Roberto De Zerbi(以下RDZ)は、自陣からボールポゼッションを使ったボール出しを志向している。
4231、433、3421のフォーメーションを使いわけながらも、センターバックが攻撃起点になることは変わらない。
相手のプレッシャーをあえて受けながら、その背後を狙っていくプレーの連続は、非常に戦術的といえる。
戦術的というのは、相手の意図を汲んだうえで、あえて警戒が強い場所でプレーすることも含まれている。
今回は、自陣でのボール出しにおいて、相手が強力なプレッシャーをかけてきた場合、そのプレッシャーを回避するだけでなく、プレッシャーの背後へとボールを進めていくRDZのボール出しを記録しようと思う。
以下はより簡易化した図。
2人のCBがいて、相手DFはMFへのパスラインをカバーしている状況を模したもの。
DFは少しずつホルダーを追い込むが、自分の背後のスペースを大きくするリスクをテイクしている。
前線からのプレッシングは、常に自分の背後へのリスクを背負うもの。
それでも少しずつホルダーへの間合いを詰めて、パスラインを切る。
ホルダーは、2人目への選択肢に限定させられる。
2人目に限定したDF。
3人目へのパスラインもカバーすることで、2人目の選択肢を限定。
ここでもDFをギリギリまで引きつける。
ここで4人目が接続。
ポイントは、初めから繋がっているとマークされて簡単に時間とスペースを使えないので、DFの意識とプレーがホルダーに向かっているタイミングを狙う。
引きつけただけタイミングの数が多くなるので、前述したギリギリの引きつけが大事になる。
相手のプレッシャーラインの隙間を狙う。
高いパス技術と次のプレーの予測が重要になる。
カバーされていた3人目は、DFのプレッシャーの背後で時間とスペースを持っている。
ここまでボールを運べたら、プレッシャーラインを超えられるので前進と言える。
ボールの進行ルート。
4人目はワンタッチで3人目にレイオフ。
ボール前進成功。
後方の選手が引きつけることで、DFの背後に時間とスペースが生まれる。
あとはワンタッチプレー、レイオフを使って、カバーされて消されたはずの味方にボールを運ぶ。
DFからすると消したはずの選手にボールが運ばれるので精神的にも痛い。
そしてタイミング。
DFの意識がボールとホルダーに向かっている間に、ポジションについてパスをもらう。
DFのプレーや思考込みのボール出しなので、「自分たちだけのプレー」になりにくい。
後方の選手に引き寄せられなければ、そのまま前方のスペースに運び、正対する。
いずれにせよ、ボールを動かして相手の意識を集める。
現在ブライトンでは、左センターバックのレヴィ・コルウィルがボールを持って文字通り「止まる」をしている。
そして相手がボールを取りに来るのを待つ。
間違ったプレッシャーならすかさず前線にボールを供給するので、DFとしては安易に動けない。
プレッシャーにいきたいのにステイさせる様はまさに、コルウィルの「時止め」である。
当たり前のように、センターバックがゲームを進めていく時代になった。
classic de zerbi football but it just feels too easy pic.twitter.com/9ko28ATASP
— ⚽️ (@Stillness_Speed) 2022年12月28日