はじめに
どうも僕です。今回は、サッカーの戦術のお話。というより、理論化の話になります。理論とは、英語でTheoryといって、学問的には、因数分解のイメージです。A+B=Cみたいな。もっと複雑な式ですけれど。
じゃあ難しいのか。そうではないです。もっと言えば、理論とは、この式を使えば誰でも、簡単に、すぐに答えを導ける、間違いを発見できる優れものなのです。
そんな流れの中において、僕は、先人たちが築き上げてきた基礎から、今回は、「5レーン&4レイヤー理論」をここに提唱したいと思います。
5レーン&4レイヤー理論とは
5レーンとは、ピッチを縦5分割して、セントラルレーン、ハーフスペース、ウィングレーンを静的に規定します。一方で、4レイヤーとは、①相手FWの正面、②FWとMFの間、③MFとDFの間、④DF背中で縦横スライドに合わせて動的に規定します。
この2つの考え方を合わせて、ボールを運ぶ、ひとが動くエリアを明確にして、最終的には「左ハーフスペース・第3レイヤーにポジションを取る」と言ったピッチで起きる現象・事実をきちんと理解することができると考えます。
【追加課題の検討結果】
— せんだいしろー (@sendaisiro_naka) December 30, 2018
蔵入りもアレなので出しときます笑
5レーン&4レイヤー理論を採用することで、擬似カウンターの精度が上がると仮説を立ててます。
レイヤーとは、①相手FWの正面、②FWとMFの間、③MFとDFの間、④DF背中で、縦横スライドに合わせて動的に規定されます。 pic.twitter.com/KmvkMjV1ZE
ベガルタは、最初-第2レイヤー間でのボール移動で、相手のビルドアップ妨害(前プレ)を回避することはできていたと考えています。
— せんだいしろー (@sendaisiro_naka) December 30, 2018
ただ、レーンスキップをしないと①テンポアップしない、②スライドが間に合うの問題があるように、レイヤースキップしないことで、同様の問題が起きたと考えています。
最初-第3レイヤーでのボール移動、つまり、レーンスキップパスを通すことで、それが現象として「擬似カウンター」になるのではと考えています。
— せんだいしろー (@sendaisiro_naka) December 30, 2018
日本代表GKダンからのレイヤースキップパスをレシーブ・レイオフできる選手を配置することで、それを可能にすると仮定します。
チームへの落とし込みは、このレイヤーをメタ認知させること。
— せんだいしろー (@sendaisiro_naka) December 30, 2018
レイヤーの考え方の重要性、実行による対価を認識させることと考えます。
レーンが選手を育てるように、レイヤーもまた、選手も育てると考えております。
4レイヤーの考え方
4レイヤーのポイントは、以下です。
- 縦横スライドに応じて、動的に規定される。
- 5レーンとセット
- 最初のレイヤー、第2レイヤー、第3レイヤー、最後のレイヤーと呼称
- 4レイヤーが前提で、4ラインのディフェンスについては、3ライン間の「レイヤー埋め」と規定する。また、レイヤー幅を縮めることを「レイヤー圧縮」、レイヤー幅を広げることを「レイヤー拡張」と呼称する。
4レイヤーの基本と応用
(1)レイヤーの基本
レイヤーの基本、というより、最終目的地は当然、最後のレイヤーでクリーンにボールを持つことです。ただし、最初のレイヤーから最後のレイヤーへの直接攻撃は、特別な場合を除いて難しいと考えます。
基本的には、最初-第2レイヤー、第2-第3レイヤー間をボールが動くことで、相手のレーン埋めからハーフスペースを解放させ、レイヤーを上がっていくことが重要だと思います。そして、最後の局面で、最後のレイヤーを使って攻撃するのが理想型と言えます。これは、ボール保持側が最も得する、成功した例と言えます。
ボール非保持側は、この逆になります。最後のレイヤーへのレイヤースキップパスを警戒しつつ、最初のレイヤー、第2・第3レイヤーの圧縮や埋めで対応することになります。そこは、チームや状況によって変わるかなと思っています。また、同時にレーンもきちんと意識する必要があって、レイヤーを圧縮しても、ウィングレーンが空くことになります。そこはやはり、レーンとレイヤーをセットで考える必要があるのかなと考えます。
(2)レイヤーの応用
ここからは、応用編。応用技とも言えます。
①レイヤースキップパス
レーンスキップパスがひとつレーンを飛ばすパスであるのと同様に、レイヤーもひとつ飛ばすことで、相手の①プレス、②スライドを間に合わせさせなくします。
②擬似カウンター
名前が良いかどうか分かりませんが、わりと皆さん使われているので。最初のレイヤーから第3レイヤーへのレイヤースキップパスは、第2・第3レイヤーにポジショニングしている選手を飛び越していきます。もちろんそれは、レイヤーを規定している相手にも言えることで、直接第3レイヤーにボールが運ばれることで、まるでカウンターのような現象・状態になります。そうなると、残すは、最後のレイヤーのみになります。
