はじめに
さて、5節。
前節、いわきに内容も結果でも敗北し、その再起が求められた試合。
アウェイで群馬と対戦。
メンバーを入れ替えてきたなかで、今日はどんな未来が見られるか。
ゲーゲンプレスで振り返っていきます。
では、レッツゴー。
メンバー
ベガルタ仙台【532】
ザスパクサツ群馬【442】
スコア 2-1
3133でボール保持し”ゲームを支配”した仙台
仙台は、532から両WBがワイドに高い位置にポジジョンを取る。
初めからウィングポジションに入り、WG化して相手SB背後への抜けを狙っていた。
左サイドで、左インサイドMF中島元彦が左WB内田裕斗が上がってできたスペースに落ちる。
CBからのボールが入ると、左ハーフスペースにはFW山田寛人、中央には衝撃氣田が落ちる。
繋がるタイミングとしては、ほぼ完璧である。
また、内田がやや低めにポジションを取ると、中島元彦がSB背後への抜けを狙う。
今度は、ハーフスペースに衝撃氣田が落ちて、内田に繋がる。
仙台は、532からバック3+松下佳貴の3‐1ビルドに、中島元彦、衝撃氣田、郷家友太の3人にWG化した内田、真瀬、FW山田の3人で3133のようなポジションを取る。
群馬の442ミディアムブロックは、マンマーキングの意識が強く、特に2人のMFはインサイドMFである中島元彦、郷家のSB背後への抜けに対してもマーキングしていく。
一方で、2人のFWはアンカー松下へのカバーをしつつ、バックスへのプレスを怠らない。
WGもプレスに参加することで、2v3の不一致を解消しようとしていた。
仙台がWBやインサイドMFの抜けを使って、群馬のブロックを押し込むなか、前線はプレスをかけようとするため、442の42の間にスペースができる。
そこを山田寛人や衝撃氣田が落ちて、松下と待ち合わせることで、群馬の前線もだんだんとプレスラインを下げることになっていった。
そうなると、仙台のエンペラータイムである。
テヒョン、菅田真啓、小出悠太のバック3に時間とスペースができる。
小出は、ワイドに低い位置にポジションを取って真瀬、郷家と物理的に近い距離で繋がり、相手DFの意識内にも入ることで2人を支えた。
テヒョンも菅田と一緒にボールを運ぶことで、全体の保持力を上げた。
後方の保持力、中央に寄せてワイドに、ワイドに寄せて中央にボールを運び相手をファイナルに押し込む。
押し込んだ後は、インサイドMFや真瀬のローポスト侵入を使ってボックス内へと入っていく。
仙台がゲームを進めるなかで山田寛人の抜けに、追撃してローポストへと入っていった郷家のゴールが生まれた。
遠藤康がゲームを再び蘇らせる
後半から451に変更した群馬。
テヒョン、小出がボールを持つと、左右インサイドMFが縦迎撃でボール運びを妨害。
仙台は、松下が落ちてテヒョンと小出をワイドに低い位置にポジションを取らせる形に。
アンカーポジションには、中島元彦が紐づけで落ちてくる。
前半のような、抜けを主体としたハーフスペース攻撃に少しズレができる。
また、442と違って、MFが3人になったことで使いたい場所がなくなっている。
仙台は、前半のようにSB背後へのロングを使って相手を押し込むが、ロング一本の攻撃になってしまう。
加えて、群馬が前線からのハイプレッシング、451ローブロックで奪ったら速攻を繰り出してきたことで、展開的にはオープンに速くなっていたこともあり、仙台の攻撃も早くなってしまった。
オーガナイズを変えたところで、中島元彦のパスをカットされカウンター。
失点まで繋がってしまっている。
そこで交代で入った遠藤康がゲームを再び仙台のゲームとして復活させる。
まずは、右ハーフスペースにポジションを取り、相手インサイドMFが小出にプレスをかける背後でプレーする。
これで群馬の前掛かりが落ち着くと、松下がアンカーのポジションでボールを受けるようになる。
前半もそうだけれど、まずは前に出て縦方向に幅をとり、空いたスペースに落ちてバックスからのボールと待ち合わせてボール保持する。
当然、前線にボールが出る可能性もありつつ、ホルダーがボール出しするタイミングを創るので、相手DFからするとボールが出たところへの対応をしているうちは、対応が後手に回る。
遠藤康の投入で再び押し込んだ仙台。
その遠藤康のCKから、大勢の仙台サポーターの目の前でテヒョンのヘッドで勝ち越し。
全員がプレーに関与するこの試合を象徴するようなシーンだった。
感想
WG化した真瀬、内田やインサイドMF中島元彦、郷家で抜けを狙いつつ、広げたスペースをアンカー松下、ハーフスペースをFW山田寛人、衝撃氣田がポジションを取る。
群馬のブロックが下がっての対応になったところで、満を持してバック3がボールを保持する。
保持しながら運んで、ワイドに寄せてもう一度中央にもらって、逆サイドに再展開して寄せて、また中央にもらってを繰り返し、群馬DFをファイナルに押し込んだ。
この「抜けを狙う、保持する、運ぶ、左右に揺さぶる、寄せて解放する、ファイナルに押し込む、攻撃し続ける、跳ね返されても再回収して再攻撃する」を体現し、群馬の攻撃機会を奪いつつ、ゴールを奪った前半は本当に完璧な内容だった。
特に、前半20分の19本のパスを繋いで、ピッチをすべて使って押し込んでシュートまで持ち込んだシーンは、この試合のベストバウトだと思う。
群馬DFがひとへの意識が強く、抜けに対してマーキングしていくのを利用して押し込んだ。
相手や状況に適合して、その相互作用性から自分たちにとって有利なプレー、ポジション、タイミングをとって形勢を優位に持ち込んでいけたと思う。
まさに、ポジショナルプレーの考えにもとづく、ボール保持攻撃であったと思う。
一方で、やはり前線からのハイプレッシングやロングセカンドからの速い攻撃に対して、時間を削られると自分たちのプレーも早くなってしまう。
また、狙いのひとつであるハーフスペースを警戒された時、選択肢が縦一本になってしまうところも課題である。
ハイプレッシングな展開で、焦れずにボールを動かし、ポジションを取り直し、相手のプレスを左右に揺さぶることで鎮めるようなプレーができるようになると、いよいよ、ベガルタ仙台は無敵の存在となる。
前節のようにうまくいかない試合、今日のような試合を繰り返しながら、少しずつでも積み上げていければいいと思う。
今日もまた、よい日常を積み上げられた。
「進むのよ、正しい道を」こう言ったのは、レネイ・ブラジーだ。
図
最序盤の中島元彦のポジション
ボール前進の形
インサイドMFの抜けに呼応するFWの落ちる
ファイナルに押し込む時の形