蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

コッパ・イタリア ベスト16 ナポリvsサッスオーロ (2-0)「空と海が僕らの心を洗う」

■はじめに

 どうも僕です。今回は、Jリーグオフ企画、「突然上がる海外ゲーム分析シリーズ」の第4弾です。舞台は、イタリア。僕らのサッスオーロです。前回、リーグ戦でゲーム分析したナポリが対戦相手。カップ戦ということもあって、メンバー変更もあるなか、どんなゲームになったかみていきましょう。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 サッスオーロは、4-3-3採用。いつも見てるわけではないので、このメンバーがどんな意味づけがされているのかよく分かってはいないのだけれど、168㎝の若きアンカーのセンシ、いつメンのボアテング、ベラルディが採用されいているあたり、カップ戦らしさが出ている。一応、ベスト16の舞台だ。しかも相手はナポリアンチェロッティだ。

 さてそのナポリ。ミリクにクリバリ、インシーニェ、カジェホンとわりと力入れてきたのではと思わせるメンバー。ただ、このチームは、サッリボールとアンチェロッティの整える力で手ごわい。リーグ戦も2位につけている。この試合は、4-4-2。ゾーンディフェンスの権化だ。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析。
  • ピッチ横のエリアは、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

 

ボール保持時

ビルドアップ: ポゼッションの確立

ポジショナルアタック: ポゼッション

 サッスオーロのビルドアップは、GK+CB2人+アンカーの菱形ビルドアップ。SBは、高い位置を取り、2人のインテリオールとともにフラットに並んだ。これによって、ナポリのビルドアップ妨害の争点を設定するのが狙いだ。もっと言うと、①ナポリの2ndラインを無策に自陣に寄せつけて窒息しないようにする、②サッスオーロの選手が動くことで相手を動かすいわゆる「調律」することが意図だ。

 試合を通して、この戦型が維持されていた。つまり、死んでもMFがDFラインに落ちないということだ。近づけば敵も寄ってくる。寄るな。繋げ。これは、ボール非保持時の原則でもあって、おそらくはデゼルビのポリシー、プレー原則な気がする。気がするだけ。

*概念図

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 後方で菱形を形成することで、ウィングレーンの第2レイヤーをあえて空ける。相手がビルドアップ妨害を図ってくると、空けていたスペースにSBが降りる、降りて空けたスペースにウィングが降りることでハーフスペースとウィングレーンでスクエアを形成。GK+2人CB+アンカーで菱形とあわせて、ロンドでビルドアップ妨害を回避して、逆サイドへと展開していった。

*概念図

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 サッスオーロのポジショナルアタックは、基本筋が最初-第3レイヤーへのスキップパスであったり、第3レイヤーの中間で受けるボアテングへのパス、レイオフが狙いになる。ただ、この試合においては、技術的なミスやクリバリを中心とした、ナポリのCB+CHの中央3レーンのボックスに防がれていた印象だ。そこからゲーゲンプレスにつなげればよかったのだけれど…それは、別項で。それを抜きにしても、どこから攻めるのか、小さなズレを見つけるのかは、ちょっと出来ていなかった。それがなぜかは、ちょっとしたトラップの悪さやパスミスによるボールロストで自分で首を絞めた感はある。ナポリがそう強いたというのもある。

 

■ネガティブトランジション

プレッシング: ゲーゲンプレス(エリア制圧型)

 悪い。非常に悪かった。サッスオーロのネガティブトランジションの話だ。いつか、どこかで、デゼルビがまだ整備しきれていないところとして、ネガティブトランジションが挙げられていた記憶がある。まあ、その記憶がなくても悪かった。何が悪かったというと、マークを捨ててエリアを制圧する判断の部分だ。

 例えば、3センターはボールを奪われると相手ボールホルダー付近のエリアを圧縮していく。呼応して、ウィングもプレスバックする。ここまでは悪くない。ただ、SBがマークを捨てて、プレッシングに行かない、逆サイドが絞れていない等で結果水漏れする。メンバーもカップ戦メンバーで難しい面あったのだろうと予想はするのだけれど、ネガトラがコンパクトになることで、攻撃もコンパクトになる。攻守表裏一体。

 

■ボール非保持時

ビルドアップ妨害: 同数プレス

セットディフェンス: 攻撃的プレス

 サッスオーロのビルドアップ妨害は、同数プレス。ただし、チームとしてカバーシャドウプレスかと言われると微妙なところだ。何より、1人で2人を守っているようには、ちょっと見えなかった。あくまで、ビルドアップ隊に対して、同数の妨害部隊を送り込んだという形だ。

 一方のセットディフェンス。4-3-3系によく見られる4-5-1フラットディフェンスではあるのだけれど、少し、いびつな形をしていた。2人のインテリオールがナポリの2センターに積極的にプレスをかけにいくので、動いた後のハーフスペースが空く。そこをセンシ1人でカバーするのは土台無理なので、ウィングが埋める。う、ウィング!?といったところなのだけれど、事実そうだった。よって、形は、クリスマスツリー型4-3-2-1ぽく見えた。

*概念図

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 ちなみに、全体としては、中央3レーンを圧縮密度を上げて封鎖する意図が見えた。スライド時も逆サイドのSBがよく絞っていた。そのため、ウィングがDFラインに降りてSBロールをこなすこともあった。右はその意識が希薄なのか、あまり見られなかった気がする。

*概念図

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 ここでも、デゼルビポリシー。MFは意地でもDFラインに降りない原則が見えた。SBがサイドに出て行ってチェックしにいくが、CBが絞らずチャンネルを空けるシーンが多く見られた。よくアンカーが降りて対応する場合があるが、それはなかった。ただ、インテリオールが元気よく前線にプレスをかけるので、アンカーのセンシまでいなくなると流石にまずいと言ったところなのだろうか。

 センシのネタでいえば、ウィングがハーフスペースからサイドへプレスをかけるとそのカバーに入るが、もともといたポジションを空けることになる。逆サイドのウィングがSB化していることもあり、中央を空けてしまうこともあった。インテリオールのプレスバック次第なのだろうけれど、ちょっとどういう原則でボール非保持時を過ごそうとしているのか。これで守り切れると踏んだのだろうか。分からない。レシャックの言葉を借りれば、ソファ幅は守れるが部屋全体は守れない。それをセンシに強いていた気がする。カンテが欲しくなる。

*概念図

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■ポジティブトランジション

ショートトランジション: 前の選手にボールをつける

ミドル/ロングトランジション: ポゼッションの確立

 特に後半から顕著だったのだけれど、第2レイヤーでボールを奪って、第3レイヤーの選手に素早く縦に着けていくシーンが見えた。それがボアテングだったりもしたが、CB陣に潰されていたなか、中々見えなかった形だったが、同レイヤーでのボール移動ではなく、レイヤーアップさせていくことでシュートシーンまで繋げていった。

