蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

ナポリのボール保持攻撃②

はじめに

 どうも、僕です。ナポリの攻撃分析の続きです。

sendaisiro.hatenablog.com

  レビュー記事は、こちら。 

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ナポリ式4-4-2ハーフレーン攻略法

 4-4-2セット守備には、いくつかの痛点があります。それはいわゆる、ライン間、選手間と呼ばれる場所です。ここにボールを持って攻撃する側の選手が立つことで、守る側は誰がプレッシャーをかけて、時間とスペースをなくすのか判断して決めて実行しなければいけません。当然、ゾーナル守備においては、自分が今守っている場所を放棄して、ライン間や選手間の場所を守ることを意味します。では、今自分が守っている場所を「スペース」として相手に明け渡し、新しい場所を守る判断は正しいのか。まあそんなことの連続がゾーナル守備、いわゆるゾーンディフェンスと呼ばれるものです。

 対ゾーンディフェンスにおいて、ライン間、選手間に立つことはすなわち、相手が守っている場所をズラすことになります。それが小さなズレなのか、大きなズレなのかは別として、それが最終的には、ゴール前のズレまで持っていかれると守る側にとってはあまり良くありません。逆に、ボールを持っている側、攻撃側は、このズレを少しずつ連鎖させてブロックを崩し、ゴール前に迫ることを狙っています。

 ナポリは特に、ハーフレーン(ハーフスペース)に選手が立つことで、その選択を相手に迫っています。ナポリも基本陣形は4-4-2ですから、2トップの一角、あるいはウィングがレーンチェンジすることでハーフレーン攻略を図ります。しかも、ディフェンスラインの前で楔パスを受けるので、相手DFは簡単に食いつけば背後を突かれるリスクがあります。もちろんつかなければ、ターンされて、危険なエリアと呼ばれている通称バイタルエリアで前を向かれてしまいます。受け手の選手としては、ターンできれば多くの選択肢を持つことになるので、プレッシャーがかかっていなければ、積極的に狙っていくことになります。

図1

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 ナポリの場合は、メルテンスやミリク、インシーニェ、カジェホンが主にハーフレーンで受けようとします。さらにいえば、ナポリ左サイドのハーフレーンは、メルテンスとインシーニェの独壇場と化します。ここで受けて前進する、あるいはワイドレーン、セントラルレーンにボールを供給することで、相手ディフェンスラインを崩します。加えて、メルテンスかインシーニェのどちらかがワイドレーンにカットアウトすることで、相手DFを引き連れ、片方がハーフレーンでフリーになれるなんて合わせ技もあります。

 ここに相手のアンカーやCHがヘルプに来れば、なおさら中盤に大きなスペースができるわけですから、カウンター予防にもなるし一石二鳥です。なので、守備側の選択肢としては、2つ。前で潰すか、後ろを圧縮するかです。ゲーム分析に話を戻せば、ナポリは前で潰すことをローマは後ろを圧縮する選択をしています。どちらが良い悪いではなくやり方の話ですので、チームとして、勝つための最善の手段といったところでしょうか。もちろん、選手ができる、できないが大前提にありますが。

図2

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おわりに

 ハーフレーン(ハーフスペース)の重要性は、どんどん大きくなっています。相手が守っていないところを攻めるのが基本だとすれば、非常に合理的な判断ですし、ではハーフレーンを守ってきた時にどこが空いてくるのか。欧州サッカーシーンで、目まぐるしく展開が変わるのも、そういった判断と実行を矢継ぎ早にしているからなのかと思います。

 ローマのボール保持・非保持の記事はこちら。

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