蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

フォンセカ・ローマ 選手間の広いビルドアップ

はじめに

 どうも、僕です。ローマ分析の続きをやっていきます。今回は、ボール保持時、攻撃の部分でビルドアップになります。では、レッツゴー。

  ボール非保持の4-4-2守備はこちら。 

sendaisiro.hatenablog.com

 試合レビューはこっち。

sendaisiro.hatenablog.com

ゾーン1のビルドアップ

 ローマのゾーン1(自陣)からのビルドアップは、ボールを繋ぐポゼッション型になります。2CBが大きく広がり、GKを含めてボールを後方から繋ぐ方法を取っています。相手のビルドアップ妨害に応じて、CHの1人がCB間に「アンカー落とし」することで、プレッシャーを分散させます。また、片側のSBを自陣に残すことでカウンターを予防しています。よって、2CB+2CH+SBの5人とGKがビルドアップ隊として、相手のプレッシャーをかわし、前線にボールを供給する下地を作っています。

図1

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 ここで特徴的なのは、選手間の距離です。CBが広がりますが、1人はタッチライン付近のワイドレーンまで広がります。もともと、CBがいた場所にはCHが降りて、もう1人のCHはアンカーポジションに、SBはワイドレーンのまま立ちます。少し大きめの五角形、W字型を作り、綺麗に5レーンに立つことでビルドアップしていきます。選手間距離を広くとることのメリットとして、相手に広いエリアを守らせることができます。当然ボールの方が速いですから、追いつかない局面を作ることができます。また、距離が短いことで、ボール付近に味方も相手も選手を乱立させない状態を作ることができます。

 ボール付近のエリアを「クリアリング」することで、時間とスペースを創り、①ボールホルダーに余計な負荷をかけさせない、②難易度の高いプレーをさせないことができます。それでいて、相手には広いエリアを守らせて、守るなら1人で2人を見させることで負荷を高めています。ナポリ戦においても、CBがワイドレーンに立つことで、相手FWがプレスをかける距離を長くして時間を捻出。前線にボールを供給することができました。

おわりに

 ボールを動かしたり、ポゼッションを高めたりすることにおいては、それが目的ではなく、まずは一番遠いところが空いているか、守っていないとこはどこか、そこにダイレクトにボールを出すことが重要になります。もちろん、相手もやられないためにブロックを低くしたり、選手間、ライン間を狭くして守ってきます(ローマの守備がそのように)。そんな相手を誘き出すやり方として、ボールを動かしてポゼッションするやり方がります。自陣付近で動かせば、相手もカウンターチャンスと見て出てきます。そうなれば、ローマとしても使えるスペースが増えるわけですから、チャンスを作ることができるというロジックになります。