蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【振り絞った感情が】Jリーグ 第22節 ベガルタ仙台 vs 横浜FC (0-0)

はじめに

 さあ、いきましょうか。ホーム横浜FC戦のゲーム分析。連戦2試合目。関東から仙台へ、そしてまた関東、しかも埼玉スタジアムという強行軍。耐える展開のなかで、ここユアスタでも圧倒的なポゼッションを武器にする横浜FCが相手になる。1日、1日をどう生きるか。チームから、必死の抵抗が聞こえる。今回も、ゲーゲンプレスで振り返ります。では、レッツゴー。

 

目次

オリジナルフォーメーション

f:id:sendaisiro:20201016214558p:plain

 ベガルタは、前節からセントラルMFに松下が復帰。CBにはシマオに代わって平岡。4-4-2で臨む。

 横浜FCはいつのまにやら4-4-2に。ビルドアップで変形して3-1-4-2のような形になる。左ウィング松尾は馴染みのある仙台の地を踏む。斉藤は警戒するべきアタッカー。六反おかえり!

 

ゲームレポート

4-4-2守備とポゼッション型チームとの噛み合わせ

  横浜FCといえば、かつて山口素弘が選手としても監督としても戦っていた印象が、個人的には強い。下平監督のイメージもあるのか、青年監督がチームを鍛えあげて上位へ連れて行く印象がある。あくまで個人的な印象だ。世界的な流行もそうだけれど、自陣からのビルドアップを精密に設計して、チームの武器にしているのが今の横浜FCというチームだ。通俗的に『持たざる者』と呼ばれるチームが採用する武器が、GK含めたビルドアップと、前線からのプレッシングだ。相手陣と自陣で見合う展開を意図的に作り出して、対面勝ちする戦いは、野心溢れる若手からすると非常に相性が良い。そんなチームと、ベガルタ仙台は、ホームユアスタで連戦2日目に戦うことになる。

 ベガルタは、ゲデス、山田の2フォワードを継続して起用。ボール非保持時には、4-4-2でブロックを組む。前節の川崎戦とある程度同じような展開で進めたい意図か。ウィングも、関口、道渕のワーキングウィンガーを採用。横浜FCのビルドアップは、4-4-2からCMFをドロップさせて3バック化させる逆丁字型に、ウィングがハーフレーンへレーンチェンジするトムキャット型と、前と後ろで可変するシステム。ベガルタとしては、3バックとアンカー化したバックライン、それにともなってワイドに高い位置を取るフルバックインサイドのWGへの対応が争点となる。

 しかし、ベガルタとしては、やはり川崎戦との大きな変化点を避けた印象でゲームを進める。FWは、アンカーロールをカバーしながら、ホルダーにサイド限定のワイパープレスを敢行。その先に、7番と18番の両翼がハーフレーンに突き刺さるパスを警戒しながら、ワイドのフルバックへボールが出ればサイドへスライドして対応する守備が基本型とした。4バックはなるべくペナルティ幅を守り、CMFがレーンチェンジするウィングを見る形。ファイナルラインはなるべく高く、ただし、フロントラインのプレッシャーはハーフライン付近とし、中盤からの押し上げを基調とした。

 こうなると、これもやはり川崎戦同様、相手にボール保持の時間を多く持たせ、自陣でのディフェンスを受け入れざる負えなくなる。関口、道渕のWGがもともと低いことと、中央へのパスをまずは消し込む立ち位置のため、ホルダーの前方付近にはスペースができる。FWのつるべの動きは、4人ビルドアップに対して物理的に間に合わないのは、札幌戦からずっとなのは変わらず、サイドに限定してもホルダーにはある程度の時間が許された。フルバックを警戒しつつ、ホルダーにもプレッシングにいける中間ポジションといえば聞こえは良いのだけれど、結果としてはCMFと横並びのようなポジションになり、結局その間に縦パスを刺されるような展開になる。守備に段差がつかないと、人の羅列になる。ソーシャルディスタンス。

 一方左サイドは、関口が早いタイミングでフルバックの前方を抑えるべく、自陣深くポジション取りをするので、パラを中央に残したまま5バックのような形になる。ただFWのプレスバックが弱いので、左右非対称のいびつな5-3-2のような陣形になり、ボールは持たれ続けてしまう。

