蹴球仙術

せんだいしろーによるサッカー戦術ブログ。ベガルタ仙台とともに。

フォンセカ・ローマの4-4-2守備

はじめに

 どうも、僕です。今回は、チーム分析。パウロ・フォンセカ監督のローマになります。シャフタール時代も、ソリッドな4-4-2の使い手として知られていたパウロ・フォンセカですが、今季はローマの監督に就任。イタリアの地でも、その手腕を発揮しています。ボール非保持に注目して、簡単にまとめます。では、レッツゴー。

 試合レビュー記事はこちら。

sendaisiro.hatenablog.com

圧縮型4-4-2による中央3レーン封鎖

 ローマの基本陣形は、4-2-3-1ですが、ボール非保持には4-4-2になります。特徴は、ウィングがピッチを縦5分割にした「5レーン」に則ると、中央とサイドのレーンの中間に位置するハーフレーン(ハーフスペース)に立ち、相手のボール供給を防いでいることにあります。2トップが中央のアンカーを警戒し、ウィングがハーフレーンに入ってくる相手選手を「背中で」監視します。後ろにも目をつけるやつです。もちろん、針の穴を通す精度で、ハーフレーンに楔パスを通すことも可能ですが、逆に言えばそこしか通せないので、守っているローマの選手としては注意する場所がわかりやすくなります。こうして、ピッチに起きる様々な可能性、選択肢を削り、絞ることで自分の力を競り合いやボール奪取のところに十二分に発揮することが可能になります。

図1

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 また、ゾーナルにピッチを守ることで、相手選手の侵入およびボールの前進を防いでいます。相手としては、ボールを前進できる場所としてサイド、ワイドレーンになりますが、ハーフラインとディフェンスラインがスライドすることで、サイドのスペースを「縦に細く」圧縮します。こうすることで、相手のプレーの選択肢を削り、ボールを下げさせ自陣から遠ざけることができます。ここでも、2CHのスライドにプラスして、ボールサイドとは逆サイドのウィングが中央にスライドして守ることで、中央3レーンの警戒レベルを維持したままサイドも守ることができます。

図2

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 練度の高い圧縮型4-4-2は、ボールを持っていない時の陣形として非常に強力でありますが、やはりワイドレーンを大きく空けていること、サイドが気になって中央が空くことが弱点としてあります。人間は最も合理的な選択ではなく、より合理的な選択をする生き物ですから、その時々で迷ったり、瞬間の判断を誤ったりしてしまいます。こういうことをサッカーにおいて、よく「隙を見せる」なんて言葉で片付けられてしまいますが、その「隙を突く」ことは容易ではありません。

おわりに

 現代サッカーにおいて、プレーの選択肢が多くなる中央3レーンの重要性、特にハーフレーン(ハーフスペース)の重要性は高まっています。ボールを持っていない側の守備についても、ここをいかに守るかが大きなテーマになっており、圧縮型4-4-2のゾーン守備はひとつの解になっているのかなと思っています。