 

■考察

(1)サッリロンドの片鱗を見せる

 本家ナポリに対して、ボールサイドでロンドする構造をもっているのは強みのひとつだと思う。しかも、きちんとボールをつないで、相手を寄せて、オープンスペースに運んでいくのはサッスオーロの強さだ。スペースにつけて、テンポアップ、スピードアップしていけば、より攻撃の精度が上がっていくと思う。

 

(2)ボール非保持時の立ち振る舞いを見直したい

 決して良いとは言えないゲーゲンプレス、リスクリターンの勘定がどうなっているのか分からないセットディフェンスについてだが、いまさら、デゼルビが曲げるとは思えない。やるのはひとつ。ボール保持時に優位な立ち位置をとって、それがボール非保持時にも優位に立てる形にもっていくことだ。基本だがそこだと思う。多分。

 

■おわりに

 2試合しか見ていないサッスオーロを偉そうに語ってみた。ベガルタ以外のチームを見るのも面白い。ネガトラの課題だったり、ボールを持った時のゴールを奪う解の設定など、イタリアだろうが、仙台だろうが同質性、普遍性があって面白い。ピッチは繋がっている。地面は繋がっていはいないのだけれど。あと、センシ。センシは、いいぞ。すっかりセンシおじさんになってしまうところも、サッカーの面白いところで、国も、人種も関係ないのだ。それでは、チャオ、チャオチャオ。

 

■参考文献

www.footballista.jp

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birdseyefc.com

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2019年 ベガルタ仙台 加入選手分析

■はじめに

 どうも僕です。今回は、ベガルタネタ。移籍加入してきた選手について。いっぱい旅立ちを迎えた選手たちがいましたね。別れがあれば、出会いもある。流出があれば、そう、流入があるんです。

 ということで、今回、ある理論を用いて、ある仮説を検証するべく加入選手を分析していきたいと思います。例の如く、というか今回はかなり大真面目に書いているので、あまり期待しないでください。オフ企画ということで、ひとつ。では、レッツゴー。

 

ベガルタ 加入選手一覧

 以下、加入選手です。今年もいろんなチームから多くの選手がやってきました。改めて感謝と今後よろしくお願いします。

 飯尾 竜太郎 (←長崎)

 石原 崇兆  (←松本)

 兵藤 慎剛  (←札幌)

 松下 佳貴  (←神戸)

 道渕 諒平  (←甲府)

 吉尾 海夏  (←マリノス)

 長沢 駿   (←神戸)

 シマオ マテ (フリー)

 田中 渉   (新卒)

 照山 颯人  (新卒)

 

 基本的には、今回の補強、成功したのかなと思っています。何をもって成功かと言うと、クラブがきちんとコントロールした、パニックになっていなかった、的確な補強ができたのではないのかと。

 ベガルタは、財政規模的には決して裕福ではありません。レンタル選手が多くなるのも当然の流れですが、レンタルバックのリスクを抱えていることになります。そこの危機感をクラブも持っていて、決して、感情だけではない(もちろんどんな選手もベガルタで活躍してほしいですよ)、クレバーに編成と市場を見極めたのかなと思っています。

 以上を前提に。それでも疑問を感じてしまいます。FWのポジションです。ベガルタの課題のひとつが、石原直樹の後継者です。決して石原自身が衰えているとかではなく、やはり、彼にゴール前に集中してほしいですし、年齢も年齢ですから、今の二重三重タスクから解放させてあげたいと思ってしまいます。

 そうなると、なんでもできるFW。つまりは、ポストもできる、カウンター要員になる、独力でスコアできる、フェイク9もできる、説明不可の角度からゴールを決める、大舞台の経験がある、偉大な指導者から指導を受けたとかとかとか。

 これらの条件を満たすFWとして、僕は、アグエロしかいないと考えています。世の中色んなFWがいますけど、一番興奮するのはアグエロだと思います。彼しかいない。玉突き移籍が起こるサッカー界において、僕は、ベガルタに来る選手だと確信していました。ただ、選手一覧を見ると名前がない。いや、ある理論を用いると実はベガルタアグエロを獲得していたとの仮説が立てられました。

 

■ゼロカロリー理論とは

 今回、分析で援用するのは「ゼロカロリー理論」です。「ゼロカロリー理論」とは、あらゆる食べ物は、ある条件を満たすとカロリーがゼロであるという理論です。提唱者は、僕の大好きな漫才コンビサンドウィッチマン伊達みきおです。

 このある条件を用いて、僕は、「オールアグエロ理論」の立証を仮説立て、論理的整合性を確認したいと思います。

 

■100秒で分かる加入選手分析

 飯尾 竜太郎 (←長崎)

 以下、動画をご覧ください。この角度、リバプール戦のゴールを彷彿とさせます。この角度からゴールを決めるのはアグエロしかいません。なので、彼は、アグエロです。

 しかも、速い。運動量がすごいです。長崎のサッカーには、夢がある。

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 石原 崇兆  (←松本)

 0:53付近。この角度から決めるのはアグエロしかいません。なので、彼はアグエロです。

 しかも、速い。あとめっちゃドリブルで仕掛けます。走り出したらもう止まらない。反町さんのもとでプレーできていたのなら、我らがナベ将のもとでも大丈夫でしょう。

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 兵藤 慎剛  (←札幌)

  横浜、札幌で活躍しているスターです。スターといえばアグエロです。なので、彼もアグエロです。

 あと、横浜出身の選手は、選手の規範になる選手、どのサポーターからも尊敬される選手が多くいる気がする。それは、マリノスというクラブの長い努力の成果ではないかなと。サッカーだけでなく、人として。どうあるべきか。ベガルタが謙虚に学ぶところかなと。

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 松下 佳貴  (←神戸)

 リージョ神戸からやってきました。リージョはペップの師匠です。ペップが率いているのは、マンチェスターシティです。なので、彼もアグエロです。この角度から(中略)。

 ボックス内に思いっきり走って最後に足を出す。書くのは簡単ですけれど、やるのは別。性格面も関わってくるのかなと思っています。でも、彼はできる。できる選手なんだ。

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 道渕 諒平  (←甲府)

 シュートが素晴らしい。弾丸のようにネットを突き刺す。なので、彼もアグエロです。

 ユアスタに帰還するベガルタ戦士。こう書くとかなりエモーショナルな移籍なのだけれど、彼には変な気概など持たず、思いっきりサッカーをしてほしい。文脈は、外野が勝手に考えていることだ。ピッチは、ゴール前は、あなたのものなのだから。

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 吉尾 海夏  (←横浜F)

 ポステコポジショナル軍団の若頭。ペップもポジショナルプレー筆頭です。シティグループです。それ以上に、1:37のデュエル。完全にアグエロです。なので、彼もアグエロです。

