蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【Your'S Time】Jリーグ/第19節 vs栃木SC【ベガルタ仙台】

f:id:sendaisiro:20220222220513p:plain

 

はじめに

 しばらく更新できなかった。申し訳ない。4節盛岡戦以来の更新になる。寒かった宮城の地も、夏が気合入れて前乗りしたおかげで最高気温29度というふざけた気候になった。仙台は、ミッドウィークに岡山と対戦。カレーを飲んで、思い出深い木山さんに挑んだがドロー。なんだか懐かしくなった。この日は、ホームで栃木戦。朝から泉中央の街に繰り出していた栃木サポ。19位にも関わらず、サポの気合も十分だった。そんなこんなで試合を振り返ります。では、レッツゴー。

 

暑さのなかで手繰りよせた糸口

 仙台のスタメン、GK/小畑、DF/若狭、平岡、テヒョン、内田、MF/鎌田、中島元彦、遠藤康、衝撃氣田、FW/皆川、富樫で、いつもの【4-4-2】。タカチョー、中山大観音が怪我から復帰してベンチに。一方の栃木SCは、GK/川田、DF/鈴木、グティエレス、大谷、福森、MF/黒﨑、谷内田、神戸、植田、FW/瀬沼、矢野貴章、の【5-3-2】。

 仙台のビルドアップ(以下自陣でのポゼッションについては【ビルドアップ】で書きますね)は、平岡、テヒョンの2CBに、MFの中島元彦、鎌田が加わる形。右SBに入った若狭がワイドに低い位置に構えるため、2-2ビルド+1の形で相手のプレッシャーを分散ささせる狙い。さらに、GKヒロイン小畑を経由することで、疑似的な3-2ビルドにもなったし、そこまで低いと左SB内田も低い位置に構えるため、仙台が広範囲にエリアとボールをコントロールする時の形、GK+4バック+2MFにかなり近い形になった。

 そんな仙台のビルドアップを妨害する栃木。形は、右シャドー瀬沼を高い位置にして左CBテヒョンを警戒させ、左シャドー植田が若狭をチェックする左右非対称型前線プレッシングを披露。仙台MFにそのままMFを当てる形で仙台の「やや右偏重」のビルドアップに蓋をしようとした。仙台としては、慌てずに浮いている若狭やヒロイン小畑を使って逃げつつ、栃木が前に来るならシンプルに栃木ファイナルライン背後へボールを供給した。ただ、どうしてもCBとMFとの関係性で完結してしまったというか、そこで精度の問題で時間を使ってしまったり、栃木のMF横でポジションを取る遠藤、氣田にシンプルに繋いで前進ができずで、なかなか前に進めなかった印象だ。

 栃木が速く、しかも強く、J2のなかではかなり高い強度を誇っていた(強度というのは何をするのかがはっきりしていてかつそれを集中力高く実行すること)ように感じたし、この暑さのなかでもかなりのハイプレッシングできたのは、仙台のフィジカル面も考慮して電撃戦で優位に立とうとした気がする。気がするだけ。なんというかすごくシンプルだし、ボールを持つと仙台SB背後を使って攻撃する、セカンド回収してボールを運んで高精度のクロスをゴール前に送る、DFでは仙台のビルドアップに呼応して前プレしつつ後方を固めるのは、仙台にとっては苦戦模様だった。

 ただ後半。すべてはこの男、遠藤康がトップ下に入ることでピッチの風景が変わっていく。富樫に代わって中央に入った遠藤。いわゆるトップ下として、中央だけでなく、サイドタッチライン際までプレーするエリアを広げた。特にサイドにボールが入ったあと、遠藤が相手DF背後にポジションを取ると、遠藤に当てて3人目を使うとか、遠藤を飛ばして(ひとつ飛ばしパス)遠藤に落として遠藤が4人目を使うとか、ボールを前進させる、するためのプレーが出てきた。まあ単純にいえば、MF2人→MF3人になったのだから、相手MFに対して+1できているとも言えるのだけれど、それだけではないポジション取りと、本来やりたかったことを原崎さんと一緒に修正して解決しようとしたのはさすがの一言に尽きる。まさに遠藤康タイムだった。

 

おわりに

 疲労と暑さで、ひとつひとつのプレー精度が落ちたなかで、「いかにプレーするか」がこの試合におけるメタ認知的な課題だったかもしれない。氣田がボールを受けられるポジションに居てもボールが来なかったり、来てもミスをしてしまったり、中島元彦もらしくないミスをしてしまった。ベテランがチームの中心にいるなか、若いプレーヤーも多い仙台。この辺のメンタルだったり、フィジカルの長期的なメンテナンスや悪い時なりのプレーというのは共有していければ、チームとしてもっと強くなれると確信している。同点に追いつかれたが、最後までボールを追いかけ続けた皆川がゴールを決めコーナーフラッグを掴んだ瞬間、このスタジアムがどうして「劇場」と呼ばれているのか、思い出すのには十分すぎた。心技体。心身ともに充実することが、心を見たし、体を突き動かすのだと思う。僕だって、あの暑い帰り道をいとも簡単に歩いて帰ったのだから、選手もいわんやである。

 

「いつも太陽の光に顔を向けていなさい。そうすれば影を見なくてすむ。いつも真理に目を向けていなさい。そうすればあなたの心から不安や心配は消える。」こう言ったのは、ヘレン・ケラーだ。