せんだいしろーによるサッカー分析ブログ

戦術を通してサッカーを考える。我らがベガルタ仙台中心。知恵の墓場。

【一難去ってまた一興】Jリーグ 第17節 ベガルタ仙台vsコンサドーレ札幌 (2-1)

はじめに

 では、いきましょうか!ホーム札幌戦のゲーム分析!止まらないユアスタ快進撃。苦しみぬいた先に辿り着いた世界で見えてきた光。リーグも前半戦が終わり、灼熱の夏、勝負の秋がやってくる。歩みは止めない。今回も、ゲーゲンプレスで振り返っていきます。では、レッツゴー。

目次

オリジナルフォーメーション

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 ベガルタは同じく4-4-2。右ウィングには道渕が入っている。

 札幌はチャナティップ不在だがミシャのチームらしさは変わらない。

概念・理論、分析フレームワーク

  • ポジショナルプレー概念における「5レーン理論」、「5レーン&4レイヤー理論」を用いて分析。
  • 理由は、ベガルタが「レーンを意識して良い立ち位置を取る」がプレー原則のため。
  • 分析フレームワークは、Baldiの「チーム分析のフレームワーク」(2018)を採用。
  • なお、本ブログにおいては、攻撃側・守備側の呼称を採用せず、ボール保持時・非保持時でのスケールを採用。

 (文章の伝わりやすさの側面から、便宜的に、攻撃・守備を使用する場合は除く) 

ボール保持時

5-4-1が守れていないところから前進

 ベガルタのビルドアップは、2CB+2CHのボックス型ビルドアップ。相手が1トップもあり、定石型のプラス1の形を採用。2CHが相手のCHのマーク役を引き受けピンどめ。2CBからSBへのボール移動が主だった。

 5-4-1攻略には、いくつか定石型がある。そもそも、使いたいスペースに人をはじめから置いているので人を動かせば勝手にスペースができるのが原理原則だ。人数には人数。オーバーロード(超密集)で過負荷をかければ、相手が数合わせで人を当ててくるので使いたい場所が芋づる式で相手くる。あとは、4-4-2攻略の原則を応用して、4の隙間を5レーンで攻略する。 

 今回のベガルタのポジショナルアタックは、この2つの合わせ技できた。SH脇のウィングレーンからハチ、永戸の前進。第3レイヤー・ハーフレーンからミチ、関口の攻撃。相手が守っていないところを攻める原則。これは札幌にも言えるのだけれど、シンプルに空いている場所から攻めている両者に見えた。噛み合わせ的には、札幌の3-4-2-1(4-1-5)に対して、ベガルタの4-4-2は分が悪いのだけれど、トムキャット可変で2-4-2-2になるのでお相子といったところか。多分。

図1

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ボール非保持時

迷える基準

 ベガルタのセットディフェンスは、4-4-2のまま。札幌がミシャ式発動で、4-1-5可変に対しては、2トップがアンカーポジションを基準にブロックを築く。面倒だったのが札幌の2シャドー。相手の4に対して合わせで同数プレスをかければ、ウィング裏(特に道渕)、CH脇を狙って動かしてくる。そこに間髪入れずにパスを刺されると、相手の攻撃を顔面から受けてしまう。

図2

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守備の難問 一問一答

 特に左サイドの手当ては急務だった。札幌の右WBルーカス・フェルナンデスがウィングレーンを 一騎駆けすることもあれば、ハーフレーンにレーンチェンジしてローテーションアタックを見せたり、永戸もよく対応していたが、左CB福森から対角線の角行パスが飛び出してくるといよいよ難しくなってくる。そこで関口が5バック化で対応。対角線のパスが使いたい4-4-2の4脇をはじめから埋めてしまうレーン埋めで対抗した。

 また、右CBが前進してサイドのトライアングルを作られると、今度はCH、SB、ウィングで対抗。「人につく、人につく」と言われてきたが、決闘相手が見つかればこれほど強力なものはない。「走力、切替、球際」が守備のプレー原則なのだとすれば、あやふやだった状態から、試合中にアジャストさせるのは成長している気がする。気がするだけ。

図3

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図4

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ポジティブトランジション

狙い続けた背後

  いつものように縦志向が強く、2トップに当てるボールが多かったのだけれど、ここでも相手が守っていないところを攻める原則が発動。上がっているCBの裏、あるいは可変前のCB脇など、空けているところから攻めていく姿勢は、ポジトラ時も変わらなかった。 

考察

それでも生きている

 正直なところ、試合内容としてはかなり厳しかった。厳しかったというのは、キーである決闘をズラされたこと、もっとボールを持ちたかったことだ。さらにそこに、ロングキックでスライドが間に合う前に攻撃されるまずい展開だった。それでも、セットプレーと前プレによるビルドアップ妨害で2点取り勝った。納得のいかない敗北があるように、(相手にとって)納得のいかない勝利もあるということだ。少しでも勝利の方を積み重ねたい。

物語は始まったばかり

 連勝ですっかり最下位から脱出し、ボトムハーフトップでトップハーフへの挑戦権を握りしめている。でも、これがひとつの物語であれば、またひと山、ひと試練あってもおかしくない。夏を乗り越え、リーグ戦終盤に向かうにあたってまだまだこれからだ。

松下についてひとつ

 実は、松下の躍動について、僕は密に心配をしていた。彼のボール操作能力は、恐らく、チームでもトップクラスだ。彼にボールを預けておけば、多少無理な体勢でもキープしてくれるし、個人で奪い返してもくれる。ある意味、替えのきかない選手になっているが、それがむしろ彼の存在を無意識的に大きくして誰にも代えがたい選手になると、離脱した時のパワーダウンが心配だなと思っていた。でも、あまり心配しなくても良さそうだ。少なくとも、周りの選手もスタッフも、松下に依存しているわけでもないし、課題は全員で解決する姿勢と一人一人が負けてられない姿勢がよく出ている気がする。このまま、よい状態をチームも松下も維持してほしいなと思う。 

おわりに

  他チームでまた一人監督がチームを去った。誰もがこんな形で別れたくなかったはずだ。チームの解散、サポーターの悲鳴。それでも、僕たちは、勝って上にいく。勝って、勝って、負けるかもしれないけど、走り続けなければいけない。もう、深海に沈みたくはない。どんなに悪いサッカーでも、素晴らしいサッカーでも、今僕は勝ちたい。まだまだ、足りない。

 

「命においては、勝利か、さもなければ死しかない。」こう言ったのは、チェ・ゲバラだ。

 

参考文献

www.footballista.jp

www.footballista.jp

birdseyefc.com

spielverlagerung.com

footballhack.jp

www.footballista.jp

sendaisiro.hatenablog.com

東邦出版 ONLINE STORE:書籍情報/ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう

 「footballhack 美しいサッカーのセオリー ビルバオ×ビエルサのコレクティブフットボール2」footballhack(2012)

http://silkyskills4beautifulfootball.blogspot.com/2012/08/blog-post_22.html