 板倉もそうですけれど、レンタルの選手って色んな思いを持って入ってきてくれている印象。所属元のサポーターも、まるで親御さんのように熱く応援しています。ぜひ、ベガルタでも暴れ回ってほしいです。

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 長沢 駿   (←神戸)

 リージョ神戸で(以下中略)。アグエロと同じ1988年生まれの30歳。なので、彼もアグエロです。

 足元の技術もあって、細かい動き出しでヘディングを決めるセンターフォワード。そうセンターフォワードタイプの選手だ。だからといって、先入観や固定観念にとらわれず、彼の良さが一番出る形でボールを渡してあげたいところだ。さもないとタイに行くことになる。

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 シマオ マテ (フリー)

 島尾。スペインでの経験がある。なので、彼もアグエロです。

 モザンビークというアフリカの国出身。プレーしている映像があまり見つからないのだけれど、遠いアジアの国、東北の地でサッカーをするという彼の挑戦は、大きな尊敬を集めるべきだし、きっと力を発揮してくれるだろうと思います。そのためのサポートを僕らは声に込めたいですよね。

 

 田中 渉   (新卒)

 ようこそベガルタへ。ドリブルがすごい。なので、彼もアグエロです。

 正直、あまり見ていないです(笑)でも、縁あってベガルタに来てくれたのです。全力応援ですよ。いざ、ネクスト西村へ。いや、西村の名前をかき消すぐらい、田中渉旋風を巻き起こしましょう。

 

 照山 颯人  (新卒)

  ようこそ、ベガルタへ。もうネタが尽きてきましたが、ここまでみんなアグエロなので、彼もアグエロです。

 CB陣に殴り込め!遠慮はいらないと思います。たくさん挑戦して、たくさん失敗して、たくさん怒られて、たくさん笑いましょう。

 

■考察

 以上のように、論理的整合性は取れているものと考えられます。あとは、シーズンが始まって実証的有効性を確認していこうと思います。開幕が待ち遠しいです。

 

■おわりに

 ここまで読んでいただいた方々に、まずは、感謝を申し上げます。なぜ、そこまでアグエロなのか。それは、2012年、QPR戦で決勝ゴールを決めた時から、僕がアグエロという選手が一選手として好きなだけです。

 戦術戦術言っておりますが、こういうエモーショナルなゴールが大好きなんです。スタンドなんかすごいことになって、試合終了後大変な騒ぎだったんですから。やっぱり、おなじマンチェスターの赤い悪魔に長い間苦杯をなめさせられ続け、シティのファンを名乗るのが大変な時代だったのかなと。そんな悪い夢から覚まさせてくれたのがアグエロのゴールでした。あれこそ、ストライカーなのだと、テレビの前で鳥肌立ちまくりでした。

  日々、アグエロベガルタに来ないか、選手動向をチェックしてながら、ベガルタを愛でながら暮らしています。こういう楽しみ方でもいいじゃない。サッカーを楽しむのに、きまりも、ルールも、レベルも無いんですから。誰もが楽しむ方法を持っていると、僕は思っています。

 サッカーは、続いていく。では、また、どこかの試合で会いましょう。

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プレミアリーグ 第21節 マンチェスターCvsリバプール(2-1)「終盤は駒の損得より速度」

■はじめに

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。ということで、書初めです。「唐突に上がる海外ゲーム分析シリーズ」の第3弾。

 今回は、世界が注目したシティvsリバプール。巷でポジショナルは、死んだとか何だとか言われているなか連敗しているシティ。ストーミングとやらの急先鋒と目されているリバプール。あまりそういった思想軸で見るつもりはなく、ビッグゲームだから面白そうなので見てみます。

 どちらのチームも追いかけているわけではないので、置かれている状況、ゲームの進め方の細かい部分とかとかとか、分かっていないところだらけです。いつも通り、ひとつの試合として見ていきましょう。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 シティもリバプールもオリジナルは、4-3-3を採用。ただ、リバプールは、ハーフスペース前にウィングを立たせて中央の圧縮密度を上げる流行りの最新型で来るでしょう。「君の陣地でボールは持たせてあげるけど、中盤では息をさせないぜ」といったところか。

 一方のシティは、サネ、スターリングの両ワイドプレイヤーを置く一般的な4-3-3と予想。まあ、シティの場合は、ポジションレス、ボーダーレスが進んでいるので、ウィングロールと呼んだ方が正確に捉えられそう。DFの構成も変わっている気がするのだけれど、これも狙いごとで役割も変化するため試合で確認していこう。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析。
  • ピッチ横のエリアは、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時での呼び方を採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く)

 

■前半

「すべてをつつみこむ4-3-3」と「全てを拒絶する4-3-3」

 戦型予想通り、リバプールは、3トップがハーフスペース入口を封鎖、3センターがセントラルレーン・ハーフスペースの中央3レーンを埋める形。3センターは、運動量もあって上下左右のスライド、プレスともに強力。また、サラーとマネのスピードは、ボール保持・非保持にかかわらず優位となっていた。

 それでは、シティはどうだろう。こちらは、オーソドックスというか、守っていないところを攻める定跡通り、SBが偽SBロールを採用せず、ウィングレーンでオリジナルポジションを守って、3トップ・3センター脇を狙い撃つ意図が感じられた。

 本来ハーフスペースのカウンター予防として配置される偽SBなのだけれど、今回は採用しなかった。相手の3トップに対する4バックという位置づけか。ビルドアップは、2-3-5のような形に。

*概念図

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戦いは数だよ」を持ち込んだクロップ

 ソロモン攻防戦においては、ビグザムの量産が間に合わなかったのだけれど、クロップは、シティの位置的優位性を活かしたビルドアップ妨害に対して、トランジション時の数的優位性で対抗。一時的に位置的優位を放棄して、局地的・瞬間的な数、トランジション勝負できた。

 17分、ボールサイドの2レーンに集めて、前プレを回避。選手個人のゴリ押しもあって、最後マネのシュートがビックリゴールになりかける最大の決定機を迎える。この攻撃、結果論なのだけれど、リバプールから見て右ハーフスペース入口から出口まで1レーンで攻撃を完結させていた。

  

小さなズレを見つけたアグエロ

 どうするシティ。ペップ。シルバ、シウバは奮闘しているが圧迫気味だし、両ウィングもモヤモヤした様子。流石にハーフスペース・第3レイヤーに飛び込むほどの勇気は、シティの選手ですら少しなかった気がする。それぐらいリバプールの圧縮は、強度が高く強力だったように思える。

 この状況を打開したのは、1トップのアグエロ。21分に、3センター脇、シティから見て左ウィングレーン・第2レイヤーでボールを引き出す。いわゆるフェイク9だ。それまでも、中央だったり、右サイドで似たような引き出し方を試していたが上手くいかず。ようやく、小さなズレを見つけたといった形だ。

