前線からのプレッシング」「リトリート意識の低さ」。これを並べるだけで、僕はなんというか、なぜだろうか既視感があるというか2020年ごろを思い出すというかいろいろと思い当たる節しかないのだけれど……まあその話はいいだろう。金沢としてもCOVID-19による選手離脱だったり、あらゆるリソースが限られるJ2での戦いに順応するためにも、細部へのこだわりというのは詰め切れない、というのはあるのかもしれない。かもしれない。そんな感想を(感傷を)中山大観音の裏抜けに手を焼きPKを与えた金沢の2バックに感じてしまったのである。

 そんな金沢の景色もあってかなのか分からないけれど、仙台はより強く「縦への誘惑」に駆られていた。CB佐藤がボールを持つと、前線で駆け引きする中山大観音へロングボール一本を入れていく。リードした後、飲水タイム後くらいから、フォギのバックラインへのドロップが増える。右SBに入った蜂須賀をワイドに高い位置にポジション取りさせて、問題のある金沢バックラインへのクロス攻撃を準備させた。形は異なるが、中島元彦がドロップして平岡と2バック、佐藤をワイドにやや低い位置にポジションを取らせてよりサイドに人数をかける形も何度か見られた。

 前述通り、人につく金沢DFはワイドに高い位置をとる蜂須賀にマンツーマーキングしていく。そうなるとやや5バック気味になり、FW横には広大なスペースができることになる。仙台としては相手のプレッシャーターゲットをCBの2人から外し、ワイドにポジションをとる選手(この場合平岡だったり佐藤だったり降りるMFだったり)をボール保持攻撃の起点にしていきたかったのだと思う。中島元彦-フォギ着火ファイヤーで縦のラインを作って8mリターンパスからのワイド展開なんかは、やりたかったひとつの形だったのだと思う。ただスペースも広くなっている、DFもギャップができている状況で、そこからの勝負パスがやや早かった印象だ。明確にドロップして3-1になったりするとプレッシャーターゲットも明確になって、制限される時間も早くなる。回避しようとしてプレーを速くして展開も早くなって……なんていうのは、マンツーマーキングを相手にするとあるあるの展開だ。だから、「3」の内訳を内田をいれたり、広めのポジションにしたりして工夫していた気がする。気がするだけ。

 いずれにせよ、攻撃が速くなるのは想定していて、それを少し落ち着かせる意思とプレーはあった。あったけれど、チャンスがあれば…スペースが空いていれば…そこに味方が走りこんでいれば…ボールを届けたくなるのは当然で、一番奥を狙うのは大事なことなので、まあ簡単なように言ってしまうがバランスが必要で、2点リードした展開でのプレーをもっと詰める必要はあるだろうと思ったかな。まあ難しいな。

 

おわりに

 ダラダラと書いてしまったが、4得点を上げて勝利したことは素晴らしかった。失点の部分と最後にPKを外したところの記憶をハードディスクから消し去ってしまえばね。サポーターの超声援で選手のテンションもフルマックスだったろうし、最後まで走りきるガソリンにもなったと思う。なんてことのない一つの試合、30節の試合だったかもしれない。けれど、固まっていた時が動きだし、新しい時代を創る準備がようやく始まったのだと思う。声援あっての仙台なので。終盤、氣田亮真がふらふらになりながら敵陣に突っ込んでいった。ありえないことが起きるのが、本来のスタジアム、なんだと思う。

 

「為すべきことは熱を与えることではなく、光を与えることなのだ」こう言ったのは、ジョージ・バーナード・ショーだ。