 後半になり、これもいつもの展開でハーフタイムに修正が入ったか、ウィングのプレッシング位置が高くなりバックラインへの圧を高める。特に横浜FCフルバックで躍動するマギーニョの背後は、スペースが空いているため、前から圧をかけて中央で奪うと、前線に残るウィングにボールが渡ると一気にチャンスになった。交代で入ったタカチョーのプレッシングとカウンターが修正の効果が顕著だったように見える。連戦のなか、ケガ人が少しずつ帰って来たなか、非常に繊細なチームビルドを要求されているだろう木山ベガルタ。ただどこかでテンションを上げ、陣形を前目に崩さないと、チャンスにならない。崩した状態にしなければ、相手も崩れてくれない、といった具合だ。そのパワーのかけどころがどこかなのだけれど、これはもう後半勝負を覚悟!なのだと思う。

 

中央を避ける攻撃ルート

 ベガルタも椎橋がバックラインに落ちることで、3バック化はするものの、攻撃ルートはフルバックへのU字ルートが基本だった。特にセンターバックがボールを持っても、フルバックへのパスなので、中央へのパスというものがあまり見られない。守備陣形をあまり崩さないで攻撃するベガルタなので、攻撃面で膠着することはある程度想定されるのだけれど、セントラルMF松下の復帰もあるので、今後中央からの攻撃も増やして良い気もする。ただリスク回避で比重としては高くなりそうにないけれど。

 ちなみにボールを奪った瞬間は横浜FCに圧倒され、カウンターが不発。これは川崎戦とも同様。どうもローブロックからのカウンターは、開幕戦の名古屋戦同様、ウィングに縦に速い選手がいないと厳しい印象がある。速いというか、そもそもジャメも前残りしていたので攻撃開始地点が高いというのはある。2FWが一番高い位置を取るなら、サイドに流れるなど、『空いているところを攻める』の基本で攻撃していくことが必要かと思う。このままローブロック4-4-2をするなら。でなければ、エデン・アザールでも獲ってくればいい。 

 

考察

Good!

 横浜FCは自陣から中盤のデザインに特徴があって、ベガルタとしても苦労した部分だと思う。ただ、もっとも大事なゴール前での決定的な仕事はさせず、だんだんと怖さも無くなっていったように見えた。最後にはGKクバが待っているという安心感もありながら、シマオがほとんどの時間不在のなか、リトリートを完遂させたのは良いのかと思う。

 

Bad…

 スコアもさることながら、90分間でも攻撃らしい攻撃を見せられなかった。交代で前線にパワーを出すいつものやり方も、相手からしたら予測しやすかったのではと思う。開始15分受けきったら前に出るなど、時間帯で攻撃型を構築するのが相手に予測されにくくなる、駆け引きになるという点で必要になると思う。

 

Next

 ゲームモデルである攻守においてアグレッシブなサッカーには、正直見えない試合。ただ、この試合、あるいはこの連戦だけではなくて、シーズントータルで、または来季も含めてそれが実現できるのか、実現できる材料を揃えているのかがポイントだと思う。ウィングがいない今、そこに拘ってもやむなしと思う反面、耐えるしかないにしても限界を迎えないような、チームビルドが必要になりそうだ。正直、この日程で、トレーニングもクソもなく、リカバリーとやってきたことの確認、微調整レベルなのだと思う。川崎戦前の1週間でこの連戦を戦う大枠、テーマは決めている(おそらく4-4-2ローブロック省エネ)はずなので、まずはそれを実行して遂行して、できないところは課題として解決する試行錯誤サイクルは回してほしい。

 

おわりに

 まさに半歩、半歩。チームの構造化、機能化を図るうえで、足りないところだらけで。もちろんその過程にはサポーターも入っているわけで。チームの総力は50%も出せていないだろう屈辱的な状態でも走り続けているわけで。こちらとしては、とにかくこれ以上のダメージがなく今季を終え、来季生き残る術を、下地を作ってほしいと思う。2022年にベガルタ仙台J1リーグで戦うことが、目標なのだから。これはチームも、クラブも、当然リーグも同じ文脈である。あらゆる分野で挫けるひとが出るなか、好きなことを仕事にできるプロとして、最後までその半歩を踏み出し続けてほしい。

 

「返すとも、アンタには借りがある!」こう言ったのは、スパイク・スピーゲルだ。

 

参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

www.footballista.jp

www.footballista.jp

www.amazon.co.jp

www.amazon.co.jp

silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com

sendaisiro.hatenablog.com

sendaisiro.hatenablog.com

sendaisiro.hatenablog.com

sendaisiro.hatenablog.com