 たしかにブロックの外ではあるが、突如現れた客人にサラー、3センター、アーノルド、ロブレンに「誰が見るんだ問題」が発生する。「迷っている間に行けるぜ!」といった具合で、ファイナルサードに侵入を図るサネ。32分には、アグエロ・シルバ・サネのトライアングルから、サネがロブレンの背中をとり、ローポスト侵入に成功している。

*概念図

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 そして、39分。最初のレイヤーのコンパニから、第3レイヤーのサネへレイヤースキップパスが通る。プレス強度の高い3トップ+3センターを飛ばして、一気に、アーノルドの鼻先までボールを運んだ。さらに、ラポルテからサネへの第2レイヤーから最後のレイヤーへのレイヤースキップを送り込む。連続スキップパスで一気に攻撃が加速した。そこから、3度左からのクロスを上げたシティ。最後は、小さなズレを生み出したアグエロのゴラッソ(=大きなズレ)だった。

 事の始まりは、サラーが入口を封鎖するか、SBをケアするか迷った結果生まれたスキップパスだった。ここで、ペップの策が結果として成就する形に。偽SBロールだとハーフスペースの解放は有りえなかった。サラーに対して、ウィングレーンに位置することで、アンカーかSBどちらを見るか迷わせた結果となった。

 *概念図

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 シティが1点を先制して前半を終える。アグエロのゴラッソもあったのだけれど、リバプールもプレー強度が高く、マネのシュートが入っていればといった展開だった。

 

■後半

同点にするリバプールと4-4-1-1への変身

 後半開始から、シティがボールを持つ展開にはなっていたが、お互いオープンな状態で両ゴール前に迫る展開が増えてきた。

 シティは、2CB+アンカー+B・シウバのボックスビルドアップで3トップに対抗。段々と、スターリングも3センター脇にポジションを取るシーンも見られるようになった。

 だからこそ、63分のリバプールの同点は大きかった。アーノルドがドリブルの進行方向を変え、ブロックの外から走り込んだロバートソンに合わせ、折り返しをフィルミーノが押し込んだ。同点後あたりから、リバプールは、4-4-1-1に変え最初のレイヤーを明け渡し、第2レイヤーに人を置くやり方をとった。先制されながらも戦い方を継続し、着実に勝利をたぐり寄せる策のような気がする。気がするだけ。

 

ボトルを握るユルゲンと客席を指さすペップ

 だからこそ、70分のサネの勝ち越しゴールはリバプールにとってダメージが大きい1点だった。シティからすると、配置し続けたウィングレーンからのパスからだった。スターリングが第3・最後のレイヤーの継ぎ目と呼ぶべき場所にポジショニングしており、擬似レイヤースキップパスになったことでプレーが加速した。

 第3レイヤーをカットインしてドリブルしたスターリング。局面だけ切り抜けば、カウンターのようなシーンで、アグエロのクロスランでサネがフリーになった形は、CL6節のホッフェンハイム戦でも似たような形があった。

*概念図

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 第2・第3レイヤー、ハーフスペースを使ってボールを前進させることが特徴のシティ 。この試合では、ハーフスペースを封鎖され、第2・第3レイヤーの監視が厳しかった。その監視を①ウィングレーン活用、②レイヤースキップで解消するという、バルサ時代のペップには考えられなかった対抗型を見せてくれた。もちろん、バイエルンや昨年のシティからすると、その変化も特別なことでは無いのかもしれないのだけれど、リトリートして試合をクローズさせるなど、とにかく勝ちたかったのかなと。試合後、客席を指さしたのが印象的だった。

 さて、優勝街道を走り続けていたなか敗戦したクロップ。ゴールセレブレーションがいつものガッツポーズ&ジャンプではなく、ポケットに入れていたウォーターボトルをしっかりと握りしめるという形で喜びを表現していた。本当のところは分からないのだけれど、やはり、同点にした、追いついた負けないぞといった形で、追われる側に無意識のうちになっているのかなと。これからどうなっていくのか。個人的には、めちゃくちゃに跳びまわって喜びを爆発させるクロップが好きです。

  

■おわりに

 久しぶりにプレミアリーグの試合をちゃんと見た気がします。流し見だったり、ハイライトばっかりだったので、優勝を左右する試合を観れて面白かったです。2人の監督が勝ちたい、負けたくないが試合の現象として出てた気がして、読み解きがいのある試合でした。深く見ていけばいくほど何かが見つかるかもしれないので、ぜひ、オススメしたい試合です。

 

■参考文献

www.footballista.jp

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「5レーン&4レイヤー理論」

はじめに

 どうも僕です。今回は、サッカーの戦術のお話。というより、理論化の話になります。理論とは、英語でTheoryといって、学問的には、因数分解のイメージです。A+B=Cみたいな。もっと複雑な式ですけれど。

 じゃあ難しいのか。そうではないです。もっと言えば、理論とは、この式を使えば誰でも、簡単に、すぐに答えを導ける、間違いを発見できる優れものなのです。

 そんな流れの中において、僕は、先人たちが築き上げてきた基礎から、今回は、「5レーン&4レイヤー理論」をここに提唱したいと思います。 

5レーン&4レイヤー理論とは

 5レーンとは、ピッチを縦5分割して、セントラルレーン、ハーフスペース、ウィングレーンを静的に規定します。一方で、4レイヤーとは、①相手FWの正面、②FWとMFの間、③MFとDFの間、④DF背中で縦横スライドに合わせて動的に規定します。

  この2つの考え方を合わせて、ボールを運ぶ、ひとが動くエリアを明確にして、最終的には「左ハーフスペース・第3レイヤーにポジションを取る」と言ったピッチで起きる現象・事実をきちんと理解することができると考えます。 

 

 

 

4レイヤーの考え方

 4レイヤーのポイントは、以下です。

  • 縦横スライドに応じて、動的に規定される。
  • 5レーンとセット
  • 最初のレイヤー、第2レイヤー、第3レイヤー、最後のレイヤーと呼称
  • 4レイヤーが前提で、4ラインのディフェンスについては、3ライン間の「レイヤー埋め」と規定する。また、レイヤー幅を縮めることを「レイヤー圧縮」、レイヤー幅を広げることを「レイヤー拡張」と呼称する。

 4レイヤーの基本と応用

 (1)レイヤーの基本

 レイヤーの基本、というより、最終目的地は当然、最後のレイヤーでクリーンにボールを持つことです。ただし、最初のレイヤーから最後のレイヤーへの直接攻撃は、特別な場合を除いて難しいと考えます。

 基本的には、最初-第2レイヤー、第2-第3レイヤー間をボールが動くことで、相手のレーン埋めからハーフスペースを解放させ、レイヤーを上がっていくことが重要だと思います。そして、最後の局面で、最後のレイヤーを使って攻撃するのが理想型と言えます。これは、ボール保持側が最も得する、成功した例と言えます。