*擬似カウンターについては、設計しているのかどうかもあると思いますが、僕は、ひとつの現象に対して、「擬似カウンター」と便宜的に呼んでいるに過ぎないと考えています。より正確に認識するのであれば、「最初のレイヤーから、第3レイヤーへのレイヤースキップパス」と理解するべきだと考えています。
*概念図
③オンオフポジショニング
オフサイドポジションから、オンサイドポジションに移動するオフボールの動きをオンオフポジショニングと呼んでいます。レイヤーで落とし込むと最後のレイヤーから第3レイヤーへの移動です。これによって、ファイナルライン(DFライン)が一時的に下げさせられるので、第3レイヤーが拡張しますので、擬似カウンターが決まりやすくなります。もちろん、ほかのレイヤーでも応用可能だと思います。
④レイヤー埋め、レイヤー圧縮
ポイントでも書きました。どちらも、現象的、構造的には採用されているやり方です。これを5レーン&4レイヤー理論に落とし込むと、このように呼べるというだけです。
ボール非保持側は、第2・第3レイヤー圧縮(=最初・最後のレイヤーのレイヤー拡張)を図ることで、ボール保持側の前進を阻みます。また、初めから、アンカーを置くなど、「レイヤー埋め」することで、前進を妨害することも可能です。一方のボール保持側は、5レーン理論を応用することで、空いているウィングレーンやハーフスペースを利用して、前に進んでいくこともできます。
このように、5レーン、あるいは4レイヤーだけでは実現できない、攻撃や守備があると思います。ポイントで述べたように、2つはセットで考える必要があって、だからこその「5レーン&4レイヤー理論」なのです。
おわりに
ことの発端は、仙台界隈、戦術部のりゅうさんからの「ベガルタの擬似カウンターがなぜ少なかったのか?」のお題に答えるべく、継盤研究していました。
ここのところのベガルタはポジショナルプレーではないのでは?の問いかけもあって、ポジショナルプレー概念のもとプレーしていることを前提に、大ファンのfootballhackさんのスペーシング理論からこの理論を採用して、今回の理論を応用して仮説立て、理論構築を図ろうと思いました。
予想以上に、現場で実際に指導されている方々からもポジティブな反響があって、そこがとてもうれしいと同時に、好き放題言っているのにも関わらず感謝の気持ちしかないです。
今回ブログにひとまとめにすることで、より色んなやり方、見方でサッカーと向き合える一助になって、プレイヤー、指導者、観戦者の可能性が広がることを願っています。
感謝の意味を込めて
①偉大な先人たちの知恵の集合体です。
②ともにサッカーを学ぶ仲間たちです。
現場に立つ身としては、このような「言語化による整理」に①リスペクト②落とし込みのシミュレーション③自チーム用カスタマイズみたいな流れが引き起こされるので大好物です_(:3」z)_
— わっきー (@kumaWacky) December 31, 2018
これ2019年の自チームに採用させて頂きます(^-^) https://t.co/wdyrUGeF7o
最近の記事の中でこのエリア周辺の命名法悩んでいたので、せんだいしろー式を踏襲しようかな。笑
— せこ (@seko_gunners) December 31, 2018
昨日あげた現象をしろー式で言語化。最後に出てくる問題点の原因がさらに具体的になった気がする。 pic.twitter.com/1CCRnKm90d
— とーれす (@Torres9_vega) December 31, 2018
第1→第3の楔はよくみるけど第3内でレイオフするなりして第2に下がらず最終レイヤーのスペースにボールを蹴り込むなりしないと加速しない?🤔
— とりさわ (@torifoot8) December 31, 2018
2トップ裏と言うより第2レイヤー、2列目と3列目の間と言うより第3レイヤーと言った方が感覚的にボールの前進を考えやすい。
— hirota (@hipokotms) December 31, 2018
とりさわさんが言うように3→最終レイヤーはひと工夫無いと突破出来ない。それはやっぱりオフサイドのせいか。
— りゅう@ジャメイケおじさん (@ryu___) December 31, 2018
従ってリソースを使うべきはそこだ。
同じ縦パスの中でもレイヤースキップって言語化できると一気に分かりやすくなった
— Tomoya Ishizawa (@FCB_ishi) December 31, 2018
そしてレイヤーをスキップしないパスがいかに重要か、それを引き出す意識があるかないか、そのパスを基準に他の選手が次のレイヤーに位置取れるか、そういうチームが結構少ないですよね。楽してレイヤーを飛ばそうとして引っ掛けるみたいな。 https://t.co/1gtSmmvIoe
— footballhack.jp (@silkyskill) December 31, 2018
ご解答ありがとうございます。
— ヒグチコータ (@KhSendai0250) December 31, 2018
そこが気になりました。
もし、レイヤーという概念が普及したら次に登場するのは、レイヤーを埋めるという考え方かなと。
だとすると、一番分かりやすいのはアンカーを置く考え方だったので、、、
確かにレーンとセットっていうのは理解しやすかったです。