蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

【信じるもの】リーガ21節 バレンシアvsバルサ(2-0)

 はじめに

 どうも、僕です。高速レビューチャレンジ。今回は、リーガから。試合終了後10分で書き上げたので、状況だけをさらっとです。 

前半

 バルサは、ボール保持時3-3-4。中央2トップ的にいるメッシとグリーズマンに両ウィングの形。非保持局面は少なかったが、4-4-2でセット。メッシとアルトゥールの形と思われるが、メッシが右サイドに流れたりしていると4-5-1っぽくも見えた。前半通して、ボールを持つ時間を長くして、ネガティブトランジション時にはゲーゲンプレスによる即時奪回からの攻撃継続を目指したキケバルサ。3バックがボールを持つ時間が多いのだけれど、3センターがハーフレーンで受けて、ボールを前進させる機会が少なかった。右インテリオールのデヨングは、4-4-2ブロックの脇であるワイドゾーンでボールを受けることが多く、左インテリオールのアルトゥールはブスケツ位置とわりと低い位置でボールを引き出していた。こうなると、両ウィングから突破を図りたいが、あまり効果的な攻めができず。右ハーフレーンをメッシが使うので、デヨングが配慮してポジションを空けている気がする。ただし、ボールホルダーに近づく・離れるのダブルパンチの形が無く、スペースを創る・使うの連続攻撃が初陣ほど見られなかった。

 バレンシアのほとんどの時間は、4-4-2によるボール非保持だった。ゾーン1・2のローブロックを敷く対抗型を組む。ボールサイドに4-4-2が極端に片側圧縮する形で、ボールを追い払い、バルサが逆サイドにボールを運ぶと、逆サイドのサイドハーフが前プレ。それを合図に、全体が前プレのビルドアップ妨害で嵌めこもうとする。中央3レーンを4-4-2で封鎖していることと、バルサがそれでも中央をこじ開けようとしてこないので、ある程度プランが嵌った形。PKを決めたいところだったが、GKが凄かった。幅取りのウィングに手を焼く展開だと、守備強度が終盤まで持たない懸念があるがこの前半ならそれもなさそう。ただ、ウィングからハーフレーンにレイオフが決まって、それがメッシだったり、デヨングだったりするとかなり難しい対応をすることになる。

 バレンシアのウィングの封殺が決まっている状態なので、例えば、メッシがインテリオールで中央レーンを無理やりドライブしてくると厄介だが、そうなるとFWがいなくなるので、収支としてあまり得ではないかもしれない。バルサとしては、「クライフ原理主義」のまま、それをどう解釈してどう攻めるかの「いつもの」問いかけに答える必要がある。

後半

  両チームともメンバー、フォーメーションの変更なし。後半開始早々に、バレンシアが先制。サイドを振られて、味方に当たったとはいえ、シュートチャンスの多かったバレンシアが1点リードしての後半開始となる。バルサは、相変わらず、メッシとデヨングがハーフスペースの取り合い。基本的には、デヨングがワイドレーンにレーンチェンジで避けるが、それは味方の都合であってバレンシアからするとそれほど脅威ではなさそうだった。そこにアルトゥールが寄ってくるので、たとえばセルジ・ロベルトがボールを持って上がるだけで、右ハーフレーンが渋滞状態になった。バルサは、アルトゥールに代えてビダルを投入。前線でのゲーゲンプレス要員とボールサイドから離れさせることでネガティブトランジションを改善しようとした。また、メッシをインテリオール化して、デヨングをFW化した縦のポジションチェンジもして、交通整理を行う。この辺りから、バルサがきちんとポゼッションができるようになった。ただ、バレンシアの4-4-2ローブロックの強度が下がるような決定打にはならず、ウィングが輝く展開にもならなかった。プレーの切れ目であるスローインから追加点を挙げたバレンシア。万事休すのバルサになった。終了間際にラキティッチを投入したバルサラキティッチがハーフレーン突撃を繰り出すことで、ハーフレーンのスペース解放とDF裏への攻撃で押し切れそうだったが、タイムアップ。

 バルサとしては、このタイプのサッカーでいつも言われるウィングの力とメッシ以外の攻撃力が再燃しそう。バレンシアは、勝ててない状況だったようだが、いっぱいのサポーターに素晴らしいプレゼントをした形になった。

おわりに

 キケ・セティエンの取り組みのなかで、いろいろな制約と誓約があって難しいかじ取りが必要な印象でした。クラブが待ってくれるのかくれないのかはよく分からないのですけれど、まだまだ始まったばかりですからね。バレンシアの4-4-2はセリアAっぽくボールに寄らないのに相手が困るタイプの名人ゾーナル守備でした。ゴール前でよく足も出てましたし勝ててよかったのかなと思います。