 ボール非保持側は、この逆になります。最後のレイヤーへのレイヤースキップパスを警戒しつつ、最初のレイヤー、第2・第3レイヤーの圧縮や埋めで対応することになります。そこは、チームや状況によって変わるかなと思っています。また、同時にレーンもきちんと意識する必要があって、レイヤーを圧縮しても、ウィングレーンが空くことになります。そこはやはり、レーンとレイヤーをセットで考える必要があるのかなと考えます。

(2)レイヤーの応用

 ここからは、応用編。応用技とも言えます。

①レイヤースキップパス

 レーンスキップパスがひとつレーンを飛ばすパスであるのと同様に、レイヤーもひとつ飛ばすことで、相手の①プレス、②スライドを間に合わせさせなくします。

 

②擬似カウンター

 名前が良いかどうか分かりませんが、わりと皆さん使われているので。最初のレイヤーから第3レイヤーへのレイヤースキップパスは、第2・第3レイヤーにポジショニングしている選手を飛び越していきます。もちろんそれは、レイヤーを規定している相手にも言えることで、直接第3レイヤーにボールが運ばれることで、まるでカウンターのような現象・状態になります。そうなると、残すは、最後のレイヤーのみになります。

*擬似カウンターについては、設計しているのかどうかもあると思いますが、僕は、ひとつの現象に対して、「擬似カウンター」と便宜的に呼んでいるに過ぎないと考えています。より正確に認識するのであれば、「最初のレイヤーから、第3レイヤーへのレイヤースキップパス」と理解するべきだと考えています。

*概念図

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③オンオフポジショニング

 オフサイドポジションから、オンサイドポジションに移動するオフボールの動きをオンオフポジショニングと呼んでいます。レイヤーで落とし込むと最後のレイヤーから第3レイヤーへの移動です。これによって、ファイナルライン(DFライン)が一時的に下げさせられるので、第3レイヤーが拡張しますので、擬似カウンターが決まりやすくなります。もちろん、ほかのレイヤーでも応用可能だと思います。

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④レイヤー埋め、レイヤー圧縮

 ポイントでも書きました。どちらも、現象的、構造的には採用されているやり方です。これを5レーン&4レイヤー理論に落とし込むと、このように呼べるというだけです。

 ボール非保持側は、第2・第3レイヤー圧縮(=最初・最後のレイヤーのレイヤー拡張)を図ることで、ボール保持側の前進を阻みます。また、初めから、アンカーを置くなど、「レイヤー埋め」することで、前進を妨害することも可能です。一方のボール保持側は、5レーン理論を応用することで、空いているウィングレーンやハーフスペースを利用して、前に進んでいくこともできます。

 

 このように、5レーン、あるいは4レイヤーだけでは実現できない、攻撃や守備があると思います。ポイントで述べたように、2つはセットで考える必要があって、だからこその「5レーン&4レイヤー理論」なのです。 

おわりに

 ことの発端は、仙台界隈、戦術部のりゅうさんからの「ベガルタの擬似カウンターがなぜ少なかったのか?」のお題に答えるべく、継盤研究していました。

 ここのところのベガルタはポジショナルプレーではないのでは?の問いかけもあって、ポジショナルプレー概念のもとプレーしていることを前提に、大ファンのfootballhackさんのスペーシング理論からこの理論を採用して、今回の理論を応用して仮説立て、理論構築を図ろうと思いました。

 予想以上に、現場で実際に指導されている方々からもポジティブな反響があって、そこがとてもうれしいと同時に、好き放題言っているのにも関わらず感謝の気持ちしかないです。

 今回ブログにひとまとめにすることで、より色んなやり方、見方でサッカーと向き合える一助になって、プレイヤー、指導者、観戦者の可能性が広がることを願っています。 

感謝の意味を込めて

①偉大な先人たちの知恵の集合体です。

footballhack.jp

 

②ともにサッカーを学ぶ仲間たちです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【プレビュー】18/12/23 Football Insight 「元J1トップチーム分析コーチ、試合分析セミナー」に行ってみる。

■はじめに

 どうも僕です。Jリーグも終わり、すっかり移籍だなんだで盛り上がる時期になりました。毎週、試合を見て、色んな感情に襲われながら、冷静に試合を振り返る。言葉にする。暮らしに追われながら。なかなか、大変だったのですけど、それはまたどこかで振り返ります。

 今回は、12月23日に開催される「元J1トップチーム分析コーチ、試合分析セミナー」に向けて、言葉に起こしておこうかなと思います。年末の整理整頓みたいなものですね。では、レッツゴー。

 

■Football Insightとは

 以下参照。説明不要です。

note.mu

 これまた説明不要の皆さんご存じサッカーアナライザーさんが発起人で、これまた説明不要のらいかーるとさんのブログとの出会いと自身の体験から生み出された、「サッカーってどう見るの?」「こんな発見があるんだよ」を世に広める素晴らしいサッカーアドバイザリーサービス、それがFootball Insightです。

 

■「元J1トップチーム分析コーチ、試合分析セミナー」とは

 以下、参照。説明不要(二回目)。

note.mu

 どのようにして試合を分析するのか、読み解くのかを実際の試合を通して見ていくなど、試合を見る目を養うセミナーになるようです。ちなみに参加者は、僕みたいな一般ピーポーから、サッカーの現場で一線級で活躍されている指導者さんなど、一味も二味も違うモノノフ達が集うようです。僕はここに居ても大丈夫なのでしょうか。

 講師は、清水智士さん。ベガルタでも分析担当コーチとして、ルヴァン杯ベスト4躍進に貢献。現在は、大同高校サッカー部で若者育成にご尽力されています。

twitter.com

 

■どうして参加するの?

