蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【25年目の出発-たびだち-】Jリーグ 第1節 ベガルタ仙台vs浦和レッズ(0-0)

■はじめに

  さて!2019年のオープニングゲーム、開幕浦和戦のゲーム分析いきましょうか!スタジアムに詰めかけた観客は、長いオフシーズンの間一体どこにいたのか不思議なぐらい、全国各地で熱い声援が聞こえてきた。ようやくこの日がやってきました。

 僕はというと、コミケの日にレイヤーで盛り上がったり、ここぞとばかりに欧州サッカーを観たり、アグエロ加入に喜んだりと、これはこれで楽しい時期を過ごしてました。でも、足りないのはベガルタ成分。ユアスタでの試合。ということで、今シーズンも鬼ゲーゲンプレスをかけていきますので、よろしくお願いします!では、レッツゴー。

■目次

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタの2019年オープニングメンバーは、ご覧の通り。フォーメーションは、3-2-5のベールクト型(*)へ変形可能な元祖4-4-2殺しの3-4-2-1。新加入選手で長沢、兵藤がスタメン入り。そのほかは、去年から在籍するメンバーなのだけれど、流出もあった。今年はどんなサッカーを見せるのか。天皇杯のリベンジ!みたいな物騒な話ではなく、今年表現するサッカーをどう表明してくれるのか楽しみなメンバーだ。

 一方の浦和。オズの魔法使いが送り込んだ5-3-2だ。武藤、青木は不在なのだけれど、杉本、エヴェルトンがスタメン入り。ゼロックスですでに1試合テンションの高いゲームをやっている。こちらは、着々と準備を進めて、最後にシャーレを掲げて笑うための用意をしている印象だ。今年も強そう。

*ベールクトとは、戦闘機Su-47の愛称。形からこのブログでは呼んでます。ここだけ。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

 

ボール保持時

ビルドアップ:ダイレクトなビルドアップ

ポジショナルアタック:ロングボール時々ポゼッション

 ベガルタのビルドアップは、ダン+大岩・永戸+富田によるスクエアビルドアップ。去年も見た形ではあるのだけれど、ここからが新機軸。スクエアの頂点である富田がそのままCB間に降りて4バックに変形。4バックビルドアップだ。あるいは、永戸が高い位置を取り、その空けたスペースに降りる形も見せる。2バック、3バック、4バックと相手の立ち位置に応じて、最もボールを運びやすい型に形を変えていく。そう水みたいに。やかんに入れたらやかんの形に、花瓶に入れたら花瓶の形に、コップに入れたらコップの形に。

 この試合に関しては、方針としてダンから前線の長沢、ハモンへのロングキックが多かったため、ボール回しでどうこうではなかった。でも、「俺たちだってこのくらいのことはできるんだぜ」といった具合に可能性を示してくれた。

*概念図

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 さて、ポジショナルアタック。基本方針として、前線へのロングボールが主体だった。ターゲットは、長沢、ハモン。ここに蜂須賀やセカンド回収に石原も参加していた。前プレされようが、リトリートされようが、フィジカルはDFラインにとって脅威になる。狙いは、そこにあって、相手が大人しくなってプレスラインが下がれば、ボールを持つ時間が増えるし、ボックスに張りつけることができれば、ゴール前でのトラブルを誘発することができる。

 そのため、あまり地上戦でのポジショナルアタックは多くなかったのだけれど、56分の長沢のヘディングまでの流れは見事だった。平岡、蜂須賀、富田、ハモンでスクエアを作って、ハモンのカットアウトについていった選手が空けたスペースに石原が入ってくる。そこへレイヤースキップパスが通って、逆サイドまで広がる大きな展開に。

 ベガルタとしては、こんなシーンを増やしたかったはず。まあ、相手は浦和レッズ天皇杯優勝チームだ。強い。ボールを取り上げられてはなかなか表現できない。それでも、少ないボール保持時間のなかで表現できたのは大きな収穫かなと。

*概念図

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■ネガティブトランジション

プレッシング:リトリート(5秒ゲーゲンとセット)

 ベガルタのネガティブトランジション、ボールを奪われた瞬間の立ち振る舞いは、リトリート。しかも、ただのリトリートではない。これも新機軸。光速リトリートだ。相手ボールホルダー周辺の2~3人は、即時奪回を目指してゲーゲンプレスをかけるのだけれど、大体5秒~6秒くらい。この間で、ほかの選手はセットディフェンス時のオリジナルポジションに戻っている。

