続にして、続
放課後。
夕暮れの喫茶店。チェーンだけど。
今日の舞台。
話題は、もう説明する必要もないでしょう。
登場人物だけ紹介。2人、オタクがいる。
「まったく。それじゃあ全然説明になっていないじゃないの。」
「ん?詩、なにか言いました?」
「いえ、なんでもないわ朗。何か言うとしたら、あなただけと決めているから、安心をしておいてほしいわ。」
「いや他の人ともちゃんと喋ってくださいよ。生活できないじゃないですか。」
「あら嬉しいわ。私たちの生活をもうすでに心配してくれているなんて。これは良妻として、身が引き締まる思いよ。」
「……超次元空間跳躍して会話をしないでください。」
あと、第四の壁を突き破って話しかけないでほしい。怖すぎる。
逆三角形型4-3-3
「はー。」
「どうしたの朗。私の美しさと尊さに酔いしれて溜息しか出なくなったのかしら。まるで、ジネディーヌ・ジダンのダンスのようなドリブルのように。ぜひともキシリア様にも伝えてほしいわ。あれは、マジ卍だって。」
「自分の美しさは、世界最高だという傲慢を言ったんだよね!!そうなんだよね!!」
舞うように刺す。あながち間違ってないかも。
「珍しいわね。溜息をつくなんて。どうかしたのかしら。これでも少し、いえ、とても心配をしているのだけれど。少しは彼女らしく振舞わせてほしいものね。」
「ありがとう。まあ、たいしたことじゃないんだけど、バルサが結構プレミアのチーム相手に無双するというか、いつの間にか有利になっているんだよね。あの4-3-3に何か秘密とかあるのかなと思って。」
「何よそんなことだったの。卒業後に2人で暮らす間取りで悩んでいるのかと思ったじゃない。心配して損したわ。ちなみに私は、陸上トラックはいらなくってよ。最寄り駅も徒歩5分くらいが理想ね。坂道なんか昇らせたり、住宅街ラビリンスなんてやめてよね。」
「そういうコメントしづらい返しをするのやめてって!!あと後半は絶対スタジアムの話だったよね!!いろいろと心当たりはあったけど!!言わないからね!!」
高度な弄りになってきた。さすが。
「バルサ?なら、アンカーがいる逆三角形型の4-3-3のこと言っているのよね。」
「そうそう!前に聞いたトップ下がいない代わりに、アンカー?中盤にひとりいましたね。そいつが鍵になっているっぽいというか。」
「そうね。特に4-4-2に対しては、FWの背後、セントラルハーフの前に立って、守備陣形を崩す一手になるわ。」
アンカーポジション
「アンカーってそんなに凄いんですか?」
「夕べの激しい行為に比べたら大したことは無いかもしれないわね朗。ただ、とても強力なポジションよ。」
「激しくないどころか何もしていない真っ新な大地から変な妄想膨らませるのやめてもらってもいいですか!しかも、比較対象に僕を入れないでくださいよ!」
「あら、私は少しくらい激しくても大丈夫よ。でも、優しくされた方が好みなのよね。たとえばそうね、マスチェラーノのようなボール狩りも好きなのだけれど、ピルロのアンカーも優雅で美しいわ。ふふふ…美しさでいえば、シャビ・アロンソのキックモーションも別格よ。クォーターバックのようにロングパスを通すわ。でもやはり外せないのは、セルヒオ・ブスケツね。チームに血を通わせる最高のアンカーよ。ああ!これはどうしたものかしら。やっぱり決められないわ…」
アンカーオタ。どこに地雷が埋まってるのか分からんな。
「あの…話続けてもらっていいですか…」
「これは失礼したわね…4-4-2は、3ラインがバランスよく守ると前に話したと思うのだけれど、実は、そのライン間を誰が守るのかが非常に重要になるわ。」
「誰がチャレンジするのか?ってことですよね?ラインを作ってる選手のなかで、誰がボールを持ってる選手にプレッシャーをかけるのかとか、空いたスペースをカバーするのかとか。」
「そうその通り。全くプレッシャーがかからなければ、アンカーにプレーするための『時間』と『スペース』を与えることになる。そうなると選択肢も多し、自由もあるわ。当然、誰かが見ることになるのだけれど、そうなるとアンカー以外の『どこかで、誰かが』空くことになる。」
「相手のゾーン守備を逆手にとって、守備に穴を空ける役割…そう考えるととても恐ろしいことをやってるわけですね。」
「もちろん、アンカーにボールが渡れば問題が起こると思われないといけないし、プレッシャーやマークが厳しくもなるわ。ボールが簡単に奪われては、一気にカウンターを食らう危ない場所であるからそこは注意ね。」
「詩みたいにアンカー沼にハマりそうですよ…『頭』と『技術』が両立するからこそ、成り立つ役割か…」
ふ、フィリップ・ラームのアンカーとかいいよね…
「それともちろん『身体的』な部分でも。歩くたびにHPが減る沼なのだけれど、よければゆくっりしていくといいわ。もちろん宿屋は有料よ。100億ゴールドから。」
「それは、世界を半分もらうか選択する冒険ゲームの毒沼だよね!!あと観光地のホテルみたいな値段設定やめてって!!」
人物紹介
宮城野原 詩 (みやぎのはら うた)
仙台市内の学校(神杉高校)に通う高校生。
サッカーオタクなのは隠している。見る将。
国府多賀城 朗 (こくふたがじょう あきら)
仙台市内の学校(神杉高校)に通う高校生。
サッカーオタク。見る将。 サッカーの見方を勉強中。