 気づいたらボタンを押していました。なので、脊髄に聞いてください。とはいかないので、脊髄に訴えかけたもっともらしい理由を挙げてみます。

 ①サッカーを学び続けたい

 ②ベガルタに大きく関わった方の講演だから

①サッカーを学び続けたい

 ①は、別にセミナーでなくても良くない?とはありますが、僕は、学びにおいて、場の理論を採用しています。つまり、一度として、同じ学びは無いということです。23日以外にも、日程を変えて、同じ試合分析セミナーがあったとしても、参加者が同じだとしても、教材が同じだとしても、やはり、それはその日の学びがあるという考え方です。

 僕は、野球はディベートだと思うし、サッカーはディスカッションな気がしています。いずれにせよ対話です。対話を通して、ひとつの試合を形作る作業を勝ち負けのフィルターを通過させて、僕たちは試合を見ています。

 僕は、そこにあるチームが表現する意思、喜びとか決断だったりを読み解きたいと思って、いつも試合を見ています。でもそれには、サッカーの試合を見る基礎知識が必要だし、見るためのフレーム、スケールが必要だと思います。別にサッカーだけの知識や理論、考え方、ものの見方だけではないです。全人格的な作業だと思っています。

 そういう意味で、今回のセミナーで、自分の持っているものスケールアップして、持っていないものをビルトインしたいと思います。あとは、これだけサッカーに精通している方々が集まっているのですから、そこにいるだけでも貴重な学びなのかなと思っています。

ベガルタに大きく関わった方の講演だから

 さて②。これは、もっと具体的というか、身近な理由な気がします。今のベガルタというチームの戦い方に大きく関わった方、影響を与えていた方がどう考えていて、今何をやられているのか知ることを通して、ベガルタをより深く見れるのではないのかなと。

 チームとはいえ、ひとの集まりです。それぞれ、個人の考え、意欲、行動は、決して無視することはできないと思います。誰がプレーしているのかも重要ですが、誰から教わって、誰の系譜なのか、何を教わっているのかも同じように重要だと思います。清水さんは、分析担当コーチとして、相手やチーム分析を通して、練習メニュー構築や次の試合への対策などに大きく関わっておられました。そんな方の試合の見方を知ることで、今シーズンのベガルタ、今後のベガルタをより読み解いていけるのかなと思っています。

 

■おわりに

 はい。お気持ち表明は終わり。あとは、その場を思いっきり楽しもうかなと。自分のサッカーへの思いや知識がどこまで通じるのか、通じないのか、どちらにせよ自分の現在地を知ることができる良い機会なのかなと思っています。何か新しい発見があって、今の自分を変えられる!自分の人生が劇的に変わるんだ!までは、ごめんなさい、思っていないです(笑)でも、色んなルーツの方々と丁寧にサッカーを読み解けるのかとは思っています。それでは、当日。

 

CL グループステージ6節 マンチェスター・Cvsホッフェンハイム(2-1)「一歩千金の価値」

■はじめに

 さて、欧州サッカーのゲーム分析。今回は、CL注目カードからシティvsホッフェンハイムを見ていく。現在の細かな戦術分析スタンダードの下地を作ったペップとその新鋭ナーゲルスマンの一戦。ただ、CLの成績的には大きな差が広がっている。やっぱり、リーグ戦との両立は難しいのかね。普段、ベガルタ分析が主で時系列で追っているわけではないので、一つの試合として見ていく。では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 両者4-3-3対決。シティは右SBにストーンズを起用。ビルドアップの狙いがあると見て注目。ウィングの役割としては、シティはボール保持時のウィングロール、ホッフェンハイムはボール非保持時にハーフスペースを封鎖する役割か。この辺りにフォーカスを当てて、ピッチの現象を見ていく。 

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

 

■前半

(1)シティの非対称ビルドアップとホッフェンハイムの433ブロック

 シティ、ホッフェンハイムともに4-3-3を採用しているが、両者の構造は大きく異なる。シティの右SBには、CB、アンカー起用が多いストーンズ。左SBはアラバロール装備のジンチェンコ。ホッフェンハイムの前プレの基準を外す狙いだと思うのだけれど、ホッフェンハイムの3トップはCB陣に対してそれほどプレスをかけてこなかった。むしろ、ストーンズのポジションが固定していることで、ジョエリントンの移動距離が少なくなり、スターリングに入ったら強く当たれるようになる。こうなるとシティ右サイドの攻撃は硬直化してしまう。

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 であれば左サイドを突破しよう!スターリングはアイソレーションロールだ!なのか、シティは左サイドを重点的に攻略し始める。

 右を封鎖したホッフェンハイム。ジンチェンコにはブレネト、フォンデにはガイガーをデートさせてこちらも自由にはさせない。ホッフェンハイムのセットディフェンスが4-4-2のように見えたのは、アラバロールのジンチェンコにブレネトがついてくことで起きている現象のような気がする。気がするだけ。

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(2)左サイドヲ突破セヨ

 引き下がらないシティ。ジンチェンコのポジションに合わせてフォンデ、サネがレーンチェンジ。何とかして左サイドをこじ開けようとする。フォンデも早い時間帯に3センター脇を使い始める。

 ホッフェンハイムからすると右をロックしているし、左サイドに注力できる。インテンシティも落ちていない。まだまだやれる。

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 一方のシティ右サイド。ストーンズは意図的にCBロールをやらせているので、スターリングへのフォローが薄くなるのは分かっている。ストーンズのビルドアップ能力とB・シルバのフォローで何とかなる算段か。

 ただ、現象としてはスターリングの孤立につながった。B・シルバも3センター脇を使ったり、パラレラ使ったりで何とか局面を打開しようとしてたが、左サイドと違って、SBのオーバーラップ/インナーラップの選択しは無い。ホッフェンハイムとしては守りの選択肢が減った分楽になっていたのでは。

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(3)それでも同点で終わるのだからサッカーは分からない

 25分~30分ころから、ハーフコートサッカーの展開に。シティは、ホッフェンハイムがCBを放置していると判断。0トップには1バックの数字合わせから、オタメンディの1バック化でボールを前進させる。

 ボール非保持側が窒息するはずなのだけれど、左サイドの勝手が違った。フォンデにはガイガーがデートしているし、ブレネトはラポルテとジンチェンコ2人を1人で守る守備で対応。バイタルにボールが入ったところで、CHとCBが圧縮することで前を向かせなかった。

 ただ、それがゴール前でのファールを招き、サネのFKからのゴールを許すことに。素晴らしいゴールだったが、ナーゲルスマンとしてはある程度こういうリスクがあることは許容していた気がする。気がするだけ。

 ペップシティも、非対称のビルドアップが良かったのか悪かったのかはよく分からない。ただ右SBストーンズ起用の効果が出ていたようには、ちょっと見えなかった。

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■後半

(1)復活のシティ右サイド

 ペップは、後半開始からウォーカーを投入。ザ・SBを起用することで、両サイド同様の攻撃を仕掛ける狙い。交代に伴ってビルドアップ隊も変化。ジンチェンコのアラバロールと合わせてボックス型ビルドアップに。①ウォーカーがウィングレーンにいること、②サネがウィングロールであること、③CBへのプレッシャーが弱いことから、中央の人数整理をした形と思われる。

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(2)決戦のハーフスペース

 シティ追撃の一手は、ウィングのハーフスペースへのレーンチェンジ。合わせ技で、SBのウィングロール、インテリオールのパラレラ、ウィングとSBのフォローでハーフスペースを攻略し始める。もちろん、オリジナルポジションからの強襲も匂わせることで、なお効力が発揮されていたように思う。