 こうなると、浦和としてもせっかくプレスをかいくぐっても、出したいスペースがない。FW対CBの対決、セカンド回収合戦もあって、トランジション局面が訪れるなか、このリトリートは武器になる。あとは、試合展開や相手との力量バランスに応じて、即時奪回にも移行できると面白い。選手たちも、前線からのプレスについては手応え感じている。君なら、やれる。幸運を。

 

■ボール非保持時

プレッシング:攻撃的プレス

セットディフェンス:ゾーンのなかのマンツー

 ベガルタのボール非保持時、セットディフェンスは、5-4-1でセット。プレスラインは、ハーフライン辺りからかける攻撃的プレス。ただ、この形は5-2-3のあいのこのようにも見えた。というより、シャドーにFW系が入るとそう見える。石原もハモンもがんばっていた。目の前のハーフディフェンダー(岩波、槙野)を監視しながら、中盤の柏木や長澤にも気を配り、WBへもタッチラインへ圧迫させる役割だ。ちょっと多くないか。

 20分や26分ごろ、石原の周りにパスを通されて、スライドを強要される。結果、逆サイドの山中と蜂須賀が1対1になるシーンがあった。最後ストップする蜂須賀はさすがといったところなのだけれど、うしろの永戸が迎撃するかしないかの判断にも関わる部分だ。決して、石原やハモンがというより、構造的にやむなしの部分もある。5-2-3の2の脇を縦と横のスライドでカバーするのが今年のテーマになりそう。

 ただ、光速リトリートもそうで、ボールを持っていない時のインテンシティ、プレー強度を維持し続けられるかここはチャレンジだ。まだ、できる。必ず、できる。

*概念図

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■ポジティブトランジション

ショートトランジション:長沢、ハモンがターゲット

ミドル/ロングトランジション:縦志向

 奪ったら縦に、長沢、ハモンをターゲットに前進していったベガルタのポジトラ。基本は縦志向だったのだけれど、64分のように、ポゼッションによるポジショナルアタックに移行するシーンもあった。ただ、浦和のCB陣も強固で例えば、ハモンも競り合いで負けるシーンやドリブル突破を許してもらえなかった。ある程度うまくはいっていた。あとはその先、どの程度リスクを冒して、つまりはカウンターを食らう可能性を背負いながら、突っ込んでいけるかだと思う。まだ、開幕戦。可能性は無限に広がる。

 

■考察

見えた新機軸

 ビルドアップの形やセットディフェンス、また左右のサイド、ビルドアップ隊それぞれのユニットの可能性。どれも今年手に入れた新たな力だ。開幕戦にも関わらず、完成度も高く、あとは新加入の選手たち含めて、チームとして進化させたい。

 

誰も通しやしないぜ

 やはり、セットディフェンスはどうなのだろう。縦横のスライドやプレー強度が求めれる構造で、一瞬の判断、選択ミスが死につながる。そこがチャレンジなのであれば、突き詰めるよりほかないのだけれど心配である。ソリッドなディアゴナーレでないのなら、もっとミクロ的な選手の判断の部分、実行の部分を突き詰めていってほしい。大丈夫。必ずやれる。

 

教えを守り、ルールを破り、師から離れる

 攻撃面の期待をひとつ。レーンに関して。おそらくベガルタの選手にとって、レーンは体に染みついたものになっていると思われる。この試合も、レーンを意識する立ち位置を取りながら、でもレーンに縛られない、ぎこちない感じではなかった。かといってカオスでもない。これが武器というやつなのではないかなと。レーンを舞台に、レーンを操り、レーンを破壊し、レーンで創造し、レーンで倒す。そんなベガルタを今年見ることができる気がする。気がするだけ。

 

■おわりに

 終わった。あっという間だった。黄金の歓声とともに開幕した試合は、僕が待ち望んでいた瞬間だった。けれど、いつの間にか終わっていた。永遠に、この希望に溢れる時間が続くかと思っていた。開幕戦とは、そんな0が1になる特別な時間だと思っている。

 始まってしまったからには、もう後戻りはできない。やれるだけのことはやって、あとは少しの希望を携え進んでいくだけだ。今年も、ともに。まだ負けてないと叫びながら。自分の可能性を信じて。信じる勇気をもって。出発。さあ、行くぞ。

 

「母さん、ごめん。俺は…行くよ…!」こう言ったのは、バナージ・リンクスだ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

www.footballista.jp

sendaisiro.hatenablog.com

東邦出版 ONLINE STORE:書籍情報/ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html