 さてホッフェンハイム。デート役がドラスティックにポジションチェンジ、レーンチェンジしてくるので、ついていく、ついていかないの判断の部分で混乱。ゾーンのなかのマンツーなのだけれど、そこまでついていくの?受け渡すの?は、ビエルサ曰く、その場の雰囲気もあるらしい。シティ相手にちょっと厳しい。

 60分のサネの逆転ゴールから、70分ころになるとホッフェンハイム側は、頭の疲れと合わせて身体的な疲れからシティについていけなくなってくる。後半開始の交代と攻め筋の変化で、いつの間にやら差を広げられてしまった形だ。ただ、コーナーキックに10人をねじ込んだナーゲルスマンも手筋に一手間加えることで、打開を図ろうとはしていた。少し届かなかった。

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■おわりに

 終わってみれば、シティのブロック攻略公開講座のような、あの手この手でスペースを作って使っての展開に。ただ、ホッフェンハイムとしても、そこを簡単に「使わせず」にシティを苦しめた。2失点も直接FKとカウンター。ファイナルサードを攻略されてのゴールは許さなかった。許さなかったのだけれど、それだけがサッカーではないということか。

 勝つためにやれることはやる。しかもマメに。あとは天命を待つ。当たり前のことなのだけれど、それを当たり前に実行していた両者だった。結論、最後は運頼みということではなく、積み上げて積み上げていった結果だ。どれだけ積み上げられるか。1人の人生、一つの分野では当然足りない。謙虚さと学びへの意欲と行動こそがそれを実現するのだと思わせるゲームだった。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html

 

 

Jリーグ 第34節 ヴィッセル神戸vsベガルタ仙台(3-2)「それでも、可能性という名の神を信じて」

■はじめに

 さて、行きましょうかリーグ最終戦。相手は、リージョ率いるヴィッセル神戸。スコアだけ見れば、サッカーで最も美しいと呼ばれるスコアでの敗戦、一人少ない逆境の中、最後まで戦い続けたのかなと思っています。まさか最終戦まで記事を書き続けられるとは思っていなかったので素直に驚いています。飽き性の自分なりに、小さなサッカー脳で今回も鬼ゲーゲンプレスをかけていきます!では、レッツゴー。

 

■オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは、3-1-4-2を採用。守備時には、5-3-2になる陣立てだ。メンバーは左WBに関口、右WBに古林を起用。そして2トップの一角にジャメだ。押し込まれる状況を想定して、相手SB裏、CB脇をポジトラで突いていく狙いか。アンカーに富田を起用しているのもある程度ボールは譲るがスペースを譲らないといったところか。1年間続いた渡邉監督の壮大な冒険と実験がまずは一区切りする。レーン、立ち位置。昨日は今日の糧に、今日は明日の糧となれ。

 対する神戸。ポドルスキイニエスタのウィングなんて、数年前の自分に言ったらどれだけ信じてもらえるだろうか。しかも来年からはビジャが来るなんて。こちらは、ポジショナル王国、キングダムリージョからやってきたリージョとその哲学を共有するメンバー。思想家、哲学者という評価が一般的なリージョだが、神戸のサッカーはわりと論理的で現実に即した形になっている。それでも、70分以降の運動量低下や守備強度を見ると痛点もあるため、ベガルタとしてはそこを狙っていきたい。

 

■概念・理論、分析フレームワーク

 ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」を援用して分析とする。これは、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取って攻撃・守備をする」がプレー原則にあるためである。また、分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用する。

■前半

(1)攻撃:ポジショナルアタック  ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

 ベガルタのビルドアップは、この試合もポゼッションによるもの。これまであらゆるビルドアップ妨害を回避するために身に着けていったビルドアップを披露。5分には、早速、板倉、富田、大岩、ダンで菱形成。合わせ技で右ウィングレーンに平岡がレーンチェンジする擬似4バック+菱形ビルドアップを見せる。

 ポジショナルアタックも24分には、1stプレスラインの裏で富田がボールを受けて、石原に中盤スキップの楔パスをつけている。石原のレイオフがチャンネルランの奥埜につく。

 ボールを持たれる展開、奪って早くの展開のなかで、こうやって相手のプレスを回避して前線にボールを運ぶやり方をきちんと理解していると思うし、それを実行する能力を備えているのだなと改めて実感した。ポジショナルアタックは、死んでいない。

 

(2)ネガティブトランジション:リトリート

 いつも通り、奪われたらボール付近の選手がゲーゲン。その間にリトリート。

 

(3)守備  プレッシング:攻撃的   組織的守備:ゾーンの中のマンツー

 ベガルタのセットディフェンスは、5-3-2ブロック。しかも、2トップは前プレせず、3センターと協働して中央の密度を上げる役割。そこからサイドへ誘導させて、WBと2トップが挟み込んで奪いきる狙いだ。神戸のインテリオールの郷家、三田に加えて、ポドルスキイニエスタがハーフスペースに降りてくる。プラスでCBをサポートする伊野波もいる。こうなると中盤は5枚いた方が安心という考え方もある程度納得する。

 ただし、90分間同じ手で攻めてくるほど、神戸もただの札束チームではない。そちらがそうするなら、こちらもこうしよう!とばかりに、3センターの脇を狙い撃ちしてきた。当然、3センターは動くが、動けばもといた場所が空く。元いた場所を埋める動きをするれば、さらに元いた場所があく。

 ポジショナルプレーの恐ろしさ。私は、ポジショナルプレーを「その時、そいつが、そこに、居ること」だと解釈している(個人的な見解です)。3センターが動いた時、イニエスタが、空けたスペースに居ることで、さらに別な選手が立ち位置を取り続けていった。25分ごろまでベガルタの守備もうまくやっていた。狙い通りだったのだと思う。ただ、相手の攻撃の変化(変化というより状況に応じた攻撃と言った方が適切)に対して、守備の変化をつけられなかった、事前準備のままだったのだと思う。もちろん、相手はリージョ神戸。イニエスタがいる。簡単ではない。

*概念図(構造上フリーな選手をここではジョーカーと呼んでいます。ここだけ)

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 さらに悪いことに、イニエスタポドルスキ番の板倉、平岡が降りていく彼らにデートするかしないかの判断が曖昧になる。中途半端な立ち位置を取ることで、背中にギャップを作って、SBに裏を取られるシーンが25分以降増えていった。f:id:sendaisiro:20181208092758p:plain

 こちらは、イニエスタポドルスキがウィングレーン→ハーフスペース→ウィングレーンと2段階レーンチェンジでボールを持った場合の図。

 

(4)ポジティブトランジション  ショート:ジャメ/石原/WB ミドル/ロング:縦志向

 神戸がSBを高く上げるため、その裏を2トップとWBが狙っていく。また、伊野波がアンカー落としでビルドアップするため、瞬間的に、中盤のフィルターが無くなる。トランジション勝負になれば、ポドルスキイニエスタの怖さは一瞬なのだけれど消える。12分に、伊野波がボール操作を誤って、中央で石原がボールを奪ってカウンターのシーンは、一気に選手が上がってきた。やはり、試合を通しての狙いだったのだと思う。ただし、前半、試合を通してうまくいったのかと言われればちょっと分からなかった。

 

■後半

(1)攻撃:ポジショナルアタック  ビルドアップ:ポゼッションによるビルドアップ

  奥埜の退場で1人少ないベガルタ。ボール非保持時間が圧倒的に長かった。ただ、72分のハモンのゴール、78分の攻撃ではポジショナルアタックを見せた。駒落ちのオリジナルフォーメーションは、4-4-1。しかし攻撃時には、ハモン、アベタク、ジャメ+WB関口がウィンガーになり4トップ、3-2-4になる。72分、古林に代わって菅井が入ってきたありからそれが顕著になっていた気がする。気がするだけ。

 そして、78分。今度は、アベタクをトップに据えた4-2-3へと変わっていく。アベタクがエキストラレシーバー(トップの位置から降りて後方からボールをレシーブする役割)として、GKダンからのボールを引き出し、ハモン、ジャメの2トップ+関口にボールを運ぶ役割を担った。1人少ないベガルタ仙台が変形、いや、変身した。あれは、フェイク9だ。

 神戸のトーンも落ちてきたこともありゴール前までボールを運ぶ機会も増える。最後は、大岩を1バックの守備専として、他を攻撃に回す。追加タイムにジャメのゴールで加点し、スコア2-3とする。ただそれも時すでに遅し。タイムアップの笛が鳴る。

*概念図

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  この形から、板倉がSBロールもこなす。ウィングロールの関口、左ハーフスペースに陣取るハモンと共闘して左サイドを圧倒する。

 

(2)守備  プレッシング:攻撃的   組織的守備:ゾーンの中のマンツー

 1人少ない状況で、ポジショナルを標榜するチーム相手に難しかったと思う。52分の失点シーンは、たしかにイニエスタのゴールが素晴らしかったのだけれど、三田に釣られた平岡、平岡のギャップを埋められなかった大岩・富田、イニエスタに中途半端についていったジャメ。3つのエラーが発生すれば、失点もする。ローポストに侵入されて一発で仕留められるということだ。

 それまでは、5-3-1の形でセットしていたが、57分の交代を機に4-4-1に変更。4-4ブロックで対応している。62分に3失点目をもらっているあたりを見るとまだまだなところもありそうだが、実験と冒険を続けるチームに可能性を感じる。

 

 

■考察

(1)再び光るピッチ

 制約条件のあるなか、難しいスコア状況のなか2点を返したことは大きなことだと思う。アベタクのフェイク9や4バックなど、当然記号にも目が行くが、それ以上に0-3という状況にチームが満足していない、勝ちを諦めていないところが大きい。監督や選手が良く言うように、サポーターに勝利を届けたい思いを強く感じた。

 

(2)激突、ポジショナルプレー

 今回、明確にポジショナルプレーを掲げるチームの対戦だったのだけれど、やはり、守備の部分での課題が出たと思う。事前にデザインされた守備で25分程度はハメ殺していたが、欧州系のチームを見ていても、大体20分くらいで大局が決まり、ではそれに対してこう変化をしましょうが流れになる。ベガルタも、相手の攻撃が変化してきたなら、守備のやり方も判断して実行できたらなお良い。もちろん、すぐできるものではない。だけれど、できると思っている。

 

(3)ゼロ時間へ

 これでリーグ戦の全日程が終了。最終順位は11位だ。目標としていたトップ5入りはできなかった。達成できたこと、できなかったことをスケールを設けて評価して、次に進む道を決めていこう。終わりと始まりは表裏一体。また、来年。

 

■おわりに

 イニエスタがゴールを決めた瞬間、僕は、笑いながら拍手をしていた。世界一のプレーを観れた喜び、止められない圧倒的力の差、畏怖の念、絶望のスコア。理由はいくらでもある。もう終わりだと思った。ポゼッション型のチーム相手に1人少ない状況は、かなり悪い状況。勝つのは至難。ハーフタイムにどうやったら勝てるか考えていた全てを破壊するゴールだった。

 3点目が入る。僕は、神戸がサポーター向けに行うセレモニー、ショーか何かが始まったのだなと思った。僕らは添え物。神戸の勝利に花を添える役割。勝てない。勝てるわけがない。この状況でどうやったら勝てるんだ。僕は、勝つことなんて有りえないと勝利を諦めた。

 僕は、有りえないものを見た。ハモンが左足を振りぬき、ネットを揺らした。その瞬間、鹿島戦で僕が呟いた「まだ、負けてない」が聞こえてきた。まだ、負けてない。まだ、負けてない。まだ、負けてない。少しずつ大きくなって、センターサークルにボールがついた時には、僕は「まだ、負けてない」と声に出していた。

 そして、ジャメのゴールが入る。時間なんてもうない。けれど、僕は、最後ホイッスルが吹かれるまで、勝利を信じて疑わなかった。チームが勝ちを信じているのに、僕たちが信じていなくて、何を信じるんだ。

 僕は、僕たちは、強くはない。この変化の激しい世界、激動の時代において、自分を信じている者なんて、そうそう多くない。けれど、自分を信じることができていない人間を誰が信じることができるだろうか。

 これかも、たくさん負けて、たくさん勝って、たくさん悔しい思いをして、たくさん喜ぶことになる。 今日もまた、サッカーは続いていく。

 

 「恐れるな。信じろ。自分の中の可能性を。信じて力を尽くせば、道は自ずと拓ける。為すべきと思ったことを、為せ」こう言ったのは、カーディアス・ビストだ。

 

■感謝の言葉にかえて

 日頃、ブログを見ていただいている方々へ、こんな形で失礼しますが、感謝を申し上げます。およそ5か月前に始めた戦術ブログですが、毎試合見て、ゲーム分析をしてレポートにすることを果たして続けられるか多いに心配だったのですが、「見られているんだ」と思うと自然と体が動くもののようで、おかげ様で最終節まで続けられました(笑)

 旗揚げ当初は、しばらくは一人で細々やろうと思っていたのですけれど、「仙台界隈」の戦術班の皆さん、熱いサポーターの皆さんに取り上げてもらって、素直に嬉しかったです。当然、試合を観たり、本を読んだり、Twitterでディスカッションしたりしてより良いアウトプットを出したいなと思う気持ちも強くなりました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、天皇杯の決勝前日に書いているのですが、当日はこの瞬間を楽しみたいです。色んな思いとか理由、背景、文脈ありますけど、こんなイベントなかなか経験できないです。いつものように、「まだ、負けてない」と心で叫びながら楽しみたいと思います。

 人生最高の90分間にしましょう。

 

■参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html